エイジア、ファン総立ちで大盛り上がりの来日公演
何度となくメンバーチェンジを繰り返してきたASIAが、オリジナルメンバーのラインナップに戻って久々の来日を果たしたのは結成25周年となる2007年のこと。そして2008年も、ジョン・ウェットン、スティーヴ・ハウ、ジェフリー・ダウンズ、カール・パーマーという黄金のオリジナルメンバーでの来日公演が実現した。
東京公演の初日は5月12日、東京国際フォーラムで行なわれた。広い会場を埋めたオーディエンスの多くは30代以上、ASIAの鮮烈なデビューをリアルタイムに経験した世代だろう。しかしこのオーディエンスたちは予想以上に熱かった。ASIAのメンバーの登場ととにも1階席のほとんどが立ち上がり、驚くほどの大歓声でメンバーを迎え入れた。
登場したメンバーの顔を見て、さすがにみんな歳をとったなあと思った人も多かっただろう。しかし「Day Light」、「Only Time Will Tell」と初期の曲から演奏がスタートすると、そんなことは吹き飛んだに違いない。この音、そしてこのノリ、全盛期のASIAとまったく変わっていないのだ。カール・パーマーの小気味よく切れ味があり、シンプルだが小技満載のドラムも昔のまま(もちろん前のめりに突っ込んでいくスリリングなところも)。ジョン・ウェットンの白いベースからはやはりゴリゴリに硬く歪んだ低音が放たれたし、客席の床を震わせるようなペダルベースの重低音もみんなの期待通りだっただろう。山のように積まれたジェフリー・ダウンズのキーボードはデビューアルバムそのままのシンセサウンドを奏でたし、スティーヴ・ハウのユニークなサウンド、繊細なタッチもまったく変わっていない。また、このメンバーが復帰してから1年が経過したことで、バンドとしてのノリも強化されているようで、昨年よりはるかにまとまった演奏になっていた。
選曲も、ファンの期待を裏切らなかった。直前に発売された新譜から演奏されたのはわずかに2曲で、このメンバーで作った初期のアルバムの曲が中心。そしてメンバーそれぞれがASIA以前に在籍していたグループの名曲も客席を沸かせた。Yesの「Roundabout」はジョン・ウェットンが陰りのある甘い声で歌い、印象的なハーモニーもばっちり再現。ELPの「庶民のファンファーレ」ではギターを交えた全員のソロの応酬を聴かせ、「クリムゾン・キングの宮殿」では真っ赤に染まった照明の中、本家キング・クリムゾンのような荘厳な音の世界が会場全体に広がった。そしてバグルスの「ラジオスターの悲劇」のあの印象的な声は、エフェクトではなくメガホン型のハンドマイクを使って再現された。
メンバーそれぞれのソロタイムももちろん用意されていた。スティーヴ・ハウはアコースティックギターでYes時代からおなじみの「Clap」、ジョン・ウェットンはアコースティックギターを抱えて「Voice of America」を弾き語り、ジェフリー・ダウンズは「Bolero from Cutting It Fine」で豊かな音色を響かせ、カール・パーマーは2つのゴングやエフェクトシンバルを駆使したドラムソロを披露し、コミカルなスティックさばきで大いに楽しませてくれた。
客席も大合唱した「Heat Of The Moment」で本編を締め、アンコールでは明るくノリのいい「Don't Cry」、重厚な「Sole Survivor」を演奏。最後まで客席みんなが望んでいた初期の名曲で楽しませてくれた2時間強。ASIAの持つ楽曲のよさ、そして百戦錬磨のメンバーの衰えぬ力量を改めて見せつけられたライヴだった。
ちなみに、翌日の5月13日に渋谷C.C.Lemonホールで行われたコンサートは、それぞれの元バンドの代表曲+ASIAの1stアルバム『Asia(詠時感~時へのロマン)』完全再現とアナウンスされていた。でも、それぞれの元バンドの代表曲はほぼ同じ。違ったのは、スティーヴ・ハウのアコースティックギター・パートだ。東京国際フォーラムでは「The Clap」だったが、C.C.Lemonホールでは「Mood for a Day」が演奏された。後半の『Asia(詠時感~時へのロマン)』完全再現は聴き応えあったが、演奏曲目とパフォーマンスでもそれほどの大差は無く、どちらか片方を観た人でも十分満足いくコンサートだっただろう。
●もっと写真を見るならコチラから
https://www.barks.jp/feature/?id=1000040207
<2008.5.12@東京国際フォーラム ホールA>
1.Daylight
2.Only Time Will Tell
3.Wildest Dreams
4.Never Again
5.Roundabout
6.Time Again
7.Bolero from Cutting It Fine(キーボードソロ)
8.スティーヴ・ハウ ソロ
9.Voice Of America
10.The Smile Has Left Your Eyes
11.Ride Easy
12.Open Your Eyes
13.Fanfare For The Common Man
14.Without You
15.An Extraordinary Life
16.In The Court Of The Crimson King
17.Video Killed The Radio Star
18.The Heat Goes On(ドラムソロ)
19.Heat Of The Moment
<アンコール>
E1.Don't Cry
E2.Sole Survivor
写真撮影:YUKI KUROYANAGI
東京公演の初日は5月12日、東京国際フォーラムで行なわれた。広い会場を埋めたオーディエンスの多くは30代以上、ASIAの鮮烈なデビューをリアルタイムに経験した世代だろう。しかしこのオーディエンスたちは予想以上に熱かった。ASIAのメンバーの登場ととにも1階席のほとんどが立ち上がり、驚くほどの大歓声でメンバーを迎え入れた。
登場したメンバーの顔を見て、さすがにみんな歳をとったなあと思った人も多かっただろう。しかし「Day Light」、「Only Time Will Tell」と初期の曲から演奏がスタートすると、そんなことは吹き飛んだに違いない。この音、そしてこのノリ、全盛期のASIAとまったく変わっていないのだ。カール・パーマーの小気味よく切れ味があり、シンプルだが小技満載のドラムも昔のまま(もちろん前のめりに突っ込んでいくスリリングなところも)。ジョン・ウェットンの白いベースからはやはりゴリゴリに硬く歪んだ低音が放たれたし、客席の床を震わせるようなペダルベースの重低音もみんなの期待通りだっただろう。山のように積まれたジェフリー・ダウンズのキーボードはデビューアルバムそのままのシンセサウンドを奏でたし、スティーヴ・ハウのユニークなサウンド、繊細なタッチもまったく変わっていない。また、このメンバーが復帰してから1年が経過したことで、バンドとしてのノリも強化されているようで、昨年よりはるかにまとまった演奏になっていた。
選曲も、ファンの期待を裏切らなかった。直前に発売された新譜から演奏されたのはわずかに2曲で、このメンバーで作った初期のアルバムの曲が中心。そしてメンバーそれぞれがASIA以前に在籍していたグループの名曲も客席を沸かせた。Yesの「Roundabout」はジョン・ウェットンが陰りのある甘い声で歌い、印象的なハーモニーもばっちり再現。ELPの「庶民のファンファーレ」ではギターを交えた全員のソロの応酬を聴かせ、「クリムゾン・キングの宮殿」では真っ赤に染まった照明の中、本家キング・クリムゾンのような荘厳な音の世界が会場全体に広がった。そしてバグルスの「ラジオスターの悲劇」のあの印象的な声は、エフェクトではなくメガホン型のハンドマイクを使って再現された。
メンバーそれぞれのソロタイムももちろん用意されていた。スティーヴ・ハウはアコースティックギターでYes時代からおなじみの「Clap」、ジョン・ウェットンはアコースティックギターを抱えて「Voice of America」を弾き語り、ジェフリー・ダウンズは「Bolero from Cutting It Fine」で豊かな音色を響かせ、カール・パーマーは2つのゴングやエフェクトシンバルを駆使したドラムソロを披露し、コミカルなスティックさばきで大いに楽しませてくれた。
客席も大合唱した「Heat Of The Moment」で本編を締め、アンコールでは明るくノリのいい「Don't Cry」、重厚な「Sole Survivor」を演奏。最後まで客席みんなが望んでいた初期の名曲で楽しませてくれた2時間強。ASIAの持つ楽曲のよさ、そして百戦錬磨のメンバーの衰えぬ力量を改めて見せつけられたライヴだった。
ちなみに、翌日の5月13日に渋谷C.C.Lemonホールで行われたコンサートは、それぞれの元バンドの代表曲+ASIAの1stアルバム『Asia(詠時感~時へのロマン)』完全再現とアナウンスされていた。でも、それぞれの元バンドの代表曲はほぼ同じ。違ったのは、スティーヴ・ハウのアコースティックギター・パートだ。東京国際フォーラムでは「The Clap」だったが、C.C.Lemonホールでは「Mood for a Day」が演奏された。後半の『Asia(詠時感~時へのロマン)』完全再現は聴き応えあったが、演奏曲目とパフォーマンスでもそれほどの大差は無く、どちらか片方を観た人でも十分満足いくコンサートだっただろう。
●もっと写真を見るならコチラから
https://www.barks.jp/feature/?id=1000040207
<2008.5.12@東京国際フォーラム ホールA>
1.Daylight
2.Only Time Will Tell
3.Wildest Dreams
4.Never Again
5.Roundabout
6.Time Again
7.Bolero from Cutting It Fine(キーボードソロ)
8.スティーヴ・ハウ ソロ
9.Voice Of America
10.The Smile Has Left Your Eyes
11.Ride Easy
12.Open Your Eyes
13.Fanfare For The Common Man
14.Without You
15.An Extraordinary Life
16.In The Court Of The Crimson King
17.Video Killed The Radio Star
18.The Heat Goes On(ドラムソロ)
19.Heat Of The Moment
<アンコール>
E1.Don't Cry
E2.Sole Survivor
写真撮影:YUKI KUROYANAGI
この記事の関連情報
【ライブレポート】イエス、55年の歴史を凝縮した究極のセット・リスト
エイドリアン・ブリューのキング・クリムゾン・プロジェクト、好評につきツアーを拡大
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話016「今じゃダメなんだ。あの時じゃなきゃダメなんだ」
イエス、鉄壁のセットリストを携えて2年ぶりの来日公演決定
故ジョン・ウェットンの妻、エイジアの新ラインナップでのツアー開催批判に声明
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話006「ロバート・フリップという人」
ロバート・フリップ、エイドリアン・ブリューのキング・クリムゾン関連プロジェクトを支援
トッド・ラングレン、イアン・ペイスら、キング・クリムゾンのカバー・アルバムに参加
イエス、1971年に発表した『サード・アルバム』豪華ボックスセット発売