X JAPANカウントダウンライヴで、観客をだます?
2008年12月31日、X JAPANが赤坂BLITZでカウントダウン・コンサートを行なった。彼らが年越しライヴを行なうのは、1996年の東京ドーム公演「無謀な夜」以来、実に12年ぶり(1997年の「THE LAST LIVE」は終演後にNHK紅白歌合戦に出場しているので、カウントダウンは行なっていない)。しかも、キャパ1500人というメジャー・デビュー以降初めてのライヴハウス公演である。12月20日の発売以降、ファンの間ですさまじいチケット争奪戦が繰り広げられたのはいうまでもない。
ライヴはほぼ定刻の22時30分、YOSHIKIのピアノでTOSHIが歌う「Endless Rain」で幕を開けた。しかし、BLITZのステージにあらわれたのは本人たちではなく、映像のみ。実は、このライヴは全国13の「TOHOシネマズ」に同時中継されていたのだが、彼らはなんと六本木の映画館会場に突然あらわれ、この曲をプレイした。映像中継と思いきや本人たちがいきなりあらわれて、映画館に集まった観客はさぞかし度肝を抜いたことだろう。そういえば彼らは、1991年12月に武道館で行なわれたフィルム・ギグの全国ツアー最終日、サプライズでステージに登場したことがある。アンコールで映像が流れると思っていた観客が、予想もしなかった本人たちの登場に狂喜乱舞したことは、今でもX JAPAN伝説のひとつとして語り継がれている。予定調和が嫌いな彼らのスピリッツは、時を経ても変わっていないということだろう。
「Endless Rain」の後、ステージのスクリーンには、彼らのライヴ映像が1988年の前橋ラタンから1996年のDAHLIA TOURまで、時間を追って上映される。その間に、メンバーが赤坂BLITZに移動してくるのであろう。
23時20分、ようやく定番のオープニングSE「WORLD ANTHEM」が流れ始めた。いよいよX JAPANの登場だ! このままいつものように、デビュー・アルバムの1曲目「Blue Blood」になだれこむかと思ったが、さにあらず。紗幕の後ろでYOSHIKIがピアノを弾き、TOSHIが静かに歌い始めた。この意表をつく展開に、ファンの間からは「新曲?」というどよめきがあがるが、実はめずらしい「Blue Blood」のピアノ・バージョンだ。幕が落ちるとステージにはメンバーがいて、「Blue Blood」のバンド・バージョンが始まる。上手ギターはSUGIZO、その横には赤い髪のHIDE人形が置いてあり、バックスクリーンにも要所要所でHIDEの映像が映し出される。PATAもHEATHもエネルギッシュに動き、会場はしょっぱなから最高潮のテンションだ。
「てめーら、今日は2008年の締め括りだぜ。思い切り気合を入れていけ!」とTOSHIが叫ぶと、早くも上半身裸のYOSHIKIが客席にドリンクを放り投げる。ノリノリの「Rusty Nail」が終わると、エネルギーが有り余っているかのように、素手でシンバルをたたくYOSHIKI。続く「Orgasm」では、CO2のボンベを持って客席に乱入して、大暴れだ。その間にあいているドラムセットの中に座り、ドラムを叩くTOSHI。SUGIZOがお正月ソング「一月一日」(年の始めの~♪)をつまびくと、「お正月、行くぜ!」とTOSHIが叫び、全員で演奏を始める。バックステージには巨大な時計があらわれるのだが、既に12時1分前。しかし、メンバーは気づかず、演奏は続いている。
そのまま、カウントダウンもなく、時計の針は12時をすぎてしまった。それに気がついたTOSHIが「あ、知らない間に明けちゃったかな」というと、メンバーは演奏をやめて、そそくさと袖に引っこんでしまう。呆気にとられる観客。
すぐさま客席の一部から、「戻せ、戻せ」コールが湧き上がる。実は、彼らはまだXだった頃、目黒鹿鳴館の年越しカウントダウンで演奏に熱中するあまり、何もしないうちに12時を過ぎてしまったという大ポカをしでかしたことがある。その時は時計の針を戻してカウントダウンをやり直したのだが、その逸話を知っているファンが叫んでいるのであろう。
だが、自分の時計を見た観客は、すぐにステージ上の時計が正しくないことに気づく。バックスクリーンの時計は既に12時5分を指しているのだが、実際はまだ11時52分だったのだ。そして、赤い着物を着たYOSHIKIと、黒の羽織を着たTOSHI、PATA、HEATH、SUGIZOが登場。「ひっかかった?」「さっき、みんな、だまされた?」と、笑顔で観客に問いかけるYOSHIKI。「ひっかかったよー」というファンの声に、いたずらっこのように微笑んでいる。TOSHIに「何でYOSHIKIだけ、着物を着てるの?」と突っこまれ、「呉服屋の息子だから」とジョークで返答。そんななごやかな雰囲気の中、「あ、ヤバい、5秒前だ」とTOSHIがいい、今度こそ正真正銘のカウントダウンだ。
あけましておめでとう!
新年一発目は、もちろん「X」。赤坂BLITZが、1500人のXジャンプで大揺れだ。間奏ではメンバー紹介があり、PATA、HEATH、SUGIZOがステージ中央に集まり、ドラムをたたくYOSHIKIとその横に立つTOSHIと、まさにお正月気分満開の豪華な光景。ラストは、HIDEの「飛べ飛べ飛べ!」コールで、全員が大ジャンプだ。
「X」のあとは、汗びっしょりのYOSHIKIがピアノを弾き、巨大なミラーボールが光の雨を会場に降らす「Tears」。観客の大合唱となる「I.V.」では、TOSHIが「HEATHが歌ってないよ!」「YOSHIKIが歌ってないよ!」と、マイクを持って追いかける微笑ましいシーンも見受けられた。
「I.V.」が終わると、YOSHIKIがマイクで「『Blue Blood』で、いきなり首を痛めちゃった。悪いけど、今日、初日ね」という。実はX JAPANは、この日のライヴを初日(?)に、ドーム6日間公演を発表したばかり。2009年は延期になっていた海外公演のスケジュールも発表され、2008年以上にエネルギッシュな活動が予定されている。
最後は、おなじみの大ヒット曲「紅」の大合唱で、この日のライヴを締め括った。全体的にアップテンポの曲をメインにした構成で、曲間も短くて一気に最後まで走りぬけた印象だ。ステージと観客が近いことや、メンバーのラフなトークも多かったので、終始アットホームなムードにあふれていた。こういうプレミアムな雰囲気は、やはりカウントダウン・ライヴならではのものだろう。
そして、2009年。X JAPANの快進撃は、さらにスケールアップして続いていく…。
大島暁美
「Endless Rain」の後、ステージのスクリーンには、彼らのライヴ映像が1988年の前橋ラタンから1996年のDAHLIA TOURまで、時間を追って上映される。その間に、メンバーが赤坂BLITZに移動してくるのであろう。
23時20分、ようやく定番のオープニングSE「WORLD ANTHEM」が流れ始めた。いよいよX JAPANの登場だ! このままいつものように、デビュー・アルバムの1曲目「Blue Blood」になだれこむかと思ったが、さにあらず。紗幕の後ろでYOSHIKIがピアノを弾き、TOSHIが静かに歌い始めた。この意表をつく展開に、ファンの間からは「新曲?」というどよめきがあがるが、実はめずらしい「Blue Blood」のピアノ・バージョンだ。幕が落ちるとステージにはメンバーがいて、「Blue Blood」のバンド・バージョンが始まる。上手ギターはSUGIZO、その横には赤い髪のHIDE人形が置いてあり、バックスクリーンにも要所要所でHIDEの映像が映し出される。PATAもHEATHもエネルギッシュに動き、会場はしょっぱなから最高潮のテンションだ。
そのまま、カウントダウンもなく、時計の針は12時をすぎてしまった。それに気がついたTOSHIが「あ、知らない間に明けちゃったかな」というと、メンバーは演奏をやめて、そそくさと袖に引っこんでしまう。呆気にとられる観客。
すぐさま客席の一部から、「戻せ、戻せ」コールが湧き上がる。実は、彼らはまだXだった頃、目黒鹿鳴館の年越しカウントダウンで演奏に熱中するあまり、何もしないうちに12時を過ぎてしまったという大ポカをしでかしたことがある。その時は時計の針を戻してカウントダウンをやり直したのだが、その逸話を知っているファンが叫んでいるのであろう。
あけましておめでとう!
新年一発目は、もちろん「X」。赤坂BLITZが、1500人のXジャンプで大揺れだ。間奏ではメンバー紹介があり、PATA、HEATH、SUGIZOがステージ中央に集まり、ドラムをたたくYOSHIKIとその横に立つTOSHIと、まさにお正月気分満開の豪華な光景。ラストは、HIDEの「飛べ飛べ飛べ!」コールで、全員が大ジャンプだ。
「X」のあとは、汗びっしょりのYOSHIKIがピアノを弾き、巨大なミラーボールが光の雨を会場に降らす「Tears」。観客の大合唱となる「I.V.」では、TOSHIが「HEATHが歌ってないよ!」「YOSHIKIが歌ってないよ!」と、マイクを持って追いかける微笑ましいシーンも見受けられた。
「I.V.」が終わると、YOSHIKIがマイクで「『Blue Blood』で、いきなり首を痛めちゃった。悪いけど、今日、初日ね」という。実はX JAPANは、この日のライヴを初日(?)に、ドーム6日間公演を発表したばかり。2009年は延期になっていた海外公演のスケジュールも発表され、2008年以上にエネルギッシュな活動が予定されている。
最後は、おなじみの大ヒット曲「紅」の大合唱で、この日のライヴを締め括った。全体的にアップテンポの曲をメインにした構成で、曲間も短くて一気に最後まで走りぬけた印象だ。ステージと観客が近いことや、メンバーのラフなトークも多かったので、終始アットホームなムードにあふれていた。こういうプレミアムな雰囲気は、やはりカウントダウン・ライヴならではのものだろう。
そして、2009年。X JAPANの快進撃は、さらにスケールアップして続いていく…。
大島暁美
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