洋楽ファンこそ楽しめる、Buono!のニューシングル「Take It Easy! 」
アイドルロック道をばく進するBuono!が、8月26日にニューシングル「Take It Easy !」をリリースした。
◆Buono!、最新アーティスト画像
“みんなさぁ~、楽にいこうよ!!”と、CDの帯でも記されているように、今回のタイトル曲「Take It Easy !」は、12弦の煌びやかなギターのストロークや、伸びやかなスライドギター、バンジョーらしき刻みよい音色などなど、カントリーロックを匂わせる心地よいアレンジが特徴。前作「MY BOY」、前々作「co・no・mi・chi」に引き続き、作曲はつんく♂が担当。作詞は三浦徳子、アレンジには西川進といった、Buono!ではおなじみのメンツが顔をそろえる。ちなみにこの曲、これまでのシングル同様テレビ東京系アニメ『しゅごキャラ!!どきっ』のエンディングテーマだ。
一方のカップリング曲「キライスキダイキライ」。歌詞カードのクレジットに目をやると、楽器編成はギターとベース、そしてドラムのみということで、バンドサウンドを大いに意識したノリのよい楽曲。大サビ前の間奏でドラムのカウントが入るが、このカウントを入れている声が嗣永桃子の声であることから、ドラムは桃子が叩いていることがわかる…というわけではないが、ひとつ言えるのは、ライヴで聴くのが非常に楽しみな一曲であるということ。
2009年の8月21日にファンクラブ会員を対象に行なわれたBuono!のライヴ<Rock'n Buono!2>で、桃子がドラム、愛理がギター、雅ちゃんがベースで見事な“あて振り”を披露しただけに、3人のロックなパフォーマンスが映える1曲になるのではないかと期待できる(なお、現状では、Buono!にとって楽器は衣装の一部。しかし、いつの日か衣装から晴れて楽器となることにも期待だ)。
ところで、そんなカップリング「キライスキダイキライ」のイントロを聴いた洋楽ファンの中には、思わず声を上げてしまった人もいるのではないだろうか。ややテンポが速めな、どこかで聴いたようなリズミカルなドラムから始まって、歪んだギターとベースの、これまたどこかで聴いたようなキャッチーなリフ。シングルに収録されている同曲のインストを耳にしていると、Aメロで思わず<マイ・シャローナ>と歌いたくなってくるのは気のせいか。いや、そうではないだろう。この曲、明らかに(というよりも、とてもわかりやすく)ザ・ナックのデビュー曲であり1979年を代表する大ヒットナンバーでもある「マイ・シャローナ」のフレーズをアレンジして盛り込んでいる。「マイ・シャローナ」を知っていたリスナーなら、初めてこの曲を聴いたときには椅子から転げ落ちてしまうほどのわかりやすさ。これはアーティストからアーティストへの偉大なるオマージュ。制作陣の遊び心が溢れ出している。
さて、そうなってくると、当然タイトル曲「Take It Easy !」のほうも気になる。これまでのBuono!の曲(少なくともシングル曲)にはないようなカントリー風サウンドで、タイトルが「Take It Easy !」。こう書くと、グレン・フライのヴォーカルが聞こえてくるという人も多いのではないだろうか。というか、「Take It Easy」といえば、何はともあれイーグルスだ。「ホテル・カルフォルニア」などのヒットで知られるイーグルスだが、「Take It Easy」も彼らの重要な代表作である。
Buono!の「Take It Easy !」にはイーグルスの「Take It Easy」の直接的なフレーズを盛り込むといったことは見られないが、楽器編成やカントリー調のサウンド、要所要所に絡んでくるスライド・プレイなど、明らかにそのタイトルを意識しているサウンド・コラージュが確認できる。ギタリスト・西川進の前頭葉を揺さぶるような感情むき出しのギターソロこそ炸裂しているものの、イーグルスを意識して制作されたアレンジ…という以前に、「Take It Easy !」というタイトルを付けたからには、偉大なる名曲を敬い基本路線はカントリー調にならざるを得ないというのが、音の道。そう、これもオマージュなのだ。
しかし思えば、2008年11月リリースの「ロッタラ ロッタラ」ではレッド・ツェッペリン「Whole Lotta Love」を、また、2009年2月にリリースされたアルバム『Buono!2』の最後を飾る「ゴール」という楽曲は、ファンの間でも話題になったが、コールドプレイの「美しき生命(原題:Viva La Vida)」を連想できてしまうなど、Buono!の作品は、オマージュの宝庫だ。あくまで想像だが、これら一連の楽曲は、Buono!の“ロックアイドル”路線を推し進めるにつれて、Buono!制作サイドのロックを愛する気持ちとBuono!を愛する気持ちとが融解をはじめ、「Buono!にツェッペリンを歌わせてみたら…」「Buono!にコールドプレイを歌わせてみたら…」といった空想が具現化していった結果なのではないだろうか。
ただ歌わせるだけなら、これらアーティストの名曲をカヴァーをすればいいだろう。しかし、偉大なロックレジェンドたちの作品をBuono!がいたずらにカヴァーをしたところで、そこにいったい何が生まれるだろう…。ロックを形作る要素は決してビートや音だけではなく、その背景にある生き様やスピリット、ストーリーを含めてのアーティストが放つ主張である。Buono!にはBuono!にしか描けないストーリーがある。一連のBuono!の作品は、そんなレジェンドたちに最大限のリスペクトを掲げ、Buono!として背伸びをしないで彼女たちのサウンドとして表現した、彼女たちの作品なのだ。
楽曲制作陣が組み上げた曲に、それぞれの個性を十分に発揮してオリジナルの表情をつけていく嗣永桃子、夏焼 雅、鈴木愛理の3人の歌声。そうやって完成した「Take It Easy !」をはじめとするBuono!作品は、安易なフレーズの引用などではなく、言うなれば、これまで誰も想像しなかったレベルでの王道ロックとトップ・アイドル(アイドル・ポップ)との融合。いっそのこと、難いことは抜きして、気楽(Take It Easy)に“Buono!ロック”なんて名称で呼んでしまったらいいのではないかという気すらしてくる。
そして、Buono!ファンはもちろんだが、洋楽ロックファンもまた、Buono!ファンとは違った角度からBuono!の曲を楽しめるというのは新しい発見かもしれない。音楽はやっぱり面白いのだ。
◆iTunes Store Buono!(※iTunesが開きます)
◆iTunes Store ザ・ナック「マイ・シャローナ」(※iTunesが開きます)
◆雅ちゃんの、3人でホテルに泊まった時にどきっとした話(Buono!インタビュー)
◆Buono!コメント動画
◆Buono! オフィシャルサイト
◆Buono!、最新アーティスト画像
“みんなさぁ~、楽にいこうよ!!”と、CDの帯でも記されているように、今回のタイトル曲「Take It Easy !」は、12弦の煌びやかなギターのストロークや、伸びやかなスライドギター、バンジョーらしき刻みよい音色などなど、カントリーロックを匂わせる心地よいアレンジが特徴。前作「MY BOY」、前々作「co・no・mi・chi」に引き続き、作曲はつんく♂が担当。作詞は三浦徳子、アレンジには西川進といった、Buono!ではおなじみのメンツが顔をそろえる。ちなみにこの曲、これまでのシングル同様テレビ東京系アニメ『しゅごキャラ!!どきっ』のエンディングテーマだ。
一方のカップリング曲「キライスキダイキライ」。歌詞カードのクレジットに目をやると、楽器編成はギターとベース、そしてドラムのみということで、バンドサウンドを大いに意識したノリのよい楽曲。大サビ前の間奏でドラムのカウントが入るが、このカウントを入れている声が嗣永桃子の声であることから、ドラムは桃子が叩いていることがわかる…というわけではないが、ひとつ言えるのは、ライヴで聴くのが非常に楽しみな一曲であるということ。
2009年の8月21日にファンクラブ会員を対象に行なわれたBuono!のライヴ<Rock'n Buono!2>で、桃子がドラム、愛理がギター、雅ちゃんがベースで見事な“あて振り”を披露しただけに、3人のロックなパフォーマンスが映える1曲になるのではないかと期待できる(なお、現状では、Buono!にとって楽器は衣装の一部。しかし、いつの日か衣装から晴れて楽器となることにも期待だ)。
ところで、そんなカップリング「キライスキダイキライ」のイントロを聴いた洋楽ファンの中には、思わず声を上げてしまった人もいるのではないだろうか。ややテンポが速めな、どこかで聴いたようなリズミカルなドラムから始まって、歪んだギターとベースの、これまたどこかで聴いたようなキャッチーなリフ。シングルに収録されている同曲のインストを耳にしていると、Aメロで思わず<マイ・シャローナ>と歌いたくなってくるのは気のせいか。いや、そうではないだろう。この曲、明らかに(というよりも、とてもわかりやすく)ザ・ナックのデビュー曲であり1979年を代表する大ヒットナンバーでもある「マイ・シャローナ」のフレーズをアレンジして盛り込んでいる。「マイ・シャローナ」を知っていたリスナーなら、初めてこの曲を聴いたときには椅子から転げ落ちてしまうほどのわかりやすさ。これはアーティストからアーティストへの偉大なるオマージュ。制作陣の遊び心が溢れ出している。
さて、そうなってくると、当然タイトル曲「Take It Easy !」のほうも気になる。これまでのBuono!の曲(少なくともシングル曲)にはないようなカントリー風サウンドで、タイトルが「Take It Easy !」。こう書くと、グレン・フライのヴォーカルが聞こえてくるという人も多いのではないだろうか。というか、「Take It Easy」といえば、何はともあれイーグルスだ。「ホテル・カルフォルニア」などのヒットで知られるイーグルスだが、「Take It Easy」も彼らの重要な代表作である。
Buono!の「Take It Easy !」にはイーグルスの「Take It Easy」の直接的なフレーズを盛り込むといったことは見られないが、楽器編成やカントリー調のサウンド、要所要所に絡んでくるスライド・プレイなど、明らかにそのタイトルを意識しているサウンド・コラージュが確認できる。ギタリスト・西川進の前頭葉を揺さぶるような感情むき出しのギターソロこそ炸裂しているものの、イーグルスを意識して制作されたアレンジ…という以前に、「Take It Easy !」というタイトルを付けたからには、偉大なる名曲を敬い基本路線はカントリー調にならざるを得ないというのが、音の道。そう、これもオマージュなのだ。
しかし思えば、2008年11月リリースの「ロッタラ ロッタラ」ではレッド・ツェッペリン「Whole Lotta Love」を、また、2009年2月にリリースされたアルバム『Buono!2』の最後を飾る「ゴール」という楽曲は、ファンの間でも話題になったが、コールドプレイの「美しき生命(原題:Viva La Vida)」を連想できてしまうなど、Buono!の作品は、オマージュの宝庫だ。あくまで想像だが、これら一連の楽曲は、Buono!の“ロックアイドル”路線を推し進めるにつれて、Buono!制作サイドのロックを愛する気持ちとBuono!を愛する気持ちとが融解をはじめ、「Buono!にツェッペリンを歌わせてみたら…」「Buono!にコールドプレイを歌わせてみたら…」といった空想が具現化していった結果なのではないだろうか。
ただ歌わせるだけなら、これらアーティストの名曲をカヴァーをすればいいだろう。しかし、偉大なロックレジェンドたちの作品をBuono!がいたずらにカヴァーをしたところで、そこにいったい何が生まれるだろう…。ロックを形作る要素は決してビートや音だけではなく、その背景にある生き様やスピリット、ストーリーを含めてのアーティストが放つ主張である。Buono!にはBuono!にしか描けないストーリーがある。一連のBuono!の作品は、そんなレジェンドたちに最大限のリスペクトを掲げ、Buono!として背伸びをしないで彼女たちのサウンドとして表現した、彼女たちの作品なのだ。
楽曲制作陣が組み上げた曲に、それぞれの個性を十分に発揮してオリジナルの表情をつけていく嗣永桃子、夏焼 雅、鈴木愛理の3人の歌声。そうやって完成した「Take It Easy !」をはじめとするBuono!作品は、安易なフレーズの引用などではなく、言うなれば、これまで誰も想像しなかったレベルでの王道ロックとトップ・アイドル(アイドル・ポップ)との融合。いっそのこと、難いことは抜きして、気楽(Take It Easy)に“Buono!ロック”なんて名称で呼んでしまったらいいのではないかという気すらしてくる。
そして、Buono!ファンはもちろんだが、洋楽ロックファンもまた、Buono!ファンとは違った角度からBuono!の曲を楽しめるというのは新しい発見かもしれない。音楽はやっぱり面白いのだ。
◆iTunes Store Buono!(※iTunesが開きます)
◆iTunes Store ザ・ナック「マイ・シャローナ」(※iTunesが開きます)
◆雅ちゃんの、3人でホテルに泊まった時にどきっとした話(Buono!インタビュー)
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