増田勇一のライヴ日記『6月総集編』
しばらく『ライヴ日記』を更新せずにいたが、もちろんライヴを観ていなかったわけじゃないし、特筆すべきものがないライヴばかり続いたというわけでもない。ちなみに5月にはトータル18本のライヴを観た。それなのに何故、更新を怠ってきたかといえば、雑誌だとか他の場所に書かなければならないものが多々あったからだし、単純に観たライヴが多すぎて執筆作業が追いつかなかったからでもある。実際、5月に観たライヴにはいいものが多かったんだけども。
そして6月には計10本のライヴを観た。その記憶が薄れてしまわないうちに、ここにあれこれ書きとめておくことにする。
●2008年6月1日(日)D'espairsRay@赤坂BLITZ
ショート・ツアーの最終公演。アンコールではメンバー全員が交代でヴォーカルを担当するなど、かつての暗黒モードからは考えられないほどのアソビゴコロも。8月にリリースされるというニュー・シングル「KAMIKAZE」がいち早く披露され、なんだか彼らの代表曲になりそうな予感がした。余談ながら終演後、都内某所での打ち上げに参加したところ、なんと隣のテーブルにちょうど来日中だったエイジアン・ダブ・ファウンデーション御一行様が。東京って面白い街だ。
●2008年6月2日(月)UVERworld@Zepp Tokyo
全国ホール・ツアーの追加公演としてのスタンディング・ライヴ。通常のセット・リストとは異なり、レアな楽曲も披露。以前は“ライヴ慣れしていない観客”の比率の高さゆえに、座席のない会場でのライヴでは何度も中断を重ねなければならなかったりもしたものだが、バンドと一緒にオーディエンスも成長しつつある気がする。渋谷のライヴハウスで、ひとケタの観衆を相手に演奏していた時代を知る者としてはなんだか感慨深い。
●2008年6月3日(火)THE DEY、THE TING TINGS@渋谷AX
レコード会社のコンヴェンション、つまり業界の人たち向けのイベントが開催され、そこで今年の強力新人2組がライヴ・パフォーマンスを披露。正直、どちらも僕にとってストライクな音楽ではないけども、それぞれ興味深いステージではあった。トーク・ゲストとしてビヨンセのお父さんも登場。なんだかとても盛りだくさんだったが、こういう機会にいわゆるヘヴィ・メタルが完全無視に近い扱いをされるのって、昔から変わってないよなあ。
●2008年6月9日(月)The DUST'N'BONEZ@下北沢MOZAIC
筆者にとっていちばん身近なバンドのひとつであるダスボンが、とても身近な会場(自宅より徒歩数分)でライヴをやるというのでのぞきに行った。前回、同じ会場でやったときにはステージとフロアの間に微妙な温度差を感じたのだが、今回はそれも解消され、まるで20代のバンドのライヴみたいな前傾姿勢の躍動感があった。やはりこのバンドの存在は、今や世界的に見ても稀有。10月のアレに出たりしたら面白いんだがなあ。
●2008年6月13日(金)The Underneath@渋谷O-WEST
ついに実現した国内でのファースト・ワンマン・ライヴ。アメリカで先行発売されているアルバム『MOON FLOWER』の国内盤リリースも7月下旬だけに、ある意味、新曲発表会に近い状況ではあった。が、同作にすら収録されていない新曲をも含む演奏内容は、曲を知らなくても引きずり込まれるような説得力に溢れていた。これから、もっともっと観てみたいバンドの出現。こういう瞬間の到来が僕はいちばん嬉しい。
●2008年6月14日(土)CLACK-NASH、DRUNK FUX、THE NINGLERS、他@高円寺MISSIONS
初めて訪れた高円寺のライヴハウスでのロックンロール系イベント。主宰者のCLACK-NASHはライヴ経験も豊富な“爆音+メロディ”系で安心して観ていられる。ワイルドハーツなどが好きな人にはおススメだろう。東北で地震があったその朝に仙台からやって来たTHE NINGLERSも、もはや“仙台のAC/DC”という枠を超えつつある印象だし、好不調の差が激しいDRUNK FUXも、この夜のステージは良かった。
●2008年6月16日(月)GAVIN DeGRAW@六本木SUPER DELUXE
5月にリリースされた第2作『ギャヴィン・デグロウ』のプロモーションのため来日していた彼。この日は一部の幸運なファンと関係者を前にしてのミニ・ライヴ。この人、写真によってかなり顔の印象が違うのだが、実物は最新作のジャケット写真よりもむしろCDケース裏の写真の笑顔に近く、結構ガタイもいい感じ。ライヴの合間のお喋りからは気さくで飾らない人柄がうかがえたし、歌自体も、もっとたっぷりと聴いてみたいと感じさせるものだった。洗練されているんだけども誠実で素朴。そんな印象を初対面の相手に植え付けてしまえるのも彼の才能のひとつだと思う。
●2008年6月21日(土)EARTHSHAKER@渋谷O-EAST
メジャー・デビュー25周年の記念日に行なわれたアニヴァーサリー・ライヴ。きっと3時間は超えるんだろうなと覚悟していたが、終わってみれば3部構成のライヴはトータル約4時間。しかしそんな長さをまるで感じさせない密度濃いライヴだった。GLAYをはじめとする後輩たちからのメッセージ映像も興味深かったし、いわゆる“前説”を務めた二井原実+寺田恵子による軽妙なトークには抱腹絶倒。しかし何よりも、年輪とみずみずしさの両方を感じさせる“歌モノ・ハード・ロック”の説得力が素晴らしかった。また、すぐにでも観たい。30周年まで待ちたくなんかないしね。余談ながら、このライヴの翌日、Y&Tの来日公演を観損ねてしまったことが6月度の最大の悔いのひとつ。
●2008年6月28日(土)ONE EYED TROUSER SNAKE@目黒鹿鳴館
古い友人たちのバンドを久しぶりに観た。TILTのフロントマンだった榊原武とCROWLEYのギタリストだった古久根吉紀を擁するブルージーなロックンロール・バンドである。言ってみれば、職業は異なっていても自分とは“同期”みたいなもので、彼らみたいなバンドがいいライヴをやっているのを目撃すると、僕もまだまだ頑張らなくては、と思わされる。そして実際、この夜もそんなことを感じさせられた。ちなみにこのバンドが始動したのは1996年のことだから、もう12年も前の話。TILTのメジャー・デビュー作、『TILT TRICK』は今からちょうど20年前にリリースされている。当時はこのライヴハウスにも、週に3日くらい通っていたものである。
●2008年6月29日(日)『AMERICAN SYNDROME』@川崎CLUB CITTA
全米ツアーの日々を共に過ごしてきたムック、D’espairsRay、the Underneathの3組が、「せっかく特別な関係になれたんだから、何か一緒にやろう」的な発想で企画した合同ライヴ。各バンド、40分均一のステージを披露した後は、この夜限りのセッション大会。実は筆者も、ミヤとTALのツイン・ギターを擁するユニットに参加。アヴェンジド・セヴンフォールドのカヴァーをTAKAと一緒に歌ってしまった。ちょっと悪ノリが過ぎましたかね。というわけで、6月度のライヴ日記は、自分がステージに立ってしまったところで終了。果たして7月は、何本のライヴを観ることになるのだろう?
増田勇一
そして6月には計10本のライヴを観た。その記憶が薄れてしまわないうちに、ここにあれこれ書きとめておくことにする。
●2008年6月1日(日)D'espairsRay@赤坂BLITZ
ショート・ツアーの最終公演。アンコールではメンバー全員が交代でヴォーカルを担当するなど、かつての暗黒モードからは考えられないほどのアソビゴコロも。8月にリリースされるというニュー・シングル「KAMIKAZE」がいち早く披露され、なんだか彼らの代表曲になりそうな予感がした。余談ながら終演後、都内某所での打ち上げに参加したところ、なんと隣のテーブルにちょうど来日中だったエイジアン・ダブ・ファウンデーション御一行様が。東京って面白い街だ。
●2008年6月2日(月)UVERworld@Zepp Tokyo
全国ホール・ツアーの追加公演としてのスタンディング・ライヴ。通常のセット・リストとは異なり、レアな楽曲も披露。以前は“ライヴ慣れしていない観客”の比率の高さゆえに、座席のない会場でのライヴでは何度も中断を重ねなければならなかったりもしたものだが、バンドと一緒にオーディエンスも成長しつつある気がする。渋谷のライヴハウスで、ひとケタの観衆を相手に演奏していた時代を知る者としてはなんだか感慨深い。
●2008年6月3日(火)THE DEY、THE TING TINGS@渋谷AX
レコード会社のコンヴェンション、つまり業界の人たち向けのイベントが開催され、そこで今年の強力新人2組がライヴ・パフォーマンスを披露。正直、どちらも僕にとってストライクな音楽ではないけども、それぞれ興味深いステージではあった。トーク・ゲストとしてビヨンセのお父さんも登場。なんだかとても盛りだくさんだったが、こういう機会にいわゆるヘヴィ・メタルが完全無視に近い扱いをされるのって、昔から変わってないよなあ。
●2008年6月9日(月)The DUST'N'BONEZ@下北沢MOZAIC
筆者にとっていちばん身近なバンドのひとつであるダスボンが、とても身近な会場(自宅より徒歩数分)でライヴをやるというのでのぞきに行った。前回、同じ会場でやったときにはステージとフロアの間に微妙な温度差を感じたのだが、今回はそれも解消され、まるで20代のバンドのライヴみたいな前傾姿勢の躍動感があった。やはりこのバンドの存在は、今や世界的に見ても稀有。10月のアレに出たりしたら面白いんだがなあ。
●2008年6月13日(金)The Underneath@渋谷O-WEST
ついに実現した国内でのファースト・ワンマン・ライヴ。アメリカで先行発売されているアルバム『MOON FLOWER』の国内盤リリースも7月下旬だけに、ある意味、新曲発表会に近い状況ではあった。が、同作にすら収録されていない新曲をも含む演奏内容は、曲を知らなくても引きずり込まれるような説得力に溢れていた。これから、もっともっと観てみたいバンドの出現。こういう瞬間の到来が僕はいちばん嬉しい。
●2008年6月14日(土)CLACK-NASH、DRUNK FUX、THE NINGLERS、他@高円寺MISSIONS
初めて訪れた高円寺のライヴハウスでのロックンロール系イベント。主宰者のCLACK-NASHはライヴ経験も豊富な“爆音+メロディ”系で安心して観ていられる。ワイルドハーツなどが好きな人にはおススメだろう。東北で地震があったその朝に仙台からやって来たTHE NINGLERSも、もはや“仙台のAC/DC”という枠を超えつつある印象だし、好不調の差が激しいDRUNK FUXも、この夜のステージは良かった。
●2008年6月16日(月)GAVIN DeGRAW@六本木SUPER DELUXE
5月にリリースされた第2作『ギャヴィン・デグロウ』のプロモーションのため来日していた彼。この日は一部の幸運なファンと関係者を前にしてのミニ・ライヴ。この人、写真によってかなり顔の印象が違うのだが、実物は最新作のジャケット写真よりもむしろCDケース裏の写真の笑顔に近く、結構ガタイもいい感じ。ライヴの合間のお喋りからは気さくで飾らない人柄がうかがえたし、歌自体も、もっとたっぷりと聴いてみたいと感じさせるものだった。洗練されているんだけども誠実で素朴。そんな印象を初対面の相手に植え付けてしまえるのも彼の才能のひとつだと思う。
●2008年6月21日(土)EARTHSHAKER@渋谷O-EAST
メジャー・デビュー25周年の記念日に行なわれたアニヴァーサリー・ライヴ。きっと3時間は超えるんだろうなと覚悟していたが、終わってみれば3部構成のライヴはトータル約4時間。しかしそんな長さをまるで感じさせない密度濃いライヴだった。GLAYをはじめとする後輩たちからのメッセージ映像も興味深かったし、いわゆる“前説”を務めた二井原実+寺田恵子による軽妙なトークには抱腹絶倒。しかし何よりも、年輪とみずみずしさの両方を感じさせる“歌モノ・ハード・ロック”の説得力が素晴らしかった。また、すぐにでも観たい。30周年まで待ちたくなんかないしね。余談ながら、このライヴの翌日、Y&Tの来日公演を観損ねてしまったことが6月度の最大の悔いのひとつ。
●2008年6月28日(土)ONE EYED TROUSER SNAKE@目黒鹿鳴館
古い友人たちのバンドを久しぶりに観た。TILTのフロントマンだった榊原武とCROWLEYのギタリストだった古久根吉紀を擁するブルージーなロックンロール・バンドである。言ってみれば、職業は異なっていても自分とは“同期”みたいなもので、彼らみたいなバンドがいいライヴをやっているのを目撃すると、僕もまだまだ頑張らなくては、と思わされる。そして実際、この夜もそんなことを感じさせられた。ちなみにこのバンドが始動したのは1996年のことだから、もう12年も前の話。TILTのメジャー・デビュー作、『TILT TRICK』は今からちょうど20年前にリリースされている。当時はこのライヴハウスにも、週に3日くらい通っていたものである。
●2008年6月29日(日)『AMERICAN SYNDROME』@川崎CLUB CITTA
全米ツアーの日々を共に過ごしてきたムック、D’espairsRay、the Underneathの3組が、「せっかく特別な関係になれたんだから、何か一緒にやろう」的な発想で企画した合同ライヴ。各バンド、40分均一のステージを披露した後は、この夜限りのセッション大会。実は筆者も、ミヤとTALのツイン・ギターを擁するユニットに参加。アヴェンジド・セヴンフォールドのカヴァーをTAKAと一緒に歌ってしまった。ちょっと悪ノリが過ぎましたかね。というわけで、6月度のライヴ日記は、自分がステージに立ってしまったところで終了。果たして7月は、何本のライヴを観ることになるのだろう?
増田勇一
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