【インタビュー】サカナクション、“戦略と本能を一つのアルバムにした”表裏一体のアルバム『sakanaction』

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サカナクションが、6枚目となるアルバム『sakanaction』をリリースする。モード学園CM曲「夜の踊り子」、ドラマ主題歌「僕と花」「ミュージック」、NHKサッカー放送テーマソング「Aoi」など、数々の話題曲を収録する本作。名実ともに今のロックシーンを代表するバンドになった彼らの今の勢い、そして深い音楽性の両面を感じられる、充実の一枚になっている。山口一郎(Vo/G)の自宅にメンバー5人が集まり、「表裏一体」をキーワードに制作を進めていったという本作。レコーディング中のエピソード、そしてアルバムに込めた思いを山口一郎に語ってもらった。

■“外”に向けてバンドを見せる気持ちがメンバー全員にあった


▲初回生産限定盤
――今回のアルバムに至るまでには、タイアップのシングルがいくつかありましたよね。ドラマやCMに曲を作るというオファーがきて、それに自分たちなりのやり方で力一杯応えた。それはどういう経験になりました?

山口一郎(以下、山口):前作の『DocumentaLy』で目標としていた幕張メッセのワンマンと10万枚セールスを実現して、次に幕張2デイズと20万枚セールスという目標を立てていたんです。それを達成するためには、今まで以上に沢山の人に知られなきゃいけない。だから、やっぱりタイアップは欠かせないと思って。そう思ってた矢先に話が次々と来たんで、これはもうチャンスだなと思いましたね。その時点で“外”に向けてバンドを見せる気持ちがメンバー全員にあった。それを経験したことですごく勉強になったし、逆に「自分たちが一体どういうバンドなのか?」っていう確認もできました。

――そこで学習したことというのは、どういうことだったんでしょう?

山口:外に向けて作るっていうのは、まず目の前に僕らを知らない高校生や大学生の顔が浮かぶわけですよ。無作為にテレビから曲が流れて、サカナクションに興味がない人がそれを聴く。その時にどういう印象を持つかを客観的に考えた。で、今度はそういう人たちに僕らが好きな音楽が届いたときにどういう印象を受けるのかも考えた。つまり、サカナクションっていうバンドには“表”と“裏”があるんです。その二つを内包しているということがわかった感じがしましたね。

■電気代がハンパじゃなかったです(笑)


▲通常盤
――レコーディングは山口くんの自宅でずっとやってたんですよね。大体何ヶ月くらい?

山口:去年の9月からだから、4ヶ月くらいですかね。

――そもそも自宅で作るという発想が始まったのはどういうところから?

山口:タイアップが続いてたんで、スタジオで仕事のようにして音楽を作るっていうことに慣れてきてたんです。でも、それで磨耗してバンドが疲弊するのは嫌だと思ったんですよね。だから、自分たちの本当に好きなものを確認しなきゃいけないと思った。そのためには自宅で時間も気にせずやる方がよくて。いつものスピーカー環境で好きな音楽をすぐに聴けるし。できるならセッションもしたいっていう。

――防音は大丈夫だった?

山口:結構音を出してましたね。あと、電気代がハンパじゃなかったです(笑)。予想外なことも沢山ありましたよ。機材がショートしてブレーカーが落ちたりとか。

――メンバーともずっと顔を合わせて、ご飯とかも一緒に食べたりするわけですよね。5人が生活を共にする感じっていうのは久しぶりだった?

山口:一緒でしたね。久しぶりでしたけど、みんな仲いいから自然でしたね。

――合宿みたいな感じ?

山口:そう。部屋の模様替えもみんなで3回ぐらいやったんですよ。そうすると自分の部屋みたいな感覚になるから、どこに何があるかもわかるし。リラックスしてやれました。

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