KUNI、25年間のギタリスト人生を総括アルバム『KUNI ROCK』

ポスト
2010年10月に行なわれた<LOUD PARK10>で、クワイエット・ライオットのフランキー・バネリ(Dr)とチャック・ライト(B)、スローターのマーク・スローター(Vo)を率いて、奇跡の復活を果たしたKUNI。約22年ぶりに立ったステージでは、クワイエット・ライオットやスローターのヒット・チューンも織り交ぜながら、自身の代表曲「Shine On」や「Lookin' For Action」など、合計9曲をプレイ。LAメタルをリアルタイムで体験したオーディエンスはもちろん、若いメタル・ファンも喜ばせた。

◆KUNI画像

そのKUNI、ミステリアスな仮面をかぶっているが、正体は日本人ギタリストである。1983年に単身渡米し、ロサンジェルスでミュージシャンとしての活動を本格的に開始。天性のポジティヴな人柄もあって、現地ミュージシャンとの交流も深め、1986年に『MASQUE』を発表した。そこに参加したのは後にMR.BIGで世界的に活躍するビリー・シーン(B)、すでにヘヴィ・メタル・シーンのビッグネーム入りをしていたクワイエット・ライオットのフランキー・バネリ(Dr)とチャック・ライト(B)、メタル・シーンのニュー・ヒーローとして注目を浴びていたライオンのカル・スワン(Vo)とマーク・エドワーズ(Dr)らだった。

そして1987年には日本で行なわれたフェスティバル<JAPAN AID2>にディオらと出演、さらに2作目『LOOKIN' FOR ACTION』のリリースを挟み、1988年には渋谷公会堂(現C.C.Lemonホール)で単独の凱旋ライヴも成功に収めている。

その数年後には帰国、今度はミュージシャンをサポートするためにA&Rやレーベル・プロデューサーとして手腕を発揮していた。その間に関わったバンドやアーティストは、エアロスミス、ヴァン・ヘイレン、KISS、ボン・ジョヴィ、MR.BIG、B'zなど、挙げたらキリがないほど。ところが数年前にその仕事も辞め、一時は飲食店を経営していた。

だが2010年に入って、15年近く触っていなかったギターと対峙。運指トレーニングから始め、今度は過去に自らが作った楽曲の数々を一からコピーしていったという。そのことからKUNI復活の話は駆け巡り、<LOUD PARK10>の舞台が用意された。

「とにかく嬉しかったですね。自分が前にステージに立った22年前、まだ生まれていなかったような子も、フロアで盛り上がってくれていたんですよ。やって良かったと思えた瞬間でしたね。そのおかげで今はイケイケな状態なんですよ」

そう言うKUNI。その言葉どおり、ライヴを終わらせた数週間後にはレコーディング・スタジオに入っていた。なんと、10年ぶりのニュー・アルバムを制作していたのだ。90年代初頭、まだアメリカ在住中に様々なミュージシャンとセッションしながら作ったデモ音源をもとに、新たにギター・トラックをレコーディング。さらに22年前の単独凱旋ライヴからのテイク。レーベルのプロデューサー時代に日比谷野音で行なったイヴェントから、KUNI自身もギターで参加したジャム・セッション。それらのマテリアルを1枚にしたのが、1月20日日にリリースされる『KUNI ROCK』だ。

録音された時期やスタジオなどが違うこともあって、各曲ごとの音質の差はある。だがKUNIの25年間のギタリスト人生を総括したアルバムであり、今ではほぼ実現不可能なラインナップによる各楽曲は聴きどころ満載だろう。ヴォーカルでSEX MACHINEGUNSのANCHANG、mixxのASUKA、SUPEのKIHIROといった、KUNIと交流ある日本人ミュージシャンが参加したのも話題となっている。

この『KUNI ROCK』のリリースで幕を開けた2011年のKUNI、早くも新たな作品の制作や自身の主宰するロック・フェスなど、様々な野望も広がっているという。

長谷川幸信

「KUNI ROCK」
2011年1月20日発売
YZXL-10020 2,800円
1.TAKE OFF THE MASQUE
マーク・ボールズ(Vo)、チャック・ライト(B)、フランキー・バネリ(Dr)、ジョン・パーデル(cho)
2.FREEDOM
マーク・ボールズ(Vo)、チャック・ライト(B)、フランキー・バネリ(Dr)、ジョン・パーデル(kb,cho)
3.IN THE DARK
マーク・ボールズ(Vo)、チャック・ライト(B)、フランキー・バネリ(Dr)、ジョン・パーデル(kb)
4.SWEET & DANGER
ANCHANG(Vo)、エリック・シンガー(Dr)、デイヴ・スピッツ(B)、Shinji(cho)
5. METAL SISTER
ASUKA(Vo)、エリック・シンガー(Dr)、デイヴ・スピッツ(B)、KIHIRO(Vo)
6.DON'T TURN BACK
マーク・ボールズ(Vo)、チャック・ライト(B)、フランキー・バネリ(Dr)
7.MISS YOU
マーク・ボールズ(Vo)、チャック・ライト(B)、フランキー・バネリ(Dr)、ジョン・パーデル(cho)
8.GUITAR SOLO
9.DESERT SUNSET
マイク・テラーナ(Dr)、ダグ・ベイカー(B)、ジェフ・スコット・ソート(Kb)
10.ROCK 'N ROLL ALL NIGHT
ギルビー・クラーク(Vo,g)、ジョン・コラビ(G,cho)、ビリー・シーン(B,cho)、エリック・シンガー(Dr)

この記事をポスト

この記事の関連情報