AI、歌だけでなくトークでも1万人を魅了
◆AI 画像
開演は19時。期待にざわめくステージでオープニングアクトのダンサーたちのパフォーマンスが披露され、客電が落ちるとはじけたような大歓声。オープニング・ナンバーは彼女の凛とした生き方を歌ったナンバーとも言えるアルバムのリード・トラック「INDEPENDENT WOMAN」だ。セットのいちばん上に背中を向けて立っているAIに照明が当たり、ダンサーたちに身体を預け、運ばれていくと思いきや、ポールをスルスルと滑り降り、センターに立ち、「みんな元気か?」と叫んで踊る姿に「カッコいい!」という声があちこちから上がる。
ミリタリー調のファッションに身を包み、行進の動きを取り入れたキレのあるダンスとパワフルなヴォーカルに会場は釘付け。続いて手拍子で煽ったのは4つ打ちのビートに血が騒ぐクールなナンバー「DANCE TOGETHER」。選りすぐりのバンドのメンバーとコーラス隊、ダンサーたちとの一糸乱れることのない競演。ヒット曲「E.O.」ではイントロで悲鳴にも近い歓声が上がった。リピーターはもちろんのこと、初めて見る人のテンションもぐいぐいアゲていくステージは圧巻だ。ショーアップされているのにAIがすぐそばにいるような熱量と躍動感は何だろう。
レースをあしらったフェミニンな黒の衣装に着替えて披露された「w/u」は、あなたが私を強くさせてくれると歌うムーディーでグルーヴィーなラブソング。ダンサーたちがポールを使って上り下りできる高さ6mのセットは、神出鬼没なパフォーマンスが可能。AIがダンサーと絡み、しなだれかかる場面で照明がパッと落ち、2人が視界から消えるというドラマティックな演出だ。
再び、下に降りてパーティ・チューン「FUTURISTIC LOVER」ではじけた後は、強者揃いのバンドのメンバーがそれぞれのスキルをソロで爆発させる。
「やばかったね。メンバーもファイナルだから、いろいろやりたいんだろうね。私も楽器やりたいんだけど、できないんだよ(笑)。今日は何としても、みんなを楽しませるから! 帰る頃にはハッピー!って感じるような。このあとはマイケル・ジャクソンとホイットニー・ヒューストンのメドレーです。みんなも知ってる曲があったら歌ってください」
彼女が心から敬愛する今は亡きスーパースターたちのメドレーも、このツアーの見所のひとつだ。「これは知ってるでしょ?」とマイケルの大ヒット曲「Billie Jean」を華麗なダンスと歌で楽しませ、ホイットニーの「I Just Can’t Stop Loving You」をエモーショナルに歌いきる。そこから、アルバムに収録されているマイケル・ジャクソン・トリビュート・ライヴ・テーマソング「Letter In The Sky feat. The Jacksons」に繋げていく展開も素晴らしく、作品ではジャクソンズとコラボしているが、ライヴではコーラスの男性を呼びよせてのスペシャル・デュエット。
インストのインタールードをはさみ、白と淡いブルーのドレスに着替えて、しっとり聴かせるバラードセクションでも、コーラスの女性2人をそれぞれ迎えてコラボレートで聴かせる。バンドのメンバーも実力派揃いだが、負けず劣らずの美声の持ち主ばかりで、AIと織りなすハーモニーの豊かさに溜め息が出る。
おなじみの大ヒット曲「Story」では武道館が一体になり、ポジティヴでハッピーなエナジーが空間を満たしていった。凹んでいるときもアガっているときも、包みこむようにそばにいてくれるAIの懐の深い歌は彼女の人柄そのものだ。どんなタイプのアーティストとも呼吸を合わせてコラボレートしてしまうのも、そのスケールの大きさ、しなやかさゆえなのかもしれない。
そして再び場面は転換して、魅了されたまま後半戦へ。チェックのキュートな服に着替えて歌った「YOU ARE MY STAR」では、リゾートの風を運んできてくれるようなサンバのリズムで楽しませ、「One Love」ではマイクを向けてコール&レスポンス。
「本当に早いね。今日は時間がたつのが早すぎる。次の曲で最後ですからね」と客席を見渡し、「今日は親も見に来てるしね」とお母さんに手を振る場面も。
「みんながマジでハッピーになりますように!」と本編ラストは「ハピネス」で締めくくられ、大合唱が武道館に響きわたった。
アンコールではキャップとスタッズが散りばめられた派手なベストで登場。タオルを振り「Wavin’ Flag」で盛り上げ、「ここからまた何曲か演っていいですか? このファッションもスギちゃんじゃないからね」と笑わせ、「FAKE. feat. Namie Amuro」で始まるメドレーを披露。どんなときも光を放ち、照らしてくれる太陽のようなヴォーカリスト。それがAIだ。
「もうすぐ終わりだよ。早すぎるね」と話しかけ、別れを惜しむ声をあげるお客さんに「じゃあ、もう1回、最初からやります」とジョークを飛ばし、「私がいちばん帰りたくないんだから」と感謝の言葉を述べたAI。かぶりものなどの奇抜なかっこうをしたアリーナのお客さんをいじったり、このツアーを全部、制覇したファンの女のコを見つけ、「ハンパじゃないよね」と前に呼び寄せて話しかけ、感動で号泣する彼女に「お互いファイナルっていうことで」と笑わせたのも印象的。
「日本のライヴはこれで最後だけど、8月24日にL.A.でやるんですよ。旅行ついでに見に来るとか」とお客さんを誘い、これでツアーが終わってしまうことが本当に寂しそう。そのせいか(?)得意のモノマネもリクエストに応えてノリノリで披露し、最後の2曲を歌う前にメンバーとスタッフがステージに集結して、全員で挨拶。
「今の帰りたくない気持ちにピッタリの歌詞です」と、LEXUS New RXとのコラボレーション・ソングでおなじみの“今が終わって欲しくない”と歌うドラマティックでクールなチューン「Beautiful Life」を響かせ、ラストの曲は「I Wanna Know」。約3時間にわたるステージ。あたたかな愛と醒めやらない余韻を心と身体に残し、圧巻としか言いようのない<INDEPENDENT TOUR>は幕を閉じた。
取材・文●山本弘子
写真●岸田哲平
New Album
『INDEPENDENT』
2012年2月22日発売
TOCT-28043 ¥3,000(tax in)
デジタルシングル
「Beautiful Life」
「ハピネス -Reggae Summer Remix by Mighty Crown」
配信中
<AI「INDEPENDENT」TOUR in LA>
8/24 CLUB NOKIA
※ライブとファンミーティングを含むジョイントツアー「AIと遊びに行くロサンゼルスの旅」も実施
詳細はオフィシャル・サイトにて http://www.AImusic.tv/
◆AI「INDEPENDENT」TOUR 2012 WOWOWにてO.A
8/12(日) 9:00PM~
http://www.wowow.co.jp/music/ai
◆ゴスペルディナーショー
2012年末にゴスペルディナーショー開催
詳細はオフィシャルページにて http://www.AImusic.tv/
◆オフィシャル・サイト(事務所)
◆EMIミュージック・ジャパン
◆Official Facebook
◆Official Twitter @micaholic1981
◆Official Blog
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