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──ひとりのアーティスト・アルバムとは思えないほど、幅広いタイプの楽曲が揃ってますよね。もちろん一貫したテイストがあるんだけど。
DL: ホント? あんま幅を出そうとは思っていなかったけど。 自然に作っていったら、こうなっちゃったんだよね。……説明すると長くなっちゃうんだけど、いろんなものをグチャグチャに聴いていたんですよ。
闇鍋みたいな感じかな。結果的にこうなっちゃったっていう。今回、CDにインタヴューが20ページくらい付いてくるんで(ブックレットにエクスクルーシヴ・インタヴューが封入)、
それ読むとわかると思うんですけどね。
──強烈な音楽好きであり、あらゆる音楽が好きであることが作品から伝わってきます。
DL: そうだね、音楽は好きかも知れない。でもね、とりあえずこれを聴いて、何かのきっかけになればいいな、って。それくらいでいいなって。
前はもっと“金字塔作ったぞ!”で『金字塔』っていう大それたタイトル付けてみたりしたけど。
今回はね、そういう余計なものが全部とれて。自分の小ささを再確認した後で何が出せるかな、ってところだったんで。 そうだな……。ピラミッドを登って頂点まで来て、そこで岐路に立たされたから、今度は裾を拡げながら上に向けて拡がっていくピラミッド(逆三角形)をもう一度作っていってる感じかな。
──その先は無限ですか?
DL: そう。そっちの方向に向かってるんで。よくわかんないでしょ(笑)。
これは、個人的なアルバムであるけど、そうでない。不特定多数に向けて作っている、きっかけをばらまいてる。
拡声器みたいなアルバムですね。リミッターをみんな外そうっていうのがメッセージで。
──今回は“SPACE”=宇宙観がテーマでもあったんですか?
DL: それだけがテーマってわけではないですけど。 宇宙って“空を見上げればすぐある”とか“心の中にある”って感じるから、すごい遠いところとか壮大なものとかを言わんとしたんじゃないんだよね。
自分と外の世界、自分対世界、自分対自然、自分対地球、そこに接点が感じられたんで。自分が立ってる絵と見えてる絵のギャップがわかってきた。
その中の空間が宇宙なのかな、って思えた。生きてると“結構デカいんだな、自分って”って思いがちだけど、宇宙規模でよーく考えると微生物くらい小さな自分なんですよ。
そんなことをここ何年かで考えてて、そっから出発したインストなんで。そういう部分の宇宙は入ってますね。どんどん中を見てきたんで、外を見ようかっていう。
曼陀羅ですね、これが。拡げてみて。どの曲も必要で、どれが欠けてもだめだし、どの曲もどれかに対してつながりがあって、全体でひとつでもあり。
金剛曼陀羅界って感じですね。
──この後、リリースが続くんでしょうか?
DL: そうだね。何かがX月に起こるんだよね。
──それは楽しみです! 今年は攻めですね。
DL: ずっと便秘だったんで。やっと快便して。 まあ、あんまり構えてこのアルバムを聴いて欲しくないんだよね。とりあえず“こういうものもあるな”とか、“こういう拡げ方もあるな”って思ってくれれば。
それで、広く聴いて広く見れる人が増えれば良いっていうか。 俺もまだまだだけど(『病める無限のブッダの世界』リリースから)5年生きてきて、“広く聴いて広く見れるようになりたい”って思えるようになって。
そう考えるようになってから、生きてていい気分だなって思えるようによりなれたんだよね。 だから、いろんな人と、なんかそういう部分を共有できればいいなと思いますね。
音楽を通して。……ホントはこんなことも言いたくないんだけど(笑)。“言葉のいらない音楽”ってのがコンセプトだから。 聴いて何かを感じてもらえればいいな、って。
DEV LARGE THE EYEINHITAEの探究心がじっくりと拡げた、個性豊かな各楽曲からなる『KUROFUNE
9000(BLACK SPACESHIP)』という宇宙が今リスナーをディープな宇宙遊泳に誘う。
しかしこれがまだ序章だということもお忘れなく……。
取材・文●羽切学
★ひとりのクリエイターとして、アルバムに込めた思いを語ってもらったインタヴュー後半。前半部では、ソロ・アルバムをリリースに関する気持ちなどを話してもらった>>>GO!
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