【連載】Vinyl Forest vol.6 ── Azari & III「Reckless With Your Love(remixes 2)」
今回自信を持ってオススメしたいのは、ドイツBarearic / Nu Disco系レーベル「Permanent Vacation」の最新作で、現在、人気急上昇中のAzari&III「Reckless With Your Love(remixes 2)」。「Part1」では、remixerにTensnakeを起用し、発売前から注目されていたのだが、この「Part2」も素晴らしい出来映え。House層、Techno層も触手が伸びてしまうのではないだろうか。
「Part2」のRemixは、大ベテランのDJ Sneak、そしてModern Deep / Tech House層に高い人気のManuel Tur、そしてレーベル主宰のPermanent Vacationが担当。どれも個性的な作品に仕上げている。
特にHouse層ならば、A1に収録されているDJ Sneakのremixがオススメだ。ミニマルかつ少々馬鹿っぽいループでグイグイ引っ張るあたりの懐かしさと同時に襲いかかる新しさが、何とも言えない能天気なパーティー感を演出してくれる。
一方、A2のPermanent Vacationは、別の意味で懐かしさを感じる。あたかも87年から91年あたりにタイムスリップしてしまうシーケンスと音色。そしてドラムの打ち込みもイナタさ全開で、「本当に新曲なのか?」と、耳を疑ってしまうのだが、時代はひと回りしたのだろう(笑)。House / Techno / Nu Disco好きなら絶対に反応せざるを得ない構成に仕上がっており、強いて言うなら、90年代初期を代表するレーベル「Nu Groove」作品へのオマージュ、といったところか。
そしてB2のManuel Turのremixは、A1のDJ Sneakとは反対の世界観でダークかつムーディーな曲構成。深い世界へと誘ってくれる。このあたりは好みがわかれると思うのだが、私はこのremixが一番のお気に入り。心の奥底をえぐられる様なDeepな質感とヴォーカルのマッチングが最高で、後半に絡んでくるAcidなシンセとクールなベースラインに思わずグッと拳を握り締めてしまった。
2010年下半期のクラブシーンは、early 90'sの再評価に加え、Acid Houseも見直されている。我々はこれから先、Acid Houseのムーブメントから“Second Summer Of Love(ムーブメント)”の21世紀バージョンを目撃する事になるのだろう。
text by Dee-S
◆drumatrixx mag
──【連載】「Vinyl Forest」とは
筆者の私達は音楽好きなのは言うまでもないのだが、それでも年齢を重ねるにつれ不感症になりつつある。原因はハッキリしていて、テクノロジーの進化によって低価格、高品質な制作環境が容易に手に入る昨今にもかかわらず、楽曲のクオリティが退化の一途を辿っているからだ。低コストで在庫を抱えずに済むからレーベルは多くのリリースができる反面、現場ではとても使えないトラックも非常に多い。
そこで、データ音楽販売が主流となった昨今のダンスミュージック界隈の懐事情を鑑みて、
「私たちは、レーベル側が在庫リスクを背負い、インディながらも頑なにVinylをリリースするという行為そのものが、レーベルが充分な楽曲クオリティを保証しているのではないのか?」
という持論(フィルタリング)で巡り会えた珠玉の刺激物と、今では考えられない予算を投じてリリースされた名盤をご紹介していく。
text by Dee-S&Blue Eclair
「Part2」のRemixは、大ベテランのDJ Sneak、そしてModern Deep / Tech House層に高い人気のManuel Tur、そしてレーベル主宰のPermanent Vacationが担当。どれも個性的な作品に仕上げている。
特にHouse層ならば、A1に収録されているDJ Sneakのremixがオススメだ。ミニマルかつ少々馬鹿っぽいループでグイグイ引っ張るあたりの懐かしさと同時に襲いかかる新しさが、何とも言えない能天気なパーティー感を演出してくれる。
一方、A2のPermanent Vacationは、別の意味で懐かしさを感じる。あたかも87年から91年あたりにタイムスリップしてしまうシーケンスと音色。そしてドラムの打ち込みもイナタさ全開で、「本当に新曲なのか?」と、耳を疑ってしまうのだが、時代はひと回りしたのだろう(笑)。House / Techno / Nu Disco好きなら絶対に反応せざるを得ない構成に仕上がっており、強いて言うなら、90年代初期を代表するレーベル「Nu Groove」作品へのオマージュ、といったところか。
そしてB2のManuel Turのremixは、A1のDJ Sneakとは反対の世界観でダークかつムーディーな曲構成。深い世界へと誘ってくれる。このあたりは好みがわかれると思うのだが、私はこのremixが一番のお気に入り。心の奥底をえぐられる様なDeepな質感とヴォーカルのマッチングが最高で、後半に絡んでくるAcidなシンセとクールなベースラインに思わずグッと拳を握り締めてしまった。
2010年下半期のクラブシーンは、early 90'sの再評価に加え、Acid Houseも見直されている。我々はこれから先、Acid Houseのムーブメントから“Second Summer Of Love(ムーブメント)”の21世紀バージョンを目撃する事になるのだろう。
text by Dee-S
◆drumatrixx mag
──【連載】「Vinyl Forest」とは
筆者の私達は音楽好きなのは言うまでもないのだが、それでも年齢を重ねるにつれ不感症になりつつある。原因はハッキリしていて、テクノロジーの進化によって低価格、高品質な制作環境が容易に手に入る昨今にもかかわらず、楽曲のクオリティが退化の一途を辿っているからだ。低コストで在庫を抱えずに済むからレーベルは多くのリリースができる反面、現場ではとても使えないトラックも非常に多い。
そこで、データ音楽販売が主流となった昨今のダンスミュージック界隈の懐事情を鑑みて、
「私たちは、レーベル側が在庫リスクを背負い、インディながらも頑なにVinylをリリースするという行為そのものが、レーベルが充分な楽曲クオリティを保証しているのではないのか?」
という持論(フィルタリング)で巡り会えた珠玉の刺激物と、今では考えられない予算を投じてリリースされた名盤をご紹介していく。
text by Dee-S&Blue Eclair
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