ギルガメッシュ、ワールド・ツアー最終日に見た第2ステージ始まりの確信

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最新アルバム『GO』を携え、キャリア初のワールド・ツアーを敢行。その最終国となる日本ツアーのファイナルを飾るZepp Tokyo公演を、6月26日(日)に行なったギルガメッシュ。会場を埋め尽くしたオーディエンスを前に、これまで培ってきたすべてをぶつけ、バンドの未来に大きな期待を抱かせてくれた。その白熱のレポートが到着したのでお届けしよう。

◆ギルガメッシュ 画像

遡れば、6月26日のZepp Tokyoのライヴは、2011年2月5日のギルガメッシュ初のホール・ライヴとなった地元市川市文化会館大ホールから始まったツアーの終着点だった。

2月の時点では、約4ヶ月先のこととあって彼らがどこまでの進化を持ち帰ってくれることになるのか想像もつかなかった。ましてや<凱旋公演“CHIBA”>と名付けられた市川でのライヴは、初のホール・ライヴでもあったことから“結成7年が集約された特別感溢れる単発ライヴ”という印象が強かっただけに、このツアーのセットリストの中心となる曲たちが詰め込まれた1月26日にリリースされたアルバム『GO』の曲を届けるツアー初日という意味合いとはまた違った受けとめ方になったことから、彼らがこの『GO』の曲たちをどのように見せ、『GO』の曲たちでどのようにライヴを創っていこうとしているのかという全貌を教えて貰えぬまま彼らをツアーへと見送った状態となったのだ。

だからこそ。4ヶ月ぶりに見る彼らのライヴがいつも以上に楽しみでならなかった。3月5日からヨーロッパ~アメリカ~そして日本全国をまわり、ファイナルとなる今日。『GO』の曲たちはこのツアーを経てどんな進化を遂げているのだろう?

Zepp Tokyoのフロアを埋め尽くした2450人は、刻々と迫る開演時間とともにその温度を高めていった。彼らはそんなオーディエンスの渇望を弄ぶことなく、じらさず開演時間ピッタリに『GO』の1曲目を飾る「Opening」をバックにステージに現れた。

ここで沸き上がった彼らを迎えたオーディエンスの声を、“大きな歓声”と書くには温度が足りなさ過ぎる。表現する言葉が見つからないほどデカイ歓声がステージに向けられた。

フロア全方位から轟きわたる歓声は確実に4人に火を付けた。この熱さはいったいどこから生まれて来るのだろう? ギルガメッシュというバンドは日本にいながら海外のライヴのような熱さと景色を生み出すことができる数少ないバンドでもあるのだ。この日もそう。そこはギルガメッシュの轟音サウンドを全身に浴びるために集まったロック野郎どもが犇めく最高の場所となっていたのだ。

「destiny」「EXIT」。アルバム曲を挨拶代わりに届けると、“ギルガメ流轟音ダンス・ナンバー”でもある「sunrise」「evolution」で拍車をかける。互いに手応えを感じているのだろう求め合う感情は、さらに欲求を高め前のめりにライヴを盛り上げた。もはやこの時点で、この日のライヴが最高のモノとなることを約束していた。

同期のヴォイスから幕を開ける「Calling」のイントロで、愁(B)が弐(G)を左手で指さしフロアの視線を弐に導くと、弐はとことんヘヴィなギター・リフをぶちかました。自然と頭をまわしてしまったほど、その曲のリズムにすっかり呑み込まれた。愁の個性でもある飾り気のない荒く尖ったベース音と、パワフルかつタイトなЯyo(Dr)のドラミングの中で、しっかりと中心を守りメロを歌う左迅(Vo)。安定感のある左迅のヴォーカルは中盤に届けられた「イノチノキ」「見えない距離」「COLOR」という唄モノロックで最高の景色を見せてくれた。

マニアックなラウドロックを、譲ることなく轟音のヘヴィロックを届けてくれた彼らだが、この日の彼らは少し違った。進化ではない変化を見せてくれたのだ。見た目だけではなく、サウンド面に対してもスタイリッシュで垢抜けた部分が感じられたのだ。この変化は4ヶ月前には予想していなかった展開であり、この変化がこの先どう彼らを変えていくのかとても興味深くなった。

硬派なサウンド面だけでも充分にオーディエンスを楽しませられる彼らだが、この日は曲を唐突に中断し、いきなりそこに愁の初恋トークを挟むという斬新なスタイルのMCを用いたり、弐が曲終わりにいきなりサングラスをかけ、突飛なポージングを挟み込みながらギターを弾きまくってみせたりという、他に類を見ないライヴ・スタイルで楽しませてくれたのだ。そんなライヴの届け方に、まだまだ大きく成長できる余白を持ったバンドであることと、マニアックなファン層だけに止まることなくその魅力を広い範囲で発揮できるバンドになっていくであろうことを、彼らは確信させてくれたのだった。

アンコール・ラストの「再会」では、この先の飛躍を約束し、再びステージに戻り最高のギルガメッシュを届けることを強く誓っていたように感じた。彼らはこの曲を真っ暗な闇の中、天井から各自に真っ直ぐ伸びた透明なスポットライトの下で届けたのだった。途中、唯一の照明だったピンスポットも消され少し長い沈黙がステージに流れると、次の瞬間その闇を破くように無音の中、左迅がマイクレスで唄の続きを贈ったのだった。

「今日はありがとう。これからも正直に、真っ直ぐに音楽と向き合っていくんで、俺たちに付いて来いよ」(左迅)

ギルガメッシュの音が世界を繋いだ手応えを感じたというこのツアーは、確実に彼らを一つ上のステージに立たせた。第2ステージの始まり。国内のみならず海外からも熱い支持を得る彼ら。ギルガメッシュが軸とするラウドロックを崩すことなく、今以上にギルガメッシュの音を世界に広めていってほしい。

ギルガメッシュのここからは自分自身にかかっている。4人のそんな強い決意を感じた夜だった。

文●武市尚子
写真●平沼久奈

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