The Viewの稀少なアコースティック・パフォーマンス

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The Viewが3月26日、ザ・フーのロジャー・ダルトリーが主催するチャリティ・イベント<Teenage Cancer Trust>へ出演、彼らには珍しいアコースティック・パフォーマンスを行なった。

この夜の彼らは、ロイヤル・アルバート・ホールという会場に敬意を表してか、それともただの気まぐれか、なんとスーツを着用して登場。さらに、最初から最後まで椅子に座ったままパフォーマンスするなど、普段の暴れん坊ギグとは違った姿を見せてくれた。

メンバーが登場したときには立ち上がって歓迎したオーディエンスも、その後すぐにお行儀よく着席。会場の豪勢な内装ともども、こんな格式ばった雰囲気の中でプレイするのは初めてだと思うが、4人とも表立っては緊張した素振りも見せなければ、気負いも感じさせず「Dance Into The Night」でショウをスタートした。

アコースティック・ギグ、しかも座ったままのパフォーマンスとなると、オーディエンスが勝手に盛り上がってくれることは期待できず、曲と演奏力での勝負となる。年齢的にも若く、デビューしたての彼らとっては荷が重過ぎるのではないかとも心配したが、取り越し苦労だった。1曲目から、彼らのトラックはアコースティックで演奏されても、スピード感やエネルギーを失うわけではないことを証明してくれた。

もともとアコースティックの要素が随所にちりばめられている彼らサウンドだが、今回は普段のギグ以上にそれが活かされた。料理でいうならば、シェフの腕もいいけど、もとの素材もしっかりしているといった感じだろうか。とくに「Same Jeans」や「Wasted Little DJ's」のアコースティック・ヴァージョンは絶品。また「Claudia」「Up The Junction」、新曲「Fireworks & Flowers」ではサクスフォーンを入れるなど、これまでのギグでは見られなかった新しいパフォーマンス・スタイルにも挑戦している。

立ち上がると後ろからたしなめられるような場所だったため、オーディエンスは概して大人しいリアクションを見せていたが、普段とはひと味もふた味も違うパフォーマンスに大満足していたはず。彼らのギグではお決まりのチャント「The View! The View! The View are on Fire!」も飛び出したし、最後には総立ちの拍手喝さいでメンバーを見送った。

デビュー間もなくこのような大規模なアコースティック・ライヴを経験できたのは、ファンだけでなくバンドにとってもラッキーな出来事だったと思う。すでに備わっている実力を証明しただけでなく、この先の可能性をも感じさせてくれた。


この夜のセットリストは以下の通り。

「Dance Into The Night」
「Cherry Girl」
「Claudia」
「Fireworks & Flowers」
「Same Jeans」
「Face For The Radio」
「Superstar Tradesman」
「Up The Junction」
「Wasted Little DJ'S」

新曲「Fireworks & Flowers」は、キーラン(B)がガールフレンドの誕生日にプレゼントを買うお金がなく、代わりに作って贈ったといわれているトラック。4月23日にリリースされるニュー・シングル「The Don」のビニール盤のB面に、この夜のライヴ・ヴァージョンが収録される。

Ako Suzuki, London
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