【ライブレポート】「私にChevonというバンドを始めさせてくれますか?」

2026.09.24 19:00

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5月からスタートして全国を巡ってきたChevonのワンマンツアー<三者山羊>のファイナル公演が、9月13日(日)、横浜アリーナで開催された。

メジャーデビューアルバム『三者山羊』はChevonの音楽が閉じたコミュニティの同志とわかりあうためのものではなく、広い世界で同じような居心地の悪さを感じながら必死に生きているすべての人と戦線を張るための「宣言」のようなアルバムとなったが、それを引っ提げて立ったバンド史上最大のステージは、谷絹 茉優(Vo)、Ktjm (G)、オオノタツヤ(B)の3人に「しぇぼんくん」のお面をかぶった中村“マーボー”真行(Dr)とRyo’Lefty’Miyata(G, Key)を加えた5人編成で鳴らす音と、これまでの道のりを受け止めながらもはるか未来に向けられたまなざし、そして万単位の人がそこにシンクロして生まれた圧倒的な高揚感と一体感が重なり合って爆発的なエネルギーを生み出す、Chevonの現在地をこれでもかと見せつけるものとなった。

ライブの出発点は「B.O.A.T.」だった。床を埋め尽くすスモークを蹴散らすようにしながらステージの真ん中に立った谷絹を壮大なコーラスが包み込む。一斉に手を挙げるオーディエンスの姿が、これから始まるショウの特別さを物語るなか、炎が上がり、心臓の鼓動が鳴り響き、スクリーンに<三者山羊>のロゴがでかでかと映し出された。湧き上がる歓声。そんなドラマティックな光景から、Chevon史上最大曲数、最大キャパシティのワンマンライブは幕を開けた。レーザーが飛び交うなか「DUA・RHYTHM」のシンガロングが広がる横浜アリーナに、谷絹の声が響く。「横浜アリーナ、ファイナルステージ。よく辿り着きました!」。前のめりなビートとリフが轟いた「Lamipus」では、オオノが盛り上がる客席を見渡しながらベースを弾いている。一面のジャンプで横浜アリーナが揺れた「銃電中」ではメンバー紹介とともにソロ回しが繰り広げられ、Ktjmのソロにオーディエンスから声が飛ぶ。軽やかな身のこなしで会場を掌握していく谷絹のロングトーン、広い会場に反響して響き渡るその声が、スケールアップしたChevonの姿を象徴するようだ。

Ktjmの軽快なカッティングからの「ノックブーツ」がライブのムードをがらりと変えると、スクリーンに巨大な木のビジュアルが現れるなか「菫」へ。軽やかなサウンドのなかに愛する人と添い遂げる覚悟と決意が滲むこの曲に、万単位のオーディエンスと感情を分かち合うChevonの姿が重なって胸が熱くなる。そして谷絹が曲名をコールした瞬間に歓声が湧き起こった「サクラループ」へ。「菫」と対になるように終わった恋への思いを募らせるこの曲を、谷絹はオーディエンスに目をやりながら歌う。アリーナに舞う華やかな桜吹雪が切ない。そんなふうにひとつの恋の始まりから終わりまでを描き切った後、ステージを真っ赤なライトが照らし出す。一転して不穏な雰囲気のなかヘビーに繰り出されるのは「大行侵」だ。怪獣のように谷絹が足を踏み鳴らし、そのたびにオーディエンスが飛び跳ねる。両手を広げ、拳を築き上げる谷絹の姿はこの横浜アリーナに集った人々を扇動するリーダーそのものだ。さらに〈本能で踊れ 暴動を起こせ〉と観衆をアジテートする「Bnquet」を経て、〈先陣切って征こうぜ!!〉と歌う「光ってろ正義」で大合唱が巻き起こる。

この流れこそChevonである。彼らは人の内側に宿る暗部を暴き出すように音楽を鳴らすが、同時にその向こう側に人生の光があることからも決して目を逸らさない。闇に閉じこもることなく、常に光を希求し、そこに突き進もうと自らもファンも奮い立たせ続ける。諦めそうになった瞬間に前に踏み出した一歩の連続が、この日のこの景色を生んだ。「光ってろ正義」を終えて迎えたインターバル、オオノが感慨深げに語った。「すごい景色です。この人数が我々のために足を運んでくれたというのが、つくづく幸せ者だなと思います」結成から5年で実現した景色は、メンバー自身にとってもそれだけ感動的なものだったのだろう。

そして谷絹はアルバム『三者山羊』に込めた思いを口にした。「『三者山羊』と書いて『Chevon』とルビを振ってもいいというくらい、変わらぬ3人でやっていきたいよねという意味を込めて作ったアルバムです」──その思いを体現するように、3人だけで編曲まで作り上げた1曲が披露される。「るてん」だ。折り重なるギターとベース、ソリッドなバンドサウンドが力強く鳴り渡ると、そこからライブはさらに熱量を上げて展開していった。

「デイジー」や「さよなら、アイリーン」、ツアーを通して披露されてきた新曲「クライネ」(この日のライブで9月16日に配信リリースされることが発表された)などの楽曲にそれまで大盛り上がりだったオーディエンスがじっくりと聴き入ったセクションを経て、ここで谷絹が再び口を開く。本来はここで話そうと用意していたMCがあったそうなのだが、「急に思い出した」と予定変更。ここで話されたのは、谷絹が昔見た夢の話だった。ひとりで歌を歌ってもうまくいかず、高校も辞め、親友に裏切られ、もうダメかもしれないと思っていたときに見た夢。それは、たくさんの人の前で楽しそうに歌っている自分の姿だった。

「ひとりだったはずなのに、そのときは私以外にも同じようにステージに立つ人がいて。なんの曲をやっているのかはわからないけど、カバーじゃなくオリジナル曲を歌っていて。それですごい盛り上がってくれていた。それって、今日を見ていたんじゃないかなって思うの」。その夢を見たから踏ん張れて、ここまでがんばってこれたし、メンバーとも出会えた、と谷絹は言う。湧き起こる拍手。しかしその拍手を「本題はここから」と遮って、話は続いた。「ってことは、きっとあの頃のどうしようもない私が、そこから今見てるわけ。言いたいことわかる? 盛り上がってくれないと、あそこで見ている私が心折れて、Chevonというバンドがなくなります。横浜アリーナ、私にChevonというバンドを始めさせてくれますか?」──そこまで言われて盛り上がらないわけがないだろう。

「冥冥」や「FLASH BACK!!!!!!!!」などライブバンドとしての迫力と切れ味を存分に発揮するキラーチューンを次々と繰り出した後、先ほどの谷絹の話を受けて、現実味がない目の前の光景に「夢じゃんって思うことがある」と話したのはKtjm。「俺、こっちの世界を『夢』と呼んでるんだけど」と言いながら、夢が終わってしまうことを恐れながらもその夢を生み出してくれたファンに感謝を伝える。その話に乗って楽しげに話している谷絹と、「ですって」と振られて「どうでもいい……」とあしらうオオノ。その絶妙なコンビネーションもまたChevonの魅力だ。「終わりたくないからどうでもいい話で繋ぎ止めています」という谷絹の言葉は偽らざる本音だろうが、それでも終わりは近づいている。「次もあるからね、先に進みましょうよ、一緒に」。力強く語られたその言葉とともに、ライブは最終盤へ。Chevonのはじまりの曲「No.4」に大合唱を生み出した「セメテモノダンス」、そして最新曲「B612」を経て、最後に「ダンス・デカダンス」。〈ああ、踊ってくれ来世でも。僕の歌で〉というこの曲が横浜アリーナを熱狂で包み込み、Chevonのツアーファイナルは幕を下ろした。

終演後、WOWOW・Leminoでこの日のライブも含む5か月連続特集番組の放送・配信が決定したこと、そして来年新たなワンマンツアーを開催することが発表された。そのツアーのファイナルは同じ横浜のKアリーナ。キャパとしても大きくジャンプアップということになる。やはりこの横浜アリーナは「通過点」だった。というよりも、これからさらにデカく、強いバンドになっていくChevonの新たな出発点だったのかもしれない。「来世」はまだ遠い。この世界はまだまだこのバンドの音楽を必要としているのだから。

文◎小川智宏
写真◎タカギユウスケ

「クライネ」
2026年9月16日(水)配信リリース
https://Chevon.lnk.to/Bonbon

<Chevon ONE MAN TOUR 2027>

2027年5月8日(土) 市川市文化会館(千葉)
2027年5月13日(木) Niterra日本特殊陶業市民会館(愛知)
2027年5月15日(土) 本多の森 北電ホール(石川)
2027年5月20日(木) 広島文化学園HBGホール(広島)
2027年5月22日(土) 福岡サンパレスホール(福岡)
2027年6月3日(木) 札幌文化芸術劇場hitaru(北海道)
2027年6月6日(日) 仙台サンプラザホール(仙台)
2027年6月13日(日) 6月14日(月) フェスティバルホール(大阪)
2027年6月19日(土) 新潟県民会館(新潟)
2027年6月26日(土) レグザムホール (香川)
2027年9月23日(木) Kアリーナ横浜(神奈川)

▼TICKET
指定席:¥7,800 / 指定席(U-19チケット):¥6,300

▼Kアリーナ公演 TICKET▼
指定席:¥9,800 / 指定席(U-19チケット):¥8,300

・ヲ肉食ベタイ倶楽部 FC先行
2026年9月13日(日)21:30~9月29日(火)23:59

・オフィシャル先行
2026年10月9日(金)12:00~10月25日(日)23:59

・オフィシャル先行2次
2026年11月13日(金)12:00~11月29日(日)23:59

・オフィシャル先行3次
2026年12月19日(土)12:00~1月4日(月)23:59

・プレリザーブ1次
2027年1月22日(金)10:00~1月31日(日)23:59

・セブンイレブンWEB先行
2027年2月5日(金)10:00~2月14日(日)23:59

・プレリザーブ2次
2027年2月19日(金)10:00~2月23日(火)23:59

・一般発売
2027年3月6日(土)10:00~

 

WOWOW・Lemino放送配信情報【Chevon 5カ月連続特集】

①2026年10月17日(土) 21:00
Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』ショートディレイ版
WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信

②2026年11月放送・配信予定
Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊』完全版

③2026年12月放送・配信予定
Chevon 奉納 Special Live in 平安神宮 完全版

④2027年1月放送・配信予定
Chevon Music Video Selection

⑤2027年2月放送・配信予定
Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊 ―日本武道館―』完全版

詳細はこちら
WOWOW:https://www.wowow.co.jp/music/chevon/
Lemino:https://lemino.docomo.ne.jp/ft/0000195/

 

<Chevon ONE MAN TOUR 2026『三者山羊 – 日本武道館-』>
2026年12月20日(日) / 21日(月) 日本武道館 ※SOLD OUT
https://www.chevon.biz/live/2026/oneman2026.html

<Chevon pre.『よしなに〜遊牧編〜』>
https://www.chevon.biz/live/2026/nomadism.html
2026年10月14日(水) KBSホール(京都)
2026年10月24日(土) 高松 festhalle(香川)
2026年11月14日(土) BLUE LIVE HIROSHIMA(広島)
2026年11月27日(金) 新潟LOTS(新潟)
2026年11月29日(日) Legacy Taipei(台北)
2026年12月5日(土) / 6日(日) SENDAI GIGS(宮城)

▼TICKET
スタンディング:¥6,500
2階指定席:¥6,500 ※SENDAI GIGS公演のみ

一般発売
2026年9月13日(土)10:00~

▼Legacy Taipei公演 TICKET
A区:¥13,800 / B区:¥11,800

▶︎一般発売
2026年8月1日(土)11:00 ※現地時間
プレイガイド:Ticket Plus 遠大售票系統