アドリアーナ・カルカニョット、『サンバの微生物』がブラジル・ディスク大賞

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アドリアーナ・カルカニョットの『サンバの微生物』が、2011年「ブラジル・ディスク大賞」に輝いた。

◆「エウ・ヴィーヴォ・ア・ソヒール」PV映像

ブラジル・ディスク大賞は、J-WAVEの人気番組『NIPPON EXPRESS SAUDE! SAUDADE...』(日曜17:00~17:54)が、世界の音楽情報誌『月刊ラティーナ』と共同主催するブラジリアン・ミュージックの年間アルバム・アワードだ。ブラジル音楽は、サンバ、ボサノヴァ、ロック、ポップス、ジャズ、クラシック、伝統音楽など様々な要素が混ざりあって独自の成長を続けた、世界の中でも注目が高い音楽流派のひとつ。日本にもブラジル音楽のファンは多く、ブラジル・ディスク大賞の発表は注目が集まる年末の恒例行事でもある。

アドリアーナは3年前の2008年にも前作『マレー』で大賞を受賞しているが、今回の『サンバの微生物』も一般投票結果と関係者投票結果共に1位になり、文句なしでの大賞受賞となった。『サンバの微生物』は、ブラジルにとって切っても切れない関係にあるサンバにフォーカスし、最小限の編成と音数で作られた響きを活かした、味わい深い作品だ。アドリアーナが信頼する仲間のミュージシャンやスタッフと、心ゆくまで楽しみながら作り上げた音楽であることが聴きとれる名盤である。


アドリアーナは11月に公演で来日した後に大きく票数を伸ばしていることから、ライブの素晴らしさも大賞受賞の大きな要因のひとつつになったようだ。アドリアーナの歌唱やバンドの演奏が素晴らしかったのは勿論のことだが、拡声器を使ったり紙吹雪を吹かせたり、ギターの楽譜をドライヤーで吹き飛ばしたり、突然ロボットダンスを披露したりと、既存の概念や枠にとらわれず、感性を前衛的に表現したそのアートな世界観は観る者を深く魅了していた。こういった感性が『サンバの微生物』にも音として沁み込んでいるわけで、アルバム作品のみならずライブ・パフォーマンスも2011年No.1と評価する人も少なくない。

ブラジル音楽の深い魅力を象徴するような名盤『サンバの微生物』、2011年の名盤を振り返るのであれば、避けて通れぬ名盤の一枚だ。

写真:Glida Midani

『サンバの微生物』
SICP-3267 2,520円(税込)

◆アドリアーナ・カルカニョット・オフィシャルサイト
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