【ライブレポート】Brian the Sun×KANA-BOON、<激ブライアンカナブンブン丸>で新時代のロックシーンを切り開く熱き競演

ポスト
6月、1stアルバム『NON SUGAR』を発表したBrian the Sunと、4月に1stミニアルバム『僕がCDを出したら』を発表したKANA-BOON、ともに大阪出身の2バンドによるWレコ発<激ブライアンカナブンブン丸>が、6月16日に新宿LOFTで行われた。Brian the SunとオープニングアクトのCHEESE CAKEはそれぞれ2008年と2009年の「閃光ライオット」で準グランプリを獲得、KANA-BOONは2012年にキューン20周年オーディションでグランプリを獲得と、若くして実績のあるバンドが集まったこの日は、新しい世代の台頭を確かに感じさせる一夜となった。

◆<激ブライアンカナブンブン丸> ライブ写真

開演前に両バンドのベーシスト、Brian the Sunの白山とKANA-BOONの飯田から、チケットが見事ソールドアウトになったことへの感謝が伝えられると、まずはCHEESE CAKEが登場。この日唯一の女性ボーカリストであるポチは、曲ごとにアコギとエレキを持ち替えながら、切ないメロディーを力強く歌い上げ、客席から温かい拍手が送られていた。

続いて登場したBrian the Sunは、『NON SUGAR』でも一曲目を飾っていた「Suitability」で勢いよくスタート。ボーカルの森が一度ギターを置いて、ギターの小川が“Noro”のリフを弾き始めると、森はステージ前方まで出て行って客席を煽り、サビではオーディエンスが一斉にジャンプするなど、序盤からステージ運びの上手さが際立つ。疾走感のある「アレカラ」に続いて、「大きい音出すから、耳ふさいどいた方がいいんちゃう?」と言って始まった「13月の夜明け」では、サイケデリックな轟音が会場全体を包み込んだ。

「後ろの方のお客さんも盛り上がってる?」という問いかけに、会場中が手を上げて応えると、「ノリノリのMCしたけど、次はむっちゃ乗りにくい曲」と変拍子の「キャラメルパンケーキ」、さらに「Sister」と続け、「2013年の6月16日に新宿LOFTでこんなに楽しいライブがあったことを、60年後に覚えてる人は少ないかもしれない。忘れていくのは悲しいことだけど、でも、忘れることを恐れないでください」というMCに続いて、バラード曲「Telomere」へ。関西出身らしい軽妙なノリの一方で、音楽に対する真摯な姿勢が伝わるステージは、「音楽で食っていくという未来をダメ押しした曲」という「Naked Blue」で締め括られた。

この日のトリを務めたKANA-BOONは、一曲目の「見たくないもの」から持ち味のキャッチーなメロディーでオーディエンスをグッと引き込むと、「ワールド」、「盛者必衰の理、お断り」とアッパーなダンスチューンを連発して、フロアの温度を急上昇させる。「今日はパパの日ですね」「チチの日じゃなくて?」「え?下ネタ?」と、こちらもボーカルの谷口と飯田がMCで笑いを誘うと、続く「クローン」では会場中でハンドクラップが巻き起こる。「ストラテジー」で谷口のギターの弦が切れて一時演奏がストップするも、飯田から「バンドをやってることをなかなか言い出せなかった固い父親から、“最近頑張ってるな”とCDの画像付きでメールが来た」という「パパの日」らしい心温まるエピソードが披露され、会場の一体感はさらに増していった。

「A.oh !!」からスタートした後半戦では、新曲の「ハッピーエンド」、さらには「かけぬけて」とアップテンポの曲を続けざまに演奏。ここで谷口が「僕らは最近上京しましたが、大阪には僕らやBrian the Sun以外にも同世代のかっこいいバンドがたくさんいるので、ぜひ知ってもらいたいです」と地元への想いを語り、彼らの魅力であるロマンティックな少年性が凝縮されたバラード「眠れぬ森の君のため」を披露。さらにはストレートなポップナンバー「さくらのうた」を叩きつけて、一旦ステージを後にした。

アンコールでは「ロフトはオムライスが美味しいので、時間があったら食べていってください。僕らはチャーハンの歌をやります」と言って、YouTubeでの再生回数が50万回を超えた現時点での代表曲「ないものねだり」を演奏(「ないものねだり」のミュージックビデオは、チャーハンを作っている映像から始まる)。「待ってました!」とばかりにフロアはこの日一番の盛り上がりを見せ、最後はサビの歌詞を“激ブライアンカナブンブン丸”に変えてオーディエンスと共に合唱し、笑顔が溢れる中でライブは幕を閉じた。

終演後は出演者が勢ぞろいして記念撮影が行われ、the band apart譲りだという「一本締め」ならぬ「ハードコア締め」で大団円。2000年代の日本のロックを吸収し、2010年代を切り開き始めた大阪発の2組の共演は、7月30日の名古屋、翌31日の地元・大阪へと続いていくので、お見逃しなく。

テキスト●金子厚武
写真●Ryo Nakajima(SyncThings)

◆Brian the Sun オフィシャルサイト
◆KANA-BOON オフィシャルサイト
◆CHEESE CAKE オフィシャルサイト
この記事をポスト

この記事の関連情報