【インタビュー】コブクロ、シングル「One Song From Two Hearts」リリース「新曲がたくさんできたことで“あの休養期間は充電でした”って、胸張って言える」
約2年ぶりの全国ツアー<KOBUKURO LIVE TOUR 2013“One Song From Two Hearts”>が終了したばかりのコブクロから届いたニューシングルは、ツアーと同タイトルの「One Song From Two Hearts」と、「ダイヤモンド」(ABC夏の高校野球応援ソング/『熱闘甲子園』テーマソング)のダブルAサイド。どちらもツアーで初披露した新曲で、特に「One Song From Two Hearts」はライヴのオープニングを飾り、年内リリース予定のアルバムタイトル曲にもなるなど、今のコブクロを象徴する非常に重要な曲だ。2011~2012年の休養期間を経て、いよいよ活動を本格化させた二人のホンネを詰め込んだニューシングル、必聴である。
◆コブクロ 画像
■何の縛りもなくやるとコブクロはこうなるんだよという表現です──小渕
■小渕がギターを弾いて「ラララ」で何か歌った時に、「それ!」って──黒田
──今回のツアー、新曲いっぱいやってましたね。
小渕:計7曲、やっていますね。黒田が1曲、僕が5曲、共作が1曲という。
──あえてそういう、斬新な構成にした意図というのは?
小渕:これは偶然も重なっているんですけど。今年のツアーに向けて、去年の12月に曲を作ろうと思って、9日間スタジオに入って、18曲できて……。
──ちょっと待ってください(笑)。さらっと言いましたね。「9日間で18曲」って。
小渕:歌詞はまだついてないですけどね。1日2曲。でもそれはね、“今日も2曲作るぞ!”というのではなく、スタジオに入ると、昼から夕方にかけて、当然1曲できているんですよ。それからごはんを食べて、また1曲できる。それを9日間続けて、どこまで行くかな?と思ったんですけど、スケジュール的にそれ以上はできなくて。で、1月からまた時間があったので、ひたすらメロディを聴いていたら、だんだんと歌詞のイメージが出てきて、今度は歌詞を書くためにスタジオに入らせてもらったら、1日1曲詞ができて、5日で5曲できるみたいな。
──はあ……すごい……。
小渕:すごくうまく集中できた時間が、12月と1月にありまして。その時にできた曲を全部歌ったんですね、ツアーで。黒田もその間に1曲書いていたし、最後に二人で共作したのが「One Song From Two Hearts」で。でも本当はこの曲がない状態で、ツアーを回ろうと思っていたんですよ。
──そうなんですか? それは意外。
小渕:<One Song From Two Hearts>というツアータイトルは決まっていたんですけど、そういう曲はなかった。でも最後に何か1曲、当てはまるピースはないかな?と思った時に、“そうだ、こういうテーマ、こういうメッセージがある”と。この歌は、僕らが休養していた期間の思い、いい意味での前向きな思いを──“淋しさ”“孤独”という言葉を僕はあえてポジティヴに使っているんですけど──そういう思いを歌にしてしまえ!と。あの休養していた時間については、いくら語っても語りつくせないものがいっぱいあるので、それは歌にするのが一番、聴いてくれる人には届くかな?と思って、歌にしたということですね。
──ドキュメンタリーのように聴きました。心の動きがすごく伝わって。
小渕:休養する前の最後のライヴ、北海道で、「僕と黒田は二つの車輪のようなものです」とMCで言った言葉が、まさに1行目につながっています。「片方の車輪が壊れちゃって、まっすぐ走れないので、ちょっと待っててくれますか?」と言った時の、お客さんのあたたかい拍手が、“待ってるよ”“ゆっくり休んでくれよ”というふうに聞こえたんですよ。その時のことをものすごく鮮明に覚えていて、そこから今回のツアーにつながるものは何かないかな?と思っていたところ、“外れた車輪、ボルト締め直したら、Go Way”という歌詞が生まれてきて、そこからできた歌ですね。
──なるほど。
小渕:2012年の12月に18曲作った時は、“何でもいいから全部出せ!”みたいな感じで、それが“ただの落書きに見えるかい?”というところ。時間があったからこそ、こういうふうに曲もできたし、人から見たら無造作に作っているように見えたかもしれないけど、それは本当に自由で、何の縛りもなくやるとコブクロはこうなるんだよ、という表現ですよね。
──黒田さん。メロディを共作するというのは、実際にどういうやり方でした?
黒田:小渕がギターをバーッと弾いてて、「ラララ」で何か歌った時に、「それ!」って。
小渕:そうそう(笑)。スタジオを借りたんですけど、ブースにも入らず、テーブルとソファーのあるところに座って。別にスタジオでなくても良かったんですよね(笑)。そこに小さい録音機材を置いて、♪ラララ~って。そこでAメロ、Bメロ、サビと。僕の手グセで、自分の好きな感じで行こうとすると、こいつが引き止めて、「いやいや、それは長い」「そっち行ったらアカン」と。僕の行きそうなメロディを全部引き戻して、「もっとシンプルに」と。「早くサビに行こう」という感じで、映画で言うと、始まって3分でアクション・シーンになるというか。
──早っ(笑)。
小渕:早っ!と僕も思うんですけど、今となれば、ここでサビが来なかったら成立してない曲だなと思いますね。2コーラスのサビまでで、1分ちょっとしかたってない。
黒田:テレビでは歌いやすいんですよ(笑)。
小渕:どこの番組でも、フルサイズで歌える(笑)。
──全体でも3分半しかない中に、これだけドラマティックな要素を詰め込んで、まさにポップ・シンフォニー。今回はアレンジが本当に素晴らしいです。全体的には、かなりファンキーなリズムですよね。
小渕:ネオ・カントリーというか、進化したアコースティック・サウンドというか。日本の音楽の中でのアコースティック・ギターのイメージって、限定されてるところがあるじゃないですか? それじゃないんですよね、僕らがやりたいことは。
──イントロの“チャカチャン!”っていうカッティングとか。完全にソウルとかファンクのリフだなと。
小渕:カッティングが好きなんですよね。僕の師匠は布袋さんなので。
──あー、そうでしたね(笑)。
小渕:だから、ああいう感じの弾き方がしみついてる。好きだから。
──間奏ではハードなギターソロが入ったりして。あと、波の音が聴こえるのは、あれは?
小渕:あれはね、パーカッションで、動物の爪がぶら下がったやつ。鹿の爪だっけ(*正解は「アルパカの爪」)? 鷹の爪だったら調味料になりますからね(笑)。
──ものすごく楽しんでアレンジしてるなと。
小渕:間奏のソロも、ギタリストに注文して、ワンノート(一つの音)で引っ張るほうがエネルギッシュなんじゃないかな?と。ああいうコードだと、ブルースにも行けるし、UKロック風にも行けるんですけど、「ワンノートで行きましょう」と。ワウを踏みながら。そこまで指定してやったので、面白かったですね。
──そして最後の、オーケストラによるグランド・フィナーレ! あれも最初からイメージがあったんですか。
小渕:やってみたらああなった、という感じですね。
黒田:この歌詞を小渕が使いたいって、言ってたんですね。「One Song From Your Smile」というところを。
──あそこ、ポイントですよね。最初は「From Two Hearts」と歌っていて、最後だけ「From Your Smile」になる。
小渕:僕らの二つの心から歌は生まれてるんですけど、結局みんなの笑顔から生まれてるというところで完結する、その画が浮かんでいたので。うまく言葉になって良かったですね。ただあのエンディングは、合わせるのがすごく難しくて、演奏は大変ですけど(笑)。
──タイトルといい、サウンドといい。今までのコブクロとは明らかに違う、新しい何かを感じます。
小渕:シングルの意味合いというものが、固定概念としてあると思うんですよ。なんとなく耳なじみがいいとか、聴きやすいとか、ポップだとか、一回聴いたら忘れないとか。そういうシングルは今までも自分たちなりに、たくさん頑張って作ってきたんですけど、“いや、今一番表現したいことを今出す、これでいいんじゃないか?”という、僕らのアイデンティティにもつながるのが、今回の「One Song From Two Hearts」のリリースですね。だから、すごくうれしいです。僕らだけの思いで「これをシングルにしたい」「そうしましょう」ということになって、ツアー・タイトルもそうしよう、アルバムもこれで行こうという…なんて気持ちいい、ノン・ストレスですよね。音楽的には。
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