――常にチャートのトップ10に入ってるし、十分ヒットじゃないですか。
Ohyama:冗談ですからね、もちろん(笑)。こないだ会社のスタッフと話をしていて、俺らは今「世界」というところへ出て行くわけだから、ある意味ラクだと。50ヶ国で20万枚ずつ売れば1千万枚になるじゃないかと(笑)。で、「ちょっと待って、中国は人口が多いから40万枚ぐらい行っとこうよ」とか(笑)。まぁそれは冗談にしても、そういうレベルに持っていけるアルバムだと思うんですね。たぶん日本で何百万枚も売った人でも、世界に行ったらそんなに売れないわけでしょう? でもPE’Zには、今のところ受け入れられる可能性がある。これからもっと、ワクワクする活動ができるんじゃないかと思って、いっぱいいろんなことをやってるところです。
――「世界」といえば、今年はオランダに本社を置く世界的レーベル、ロードランナーに移籍して、先日はイギリスとオランダでもライヴをやりました。どうでした?
ヒイズミ:行く前は、「イギリスでライヴができるの!?」みたいな感じだったんだけど、実際やって、今帰ってきてみると、すごいとは別に思わなくて、「こんな感じか」という、普通の感覚で。
Ohyama:「もっと充実感がほしい」と思っちゃうよね。行っただけで満足する人もいるだろうけど、俺らは違う。行けば行くほど、欲も深まる。
――オランダでは、ストリートでやったんですよね。
Ohyama:昔、渋谷でストリート・ライヴをやった時のことを思い出しましたね。もちろん、誰も俺たちのことを知らない。でもずっと足を止めて見てくれたし、懐かしい快感がよみがえりました。あの頃のままだった。
――それと12月7日にはもう一つアイテムが出ます。9月に行った初のNHKホールでのライヴ『節~FUSHI~』のライヴ盤。
ヒイズミ:あの日は、全体的にはすごく良かった。個人的には、ちょっと興奮しすぎて、技術的に強引なところはあったかなと思いますけど。それを踏まえた上で、良かったと私は言いたい(笑)。
Ohyama:ヘンな感じでしたよ、あの日は。5人とも、ちょっと浮き足立ってたし。それほど大きな出来事だったんですよね。最初に幕が下りてて、PE’Zの歴史をたどる映像を流したんだけど、それを見て自分らが感動しちゃったりしてるから。
――素晴らしいじゃないですか。
Ohyama:素晴らしいけど、演奏する側としてはもうちょっと冷静でいないとね。感動してる場合じゃねぇだろ!って、自分にツッコんでた(笑)。
――今は一つ、節目を越えた?
Ohyama:越えるとかじゃなくて、あらためて気持ちを入れ直すということ。全員で肩を組み直してもう1回スタートしよう、というのが近いですね。自分で「節~FUSHI~」とか言っておいて、そのあとの活動が何も変わらなかったらがっかりしちゃうけど、海外とか、面白いこともいっぱいあるので。そういうことがあると、なるようになっていくんですよ。ある意味、勝手にハードルが高くなっていくんですよね(笑)。
取材・文●宮本英夫