まさに狂気、そして凶器、12012の“今”を見逃すな
「やっぱ正直、バンドマンって基本的にアホやと思うんですよ」「ある意味、自分は幸せになっちゃいけないというか」
◆12012画像
現在発売中の『MASSIVE vol.5』に掲載されているインタビュー記事のなかで、こんなふうに語っているのは、12012のフロントマンである宮脇渉だ。もちろん去る3月14日にリリースされた彼らの最新アルバム、『12012』にまつわる会話のなかでのことである。
その『12012』に触れた人たちの多くは、きっとある種の戸惑いを隠せなかったことだろう。しかし、そこで提示された“このバンドなりにエクストリームな音楽のカタチ”に絶句させられつつも、彼らがそもそも“狂喜”ではなく“狂気”と“凶器”のバンドであることを認識している人たちは、おそらくその次の瞬間には内心でニンマリとしていたのではないだろうか。この作品に封じ込められた、闇の底でもがくような苦しみ、そしてそこから無理矢理にでも脱出してやろうと発揮される不可解なパワー。それこそが12012を12012たらしめているのだ。さらに誤解を恐れずに言ってしまえば、この作品がいわゆるエクストリームなヘヴィ・ロック作品として本来満たしているべき条件のすべてをクリアしているわけではない事実、残忍さや自虐の美学の裏側にちょっとした“人の好さ”が垣間見られるようなスキの部分すらも。
4月3日、東京・恵比寿リキッドルームで行なわれた彼ら自身の主催によるイベント<狂気乱舞 ~桜花の砌~>を観た。各地が大型台風並みの雨と強風に見舞われたこの日、もちろん東京地方もその例外ではなく、なかには来場を断念せざるを得なかったファンもいたことだろう。が、結果的には、超満員とまで言えば嘘になるが、かなりの盛況ぶりだった。lynch.、9GOATS BLACK OUT、amber grisという出演ラインナップの充実ぶりもその理由のひとつではあるはずだが、多くのファンが彼らの“今”のリアルな姿の目撃者となることを望んでいた事実が最大の要因だったと言っていいだろう。
イベント全体の流れや具体的な演奏内容などはさておき、とにかくこの夜に証明されたのは、『12012』という作品にまったく嘘がないという事実だった。1時間にも満たない演奏時間のなかで、彼らは過去を総括するわけでも、バランス良い配列で変化を伝えようとするわけでもなく、あくまで“今”だけに焦点を絞りながら“このアルバムを熟聴しているファンほど楽しめるライヴ”を披露した。嵐の夜にちなんで「CYCLONE」が演奏されることすらもなかった。そこで僕自身が改めて確信させられたのは、この最新アルバムこそが“本音”であること、4人編成になって各々のドロドロとしたものがよりダイレクトに伝わってくるようになったこと、そして現在の彼らは相変わらず発展途上にあるということだった。最新作における世界観が完璧に構築されていたとは、正直、言えない。が、おそらく彼らが目指しているのはそうした次元でのパーフェクトさではなく、限られた時間のなかですべてを吐き出すことなのだろう。ことに滝のような汗にまみれながら限界ギリギリのシャウトを続ける宮脇の姿には、それを感じずにいられなかった。そう、このライヴを通じて僕が何よりも強く感じたのは“本気”と“覚悟”だったのだ。
念のために補足しておく。さきほど“発展途上”という言い方をしたが、それは今後の見通しが暗いという意味ではない。これが真の理想に向けての第一歩にしか過ぎない、ということである。だからこそ、できることなら時間を隔てずにまた彼らのステージに触れてみたい。ワンマン・ライヴをやることにこだわらず、あちこちのイベントに攻撃を仕掛けていきたいと意気込む彼ら。5月25日には東京・渋谷WWWにて行なわれる<HYENA>と題されたイベントにも登場するという。凶器所持者たちの、今後の動向に注目したい。
なお、手前味噌になるが、冒頭に引用した発言の意味するところについては是非、『MASSIVE vol.5』の誌面でご確認いただきたいところである。
文/撮影 増田勇一
BACK COAT PRESENTS<HYENA>
5月25日(金)渋谷WWW
出演:12012 / Sel'm / Royz / Black Gene For the Next Scene / MEJIBRAY
OPEN 16:30 / START 17:00
TICKET:adv.¥3,800 / day.¥4,500(tax in/drink別)
4/21(土)より一般発売開始
・チケットぴあ
・ローソンチケット
・e+
※全プレイガイド・チケット(整理番号順)同時入場
[問]FLIP SIDE 03-3466-1100
<その他のイベント出演>
4月30日(月・振休)大阪BIG CAT
5月10日(木)新宿LOFT
◆12012オフィシャルサイト
◆12012画像
その『12012』に触れた人たちの多くは、きっとある種の戸惑いを隠せなかったことだろう。しかし、そこで提示された“このバンドなりにエクストリームな音楽のカタチ”に絶句させられつつも、彼らがそもそも“狂喜”ではなく“狂気”と“凶器”のバンドであることを認識している人たちは、おそらくその次の瞬間には内心でニンマリとしていたのではないだろうか。この作品に封じ込められた、闇の底でもがくような苦しみ、そしてそこから無理矢理にでも脱出してやろうと発揮される不可解なパワー。それこそが12012を12012たらしめているのだ。さらに誤解を恐れずに言ってしまえば、この作品がいわゆるエクストリームなヘヴィ・ロック作品として本来満たしているべき条件のすべてをクリアしているわけではない事実、残忍さや自虐の美学の裏側にちょっとした“人の好さ”が垣間見られるようなスキの部分すらも。
4月3日、東京・恵比寿リキッドルームで行なわれた彼ら自身の主催によるイベント<狂気乱舞 ~桜花の砌~>を観た。各地が大型台風並みの雨と強風に見舞われたこの日、もちろん東京地方もその例外ではなく、なかには来場を断念せざるを得なかったファンもいたことだろう。が、結果的には、超満員とまで言えば嘘になるが、かなりの盛況ぶりだった。lynch.、9GOATS BLACK OUT、amber grisという出演ラインナップの充実ぶりもその理由のひとつではあるはずだが、多くのファンが彼らの“今”のリアルな姿の目撃者となることを望んでいた事実が最大の要因だったと言っていいだろう。
イベント全体の流れや具体的な演奏内容などはさておき、とにかくこの夜に証明されたのは、『12012』という作品にまったく嘘がないという事実だった。1時間にも満たない演奏時間のなかで、彼らは過去を総括するわけでも、バランス良い配列で変化を伝えようとするわけでもなく、あくまで“今”だけに焦点を絞りながら“このアルバムを熟聴しているファンほど楽しめるライヴ”を披露した。嵐の夜にちなんで「CYCLONE」が演奏されることすらもなかった。そこで僕自身が改めて確信させられたのは、この最新アルバムこそが“本音”であること、4人編成になって各々のドロドロとしたものがよりダイレクトに伝わってくるようになったこと、そして現在の彼らは相変わらず発展途上にあるということだった。最新作における世界観が完璧に構築されていたとは、正直、言えない。が、おそらく彼らが目指しているのはそうした次元でのパーフェクトさではなく、限られた時間のなかですべてを吐き出すことなのだろう。ことに滝のような汗にまみれながら限界ギリギリのシャウトを続ける宮脇の姿には、それを感じずにいられなかった。そう、このライヴを通じて僕が何よりも強く感じたのは“本気”と“覚悟”だったのだ。
念のために補足しておく。さきほど“発展途上”という言い方をしたが、それは今後の見通しが暗いという意味ではない。これが真の理想に向けての第一歩にしか過ぎない、ということである。だからこそ、できることなら時間を隔てずにまた彼らのステージに触れてみたい。ワンマン・ライヴをやることにこだわらず、あちこちのイベントに攻撃を仕掛けていきたいと意気込む彼ら。5月25日には東京・渋谷WWWにて行なわれる<HYENA>と題されたイベントにも登場するという。凶器所持者たちの、今後の動向に注目したい。
なお、手前味噌になるが、冒頭に引用した発言の意味するところについては是非、『MASSIVE vol.5』の誌面でご確認いただきたいところである。
文/撮影 増田勇一
BACK COAT PRESENTS<HYENA>
5月25日(金)渋谷WWW
出演:12012 / Sel'm / Royz / Black Gene For the Next Scene / MEJIBRAY
OPEN 16:30 / START 17:00
TICKET:adv.¥3,800 / day.¥4,500(tax in/drink別)
4/21(土)より一般発売開始
・チケットぴあ
・ローソンチケット
・e+
※全プレイガイド・チケット(整理番号順)同時入場
[問]FLIP SIDE 03-3466-1100
<その他のイベント出演>
4月30日(月・振休)大阪BIG CAT
5月10日(木)新宿LOFT
◆12012オフィシャルサイト