問1.ニュー・シングル「車線変更25時」は、<国道16号線>や<246号線>という国道名が出てきますが、曲のアイデアが生まれたのもやはり国道をドライブしている時なんですか?
Vo伊藤の、「曲を聴けば、地図を見ないで家から海に行ける曲を作ってみたい」という発想から生まれています。その名残で、僕たちの地元丸出しの道路や地名が出てきてしまっています。
問2.実際は存在しない“25時”という時間帯をフィーチャーするというアイデアは、どこから生まれてきたのですか?
元々この曲ができた時は、曲調が暗いと言うだけで「暗(アン)」という仮タイトルでした(安易)。その後、伊藤のイメージしていた時間と歌詞の世界観から、「車線変更午前2時」というタイトルでしばらくやっていたのですが、もう一度この曲を見直す時期が来たときに、白井が“地球発19時”みたいなのがいいと言うことで、24時間表記に変えました。でも“26時”じゃちょっと語呂が悪いので“25時”にしたという……。伊藤も「1時間くらいならいいかな……」ということだったので、イメージとの時差には目をつぶることにしました。歌詞は、デビュー前までのモノに若干変更を加えているんですが、それまで無かった“時間経過”を加えています。
問3.サビの部分でクラップが効果的に使われていますが、そのほかプレイされた楽器を教えて下さい。
伊藤俊吾:Vocal,keyboards
佐々木良:Acoustic Guitar,Electric Guitar,Vocal,Handclap
後藤秀人:Electric Guitar,Vocal,Handclap
張替智広:Drums,Vocal,Handclap
白井雄介:Electric Bass,Vocal,Handclap
今回の3曲は、メンバーによるダビングは少な目です。ストリングスやブラス等を除いた、キンモクセイによるベーシックな演奏は、“5人で5パート”という聴こえ方を意識しました。
問4.皆さん運転はなさるんですか? ご自慢の愛車は?
白井がつい先日免許を取ったので、張替を除いた4人は運転します。特に張替に危機感や、取ろうという意思は無いようです。伊藤がBMW320i、後藤は国産の軽、僕と白井でワンボックスの機材車を運転しています。
問5.’60年代~’70年代の歌謡ロックには、路線や車道をリリックスに盛り込んだ曲がたくさんありますが、その中でも特に影響を受けた楽曲は何ですか?
ユーミン「中央フリーウェイ」、大滝詠一「さらばシベリア鉄道」、浅野ゆう子「セクシー・バスストップ」「ムーンライト・タクシー」、山口百恵「プレイバックpart2」等々。おそらくこの辺は5人が共通して好きだと思います。
問6.カップリング曲「夢を見させて」は、<愛を買います><愛を売ります>というリリックスがキーワードとなっていますが、“愛を買う”“愛を売る”行為は、具体的にどんな行為だと思いますか。
売春や風俗など、“性”は実際にお金でやり取りされているかも知れませんが、基本 的に“愛”というのはやはり無償のものだと思います。だから僕個人の中で言うと、 “愛の売り買い”という行為は成立しないと思います。ただ、「お金を持ってるその人が好き」な人とか、愛情表現の仕方が分からずに、モノやお金をあげてしまう人とか、現代には色んな例外もあって、それぞれ人によって“愛”というものの定義は違ってきますので、一概には言えないような気もしますが。
問7.「ぽっかぽか」は、どういう経緯でメンバー全員で歌うことになったのですか。
この曲は、河口湖合宿でプリプロをしたんですが、大体のアレンジが固まって、オケが録り終わったところで一旦休憩をして、みんなで焼き肉を食べに行きました。みんな盛り上がって酒もガンガン飲み、スタジオに戻ってからまだ作業が残っていることに気が付いたほどでした。
元々歌は僕と伊藤の2人で歌う予定だったんですが、ほろ酔い気分もあってか、プロデューサーの「全員で歌ったら楽しいんじゃないの?」というアイデアでこのような形になりました。その日の時間の都合もあったので、簡単にパート分けをして、マイク1本を5人で囲み、メインで歌う人が一歩前に出て、歌い終わったら下がって次に歌う人が前に出てくるというアナログなやり方で録りました。その結果、ヘッドフォンの線が絡まったり、人と人がぶつかったり、笑いをこらえてたりというハプニング感が、出そうと思っても出せない楽しさを引き出したくれたんじゃないかと思います。
問8.今回のレコーディングで一番印象に残っていることは?
「車線~」などのオケは、パーカッションの三沢またろうさんと、キーボードの柴田 俊文さんと一緒に「せーの」で録ったんですが、自分達でもびっくりするくらいのグ ルーヴがでました。もうグイグイ引っ張られました。一流のミュージシャンと同じ土俵で演奏することによって、得た経験はもの凄く大きかったです。
問9.デビューから1年が経ちますが、自分達の生活や音楽観で、何か変わったことはありますか? ヒットしたことをどう受け止めていらっしゃいますか?
う~ん。個人的には変わったと言えば変わってますし、その逆も言えるし。みたいな感じです。自分の行動や発言にもう少し自覚と責任を持たなきゃいけないなとは、思いましたが。色んな人と出会ったことによって、色んな刺激を受けて、燃え上がっています。
キンモクセイというものはもう5人だけのものではなく、周りのスタッフも含めた大きなチームみたいな感じになってきました。より良いものを作ろうと、対等に意見を交わせるチームメイトが沢山いるのは、楽しいし、すごく心強いです。
ヒットしたことは、素直に嬉しかったです。「二人のアカボシ」という曲がきっかけで色んな人に知ってもらえたし、色々な経験も出来ました。一時期はそれによるプレッシャーもありましたが、今は自分達で素直に良いと思えるモノを残していこうというシンプルな気持ちです。
問10.“学園祭は素晴らしいものだ”ツアーで、印象に残った出来事は?
年齢的にそんなに変わらないと思っていた学生さんたちが、凄く若く見えて、自分の衰えを感じた。女子大には男子便所がほとんど無いこと。
問11.成人の日に行われる「青春メッセージ」(NHKテレビ番組)へのご出演が決まっていますね。今の若者に対して一言お願いします。
親と友達を大切に!これに尽きると思います。
問12.今後のライヴ予定、リリース予定を教えて下さい。
年内は次回作の制作。来年はライブを中心に活動していく予定です。来年の割と早い時期に、2ndアルバムを出したいなと思ってますので、お楽しみに。あと、来年は夏の野外フェスにも出たいな~。よろしくお願いします。
問13.ちょっと早すぎますが、今年はキンモクセイにとってどんな年でしたか?また来年はどんな年にしたいですか?
経験することの殆どが、初めてづくしの一年で、毎回毎回ここからスタートという気持ちでやってきました。それから、自分達の基本はやっぱりライブだと気付かされた年でもありました。デビュー前からライブを活動中心にやってきましたし、デビューに至るきっかけもライブでした。その頃からのお客さんたちもずっと応援してくれてますし、何より自分達が曲がりなりにも「ミュージシャン」だと思える瞬間でもあります。先程も言ったように、とにかく来年はライブ。ライブを中心に展開していきたいと思います。どうぞよろしく。
取材・文●中井雄子