――フォース・オブ・ネイチャーはどういう経緯でスタートしたのでしょう?
KZA: 「Urban Combatt 2001」って曲を作ってみて、結構手応えを感じたからですね。“インストの曲でもイケるじゃん”って自分たち的にも納得のいくものができたので、この線で行こうと思って色々と作りだしたのがきっかけかな。でも特にどうしようか、とかは思わなくて四街道と並行してやってこうかな、と思ってたんだけど、あと途中でラップはもういいかな、とか思ったりもして(笑)。神の御告げもあって(笑)。聴く分には全然好きなんだけど。
――活動開始時に、ふたりで何か話し合ったりしたんですか?
DJ KENT: プロデュースとかリミックスの仕事をやっていくうちに、最初はクレジットがKZA & KENTだったんだけど、まずは何かユニットの名前を付けようって話したのが最初かな。
KZA: 四街道でアルバム(『V.I.C. TOMORROW』)を出したら結構仕事が来るようになって、やっていくうちに自然と自分たちでもアルバム作ろうってなったんですよ。
――アルバムを作るってことになった時、まずはどんなことを話しました?
KZA: まずは金の話。 (一同笑)
それは嘘ですけど、まずヴォーカルは入れない、インストの曲ってのが前提で。あとはとりあえずどんどんと曲を作りだして、って感じで。
――実際の作業的にはどういう手順で進めていったんですか?
KZA: 基本的にはサンプリングで、お互いに良い感じのループを持ち寄って、それを実際に聴いてみてイケるかってのを判断して。
――上ネタとビートのパターンを色々と作って組み合わせるって感じですか?
KZA: いや、そういうんじゃなく割と一曲一曲で進めて、ベースができたらドラムを足してって感じですね。
――リリースまでに結構時間がかかったのは、かなり作業的が難航したからですか?
DJ KENT: でも実際の制作期間は1年なんだけど、ちょっと構想期間が長かったよね(笑)。
KZA: 考えてる時間が長かったのと、作業が中断することもあったし。
DJ KENT: モ・ワックスのジェームス(・ラヴェル)が、「デモ・テープを聴かせてくれ」とか言ってきて、それを作って返事を待ったりしてたら時間が経っちゃったんだよね。
KZA: ちょっと締め切りを延ばしたりしてもらって会社には苦労かけちゃったけど(笑)。
――何か苦労したこととかありました?
DJ KENT: 特に苦労はないよねぇ? 結構楽しくできましたよ。
KZA: 苦労っていうか、やってても全然進まないようなスランプ状態ってのはあったけど。
DJ KENT: でもそういう難産系の曲は今回のアルバムには入れてないよね。オクラ入りしちゃってね。今年中にはアウトテイク集とか出そうかと思ってて(笑)。
――インストの曲ってタイトルを決めるのが難しいと思うんですけど。
DJ KENT: でもまぁパッパッパッとね(笑)。
KZA: (笑)そうそう。全部出来上がってから二人で聴きながら決めていったんだけど、意外にパッと決まったよね。
――「Strong-Arm Method」っていうタイトルも凄くないですか?
KZA: これはケントがパッと決めたんだよね(笑)。思い付きみたいな感じで。
――制作期間中にも外部ワークが色々とありましたけど、それは今回のアルバムとはきっちり分けて作業したんですか? 良いビートは自分たち用にとっておくとか。
KZA: そんなことはしないよ、出し惜しみはしてないよね。作業的な違いってどういうこと? ちょっと手を抜くか、とか? そんなことはしないよ(笑)。 (一同笑)
――今後、グループとしてヒップホップっぽい曲をリリースすることはあるんですか?
DJ KENT: それはやりたいよね。
KZA: うん、これからは活動に幅を広げていこうかと思ってるし。外部のプロデュースもやりつつフォース・オブ・ネイチャーもやりつつ、そしてソロもやりつつ。
――ラッパーをフューチャーしたアルバムとか僕は聴いてみたいと思うんですけど。
DJ KENT: それもやりたいんだよね。
KZA: やりたいけど人選がまず難しいよね。とりあえず黒とか黄者(埼玉のラッパー、タイプライターが率いるグループ)とかの埼玉コネクションはフック・アップしたいよね。
――今作を作り終えてみて、お互いをどう評しますか?
KZA: う~ん…まだ何とも言い切れないなぁ…ケントはまた新しいモノを作ってるし。さらにどんどんと良いモノを作っていくだろうから、今の時点では何も言えないよね。
――ケントくんから見たKZAは?
DJ KENT: う~ん、まぁ世界有数のビート・コレクターですかね。
(一同笑)
まぁ、その辺もスゴイと思うし、最近808を買ったから更にスゴイモノを作りそうだな、と。エレクトロとかね。
KZA: うん、エレクトロもやるしサンプリングのヒップホップもやるし、何でもやってこうかなって思ってるからね。今でもバウンスものとかジャスト・ブレイズ系(※注1)、クランクもの(※注2)とか今は色々と研究しているから。
――ケントくんから見て節操無いな~とか思わないんですか?
DJ KENT: そうですね~(笑)。
KZA: (笑)いやいや、ケントも結構節操無く何でも聴くからね。お互いに良い意味で何でもやってるから。
――ジャケのデザインは誰のアイデアですか?
DJ KENT: これはアキームのデザインなんだけど、実際に絵を描いたのはアキームの友達のアルトくんって人がやって。それをアキームが加工して。音を聴かせて、そのイメージで作ってもらったんですよ。
KZA: だいたいの世界観をアキームに伝えといて、それをデザインしてもらってね。
――以前はビデオ・クリップも作りたいって話してましたけど。
KZA: うん、でもちょっと予算の関係上でね。今回のアルバムをガッチリ売ってメイクマネーして次回は作りたいな、と思ってるから。長編のヤツをね。
DJ KENT: 長編?
KZA: そう。で、DVDとかも出して更にガッチリ稼いでいこうかなと思ってるよ(笑)。
――今後の活動予定とか何かありますか?
DJ KENT: UKのベア・エンターテインメントってとこから僕のソロ・シングルがリリースされる予定です。たまたまレーベル・オーナーが僕の最初のシングルを聴いて気に入ってくれたみたいで。もうそろそろ出るのかな。
KZA: あとハーレムのコンピ(『HARLEM VER. 1.0』)のトップ・ドランカーズの曲(「Top Drunkers Show Pt. 1」)をフォース・オブ・ネイチャーでリミックスする予定。で、自分らのアルバムからも誰かにリミックスを頼んでシングルとか出そうかな、と思ってる。オレはヘルレイザー・カーテルをちゃんとやっていこうかと思ってるんだよね。基本的には俺とコンちゃん(デヴ・ラージ)がメンバーで、後は構成員がいっぱい。デミさん(ニップス)も構成員になったみたい。
――今後フォース・オブ・ネイチャーが目指していく先ってのはどういうところでしょう。
KZA: とりあえず他にはないグループってところかな…あとは構想中ってことで。
――こういう質問ってムカつきます?
KZA: ムカつきはしないけど…コイツ解ってねぇな、って(笑)。
(一同笑)
DJ KENT: 今後どうなっていくかってのは分かんないです。自分の音楽趣味が反映されていくだろうから全然分かんないですね。
――ケントくんは以前にチラベルト(パラグアイ代表)・タイプのDJを目指すって言ってましたけど。
DJ KENT: あぁ、前にしゃしゃり出るタイプのね(笑)。でも今はもう大人になったからなー(笑)。渋いスルー・パスを前に通せればいいかな、と(笑)。 (一同笑)