【インタビュー】柩(NIGHTMARE)、 hideへの果てなき憧れ「ギタリストである“柩”はhideさんから始まっている」
hideのソロ活動20周年、生誕50周年を記念した"hide ROCKET DIVE 2013-14"プロジェクトが現在敢行されており、そのプロジェクトのひとつとして、ヴィジュアル系アーティストによるhideトリビュートアルバム、『hide TRIBUTE II -Visual SPIRITS-』、『hide TRIBUTE III -Visual SPIRITS-』が2枚同時リリースされた。そこに柩 from NIGHTMARE名義で参加し、「D.O.D.(DRINK OR DIE)」を収録した、ナイトメアのギタリストである柩に、あらためてトリビュートへの参加についてと、hideへのリスペクトと憧れについて語ってもらった。
◆この曲をやるって決めてから、俺は譜面も見てないんですよ。もともと弾けたから。
――今回、hideトリビュートアルバムのオファーがきたとき、どんな気持ちでしたか?
柩:最初からバンドではなくて僕個人に来たものだったんで、光栄に思うと同時に、不安がありました(苦笑)。自分のルーツにある方のトリビュートで、演奏して、しかもそれを歌ってくれといわれたので、最初はぶっちゃけ半々でした。うれしい気持ちと不安な気持ちと。演奏はいいけど歌うのは大丈夫かって。でも、好きだからやろうと。
――「D.O.D.(DRINK OR DIE)」という曲のチョイスは柩さんが自ら?
柩:はい、そうです。
――制作に向かうにあたって考えたことは?
柩:自分はhideさんのいちファンとして、トリビュートが出たときのファン心理がわかるんですよ。あくまで個人的な意見なんですけど、トリビュートでもあまりにもアレンジしている曲って“んん?”ってなったりするんですね。わりと原曲に近い感じで、なおかつカバーしてるアーティストさんの良さが出ているものが俺は個人的にも好きなので、まず俺は原曲に寄せようと思いました。
――原曲に寄せながらもアレンジした部分を教えてください。
柩:まずテンポをちょっと上げました。テンポを上げたらもともと短い曲がもっと短くなるんで、サビを1回増やしました。ギターに関しては原曲にはないフレーズをちょこちょこ入れて。あまりにもメロディアスなフレーズを入れると曲の雰囲気が変わってくるんで、オクターブを重ねたりチョーキングを入れたぐらいなんですけど。そして、曲の構成自体がシンプルで淡々としてるんで、サビにメリハリをつけるためにパーカッションの同機を入れて。そこはギターも8本ぐらい重ねて入れました。
――スタジオでの作業はどうでした?
柩:変な感じでしたよ。10何年も前から自分が聴いてる、コピーしてた曲を遊びではなく本気でスタジオでレコーディングしているってことが不思議な感じでした。初めて味わった感覚ですね。
――ナイトメアではなくソロでのスタジオ作業はどんな感じでした?
柩:スタジオに俺ひとりぼっちでした。でも、ひとりで時間を自由に使えたのでギター録りまでは気は楽でしたよ。この曲をやるって決めてから、俺は譜面も見てないんですよ。もともと弾けたから。
――ああ、なるほど。
柩:だからギターをどんどん重ねてってオケができるまでは“おっ!「D.O.D.」になってきた”ってワクワクでした。ファンですから(笑)。
◆演奏が終わったあとは“hideさん、俺の演奏聴こえてますか?”ってことを入れたかったんですよね。
――その後の歌入れは。
柩:大変でした。
――歌はかなり練習したんですか?
柩:いや、全然してないです(笑)。カラオケで何回か歌ったことがあったんで。歌詞も見てないです。見なくても覚えてるんで。
――さすが、大ファンですね(笑)。スタジオで自分の歌声を聴いた感想は?
柩:自分で聴いたときは、“なんだこの声は……”って。ちょっと気持ち悪くも感じました(一同爆笑)。もっと歪ませちゃおっかなと思ったぐらい。
――でも、聴いてみたら正直こんなにちゃんと歌えるんだって驚きましたよ。
柩:ホントですか?(照笑)自分では恥ずかしくてあんま聴けてないんですよ。
――しかもちょっとhideさんに声質とか似てる部分もあって、さらにびっくりしました。
柩:それはうれしいことですね。ツイッターで“歌ってるのは柩さんですか、hideさんですか?”ってファンの子にも言われて。“俺が歌ってなかったらトリビュートじゃねぇだろう”って(笑)。歌に関してもカバーする前にオリジナルは聴かなかったんですよ。
――オケを作るときも歌入れのときも、あえて原曲は聴かないようにしていた?
「自分が今、「D.O.D.」を聴いてしまうと、ましてやそれをレコーディングしようとしてる訳だからああだこうだ考えちゃって、昔10代の頃に「D.O.D.」を聴いたときの自分とは違う気持ちで聴いちゃうかもと思ったんですよ。今聴いたときの気持ちはまったくいらない。俺が昔から感じている「D.O.D.」を入れたかったから。
――つまり10代の頃に柩さんが聴いたこの楽曲に対する初期衝動のままの解釈で今回演奏し、歌いたかったと。
柩:それを出したかった。今聴いちゃうとhideさんの音をどんどん分析していって自分の音じゃなくなっていくと思ったんで。
――潔いカバーの仕方ですね。
柩:そうですね。それで、レコーディングが終わった後にできた音と原曲を聴き比べてみたんです。そうしたらけっこうギターの音の感じとかも違ってて、歌も“あれ、こここんな歌い回しだったっけ?” と驚いたんですけど(笑)。でも、それでこそ自分らしい音でやれたってことだから全然俺は後悔してないです。
――曲のイントロ前、アウトロ終わりには柩さんだからこその演出が加えてあって素敵だなと思ったんですが。
柩:お酒の歌なんで、飲みながらやってる感じが欲しいなと思ったんで、まずビールのプルトップを開けて演奏が始まるという設定にして。始まった時点でもう飲んでるという感じにしたかったんで“酒もってこ~い”と曲中に叫んでて。演奏が終わったあとは“hideさん、俺の演奏聴こえてますか?”ってことを入れたかったんですよね。俺、こんなに好きでもライブは1度も観に行けてないんです。『PSYENCE』のライブのときにチケットを取ろうと電話をしたんですけど取れなくて。hideさんを生で1度も見たことがない俺みたいな人間がトリビュートをやらせていただいたんで、それがhideさんに届けられたらうれしいなという気持ちで。
――ナイトメアのメンバーにはもう聴いてもらったんですか?
柩:自分からは聴かせてないです。でも、これのTDでスタジオに行ったらウチのヴォーカル(YOMI)がいたんですよ。で、「もう聴いたよ」って、俺より先に聴いてたという(一同爆笑)。“はあ?”って(笑)。ヴォーカルは「よかったよ。カッコいい」って言ってくれました。でも今回、歌入れしてみてヴォーカリストってすごいんだなと思いましたね。
――ウチのヴォーカル、いつもこんなことやってて大変だったんだな、と。
柩:と気づくまでに14年かかりました(笑)。
――今回「D.O.D.」をやってみて改めて思ったこととは?
柩:曲自体は簡単なんですよ。難易度が高い曲ではないんです。小難しいことしなくても、こんなにシンプルでも作り方によってはずっと残る曲ができるんだなと思いました。
――「D.O.D.」、ライブでもやってみたいですか?
柩:えー。俺が歌うってことですか?
――当然そうなりますよね。
「あんな堂々と歌えないですよ。“酒もってこい”とか絶対いえない。“お酒ください!”とか言いそう(笑)」
◆インタビュー続きへ
◆この曲をやるって決めてから、俺は譜面も見てないんですよ。もともと弾けたから。
――今回、hideトリビュートアルバムのオファーがきたとき、どんな気持ちでしたか?
柩:最初からバンドではなくて僕個人に来たものだったんで、光栄に思うと同時に、不安がありました(苦笑)。自分のルーツにある方のトリビュートで、演奏して、しかもそれを歌ってくれといわれたので、最初はぶっちゃけ半々でした。うれしい気持ちと不安な気持ちと。演奏はいいけど歌うのは大丈夫かって。でも、好きだからやろうと。
――「D.O.D.(DRINK OR DIE)」という曲のチョイスは柩さんが自ら?
柩:はい、そうです。
――制作に向かうにあたって考えたことは?
柩:自分はhideさんのいちファンとして、トリビュートが出たときのファン心理がわかるんですよ。あくまで個人的な意見なんですけど、トリビュートでもあまりにもアレンジしている曲って“んん?”ってなったりするんですね。わりと原曲に近い感じで、なおかつカバーしてるアーティストさんの良さが出ているものが俺は個人的にも好きなので、まず俺は原曲に寄せようと思いました。
――原曲に寄せながらもアレンジした部分を教えてください。
柩:まずテンポをちょっと上げました。テンポを上げたらもともと短い曲がもっと短くなるんで、サビを1回増やしました。ギターに関しては原曲にはないフレーズをちょこちょこ入れて。あまりにもメロディアスなフレーズを入れると曲の雰囲気が変わってくるんで、オクターブを重ねたりチョーキングを入れたぐらいなんですけど。そして、曲の構成自体がシンプルで淡々としてるんで、サビにメリハリをつけるためにパーカッションの同機を入れて。そこはギターも8本ぐらい重ねて入れました。
――スタジオでの作業はどうでした?
柩:変な感じでしたよ。10何年も前から自分が聴いてる、コピーしてた曲を遊びではなく本気でスタジオでレコーディングしているってことが不思議な感じでした。初めて味わった感覚ですね。
――ナイトメアではなくソロでのスタジオ作業はどんな感じでした?
柩:スタジオに俺ひとりぼっちでした。でも、ひとりで時間を自由に使えたのでギター録りまでは気は楽でしたよ。この曲をやるって決めてから、俺は譜面も見てないんですよ。もともと弾けたから。
――ああ、なるほど。
柩:だからギターをどんどん重ねてってオケができるまでは“おっ!「D.O.D.」になってきた”ってワクワクでした。ファンですから(笑)。
◆演奏が終わったあとは“hideさん、俺の演奏聴こえてますか?”ってことを入れたかったんですよね。
――その後の歌入れは。
柩:大変でした。
――歌はかなり練習したんですか?
柩:いや、全然してないです(笑)。カラオケで何回か歌ったことがあったんで。歌詞も見てないです。見なくても覚えてるんで。
――さすが、大ファンですね(笑)。スタジオで自分の歌声を聴いた感想は?
柩:自分で聴いたときは、“なんだこの声は……”って。ちょっと気持ち悪くも感じました(一同爆笑)。もっと歪ませちゃおっかなと思ったぐらい。
――でも、聴いてみたら正直こんなにちゃんと歌えるんだって驚きましたよ。
柩:ホントですか?(照笑)自分では恥ずかしくてあんま聴けてないんですよ。
――しかもちょっとhideさんに声質とか似てる部分もあって、さらにびっくりしました。
柩:それはうれしいことですね。ツイッターで“歌ってるのは柩さんですか、hideさんですか?”ってファンの子にも言われて。“俺が歌ってなかったらトリビュートじゃねぇだろう”って(笑)。歌に関してもカバーする前にオリジナルは聴かなかったんですよ。
――オケを作るときも歌入れのときも、あえて原曲は聴かないようにしていた?
「自分が今、「D.O.D.」を聴いてしまうと、ましてやそれをレコーディングしようとしてる訳だからああだこうだ考えちゃって、昔10代の頃に「D.O.D.」を聴いたときの自分とは違う気持ちで聴いちゃうかもと思ったんですよ。今聴いたときの気持ちはまったくいらない。俺が昔から感じている「D.O.D.」を入れたかったから。
――つまり10代の頃に柩さんが聴いたこの楽曲に対する初期衝動のままの解釈で今回演奏し、歌いたかったと。
柩:それを出したかった。今聴いちゃうとhideさんの音をどんどん分析していって自分の音じゃなくなっていくと思ったんで。
――潔いカバーの仕方ですね。
柩:そうですね。それで、レコーディングが終わった後にできた音と原曲を聴き比べてみたんです。そうしたらけっこうギターの音の感じとかも違ってて、歌も“あれ、こここんな歌い回しだったっけ?” と驚いたんですけど(笑)。でも、それでこそ自分らしい音でやれたってことだから全然俺は後悔してないです。
――曲のイントロ前、アウトロ終わりには柩さんだからこその演出が加えてあって素敵だなと思ったんですが。
柩:お酒の歌なんで、飲みながらやってる感じが欲しいなと思ったんで、まずビールのプルトップを開けて演奏が始まるという設定にして。始まった時点でもう飲んでるという感じにしたかったんで“酒もってこ~い”と曲中に叫んでて。演奏が終わったあとは“hideさん、俺の演奏聴こえてますか?”ってことを入れたかったんですよね。俺、こんなに好きでもライブは1度も観に行けてないんです。『PSYENCE』のライブのときにチケットを取ろうと電話をしたんですけど取れなくて。hideさんを生で1度も見たことがない俺みたいな人間がトリビュートをやらせていただいたんで、それがhideさんに届けられたらうれしいなという気持ちで。
――ナイトメアのメンバーにはもう聴いてもらったんですか?
柩:自分からは聴かせてないです。でも、これのTDでスタジオに行ったらウチのヴォーカル(YOMI)がいたんですよ。で、「もう聴いたよ」って、俺より先に聴いてたという(一同爆笑)。“はあ?”って(笑)。ヴォーカルは「よかったよ。カッコいい」って言ってくれました。でも今回、歌入れしてみてヴォーカリストってすごいんだなと思いましたね。
――ウチのヴォーカル、いつもこんなことやってて大変だったんだな、と。
柩:と気づくまでに14年かかりました(笑)。
――今回「D.O.D.」をやってみて改めて思ったこととは?
柩:曲自体は簡単なんですよ。難易度が高い曲ではないんです。小難しいことしなくても、こんなにシンプルでも作り方によってはずっと残る曲ができるんだなと思いました。
――「D.O.D.」、ライブでもやってみたいですか?
柩:えー。俺が歌うってことですか?
――当然そうなりますよね。
「あんな堂々と歌えないですよ。“酒もってこい”とか絶対いえない。“お酒ください!”とか言いそう(笑)」
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