【連載】Vinyl Forest Vol.14 ── Parada 88「You're Gonna Miss Me」
近年、Nu Disco界隈で常にホットなリリースで、海外ダンスミュージックシーンをはじめ、日本のDisco Diggerからも注目を集めている南米ウルグアイのレーベル「International Feel」が、またしても私、Dee-Sの心を掴んで離さない作品を5月30日にリリースするので早速ご紹介したい。
実はこの作品、コレクター泣かせにもほどがある。画像のレーベルスタンプを見ていただくとおわかりになる通り、なんと世界限定30枚。さらにこの作品はジャケットもシルクスクリーンで印刷されるという徹底したこだわりで、昨今の音楽販売法とはまるっきり逆の考え。利益もへったくれも全く考えていない(笑)。一般リスナーにも流通するようにセカンドプレスも検討頂きたいのだが、International Feelは考えが読めないレーベルので、先のことはまったくわからない。
さて、肝心の中身はというと、ダンスミュージック黎明期にありがちな単調なベースラインに、サンプリングボイス、必要最小限のシンセ、ピアノ音源で構成された楽曲で実にシンプルでストレート。そして雰囲気は90年代初頭のUK RAVEそのまんま。途中のブレイクから少し頭の悪そうなピアノフレーズが絶妙な多幸感を引き出してくれる。もちろんDJ諸君には嬉しいシーケンスの組み立てなので、ロングミックス派のDJは腕の見せどころ。ぜひセットのピークタイム周辺でドロップしてほしい傑作だ。
このところ、Nu Disco界隈では引き続き90's Raveのエッセンスを取り入れた楽曲が多くリリースされており、どの楽曲もクオリティーは高い。ダンスミュージック黎明期に青春を謳歌したリスナーには懐かしさと新しさが同時に襲ってくるので、ぜひこの作品をはじめ色々な作品もチェックして頂きたい。
text by Dee-S
◆【連載】Vinyl Forest チャンネル
◆drumatrixx mag
──【連載】「Vinyl Forest」とは
筆者の私達は音楽好きなのは言うまでもないのだが、それでも年齢を重ねるにつれ不感症になりつつある。原因はハッキリしていて、テクノロジーの進化によって低価格、高品質な制作環境が容易に手に入る昨今にもかかわらず、楽曲のクオリティが退化の一途を辿っているからだ。低コストで在庫を抱えずに済むからレーベルは多くのリリースができる反面、現場ではとても使えないトラックも非常に多い。
そこで、データ音楽販売が主流となった昨今のダンスミュージック界隈の懐事情を鑑みて、
「私たちは、レーベル側が在庫リスクを背負い、インディながらも頑なにVinylをリリースするという行為そのものが、レーベルが充分な楽曲クオリティを保証しているのではないのか?」
という持論(フィルタリング)で巡り会えた珠玉の刺激物と、今では考えられない予算を投じてリリースされた名盤をご紹介していく。
text by Dee-S&Blue Eclair
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