蘭、独自の声と人生観、ルックスでJ-POP界に躍り出たデビュー・ミニアルバム『光と影』リリース大特集
独自の声と人生観、そしてルックスで
J-POP界に躍り出た異色の歌姫
インパクトある迫力のヴォーカル歌に秘められた切なる願いJ-POPの粋を集めた楽曲群煌びやかに堂々のデビュー
「ガツン!」と鼓膜にインパクトを残すヴォーカルと、さまざまな音楽性が混在したロック・サウンドを武器に颯爽と登場したのがこの蘭である。元美容師という肩書きも興味深いが、かつての活発なバンド活動などを通じて培ってきたタフな歌声と、自身の人生が如実に反映されたメッセージ性にこそ、彼女の真の魅力がありそうだ。今回は、そんな彼女のパーソナリティーから、音楽性や精神性のルーツに迫るインタビューとなった。
蘭:そうですね。実を言うと、美容師になりたくて美容師になったわけではないんですよ。当時、私の中で「東京に行きたい!」という気持ちが強くなってしまって、地元を出るきっかけを探していたんです。特にウチは父親が厳しかったので、普通に言っても聞いてもらえないだろうと思ったし、時間がかかると思ったんです。だったら、手に職を付けてしまおうと思って。そして選んだのが、美容師の道だったんですよ。
蘭:はい(笑)。私、小さい頃から思い立ったその瞬間に行動してしまうタイプで。小学校の時も、他校だった国立校の制服がすごく魅力的に見えて、どうしてもその学校に通いたくなってしまって。そのまま、1人で校長先生に会いに行って、「転入させてください」とお願いしたことがあって。
蘭:様子がおかしい子だと思われちゃったみたいで、親が呼び出されてしまったのですが(笑)、「この子がそこまで言うなら」と試験を受けさせてくれたんです。いろいろな試験を受けさせてもらったのですが、偶然にも合格できて、途中からその国立校に編入したんです。そんな経験もあったので、まず行動を起こしてから親を納得させようと思ったんですね。そこで選んだのが、当時一番人気のあった美容室のACQUAでした。一流といわれている美容室に入れば、父も認めてくれるだろうと思って。
蘭:やっぱり、歌手になりたかったんです。東京に出てくれば、地元にいるよりも情報が増えるし、チャンスを掴む機会も増えるし、歌手の道に通じる出会いも多いだろうと思って。ただ、はじめからすぐにデビューしようと思っていたわけではなくて、まずはいろいろな人と出会って、経験を積んでいきたいと思ったんですよ。私って、思い立ったら即行動を起こすタイプではあるんですけど、決断するのが早いだけで、事前にジックリとシミュレートはするんです。自分の未来の姿をイメージして、今の自分には何が足りないのか、今できることは何かをしっかり考えて。あとは、直感を大事にしながら行動するようにしています。
蘭:転入したその小学校が音楽にすごく力を入れていたんですね。特に合唱にはすごく力を入れていて、コンクールに出る度に入賞していたんですよ。私も合唱部に入部したんです。でもそこで、「あなただけ声質が他の子と違うから、もっと抑えて歌って」と言われてしまって。それでも熱心に練習に参加して頑張っていたんですが、コンクールの当日にも「蘭ちゃんは歌わずに、ピアノの譜めくりになって」と言われてしまったんですよ。
蘭:はい。昔は歌っていても、音程はすぐに外れちゃうし、リズム感もない子供だったんですよ。でも歌うことは大好きだったから、合唱部でたくさん練習して、鍛えていったんですね。今まで本当に頑張って練習してきたのに、なんで自分だけ歌えないんだろうって、本当に悔しくて悲しくて仕方がなかった。その時の悔しさが、歌手になりたいと思ったきっかけだったと思います。その合唱コンクールのあとで、顧問の先生に「なんで私だけ歌わせてもらえなかったんですか?」と聴いたら、「歌の上手い下手ではなく、君の声質は合唱の中にあっても飛び抜けてしまう。どうしても、合唱として一体感がでない」と言われたんです。最初はすごく傷ついたし、合唱部に入ったことを後悔したり、自分の声質も恨みました。でも、母親にそのことを話したら「それはあなたの個性じゃない?」と言ってくれたんです。「その声質のおかげで、誰でもすぐにあなただと認識してくれるんだから、それはすごいことじゃない」って。その言葉のおかげで、すごく救われましたね。その時、「自分のこの特徴的な声質を使って、音楽をやってみたい」と思ったんです。