いい音爆音アワー vol.91 「70年代 vs 現代♪ 爆音聴き比べ」

いい音爆音アワー vol.91 「70年代 vs 現代♪ 爆音聴き比べ」
2018年6月13日(水)@風知空知
70年代は今から40年前。その半分、ちょうど20年前の1998年が、日本の音楽ソフト生産高がピークに達した年でした。金額にして約6000億円。で40年前の1978年は2500億円で、昨年(2017年)は2900億円。ちょうど山型に、上がって下がって今になるのですが、78年のほうが今より生産高が小さいなんてホントかなって思ってしまいます。だって70年代のほうが断然、音楽業界に活気がありましたから。現代は必要以上に萎縮し、元気がないように思います。
だけどその間、”録音機材”はずっと進化を続けてきました。それに伴って”録音技術”も成長しているでしょう。逆に、ミュージシャンの”演奏力”というものは、何でも人力でやらなきゃならなかった70年代に比べて、やや低下しているんじゃないでしょうか?
そして音楽の”発想力”。元気がない今は、とにかく”すぐ売れるもの”に流れがち。面白いことをやろうという気概は薄れ、発想力はかなり落ちているかもしれません。
音の良さという面では、今は40年前よりずっといいものが作れるのです。演奏力はともかく、発想力を発揮すればまだまだ面白い、すばらしい音楽は創れるはずです。
70年代と2010年代の名曲・名盤を聴き比べながら、ポップ・ミュージックの次の20年、40年を考えてみましょう。
福岡智彦 (いい音研究所)
セットリスト
▶70年代の作品と2010年代の作品、交互に紹介していきます。
10cc「I’m Not in Love」
はっきり言えます。70年代録音芸術の奇跡です。
- ∨
第2弾シングル(1975年5月23日発売)
3rd アルバム『The Original Soundtrack』(1975年3月11日発売)収録
作詞・作曲:Eric Stewart, Graham Gouldman/プロデュース:10cc
レーベル:Mercury
全英1位、全米2位 アルバムは全英4位、全米15位
録音・Mix:Eric Stewart @ Strawberry Studios (Stockport, Cheshire, England)
・主にエリック・ステュアートが作った。結婚して8年の奥さんから「あなたは”私を愛している”と充分に言ってこなかった」と抗議され、その反論で書いたという。
・当初はもっとテンポが速くボサノバ風でデモを作っていたが、Kevin GodleyとLol Cremeから却下された。しかしスタジオのスタッフがこの曲を口ずさんでいるのに気づき、再プッシュしたところ、ゴドレイが「誰もやったことのないようなサウンドにするならいいよ。例えば楽器は一切使わずに声だけでやるのはどうだい?」と提案した。
・”サンプラー”というものがなかった時代なので、”テープ・ループ”でエンドレスのコーラスを作った。このコーラス録音の作業だけで3週間を費やしたという。
テン・シー・シー:
ともに英国マンチェスター出身の、Eric Stewart、Graham Gouldman、Kevin Godley、Lol Cremeの4人は、それぞれにStrawberry Studiosで仕事をするようになり、やがていっしょにバンドとして活動を始める。
1973年7月、1st アルバム『10CC』リリース。
1974年5月、2nd アルバム『Sheet Music』リリース。
1975年3月、3rd アルバム『The Original Soundtrack』リリース。大ヒットし、全米ツアーも成功をおさめ、バンド絶頂期を迎える。
1976年1月、4th アルバム『How Dare You!(びっくり電話)』リリース。
ケヴィンとロルが脱退。彼らは”Godley & Creme”として活動を始める他、1980年代はプロモーション・ビデオの監督業で大成功することになる。
1977年4月、5th アルバム『Deceptive Bends(愛ゆえに)』リリース。
1983年9月、10thアルバム『Windows in the Jungle(都市探検)』リリース。活動を停止する。
1992年5月、再結成アルバム『…Meanwhile』リリース。ケヴィンとロルはゲスト参加。
次回の爆音アワーは・・・