【ライブレポート】MUCC、主催イベント<LuV Together 2026>初日はXANVALA、メリー、D’ESPAIRSRAY、DEZERTと共演「「はるばる茨城へようこそ!」

MUCCが、2026年9月5日・6日に主催イベント<LuV Together 2026>を茨城・水戸市民会館グロービスホールで開催した。本記事では、初日公演をレポートしていく。
2024年にスタートしたMUCC主催イベント<LuV Together>。初回から、MUCCがその歴史の中で繋がってきた先輩や後輩、盟友たちが顔を揃え、濃密な空間を作り上げてきた。2025年は、MUCCの地元・茨城県の水戸市民会館グロービスホールに場所を移し、cali≠gari、lynch.、DEZERT、デラックス×デラックスという多彩なラインナップが集結。MUCCの茨城愛にバンド同士の絆が重なり合い、タイトルどおり「愛」に溢れた特別な一夜となった。
実力も個性も併せ持つバンドが集まるイベントでは、それぞれの美学を懸けてバチバチにぶつかり合うライブが繰り広げられることも少なくない。その刺激から生まれる化学反応の面白さを、MUCC自身も過去に数え切れないほど経験してきたはずだ。


しかし<LuV Together>では、アーティスト同士の化学反応を起こすと同時に、何より根底にあるのはお互いの音楽に共鳴する「愛」。逆境も修羅場も生き抜いてきたMUCCがハブとなり、今を生きる仲間たちと今この瞬間の喜びをわかちあう。そして、愛する水戸にデッカイ花火を打ち上げる! そんなピュアな想いが原動力になっているように思う。
迎えた第3回<LuV Together 2026>は、2日間開催へとボリュームアップし、合計8組が水戸に集った。濃密さも、刺激の強さも、愛の深さも過去最高を更新した2日間から、まずは初日を振り返っていきたい。
トップバッターを務めるのは、2020年に結成してから破竹の勢いで存在感を増すXANVALAだ。MUCCとは、ヴィジュアル系シーンの後輩をゲストアクトに迎えて回った<MUCC TOUR 2025「Love Together」>以来の共演となる。

水戸でライブをすること自体がXANVALA史上初とのことで、緊張と気合いを漲らせてステージに立った。紅白で揃えた華やかな衣装を纏ったメンバーが1人ずつ登場し、最後に巽(Vo)がロングコートを翻してゆっくりと合流。歓声が湧く中、「<LuV Together>、かかってこい!」と「アイライナー」で口火を切った。重厚なサウンドに和を感じさせるメロディが乗り、激しくも美しい世界が広がっていく。巽ののびやかな声がホールに響き、その求心力と初出演とは思えない堂々たる立ち姿に目を奪われた。
「MY BLACK」でアグレッシブサイドに切り替えると、今度は荒々しいサウンドで圧倒。観客もヘッドバンギングで応え、ライブハウスのような空気が立ちこめる。華やかなスタイリングだけでなく、XANVALAの楽曲やアレンジ、パフォーマンスの端々からは、ヴィジュアル系カルチャーへの強いリスペクトが見て取れる。さまざまな音楽が飛び交う2020年代に、ヴィジュアル系バンドとして勝負を挑むのは容易い道ではないだろう。それでも貫く美学とプライド。彼らがかつて刺激を受けたルーツには、MUCCも含まれているに違いない。血を受け継いでシーンの“今”を背負う覚悟を、5人それぞれのシルエットが物語っていた。

「死ぬほど楽しみにしてきましたよ!」と顔をほころばせ、「好きなバンドが地元に呼んでくれたんです。ほぼ結婚の挨拶に呼んでくれてるようなものですよ」と笑いを交えて盛り上げる巽。「愛をたくさんもらってるぶん、愛を返していかないといけないんです!」とギアをあげ、「エンジェル・ドロップ」になだれ込んだ。アカペラから始まったドラマチックな「残火」などめくるめく世界観で魅了し、ラストの「デスパレード」では、フロント4人が身を乗り出してオーディエンスを煽る。巽のホイッスルシャウトや宗馬(G)のギターソロを起爆剤に、しっかりと爪痕を残す熱狂を生み出した。
二番手は、MUCCとともに同じ時代を駆け抜けてきた盟友代表と言うべきメリー。7月に<メリー 25th Anniversary LIVE-Many Merry Days- 『大佑祭り!!』>でMUCCを招いたメリーが、今度はMUCCに招かれるかたちで<LuV Together>初出演を飾った。

パーカッシブなSEに乗せて黒で統一した衣装の4人が姿を現す。一瞬の静寂を挟んで結生が掻き鳴らしたのは、MUCC「アカ」のイントロだった。MUCCのインディーズ時代を象徴する陰鬱なナンバーを、ガラ(Vo)が奇怪な動きを交えてメリーならではの解釈で披露。楽曲に宿る情念をしっかり引き継いだカバーに、MUCCへの愛が伝わってきた。MUCCのメンバーにすら秘密の完全なサプライズだったというところもメリーらしい。結生(G)のリフで空気を替え、「首吊りロンド」でたたみかければ、哀愁と狂気に彩られたメリー劇場が幕を開ける。
リズミカルな「溺愛の水槽」では、ステージ上を動き回ってオーディエンスに噛み付くように歌うガラ。〈見ていて欲しいんだ これからもずっと〉という一説が、今日だけは盟友に贈る言葉にも聞こえた。
ひと息ついて「腐れ縁のメリーです」と挨拶したガラが、「彼らがいたから俺らがいるし、俺らがいたから彼らがいるんじゃないかと勝手に思ってます」とMUCCへの思いを語る。近年、前述したイベント以外にも共演が増えている両者。結成当初から歴史を共有しているからこそ、歩みを止めずにたどり着いたメリー結成25周年、MUCCが来年30周年というタイミングで相見えるステージに懸ける思いはひとしおだろう。

しかし、メリーはただ歴史だけに頼るバンドではない。しっかりと現在地を示すべく、7月にリリースしたニューアルバム『Urbanstyle Circus』から「Urban Circus」を投下。テツ(B)のベースを合図に、ネロ(Dr)のパワフルなドラムと結生の軽やかなギターが絡み合い、ステッキを振りながら演説的に歌うガラの表現力に惹き込まれる。唯一無二の個性が、今なお研ぎ澄まされ続けていることを証明した。
アッパーな「梟」でラストスパートに突入し、拳を突き上げて応えるオーディエンスを引き連れて、「声を聞かせてくれ!」とキラーチューン「ジャパニーズモダニスト」で締め括った。ドラム台の前にガラ、結生、テツが並び、まっすぐ前を見据える姿が勇ましい。歴史と思い出を背負い、まだまだ止まらずに進んで行く意思を<LuV Together 2026>に刻みつけた。ステージを降りる前、ガラがマイクシールドで縄跳びをしてずっこけるというオチもお見事。
続いて、昨年14年ぶりに再集結したD’ESPAIRSRAYが<LuV Together>に初出演を果たした。

MUCCとは、2008年にアメリカで開催されたツアー<ROCKSTAR TASTE OF CHAOS 2008>を始め、国内外で共演を重ねた仲。日本のバンドの世界進出がまだ珍しかった時代、アヴェンジド・セヴンフォールドなど現地の凄腕バンドたちとぶつかり合うツアーを乗り越えた経験は、確かな絆として今も残っているに違いない。D’ESPAIRSRAYは単独でも海外ツアーをたびたび行って評価を高め、再集結が報じられた際にはSNS上で世界から歓喜の声が集まっていた。
時を超えて2026年、水戸の地で、ついにMUCCと邂逅する。ゴシックなスタイリングの4人が定位置に立つだけで、一気にダークなムードに包まれる。緊迫感を断ち切るようにHIZUMIが高く手を掲げ、1曲目からアッパーな「MIRROR」という意表を突いたオープニング。エネルギッシュなメロディが響き渡り、会場全体が眩しい光で満たされていく――と思いきや、Karyu(G)が硬質なリフを刻む「in vain」で一気に暗黒の闇へ落とされた。
TSUKASA(Dr)とZERO(B)が繰り出す重低音と、再始動後アグレッシブかつ極悪に進化したHIZUMI(Vo)のスクリームが凄まじい。世界照準のサウンドとセンスとは、時代を超えて色褪せないどころか、’00年代へヴィネスのリバイバルを追い風に鮮烈なインパクトを放っている。

MUCCを「かつて一緒にアメリカツアーを回った戦友」と呼び、「メリーもいて、懐かしい匂いもしつつ、新しいバンドも見られてテンションあがってますよ」とHIZUMIが不敵に笑う。「唯一の再結成組なので」と添え、「いろんな想いと願いを込めて作った」と紹介して最新曲「RAPTURE」を披露した。重厚でありながらまっすぐ突き抜けるメロディは、まさに蘇ったD’ESPAIRSRAYが世界に放つメッセージ。経験を積んで再び集結した4人の絆を感じるとともに、彼らの音を待っていたシーンへの決意表明にも見えた。
決して長くない当時の活動期間の中で、さまざまな音楽に挑戦し続けたのも彼らの魅力。疾走感溢れる「TRICKSTeR」でエモーショナルな空気を作ったかと思えば、HIZUMIの独唱から激情が溢れ出すバラード「SCREEN」を経て、「LOVE IS DEAD」ではド派手なEDMで会場をハイテンションなクラブに変えてしまう。音楽好奇心を持って、洋楽・邦楽問わず多彩なジャンルを取り入れてきたからこそ、のちにリスペクトを明かしていたDEZERTをはじめ、後続のバンドから根強い支持を受けているのだろう。
グルーヴの熱をどんどん高め、とどめに「DEATH POINT」でコールとヘッドバンギングを巻き起こして会場を掌握。この先への期待が高まる圧倒的なアクトだった。
MUCCへと熱を繋ぐ役割は、2年連続出演のDEZERTが担った。

MCで千秋が語っていたとおり、2015年のMUCC・ミヤ主催イベント<COMMUNE>以来いろいろなかたちで共演を重ね、MUCCとの関係性はより深く濃いものになっている。リスナーとして憧れていたバンドから、直属の後輩となり、今では同じステージに並び立つ仲間。昨年、47都道府県ツアーという武者修行の真っ最中に<LuV Together 2025>に参加した彼らは、無事修行を終え、ファイナルとして千葉・幕張メッセイベントホールでのワンマンを成功させた。バンドとして大きく成長し、再び水戸に帰ってきたのだ。
無音の中、まずSORA(Dr)がドラムに座って勢いよく叩き始める。そこにMiyako(G)のギターとSacchan(B)のベースが重なり、最後に千秋(Vo)が登場。全員、サングラスを装備したロックなスタイルで気合いを込めて、9月2日に発表したばかりの最新シングル「Welcome To The End」を投下した。今のDEZERTが鳴らす弩級のヘヴィネスと説得力に息を呑む。そのまま「生きてるか、水戸!」と容赦なく「「君の子宮を触る」」へ。
初期のナンバーもまた、進化した4人のスキルでより強力な武器に変貌している。休む隙を与えずヘッドバンギングの波を起こし、会場をDEZERTの色に塗り替えた。4つ打ちビートがダンサブルな「「無修正。」」では、なんと千秋が客席に降りてぐるっと1周回りながら歌唱。15年のキャリアを積んでなお、破天荒なことをやってのけるのがDEZERTだ。

お祭り騒ぎを起こしつつ、バラード「Call of Rescue」で空気をガラリと変え、その残響から「神経と重力」が始まる。ギターを持った千秋がMiyakoと向き合って音をぶつけ合ったり、SORAとSacchanがスリリングなリズムセッションを繰り広げたりと、フリースタイルから曲に入る構成にロックバンドとしての自信が滲む。脂の乗ったアンサンブルで描く深淵の世界が圧巻だった。
合間のMCタイムで、前述したMUCCとの歴史を振り返りながら、「気がつけばMUCCに最後のバトンを渡す役目となっております! オープニングアクトみたいな存在からこうなってきたのは、動員数とか関係なく、一番バンドが“キテるな“って指標になっております」と語っていた千秋。
MUCCだけでなく、メリーやD’ESPAIRSRAYへのリスペクトも表明した一方、XANVALAには「来いよ!」と煽ることも忘れない。その中で、千秋が最も強く叫んだのは「主役はあなたです」という言葉だ。ひとりひとりを鼓舞し、“みんな”ではなく“あなた”を見据えて彼は歌う。
「MUCCに繋げるぞ! 特別な今日を始めようぜ」と届けたのは「TODAY」。今やバンドを支えるアンセムとなった1曲で、「LuV Together 2026」に「2026年のDEZERT」の足跡が刻まれていく。「また呼ばれるように、1年間頑張ります」と清々しい表情で、4人はステージをあとにした。
4組が音楽を通して表現したさまざまな想いを受け取り、主催者・MUCCがステージへ。

お馴染みのSE「ホムラウタ」と手拍子に合わせて登場したメンバーは、Tシャツにスニーカーなどラフなスタイルだ。逹瑯(Vo)が笑顔で「はるばる茨城へようこそ! 楽しんで帰ってちょうだい!」と優しい言葉を投げかけつつ、YUKKE(B)のベースから始まったのは「大嫌い」。MUCC流のおもてなしとばかりに攻撃的な爆音が解き放たれる。観客が一斉に暴れ始める中、〈嫌い〉と歌いながら逹瑯がYUKKEを追い回したり、すでにステージ上のテンションも高い。これまでの熱演を見て、ステージ裏でウズウズしていたのだろう。そのまま「娼婦」に繋ぎ、どんどん勢いを増していく。

エレクトロ要素満載の「ファズ」で踊らせたあと、YUKKEがアップライトベースに持ち替え、今度は「1979【再録Ver.】」のジャジーな世界に誘われた。サポートを務める庄村聡泰のタイトなシャッフルビートと、吉田トオルの鍵盤の音色がきらびやかに楽曲を彩る。庄村から吉田、ミヤ、YUKKEへとバトンタッチするソロ回しもばっちり決まり、ホールならではの豪華な響きを堪能した。「夏が終わっちまうなあ! 夏が終わっちまう前にもうひと踊りしようぜ」というミヤの言葉で始まった「夜風」から、また空気が変わっていく。ポストロック調のギターリフと祭り囃子のリズムで描くのは、どこか切なさが漂う夏の夜のノスタルジー。
水戸で聴くからこその味わいを感じていると、続く「家路」のメロディでさらに郷愁を掻き立てられた。「家路」、それは自分の家へと帰る道。10代で故郷を出て東京で活動し、海外のステージにも立ったMUCCが、今たくさんの仲間たちを連れて水戸で音楽を奏でている――そんな光景とリンクして、音の一つひとつ、言葉の一つひとつが胸に染み渡った。
さらに、「ハイデ」の壮大なメロディが、込み上げた切なさも、喜びも、すべての感情を多幸感で包み込んだ。茨城で撮影されたMVを思い出しながら、今日この場所で聴く「ハイデ」の特別な響きに酔い痴れる。ステージ上で軽やかに跳ねるメンバーを始め、降り注ぐ音の中で笑顔が広がっていった。

まだまだ宴は終わらない。感傷的なムードを断ち切るように、庄村のドラムからパンキッシュな「名も無き夢」に突入。再び前のめりなライブモードに切り替え、オーディエンスも拳をあげて応える。ラストスパートを前に、ミヤが「この夏に悔いはねえか!?」と煽ると、「悔いってなんだろうねえ?」と茶化す逹瑯。「ひと夏の思い出を作ることだよ! …そんな歳でもねえか」と自嘲するミヤに、「俺はまだそんな歳!」と元気よく手を挙げる逹瑯とYUKKE。
結成29年の結束が生んだ(?)息の合ったコントのようなかけあいを挟み、逹瑯が「じゃあ一緒に思い出作ろうぜ!」と「Daydream Believer」を贈った。バンドとオーディエンスが一体となった大合唱が響き亘り、まるで映画のエンドロールのように1日の記憶が脳裏に浮かぶ。今日の思い出を抱いて、ここから明日へ、その先へ。終わってしまう寂しさよりも未来への期待が膨らむのは、水戸で初開催した昨年との大きな違いだ。
本編ラストを飾ったのは、まさに未来への鍵となる新曲「Sir」だった。MUCCが得意とするヘヴィなサウンドとエレクトロのかけ算でありつつ、インダストリアルやオルタナティブという言葉が彷彿とされるアレンジが新鮮。けだるくダーティな雰囲気からカオティックに音を合わせていくアウトロも挑戦的で、リリース後にはライブでもっと研ぎ澄まされていくに違いない、と確信した。


アンコールでは、MUCCに加えてDEZERTから千秋とSacchanとSORA、メリーからガラとテツ、D’ESPAIRSRAYからHIZUMIとZERO、XANVALAから巽と宗馬と70.らが入り乱れての「蘭鋳」大セッションが繰り広げられた。逹瑯、ガラ、HIZUMIが肩を並べて歌ったり、逹瑯に恒例の煽りを任せられた巽が「全員死刑!!」と全力で叫んだり、ギタリストに徹した千秋がミヤと背中合わせで弾いたりと、この日限りの貴重なシーンが目白押し。
渾身のライブを浴びた最後に、ただ楽しいだけのパーティ空間が待っているのも<LuV Together 2026>の醍醐味だ。ステージ上にも客席にも、もはや何も壁はない。全員で確かな愛を分かち合い、初日はフィナーレを迎えた。そして<LuV Together>の物語は、初の2日目へと続いていく。









文◎後藤寛子
写真◎冨田味我
◾️MUCC主催イベント<LuV Together 2026> Day1セットリスト
2026年9月5日(土)茨城・水戸市民会館グロービスホール
▼XANVALA
01.アイライナー
02.MY BLACK
03.エンジェル・ドロップ
04.残火
05.ヴァジュラ
06.デスパレート
▼メリー
01.アカ(ムックcover)
02.首吊りロンド
03.Cold Fascination
04.溺愛の水槽
05.Urban Circus
06.梟
07.ジャパニーズモダニスト
▼D’ESPAIRSRAY
01.MIRROR
02.in vain
03.RAPTURE
04.TRICKSTeR
05.SCREEN
06.Forbidden
07.LOVE IS DEAD
08.DEATH POINT
▼DEZERT
01.Welcome To The End
02.「君の子宮を触る」
03.「無修正。」
04.Call of Rescue
05.神経と重力
06.秘密
07.TODAY
▼MUCC
SE ホムラウタ
01.大嫌い
02.娼婦
03.ファズ
04.1979【再録Ver.】
05.夜風
06.家路
07.ハイデ
08.名も無き夢
09.Daydream Believer
10.Sir
En.蘭鋳 ver. LuV Together 2026







