【インタビュー】サカナクション、“戦略と本能を一つのアルバムにした”表裏一体のアルバム『sakanaction』
■言葉が意味とリズムの両方を持っている
▲初回生産限定盤
山口:うん。もうダメなとこまで来ました(笑)。
――それは単にスケジュールだけの問題だけじゃなくて、突き詰めて作業していたことが大きいんですよね。山口くんとしては、どこに最も自分の神経を注いで時間を使った?
山口:歌詞です。今回はミックスも、マスタリングも曲順も、メンバーとエンジニアに任せたんですよ。その分自分が力を注いだのは、曲を作ること、歌詞を書くこと。特に今回はオケが完パケしてから歌詞を書くっていうことをルールにしてたんです。「僕と花」からそれをずっとやっていて。つまり、曲を書いて、メンバーが歌詞の情報がない状態でそれをアレンジして、完全にできあがった後に僕が歌詞を書いて歌を入れる。それが大変でしたね。
――なるほど。そのぶん歌詞のハードルが上がった?
山口:そう。今までよりも、言葉が意味とリズムの両方を持ってると思う。「なんてったって春」とかはまさにそうなんだけど、そこの感覚を掴むのが難しかったです。
――意味が乗っているし、リズムを殺さないっていうためには、一つ一つの言葉を丁寧に選ばないといけない。「mellow」もそういう曲ですよね。
山口:そうですね。あの2曲は特にそう。新しいことをやってる感じがしました。
■タイアップをきっかけに聴いた人にもカルチャーショックを与えたい
▲通常盤
山口:「ミュージック」がドラマ主題歌に決まった前だから、2012年の9月くらいだったかな……。いや、もっと前だ。今回のタイトルを『sakanaction』にしようって決めた時点で、“表裏一体”っていうテーマはありましたね。これだけタイアップやるんだから、それをきっかけに聴いてもらった人にもカルチャーショックを与えたいっていう気持ちがあった。
――なるほど。『sakanaction』っていうタイトルにするアイディアは制作の初期からあったんですね。
山口:そうですね。もともと3年前くらいから、普段はサカナクションっていうカタカナの表記で活動して、sakanactionっていう英語の表記で活動するときはインストでやりたいっていう話をしてたんですよ。で、「サカナクション」と「sakanaction」という“表”と“裏”からなる2枚のアルバムを同時に出したいという話をしていて。でも、スケジュールも忙しくなってきてたし、現実的に2枚作るのは難しくて。だから「sakanaction」という英語表記をアルバムタイトルにして、“表裏一体”というテーマをそこで表現しようとした。外に向けて学習して発信している部分と自分たちが本当に好きな部分、いわゆる戦略と本能を一つのアルバムにしてしまいたいっていう。そこにシフトしていったのはありますね。
――アルバムに収録されている曲でも、たとえば“Aoi”は2013年のNHKサッカーテーマで、今言われた“表”と“裏”では、まさに表側にある曲だと思うんですけれど。これはどういうきっかけでできた?
山口:これはNHKのサッカータイアップの話をいただいて。そこに曲を作ろうと思っていたんです。で、気付いたらアルバムの中にギターロックの曲が1曲もなくて。自分たちの今のテイストでそういう曲をやったら、きっとまた違ったものができるだろうなと踏んで、僕が原曲を作ったんですね。で、ギターの岩寺に「こういう曲やるから」って言ったら、「ギターで押すようなわかりやすい曲はやりたくない」って言われて。それくらい自分たちのモードがクラブ・ミュージックになってたんですよ。だけど、「タイアップという戦略性と本能をちゃんと混ぜ合わせたものを作れば、僕らにとっても多分いいものになるから」って説得して、作っていったんです。だから、最初はわかりやすいものを作ろうとしていたけど、アルバム制作中は自分たちの好きなことをやりたいっていう気持ちが強かったんで。今までにないミクスチャーが生まれた曲になったと思いますね。
――わかりました。では、最後に。サカナクションをテレビで知ったような人、それをきっかけに気になっているような人には、このアルバムのタイミングでどんなことを伝えたいと思っていますか?
山口:音楽にはいろいろあるってことですね。多くの人が耳にしてる音楽って、わかりやすいもの、整理されて機能的なものになってるものが多い。でも、世界には様々な音楽があって、楽しみ方もそれぞれ違う。で、僕らが提唱してるのは、みんなが普段聴いてる楽しみ方とは違う音楽の楽しみ方を持ってるものが多い。それを気付いてもらうために、いろんな試行錯誤をしてる段階なんですよね。だから、何も考えずに聴いてもらって、もし何か引っかかったら、絶対ライヴに来て欲しい! ライヴに来たら全部答え合わせになるから。ヘッドホンだけじゃ体感できない世界がこのアルバムには内包されてる。そこを感じたらライヴに来てもらいたいなと思いますね。きっと、びっくりするはずだから。
取材・文●柴 那典
6thアルバム『sakanaction』
3月13日(水)発売
初回生産限定盤(CD+Blu-ray)VIZL-519 \3,990(tax in)
初回生産限定盤(CD+DVD)VIZL-520 \3,780(tax in)
通常盤(CD)VICL-63999 \3,000(tax in)
#1-CD
01.intro
02.INORI
03.ミュージック
04.夜の踊り子
05.なんてったって春
06.アルデバラン
07.M
08.Aoi
09.ボイル
10.映画
11.僕と花
12.mellow
13.ストラクチャー
14.朝の歌
15.『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』(Ks_Remix)(VIZL-519・VIZL-520のみ)
#2-DVD
sakanacalendar 2012 【LIVE】
sakanacalendar 2012 【ドキュメント】
#2-Blu-ray
sakanacalendar 2012 【LIVE】
sakanacalendar 2012 【ドキュメント】
僕と花 【MUSIC VIDEO】
夜の踊り子 【MUSIC VIDEO】
ミュージック 【MUSIC VIDEO】
<SAKANAQUARIUM2013>
2013.03.27(水)川崎 CLUB CITTA'
2013.03.30(土)東京エレクトロンホール宮城
2013.04.06(土)ZEPP SAPPORO
2013.04.07(日)ZEPP SAPPORO
2013.04.10(水)京都KBSホール
2013.04.11(木)京都KBSホール
2013.04.13(土)新潟LOTS
2013.04.14(日)新潟LOTS
2013.04.20(土)高知BAY5 SQUARE
2013.04.21(日)広島BLUE LIVE
2013.04.24(水)ZEPP NAGOYA
2013.04.25(木)ZEPP NAGOYA
2013.04.27(土)ZEPP FUKUOKA
2013.04.28(日)ZEPP FUKUOKA
2013.05.18(土)幕張メッセ
2013.05.19(日)幕張メッセ
2013.05.22(水)大阪城ホール
2013.06.01(土)沖縄音市場
◆サカナクション オフィシャルサイト
◆ビクターエンタテインメント
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