【ライブレポート】0.1gの誤算、活動10年目へ「永遠を夢見るために、これからも頑張っていきます」

0.1gの誤算が3月29日、<9th Anniversary ONEMAN「天照る明星に秘める闘志、小蛇は大龍の夢を見る」>を豊洲PITにて開催した。
1年前と同じ場所、一度の成功なら“まぐれ”だという輩がいるかもしれない。だが、この日は0.1gの誤算史上、最高となる動員数を叩き出し、かつ2年連続で、かくも素晴らしいライブを魅せつけられてしまっては、誰も文句は言えないはずだ。
この日も会場にいる全員が快適にライブを楽しめるよう、フロアは大きく3つのグループに分かれており、前方にしっかり暴れたいバンギャ、ギャ男たち、その後ろにV系のライブ初参戦ないしは初心者の皆さん、後方に静かに観たい人や子ども、高齢者の方といった構図になっている。幕開け前の緑川裕宇(Vo)のアナウンスで動員数が過去最大であることが告げられると、会場は大きな歓声と拍手に包まれた。

大歓声の中メンバーが登場し、「ショートケーキエゴイズム」で豊洲PITの床を大きく跳ね上げる。そこから「オオカミ男と月兎」まで疾走するなり「すごい景色だね」と、目の前に広がる景色に感動を示す5人。「アルテミスの憂鬱」では、その歌詞の通り“燃えさかる”想いがずっしりと音に込められているのを感じる。
この日のセットリストは全体を通してこれまでの大箱ワンマンの中では少し異質で、だから当然、このタイミングで新曲が飛び出すことも予想しておらず驚かされた。滑らかな曲繋ぎから、すっと耳に溶け込んでくる新曲「毒彩バタフライ」。これは、「救済バタフライ」のアンサーソングとして誕生し、数日前にミュージックビデオが公開されたばかりの曲だ。蝶をモチーフにした新衣装とも相まって、曲の世界観を体現した妖艶さが醸し出されている。それとは対照に「救済バタフライ」では、緑川裕宇と水田魔梨(G)が長い時間寄り添いながら演奏するなど、仲睦まじい様子に柔らかい空気が広がった。

続く「利己的メルヘン症候群」では、ピアノの弾き語りで丁寧に歌い上げられるところからバンドサウンドが一気にはじける曲頭、そして切ないサビメロに心が揺さぶられる。「196番地の女」でも引き続きピアノ演奏が加えられ、会場がジャジー感で満たされていく。0.1gの誤算の曲の中で頻繁に顔を覗かせる、この“ちょっと懐かしい感じ”が、心地良い。
いつも通りの和気藹々としたMCを挟み、またすぐさま演奏が始まる。V系界のアイドル、緑川裕宇が歌い上げる「アイドル(YOASOBI Cover)」で、快活な雰囲気を持続させ、0.1gの誤算の転調曲シリーズのひとつ「狂気≠深愛ディストピア」や「溺愛ヤンデレボーイ」でさらに士気を発揚。一転、大切なペットとのお別れを歌った曲「days.」では、ステージに白い雪が降りしきる中、喪失感とその思いを乗り越えようとする強さを全身で描きながら感動のステージを届け、本編は閉じられた。

「希少種達の運命」「トロピカループゴサンバ」のセッションが繰り広げられたアンコール。緑川裕宇の登場で「【S】0723【終焉】」が始まるとモッシュの渦が巻き起こり、曲の合間では眞崎大輔(B )、河村友雪(G)のソロが光る。その後はメンバー全員がフロア内のセンターステージへと歩みを進め、綠川裕宇と久保田まさし(サポートDr)のツインボーカルで「VITAL」を熱唱。竿隊が掻き鳴らす音に身を任せ、メンバーの煽りに応えていくファンの姿にも、0.1gの誤算が築き上げてきたソウルが宿っているように感じられる。それは、0.1gの誤算を好きになってからの年数とは関係なく、このバンドが信じ貫いてきた意志に共感する輪が着実に広がっている証だ。
「廃課金式ラブストーリー」で一足早くメインステージに戻った水田魔梨が派手にギターを掻き鳴らす。それに続くかたちで他のメンバーも次々とメインステージに戻り、場内前方が華やかになっていく中、センターステージでは綠川裕宇が引き続き派手に暴れ倒す。どこに目を向ければいいか迷うほど、見どころ満載のステージが繰り出され、エンドSEが鳴るまで、本当にあっという間だった。だから、既に濃厚なライヴであるにも関わらず、どうしても名残惜しい気持ちが勝ってしまう。

2度目のアンコールが叫ばれると、メンバーが勢いよく走って再びステージに登場。ここでは、ファン参加型の動画企画が用意されていた。「あなたはどの界隈から来ましたか」という質問とともに、「歌い手」「舞台俳優」「ドルオタ」など、8つの界隈が選択肢として提示され、当てはまるものがあれば、ファンがヘドバンで答えるというもの。その様子を緑川カメラで撮影するところまでがセットになっている。動画配信やコンセプトイベントの企画など、常に面白いことを追求し続けてきた0.1gの誤算ならではの遊び時間。ファンのアンサーは実際、8つの界隈すべてで、フロアのいたる所からヘドバンが巻き起こるかたちとなった。V系の枠を飛び越え、様々な界隈に浸透している彼らの影響力は、やはり凄まじい。この先、どこまでバンドの規模がでかくなっていくのか、早くも来年の周年ライブが楽しみでならない。
「2008年高田馬場AREA」の演奏が始まると、再び激しく煽りを入れながら加速度を上げ突き抜けていく。そして「外でどんなに嫌なことがあっても、ここに来た時だけは、俺が絶対に幸せにするって約束するから。俺たちもお前らもこの道を謳歌していくために(緑川裕宇)。」と、熱いメッセージを届け、「桜花爛漫!天晴れサムライ応援歌」を披露。桜の花びらがステージに舞う、華やかなフィナーレを迎えた。

最後は、メンバーから一言ずつ。
9年間、楽しいことばかりじゃなかったです。大変なこともありました。でも、今日は前回のライブよりも良いライブが出来ていると思います。だから、次も絶対に観に来てください──水田魔梨
人生の最後にはきっとみんなのことを想うんだろうなって思います。みんなにとっても0.1gの誤算がそういう存在であってくれたら嬉しいです──眞崎大輔
会いに来てくれてありがとうございます。毎年、周年ライブは“一番楽しい”を更新しているので、来年、再来年もみんなと一緒に祝いたいなと思います──河村友雪
ずっと0.1gの誤算を続ける──そんな永遠を夢見てます。でも、少しでも手を緩めたら、その永遠はなくなっちゃうと思う。だから、これからも頑張っていきます──緑川裕宇
去年の周年ライブはすごく緊張したんだけど、今年はそうでもなかった。それは何故だろうって考えたときに、正しい努力をしてきたからだなと思って。みんなもこれまで色んなことを頑張ってきたと思うけど、その努力は絶対に裏切らない。だから、また努力して、またみんなで、笑顔で会えたら良いなと思います──久保田まさし

会場からは温かい拍手が送られ、その後のトリプルアンコールまで、今年の周年も余すところなく、ここ豊洲PITに、0.1gの誤算の生きざまが刻み込まれた。
この日のライブはニコ生配信もされており、4月19日までアーカイブの視聴が可能となっている。当日来られなかった方はもちろん、会場を訪れた方にも是非ご視聴いただき、5月3日=誤算の日に備えてもらいたい。
毎年、周年ワンマンに立ち会わせてもらっているが、終演後にいつも抱くのは、良いライブだったという感想よりも次への期待感だ。「永遠を夢見るために頑張っていきます」という緑川裕宇の言葉が、いつにも増してその期待を膨らませてくれた。
遂に、始動から10年目に突入した0.1gの誤算。永遠を夢見る者たちの闘志は、我々の想像を遥かに超え、どこまでも果てしない。
文◎藤代 冬馬(LINKSOLU Inc.)
写真◎永井 峰穂(LINKSOLU Inc.)
セットリスト
01. ショートケーキエゴイズム
02. 被告人Aの告白
03. オオカミ男と月兎
04. アルテミスの憂鬱〜銃口とマリア〜
05. 毒彩バタフライ
06. GLORIA
07. 救済バタフライ
08. 利己的メルヘン症候群
09. 196番地の女
10. アイドル(YOASOBI Cover)
11. 狂気≠深愛ディストピア
12. 溺愛ヤンデレボーイ
13. days.
(encore1)
14. 希少種達の運命
15. トロピカループゴサンバ
16. 【S】0723【終焉】
17. VITAL
18. ジュリエットの指輪
19. 廃課金式ラブストーリー
20. 【L】1126【悲劇】
(encore2)
21. 2008年高田馬場AREA
22. フルニトラゼパム
23. 絶望メンブレガール
24. 桜花爛漫!天晴れサムライ応援歌
(encore3)
25. 鬼悦天
ライブアーカイブ配信情報
視聴期間:4/19 23時59分まで
視聴および視聴チケット購入:
https://live.nicovideo.jp/watch/lv347223177
視聴チケット購入者限定特典:【舞台袖スペシャル映像】
0.1gの誤算メンバーのライブ当日の裏側を一番近くで垣間見る、舞台袖スペシャル映像をご覧いただけます。
ライブ情報
<誤算の日!トリプリング『K』ツアー>
5月3日(土)Spotify O-EAST
5月4日(日)渋谷ストリームホール
5月5日(月)渋谷ストリームホール
<頭振らなきゃ祭りじゃねえ!!-5人の鬼教官による悪魔的じゅ業->
5月16日(金)福岡DRUM LOGOS
5月17日(土)福岡DRUM LOGOS
5月31日(土)Veats Shibuya
6月6日(金)名古屋DIMOND HALL
6月12日(木)福岡DRUM Be-1
6月20日(金)Veats Shibuya
6月29日(日)渋谷WWWX
7月16日(水)赤羽ReNY alpha
7月21日(月)GORILLA HALL OSAKA
7月27日(日)札幌Cube Garden
7月28日(月)札幌Cube Garden







