【レポート】La’cryma Christi、ALvino、ALICE IN MENSWEARが、KOJI追悼イベントに集結“継承していくことを誓った夜”

まばゆいばかりの陽光が降りそそぐ4月12日、イベント<KOJI Memorial & Birthday Live 2026 -Eternal Blue->が東京・豊洲PITにて開催された。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。
2022年4月に食道がんのため逝去したギタリストKOJIの誕生日であるこの日、彼が所属したバンドLa’cryma Christi、ALvino、ALICE IN MENSWEARと、ゆかりあるプレイヤーが一同に集結。メモリアル(追悼)であり生誕祭でもあるという賑やかなパフォーマンスが繰り広げられた。
会場にはKOJIの等身大パネルや使用楽器などが展示され、入場者は撮影OKという配慮がなされている。転換時などのBGMも常にKOJIのギタープレイが流れており、彼の存在を間近に感じられる雰囲気づくりが温かい。
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【ALICE IN MENSWEAR】

トップに登場したのはALICE IN MENSWEAR。KOJIが生前最後に所属したmichi.(Vo)とのユニットだ。1曲目は彼らのテーマ曲ともいえる「Lost Child」、作曲者はもちろんKOJI。カリスマ性あふれるmichi.の発声や手の振りひとつでドラマティックなALICE IN MENSWEARの世界にいざなわれる。
michi.からこの日の終演後に話を聞くことができたので、KOJI不在後のステージ構成などを彼の言葉でお伝えしたい。
「KOJIのギターの音はPAからではなくステージ上のアンプから出しています。今日はサポートギターの菅大助さんも弾いてくれましたので、ツインギター編成ですね。ALICE IN MENSWEARのギタリストはKOJI一人でしたが、生前からKOJIはツインギターシステムを組んでいて、現在それをグレードアップした形で披露しています。僕はギター関係の機材については疎かったんですが、KOJIが「全部、伝授するから」ということで教えていただいて、それで作業できるようになりました。二人で始動した頃は、僕がほんわかほんわかした性格なので、KOJIに「もっとテキパキ動いてー!」みたいなことを言われることもありましたが(笑)、おかげで段取り良くできるようになって」──michi.
不思議なことに、この日のmichi.の歌唱を聴いていて、KOJIは確固たる信頼と安心のもとにALICE IN MENSWEARの活動をできていたのではないかという2人の空気感まで伝わってきた。再び、終演後のmichi.のコメントだ。
「それは本当にそうで、手前味噌で申し訳ないんですけど、KOJIは僕のことが大好きだったと思います。ちょっと気持ち悪い言い方になるかもしれませんが、お互いが“最後の男”みたいな(笑)。二人ともいい歳だし、それぞれ何十年も音楽的にいろいろな経験を積んできた中で、なんらかの不運や不幸があって決別する日が来たとしても、もうこれ以上のパートナーには出会えないというか。だからKOJIの厳しさも僕には嬉しかったんです。彼の知識量は本当に多くて糧になりましたし、それを素直に吸収する僕が彼にとってはかわいくてしょうがなかったんだと思います」──michi.
ちょっと照れ交じりにそう語ったmichi.の喜ぶ曲をKOJIは作りたかったのだろう。MASCHERA時代から定評のあったボーカルが、KOJIとの音楽世界でますます磨かれるセットリストは驚くほど多彩だった。ALICE IN MENSWEARのコンセプトであるスチームパンクを軸に、ポエティックだったりシアトリカルだったり、オーディエンスが勢いよく腕を回すロックナンバーだったり。その中にしっかりとKOJIを感じさせるフレーズが息づいている。
MCでのmichi.の言葉は自身も、観客も、全関係者をも鼓舞するように響いた。「KOJIが青春を燃やし続けた素晴らしきバンドが集まるこのステージで、ALICE IN MENSWEARが復活を遂げられたことを本当に嬉しく思います。KOJIと俺が紡ぎ続けてきた青春を力強くサポートしてくれた仲間たちを紹介します」と言ってサポートプレイヤー達に感謝を述べ、最後にKOJIの名を満場のオーディエンスとともに全力コール。ステージ上に置かれたスチームパンク調のKOJIギターのオブジェも、歓声と照明を浴び喜んでいたに違いない。
【KOJIソロバンド】



2番手に登場したHIRO(G / La’cryma Christi))とSHUSE(B / La’cryma Christi)の姿に場内が色めき立つ。当初のイベント告知時には発表がなかった“KOJIソロ”の再現だ。インストで2枚のアルバムを発表しているアーティストとしての“これぞKOJI!”という自由かつテクニカルなフレーズを妖艶なHIROとのツインギターで聴かせる。
SHUSEがMCで「HIROがKOJIのレコーディングデータを持っていてね」と今回のKOJIソロバンド披露の経緯を紹介。「僕はがっつりサイドギターです」とHIROが続ける。「一昨年の三回忌に、KOJIと約束していた(2017年以来の)<Joint Live>をなんとか形として残したいなと思って」との言葉通り、ソロ曲をともに披露するのは<KOJI&HIRO Joint Live 2024>以来だ。
「その<Joint Live>のとき、KOJIの作った「未来航路」(La’cryma Christiの代表曲のひとつ)をどうしても歌ってほしくて、TAKAに連絡しました。それがこんなことになるとは…(笑)」と、2025年のLa’cryma Christi再始動に繫がったエピソードも語られ、観客からは大きな拍手が。
「一昨年は一人きりで、というかKOJIと二人でやっていたんですけど、今日は心強いです」とHIROが話せば、ド派手でアグレッシヴなSHUSEと、ALICE IN MENSWEARのサポートドラマーでもある竹村が、ともにインストのみのライヴとは思えない盛り上がりをオーディエンスと創造していく。心から音楽を愛し、湧き出る歓喜を楽曲にしたようなラストの「Joy」では、よく太陽に例えられたKOJIの満面の笑みが見える気がした。Killer製KOJIモデルKG-Marquisのミラーバージョンもステージから客席を見つめていた。
【ALvino】




3番手ALvinoの登場で、またステージの空気が一変する。「まずはKOJIくんが作った言葉とメロディー、この曲たちを受け取ってください!」とShotaが明るく叫んだ「たからもの」からスタート。KOJIが作詞も手掛けていて、しかも“ねぇ笑って 笑って 顔を上げて 君の笑顔は世界一だよ”だなんて、今となっては涙腺が崩壊してしまいそうな内容なのだが、Shotaのよく通る声で“涙の数だけ 優しい君が 笑顔になれるように”と続けられると誰もが手を振って応えたくなる。この出だしだけで、KOJIがShotaの歌声と人間性を最も生かした名プロデューサーでもあることが分かる。
ともに作曲者でありギタリストである潤は、ALvinoでは癒やしキャラのようにステージを動きまわり、舞台上手に置かれたKOJIのギターに絡みにいく。潤にも終演後の楽屋で話を聞くことができたので、この日のステージ構成などについて教えてもらった。
「ステージには、KOJIがALvinoでよく使っていたGretsch製ホワイトファルコンを用意しました。KOJIは、ALvinoではコーラスもよくやってたんですよ。今日のステージでもデータとして残ってたKOJIの声をガンガンに出しました。お客さんにも歌ってもらった楽曲「運命はこのように手をたたくのだ」の“ララララ〜”だけじゃなくて、「この手紙…」の最後の“ありがとー”“とー”って重なるところもKOJIの声なんです。だから、マイクスタンドもステージ上に設置して世界観を出しました。KOJIは高身長でマイクもあの高さなんで、僕だとこう(上向きに)なっちゃう(笑)」──潤
La’cryma Christi時代の立ち位置にはマイクの設置もなかっただけに、KOJIのコーラスは貴重なものに思える。
「そうですね。KOJIの音や声が出てたら一番ファンに喜んでもらえるかなと思って、最近(KOJIの逝去後に)ライヴをやる時はそうしてます。コーラスを3人でやり始めたのは、KOJIが高見沢俊彦さんとも仕事をして、THE ALFEEが3人3様でそれぞれ歌ってるのを目指したというわけではないですけど、ALvinoも3人だから全員歌えたほうがいいんじゃない?っていうのがあって。でも今回ほど音量を上げたら本人に怒られるかも(笑)」──潤
ALvinoがバンドとして8年振りに集結したことや、この大きなステージで堂々とライヴしていることをKOJIは誰よりも誇りに思っているのではないだろうか。サポートドラムで参加したLEVIN(La’cryma Christi)はKOJIの高校時代からの親友として、「KOJIにこの景色見せたかったねー! ALvino史上、最高動員数じゃない?」と言い、会場全体を見渡す。数千人が総立ちでShotaや潤と一緒に歌う姿は、天から見てもさぞや絶景だったことだろう。
「みんな集まってKOJIにも嬉しいと思ってもらえてるんじゃないかな。“Shotaの長いMCはそうちゃうねんな〜”とか言いながら、見ていたかも(笑)」──潤
【La’cryma Christi】




4番手のLa’cryma Christiは、2025年11月より期間限定の再始動中でツアーも行っている。だがツアーのどこのライヴとも違うSEと1曲目で臨み、観客は息をのむように引き込まれていく。「PRIDE」も「Subconscious Desire」もKOJI作曲によるもので、ここまでの3バンドとまったく異なる艷やかで扇情的なロックが繰り広げられる。KOJIが弾いていたパートをソロまですべて担当するのはサポートのShinobu(G)、すでにメンバーや観客から絶大な信頼のもと迎え入れられている。
「今日の主人公のKOJIを呼ぶ声が小さいな!」というお馴染みのMCで、TAKAが特大のKOJIコールを引き出す。「みんなの心の中のKOJIと大盛り上がりしてください」と、KOJIが作った楽曲を中心にライヴを進行。その中で「Blueberry Rain」は作曲者にHIROとKOJIが名を連ねる名曲で、完成時のインタビューでKOJIが心底嬉しそうに話していた姿がつい最近のことのように思い出される。こんなふうにKOJIを想起するエピソードは人それぞれにあり、楽曲がプレイされるたびそれらが蘇ってくるのは音楽特有の魅力だといえるのではないだろうか。
中盤では「ここで新曲を送るぜ!」というTAKAの突然の激白に「キャー!」とも「ひえー!?」とも聞こえる驚嘆の声が湧き、約20年ぶりと思われるLa’cryma Christiの新曲披露に泣き崩れてしまったファンもいた。これはあまりにも嬉しいサプライズだ。TAKAらしい言葉選び、伸びやかなボーカル、どこか耳馴染みのあるフレーズ。後日、新曲のタイトルが「蜃気楼」であるということと、FCサイト限定で歌詞も公開され、リスナーらに新たな希望の光を灯している。
KOJIをなくして沈んだ心には、こういう場が必要だった。皆で分かち合い、KOJIの名を叫び、思いきり泣いて励まし合えるライヴを実現した出演者たち。ALvinoとALICE IN MENSWEARからは今後の活動予定が発表されたが、La’cryma Christiは5月までのライヴ2本を残すのみ。終演後の楽屋でコメントを求めたところ、このタイミングでの新曲発表は「感謝の気持ちのギフト」だとTAKAが言い、SHUSEは「受け取った言葉や音をそれぞれで感じてくれたら」と話し、HIROは新曲については触れずに「最後まで駆け抜けます」と微笑んだ。

【encore session】
アンコールを求める声に“Happy Birthday Dear KOJI”というメロディーが交ざり、客席全体での温かな大合唱になっていく。ステージ上ではずっとツアーに帯同しているKOJIのグリーンカラーのギターが輝く。
そこに再登場したTAKAが「KOJIのたからものを呼びます」と迎え入れたのはKOJIの実の息子であるKAZUKI。KOJIが逝去した翌日からギターを触り始めたという彼の演奏歴はまだ浅いが、<KOJI&HIRO Joint Live 2024>で初めてステージに立ち、今年3月のLa’cryma Christiのライヴにも二度登場している。とはいえ、難解なLa’cryma Christiの楽曲の中でも“鬼畜”とさえ言われる「偏西風」のイントロのアルペジオをいきなりプレイ。HIRO、SHUSE、LEVINも彼を見守るように音を合わせる。KAZUKIのステージ度胸は相当なもので、「未来航路」では父KOJIが得意とした背面弾きも披露。隣でともに背面弾きを見せるSHUSEもそうだが、観客全員がKAZUKIの親族になったような気持ちで彼を見つめて笑顔になる。
その「未来航路」「With-you」ではmichi.とShotaも加わり、個性派3人による贅沢なボーカルでKOJIの楽曲を彩った。サポートのShinobuを含めステージ上には最大8人ものプレイヤーが集い、賑やかにKOJIを想い合う。心の中のKOJIとともに、これからもKOJIの音楽を愛し継承していく。温かな<Eternal Blue>の照明の中でみんなの強い誓いを感じた夜だった。
取材・文◎伊藤美保
撮影◎SENA HARUKAWA Ayami Kawai (ALICE IN MENSWEAR)
■イベント<KOJI Memorial & Birthday Live 2026 -Eternal Blue->4月12日(日)@東京・豊洲PIT セットリスト
【ALICE IN MENSWEAR】
▼メンバー
michi.(Vo)
菅大助(G / サポート)
古谷圭介(B / サポート)
竹村忠臣(Dr / サポート)
▼セットリスト
1.Lost Child
2.PiLL≠GRiMM
3.TRANSITION
4.ハジマリノウタ
5.オートマタ -鋼鉄少女A-
6.Pre-TEA PARTY
7.アビエイターズ -飛行少年A to Z-
【KOJIソロバンド】
▼メンバー
HIRO(G)
SHUSE(B)
竹村忠臣(Dr)
▼セットリスト
SE.Greenback
1.Perfect World
2.Olive Crown
3.Distant Land
4.Joy
【ALvino】
▼メンバー
Shota(Vo)
潤(G)
渡辺ゆう(B / サポート)
LEVIN(Dr / サポート)
▼セットリスト
1.たからもの
2.WB
3.運命はこのように手をたたくのだ
4.この手紙…
【La’cryma Christi】
▼メンバー
TAKA(Vo)
HIRO(G)
SHUSE(B)
LEVIN(Ds)
Shinobu(G /サポート)
KAZUKI(G / ゲスト ※encore session)
michi.(Vo / ※encore session)
Shota(Vo / ※encore session)
▼セットリスト
SE Down to Earth
1.PRIDE
2.Subconscious desire
3.Without you
4.Siam’s Eye
5.Blueberry Rain
6.蜃気楼(新曲)
7.南国
8.White Period
encore
en1.偏⻄⾵ with KAZUKI
en2.未来航路 with michi. / Shota
en3.With-you with michi. / Shota
W encore
en4.THE SCENT
■ALICE IN MENSWEARライヴ情報
▼2026年
04月25日(土) 東京・赤羽ReNY alpha
※michi.ソロワンマン / KAZUKIゲスト
08月01日(土) 東京・赤羽ReNY alpha
※MASCHERA vs ALICE IN MENSWEAR
10月17日(土) 兵庫・姫路Beta
※MASCHERA 2デイズ
10月18日(日) 兵庫・姫路Beta
※MASCHERA 2デイズ
12月05日(土) 大阪 RUIDO
※michi.ソロワンマンツアー
12月06日(日) 愛知・名古屋HeartLand
※michi.ソロワンマンツアー
12月12日(土) 東京・赤羽ReNY alpha
※michi.ソロワンマンツアー
▼2027年
03月27日(土) 新宿ReNY
※MASCHERAワンマン
04月03日(土) 赤羽ReNY alpha
※michi.ソロワンマン
詳細リンク:https://linktr.ee/michi.solo
■<ALvino 同窓会 Vol.1>
8月9日(日) 神奈川・新横浜strage
詳細:https://jun-0504.bitfan.id/contents/370589


■ライブ会場 × 通販限定Blu-ray / DVD『La’cryma Christi LiveTour 2025-2026 Night Flight〜final call〜 at LINE CUBE SHIBUYA 20260114』
3次受注期間:〜4/19(日)23:59まで
2026年5月上旬〜中旬頃発送予定
※発送は予定となっております。状況により前後する場合もございます。
【初回生産分 数量限定販売】
LCRM-0003 ¥8,000(税込)
予約リンク:https://lc-garden.jp/store
▼収録内容
SE: Dear Natural
01.Night Flight
02.南国
03.Warm Snow
04.Forest
05.未来航路
06.Zambara
07.A.S.I.A.
08.偏西風
09.イスラエル
10.Blossom
11.月の瞼
12.With-you
13.Blueberry Rain
encore
en1.SCREAMING
en2.White period.
en3.Siam’s eye
en4.THE SCENT
en5.S.E.A.
en6.PSYCHO STALKER
■La’cryma Christiツアー追加公演<Night Flight〜Last Finale〜>
※終了した公演は割愛
4月18日(土) 三重・柿安シティホール(桑名市民会館)
5月09日(土) 大阪・Zepp Namba
関連リンク
◆La’cryma Christi オフィシャルサイト
◆La’cryma Christi オフィシャルX
◆La’cryma Christi オフィシャルIngtagram
◆La’cryma Christi オフィシャルYouTubeチャンネル
◆La’cryma Christi OFFICIAL TEAM “LC GARDEN”
◆ALvino オフィシャルサイト
◆ALvino オフィシャルYouTubeチャンネル
◆ALICE IN MENSWEAR オフィシャルサイト
◆ALICE IN MENSWEAR オフィシャルYouTubeチャンネル
◆KOJI Memorial Museum『Le bleu eternel』






