【レポート】Psycho le Cému主催<姫路シラサギROCK FES 2026>、二日間延べ10組が白鷺城下で夢の競演

2日目となる翌29日も、まずはPsycho le Cémuのお芝居から。続く「夢風車」では見様見真似でダンスを踊るPsycho le Cémuファン以外の観客も多く、出演者によって客席の雰囲気が変わるのを実感した。
【0.1gの誤算】




そこへトップバッターを務めたのは、0.1gの誤算。キャリア豊富なほかの出演バンドの中では、若手と言ってもいいだろう。そんな違いを味方につけた緑川裕宇のライヴ運びが見事で、DAISHI (Psycho le Cému)を迎えた「絶望メンブレガール」では先輩に容赦なく、「2ステップって知ってる?」「やってみろ、50歳!」と言い放ち、MCでNIGHTMAREのセットリストについて触れたかと思うと、バンギャの観客に、自分もヴィジュアル系を知っていると猛アピール。ハチャメチャな一方、きっちり準備してきたのだろうと真面目ささえうかがえるだけに、その人柄には好感しかない。
「ここは高田馬場AREAだ」と叫んで始まった「2008年高田馬場AREA」では、緑川がステージを降りると、まさに広いホールを小さなライヴハウスに変えてしまおうとする。その姿勢は最後までとどまらず、「21gの感傷」でついに2階席へ。しかも通路にとどまらず、客席の間までも傍若無人に通り抜け、その思い切りのよさ(おそらくはきちんと計画していたのだろうけれど)には驚かされた。最後「有害メンヘラドール」では、広い会場一面に土下座ヘドバンが繰り広げられ、強引なまでに自分たちの空間に仕立て上げ、堂々と自分たちの存在を知らしめた。
【ENVii GABRIELLA】




続くENVii GABRIELLAは、音楽をメインとしたオネェの総合エンターテイメントとして、YouTubeをはじめ、ライヴ活動を展開している。二日間のフェスにおいて、唯一バンドではない出演者だが、昨年の<姫路シラサギROCK FES>でも、バンギャの皆さんにその魅力はおおいに刺さったはず。転換中のサウンドチェックから軽妙なトークで会場を沸かせ、期待感を高めたところで、4つ打ちのダンスサウンドでスタート。「豪華ネェサン」が始まったかと思うと、「ちょっと待った!」と音楽を止め、「こんなノリじゃない」と名詞代わりのハッピーな楽曲を止め、攻めた曲で仕切り直し。気づいたらエンガブの世界に引き込まれていて、なんだか楽しそうとウキウキしてしまう。
楽しさや面白さだけではなく、伸びやかで艶のある歌声や、ピンヒールで繰り広げられるキレキレのダンスといった、エンターテインメントとしてのクオリティも素晴らしい。さらに、4月8日にリリースの「私はオバさんになってる」を、Lida、YURAサマ(Psycho le Cému)を迎えて披露。これは森高千里の「私がオバさんになっても」へのオマージュでありつつ、“オバさん”という言葉を誉め言葉としてつくった歌。若いことに価値がおかれがちな社会なだけに、こういったポジティヴなメッセージを投げかける点も、ENVii GABRIELLAの大きな魅力だと思う。キラキラと光り輝く世界に、たくさんのパワーを受け取った。
【Plastic Tree】




眩しい光が少しずつ薄闇に沈んでいくかのように感じられたのは、次の出演バンドがPlastic Treeだから。そんな独特の色が彼らにはある。「イロゴト」が始まった途端、有村竜太朗のどこか危なげで儚げな声を耳にし、改めてその唯一無二の個性を味わった。その繊細さと、切り裂くようなギターと飾り気も無駄もないベースとの絶妙なバランスが、Plastic Treeの個性と魅力をつくり上げているのだろう。「ただいま」と久しぶりの姫路でのライヴを喜び、招いてくれたPsycho le Cémuへのお礼を口にする竜太朗。
「サイレントノイズ」では、曲の入りを間違える珍しいシーンがあったが、それまでもがロックバンド然としたカッコよさに映るのは、まるで焦りが感じられない佇まいと、表現することに対して地に足がついているからではないだろうか。続く「マイム」では、seek (Psycho le Cému)が登場。なんと言っても彼の“seek ”というステージネームは、Plastic Treeが1997年にリリースしたアルバム『Hide and Seek』からつけたもの。そんな特別なバンドと地元で共にステージに立てたことは、最上の喜びだったはず。静から動へ、メンバーも観客も会場の空気までもが変化し、最後は「メランコリック」。感情があふれて、零れ落ちるような声で歌い上げていた竜太朗は、「イベント、楽しんでってね」と優しい声をふわふわと残していった。
【NIGHTMARE】




SEが鳴り、NIGHTMAREの5人がステージに姿を現すと、ひと際大きな歓声が起こった。それもそのはず、5人の衣装は真っ赤な特攻服。思いがけない姿にファンのテンションが上がるのも当然だ。そんななか「BOYS BE SUSPICIOUS」でライヴはスタート。観客を激しく煽るYOMIを筆頭に、どのメンバーも悠然とステージに立ち、堂々とした姿を見せつけるよう。昨年25周年を迎え、11月9日には日本武道館でのライヴを成功におさめたキャリアと実力は本物だ。「仙台貨物ではありません」と始めたMCでは、去年はスケジュールの都合で出演できず、ようやく<姫路シラサギROCK FES>に出演できたと喜びを語った。
「the WORLD」「アルミナ」「レゾンデートル」と、アニメのタイアップで広く知られた曲を立て続けに投下。これで盛り上がらないはずはない。数々のヒット曲を持っているのは、もちろん第一線で活躍してきた証だが、それ以上に演奏やステージング、見せ方など、どこをとっても完成度が高く、その実力の確かさを感じた。「惰性ブギー」では、特攻服姿のLida (Psycho le Cému)が参加し、お立ち台で咲人と並んでプレイする貴重な姿も。実は、姫路でのライヴは長いバンド活動のなかでも初めてだとか。こういったことが、姫路でフェスを開催する意義のひとつになるに違いない。
【Psycho le Cému】



二日間にわたったフェスの最後は、もちろんPsycho le Cémuのライヴで締めくくられる。地球に迫っている隕石アクリエを、会場に集まる人たちのパワーではねのけたという昨年のストーリーから、地球に落ちた隕石の破片が生んだ憎悪がナーガ(蛇神)に力を与え、最高指揮官YURAサマはその毒におかされているという。つまりここで、1日目のお芝居とつながるわけだ。そんなナレーションから、「想い出歩記」でライヴはスタート。過去を振り返る穏やかな調べが、いきなり5人のメンバー紹介とソロ回しへ。そんな展開から、「インドラの矢」「妄想グラフィティー」と突っ走っていく。
ここで、次期最高指揮官であるDAISHI、Lida、AYA、seekの4人の神様が、ナーガと戦おうとするお芝居が展開されるが、この物語がどうなるのか、ナーガを倒すことはできるのか、ナーガの毒におかされたYURAサマは助かるのか、まだまだ謎は続いていくようだ。そして、この神様たちの世界観を投影している楽曲「シャクティシャクティアスティ」。ダンスの振り付けをしたENVii GABRIELLAのHIDEKiSMとKamusも登場、華麗なダンスを披露した。なかなか複雑な振りではあるが、初見の観客も含め大勢が踊ろうとしているのも印象的だった。その後、seekのおなじみ「かかってこい!」のMCからは、ひたすら激しく盛り上げていく。「LOVE IS DEAD」で、YOMI (NIGHTMARE)が登場。DAISHIと並んで歌う姿は、背格好が近いせいもあるのか、兄弟かユニットかそんな雰囲気が漂う。同時に、YOMIの歌声の存在感を改めて感じられるシーンでもあった。
そしてDAISHIが静かに語り始める。結成して26年、彼らには叶えられていない夢があるという。あと少しで手が届きそうだった武道館で、みんなに最高の景色を見せたい。というのが、現在彼らが追い求めている夢だ。武道館を目指すバンドは多くいるだろうが、Psycho le Cémuはその目前まで一度はたどり着いたという点が大きく異なっている。だからこそ彼らが夢をつかもうとする意志は固い。そんな想いを「君がいる世界」に託して、夢を一緒にかなえていくファンに贈ってくれた。
第二回目となるフェスの最後を飾るのは、「シラサギ」。このフェスのテーマソングであり、Psycho le Cémuの故郷への思いを詰め込んだ楽曲だ。昨年、前日に続いて登場したコーラス部のメンバーも少しずつ慣れてきたのか、その場を楽しんでいる様子が微笑ましく、愛らしい「しろまるひめ」と共に、ステージ全体からハッピーな空気が漂い、観客も自然に笑顔がこぼれたことだろう。姫路から始まったバンド人生の思い出といまも続いている夢、そしてその先の明るい未来と、美しいパノラマが広がり、Psycho le Cémuの明るい前途を確信できたような気がする。


<姫路シラサギROCK FES 2026>を開催するにあたっては、人知れずさまざまな苦労があったに違いない。それでもPsycho le Cémuは挑戦を続けている。その先に、きっと日本武道館という大きなステージが待っていることだろう。彼らには、たくさんのファンと、この二日間に出演したアーティスト仲間たちがいる。そんな仲間たちと一緒に彼らがつくり上げた夢のような時間を振り返りつつ、姫路を後にした。新幹線のホームから、姫路城が見えていた。
取材・文◎村山幸
撮影◎桃子

■<27th Anniversary Special Live「Psy西遊記」>
5月3日(日) 東京・大手町三井ホール
※SOLDOUT
■<Psycho le Cému Tour 2026 REVIVAL STORY〜再生の絆〜>
▼RESISTANCE
6月13日(土) 栃木・HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-4
▼FANTASIA
6月14日(日) 栃木・HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-4
▼大江戸カラクリWORLD
6月27日(土) 宮城・仙台MACANA
▼Psy西遊記
6月28日(日) 宮城・仙台MACANA
▼TOKYO PARALLEL WORLD
7月18日(土) 千葉・柏PALOOZA
▼Legend of sword
7月19日(日) 千葉・柏PALOOZA
▼Psy西遊記
7月25日(土) 埼玉・HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
▼RESISTANCE
7月26日(日) 埼玉・HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
▼Psy西遊記
8月1日(土) 福岡・福岡DRUM Be-1
▼大江戸カラクリWORLD
8月2日(日) 福岡・福岡DRUM Be-1
▼FANTASIA
8月22日(土) 愛知・名古屋ELL
▼Psy西遊記
8月23日(日) 愛知・名古屋ELL
▼RESISTANCE
9月5日(土) 神奈川・新横浜NEW SIDE BEACH!!
▼大江戸カラクリWORLD
9月6日(日) 神奈川・新横浜NEW SIDE BEACH!!
▼Legend of sword
9月26日(土) 大阪・OSAKA MUSE
▼Psy西遊記
9月27日(日) 大阪・OSAKA MUSE
▼TOKYO PARALLEL WORLD
10月3日(土) 東京・渋谷WWW X
▼Psy西遊記
10月4日(日) 東京・渋谷WWW X
■LIVE DVD<姫路シラサギROCK FES 2026 >
2026年6月24日(水)
CEDC-1002 4,000円(税込)
▼収録曲 ※全9曲収録予定
・夢風車
・想い出歩記
・インドラの矢
・妄想グラフィティー
・激愛メリーゴーランド
・Murderer・Death・Kill
・摩天楼カオス
・君がいる世界
・シラサギ
※収録曲の他に、メンバーインタビュー、オープニングナレーション、アクトシーン、MC、バックステージシーンなどの映像も収録。
■インストアイベント
5月10日(日) littleHEARTS.東京店
open16:30 / start17:00
内容:トーク&撮影(6ショット/2ショット)
参加メンバー:全員
※予約イベント
7月5日(日) littleHEARTS.東京店
open16:30 / start17:00
内容:トーク&サイン&撮影(2ショット)
参加メンバー:DAISHI/AYA/Lida
※本橋packman(littleHEARTS.東京店の地下1階)
8月16日(日) littleHEARTS.東京店
open16:30 / start17:00
内容:トーク&サイン&撮影(2ショット)
参加メンバー:DAISHI/seek/YURAサマ
9月27日(日) littleHEARTS.大阪店
時間:OSAKA MUSEでのライブ終演後
内容:トーク&撮影(6ショット/2ショット)
参加メンバー:全員
※各回メンバー衣装は異なります。
※参加方法などの詳細はPsycho le Cému official SITEにて。






