【インタビュー】摩天楼オペラ、荘厳なクワイアが織り込まれ、ドラマティックな流れに感涙必至のスペクタクル叙事詩『喝采と激情のグロリア』
栄光を謳った「GLORIA」、そこに到るまでの激情を描いた「Innovational Symphonia」。2012年10月、12月と2枚のシングルをリリースして、“合唱”を核にした一大テーマ“喝采と激情のグロリア”を進めてきた摩天楼オペラが、メジャー2ndアルバム『喝采と激情のグロリア』を発表する。タイトルからも明らかな通り、今テーマの核であり終着地点とも言える本作は、全12曲中8曲に荘厳なクワイアが織り込まれ、ドラマティックな流れに感涙必至の超大作。栄光を掴まんと激情ほとばしらせて葛藤する人間の生き様と、人の一生を超えた大いなる時の流れがそこに描かれ、一つのスペクタクル叙事詩のようにすら映る。これまで摩天楼オペラが培ってきたものすべてを注ぎ込んだ1枚。その制作秘話を、アルバム新曲8曲を中心に語ってもらった。
(ベースの燿はインフルエザのため欠席)
■僕の人生をギュッと凝縮したような作品になりました
■マスタリングまで終えてみて、さらに作品がグッと際立った気がするんです(苑)
――2012年10月に始まったテーマ“喝采と激情のグロリア”の終着地点。となれば、完成してみての達成感もひときわ大きなものだったんじゃありませんか?
苑:もう、僕の人生をギュッと凝縮したような作品になりましたね。しかもマスタリングまで終えてみて、さらに作品がグッと際立った気がするんですよ。輝き方が凄い。
彩雨:メジャーデビューしてから、ずっと同じスタジオの同じエンジニアさんと仕事させていただいているので、作品を重ねるにつれて音でのコミュニケーションが濃密になっているんです。そういう意味でも、今まで積み上げてきた時間が作ったアルバムになったと思います。
Anzi:曲間も整えた完成形で、最初から最後まで聴いて思うのは……やっぱり、このアルバムは“アート”だなと。
――まさに! クワイアを交えたSE「-overture-」での幕開けから、栄光の光が差し込むような情景が見えて、私も胸が熱くなる高揚感を覚えました。
彩雨:“喝采と激情のグロリア”を掲げた期間で3回ツアーがあるので、その全部に共通する登場SEが欲しかったんです。それで作ったのがコレなんですけど、僕の中にある喝采=派手、激情=激しさという側面は、より意識して制作しました。あとは、最重要ワードである“GLORIA”を、やはりサビの歌詞に入れたいなと。
苑:そう彩雨に言われたんでハマるフレーズを探したところ、ちょうど「GLORIA」のサビ1行目がピッタリだったんで、そのまま抜いて入れました。そこで僕が入れた仮歌が、かなりチープだったぶん、本物のクワイア隊が入ったときの衝撃は凄かったです(笑)。
悠:全部の曲が出揃って曲順が決まってみたら、このスケール感がビックリするくらいハマッて! ここまで先読みしていたとは、やっぱり彩雨くんは凄い。
――そこから同じ歌詞を持つ「GLORIA」へと続く流れも、物語として完璧ですよね。
Anzi:その曲間も絶妙で、僕としては完全なるニヤリゾーンですよ。何より彩雨の作るSEのクオリティが年々上がっていて、最終的には映画音楽とか創り出しそうだから、そのときはギターで俺を雇ってほしい(笑)。
彩雨:対照的に、3曲目の「Plastic Lover」はクワイアが入っていないんですよね。実は今回の制作中、自分の作曲/音楽人生を振り返る機会があったので、10年前の自分がやっていたであろう曲を、あえて作ってみたかったんです。だから、別に今回のテーマじゃなくてもいい曲ではあります。
Anzi:そう言われてみると、彩雨が前にやってたバンドの世界観に似てる気がするな。そこに僕がギターを入れることで、彼の淡い思い出の曲が、より骨太な感じになったかなと。
悠:そう。彩雨らしい歌モノロックではありつつ、サビがガツン!と力強くて、ちょっと北欧の香りがしたんですよ。だから僕も骨太にしたいなぁと考えて、サビの前半と後半でビートを変えたりしたし、今までは彩雨の曲の中で「あの日のままの世界線に向かって」(前作シングル「Innovational Symphonia」収録)が一番好きだったけど、今はコレです!
苑:歌詞に関して言うと、彩雨の曲はいつも恋愛だったり、僕の中の女性目線を引き出してくれるので、これも一つの恋愛の形を歌った曲になりました。こんな風に本気のつもりだったのに、結局よくわからなくなってしまうことが、振り返ってみると多々あるなぁ……と。
――同じ彩雨さんの曲でも、続く「悪魔の翼」は今回のコンセプトでなければ出来なかった曲ですよね。
彩雨:クワイアとヴォーカルが掛け合っていたり、クワイアありきで作った楽曲ですからね。あと、挑戦したのがサビ、Cメロ、ギター・ソロと同じコード進行で進めながら、楽器の組み合わせ方次第でいかに緩急をつけられるか? ということ。例えば僕がシーケンスで打ち込み音をピロピロ入れたり、ギターがいきなり細かい刻みをしだしたり、ドラムのパターンが急に変わったり。同じものが繰り返される美しさを活かしながら、アレンジのオン/オフで楽曲を成立させるという、摩天楼オペラでなくてはできない上級なことを、この曲でやってみたかったんです。
悠:ドラムとしては淡々と叩いて、人間味が無い感じを出すことに徹しました。ただ、一部Aメロのキックでエラいことになってる部分があって! 最初はサビも16分で連打だったんですけど、それは人間的に厳しいなと。
Anzi:で、代わりに僕が16分で刻み続けました(笑)。
――壮大かつダイナミックな楽曲で、歌詞を読むにタイトルは戦闘機の翼を表しているんじゃないかと思うのですが。
苑:その通りです。楽曲の壮大感が明るい方向ではなく、救いのない重いほうに感じられたので、零戦での出撃を前にしたパイロットを主人公に書きました。当時、マネージャーに“人生の中でベストな1冊”と勧められて読んでいた「永遠の0」という小説からのインスパイアですね。本当に心動かされる作品だったので。
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