◆アルバム・タイトル『King』に込められた想い
──今回のアルバム『King』は、ある意味、非常にあなたらしいタイトルですね。
T.I.:この“King”っていうのは、オレにとってとても意味のある単語なんだ。T.I.と聞くと、「ああ、あの自分のことを“キング・オブ・ザ・サウス”と呼んでるヤツだろう?」って話題になるだろ? それに賛成だろうが反対だろうが、好きでも嫌いでもさ。自分のラッパーとしてのキャリアすべてがこの言葉、“King”に捧げられてるんだ。それに、良かれ悪かれ、この単語をタイトルにすることで人々の注意を引くことになる。
──前2作は、ともにプラチナ・セールスを記録しています。そのことに対するプレッシャーはありませんでしたか?
T.I.:プラチナム・セールスに対するプレッシャー(前2作は共にプラチナ・セールス)はないよ。けど、今回のアルバムのタイトルが“King”だから、その点のプレッシャーはあるね。最低でもサウスでは今年一番のアルバムにしないと、タイトルを変えなきゃならないかもな(笑)。でもすべてポジティヴなプレッシャーだから、楽しんでるよ。
──今回のアルバムでは、UGKの「Front and Back, Side to Side」をリメイクしていて、さらに刑務所から出てきたばかりのピンプ・Cまでフィーチャーされていて驚きました!
T.I.:オレはUGKの大ファンなんだ。だから彼らとこの曲をやろうと思った。ビデオもヒューストンの第3区っていう、すごいゲットー地域で撮ったんだけど、もちろんUGKの二人、バン・Bとピンプ・Cの他にもスリム・サグとかBGとか、近所の住民もたくさん押しかけて来てくれて。すごく楽しかったよ。
◆ハリウッドとゲットーの架け橋
──あなたはアトランタを代表するアーティストとして、アトランタのコミュニティーやヒップホップ・シーンに対する貢献をどのように考えているんですか?
T.I.:オレは自分がフッド、つまりゲットーとハリウッドの架け橋になれたらと思ってるんだ。アトランタで言うならバンクヘッド(T.I.の出身地)とバックヘッド(アトランタの高級住宅街)のブリッジだね(笑)。バンクヘッドで仲間たちとつるんでても、バックヘッドの白人たちとだって対等に会話ができる。ハリウッドのムービー・スターたちとハングアウトするけど、ニューヨークのハーレムでジム・ジョーンズと戯れたりさ。オレと知り合うことによって、他の地域の人たちにもサウスの人間を受け入れるようになって欲しいんだ。オレが他の地域の人をオープン・マインドで受け入れるのと同じにね。ニューヨークにいてもシカゴにいても、アイダホにいてもウィスコンシンにいても、ウェストサイドでも、アトランタ出身のT.I.がクールなヤツだったから、他のアトランタのヤツもクールに違いないって、思ってもらえたらいいと思ってるよ。それが自分のアトランタへの貢献だと思ってる。
──そういえば、あなたはバンクヘッドにクラブをオープンしましたね。
T.I.:バンクヘッドにクラブを作ったのは、もちろん地元だから。パーティーをできるいい場所がバンクヘッドにはなかったんだ。どこもゲットーでさ、セクシーじゃないんだ。だからダウンタウンまで行かずに、もっと安く手軽に誰もが楽しめる場所を提供したかったんだよ。
──あなたは“キング・オブ・ザ・サウス”とか“ジェイ・Z・オブ・ザ・サウス”などと呼ばれていますが、人々がいつ頃からあなたをそのように呼ぶようになったか覚えてますか?
T.I.:『Urban Legend』を出した頃くらいからかな、みんながそうやって呼ぶようになったのは。“ジェイ・Z・オブ・ザ・サウス”って呼び名に関しては、まあ悪い気はしないね。ジェイ・Zがどう思ってるか訊いといてくれよ(笑)!
|NEXT>
|