【俺の楽器・私の愛機】1855「本命じゃなかったけれど…」

2025.06.05 07:52

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【Fullertone JAY-BEE 60】(福井県 宮ノ内 40代)

写真はこのベースを買った初日に撮ったものです。あれから10数年が経ちますが、他のベースに浮気することなく、ずっとこの1本を使い続けています。

実はこのベース、もともと本命ではなかったんです。大学では軽音楽部でバンド活動をしていて、卒業後も趣味で続けながら、「一生ものの1本が欲しい」と思い、時間を見つけては楽器店を巡り、試奏を重ねていました。そしてついに、これを買おうと決めたベースがあったのですが、いざお店に行ってみると、なんとタッチの差で他の人に買われてしまい、途方に暮れていたときにたまたま目にしたのが写真のベースでした。

ジャズベースを買うと決めていたものの、このメーカーはノーマーク。エイジド加工もカラーも正直好みではありませんでした。でも、何気なく試奏してみると、これまで体感したことのない音の大きさとふくよかさに、一気に引き込まれました。アンプを通して弾いてるから良く聞こえるだけかもと思ったので、念のため別のジャズベも数本弾き比べてみましたが、ファーストインプレッションは変わらず。そこからは迷いはなく、気がつけば、近くのATMで現金を下ろして一括払いをしていました。

出番はもっぱら宅録で、細かい設定をしなくても太く輪郭のある音が素直に出るのが気に入っています。それでいて、歪みのギターが入っていても埋もれず、しっかり芯が残るのも嬉しいポイントです。ただ、もともとの音の大きさとピッキングの反応が良さの影響なのか、強く弾くと録り音が割れてしまうので、ピッキングのコントロールには気を配っています。それに加えて、各弦の音量バランスを揃えるために、ピックアップの高さを微調整しています。慣れるまで少し時間がかかりましたが、こうした手間も、愛着が持てるようになった要因のひとつだと思っています。

もしもあのとき本命のベースが買えていたら、このベースに出会わなかったんだなと思うと、本当に不思議な縁だなとしみじみ思います。家庭を持ったいま、弾く時間は減ってしまいましたが、これからも時間を見つけて弾き続けていけたらと思っています。

   ◆   ◆   ◆

いい一本と出会いましたね。そう、これこそまさに縁。不思議なものです。でもフルトーンだからね、そりゃ間違いない。ガッチリとした肉厚なネックをしていませんか?そのあたりが最も重要なポイントな音かなと思っています。いつまでもいい音が楽しめるという信頼感という意味では、本命だったベースでは味わえない満足が手に入っていることでしょう。ずっと浮気をしなかったというのも、その審美眼が間違っていなかった証拠で、もしかしたら本命を購入していたら、その後も散財の世界線を歩んでいたかもしれないですよね。謎の誘いに身を寄せるのも、一度きりの人生を楽しむ冒険の選択かもしれません。これからも変わらぬハッピーベースライフを。(BARKS 烏丸哲也)

★皆さんの楽器を紹介させてください

「俺の楽器・私の愛機」コーナーでは、皆さんご自慢の楽器を募集しています。BARKS楽器人編集部までガンガンお寄せください。編集部のコメントとともにご紹介させていただきますので、以下の要素をお待ちしております。
(1)投稿タイトル
 (例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
 (例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
 (例)トラヴィス・ビーン TB-1000
 (例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
 (例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
 (例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
 ※文章量問いません。エピソード/こだわり/自慢ポイントなど、何でも構いません。パッションあふれる投稿をお待ちしております。
(5)写真
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