【インタビュー】D’ESPAIRSRAYが完全復活「これまでの時間が必要だった」

2026.05.20 15:00

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D’ESPAIRSRAYが新たな道を歩み始めた。

5月4日、Zepp DiverCity (TOKYO)にて<D’ESPAIRSRAY LIVE 2026「RAPTURE」>と題したワンマンライブを行い、約16年ぶりに完全復活。さらに5月13日には、こちらも同じく約16年ぶりシングル「RAPTURE」もリリースされた。

2011年6月の解散から、復活──。この激動のドラマについて、メンバーの口から語ってもらった。

   ◆   ◆   ◆

──ワンマンを無事に終えたみなさんが、どのような手応えを感じられたのかをまずは教えてください。

HIZUMI(Vo):始まってから中盤くらいまでは、やっぱり恐怖感がけっこうあって。喉がイレギュラーでどうなるかわかんないっていう怖さと、最後までちゃんと走りきれるのかな?っていう不安がありましたね。常にそのふたつを頭の片隅に置いた状態で、喉のコントロールもしっかりしながら歌っていく必要があったんで、とにかく精神的にはめちゃくちゃ削がれてました(苦笑)。

──あの堂々たる歌いっぷりからは、そのような状況はまるでわかりませんでした。

HIZUMI:まぁ、でも本人としては心中穏やかではなかった感じです。ただ、後半に行くにつれてだんだん恐怖感もなくなってきて、視界がひらけていったというか。

▲HIZUMI

──確かに、13曲目の「Squall」で解放感が生まれていた印象はあります。

HIZUMI:そうですね。本編後半からは恐怖感みたいなのはなくなっていきました。

──結果、約16年ぶりのワンマンはとてもいいライブになっていたと思いますよ。

HIZUMI:そう言っていただけるならよかったです。

── TSUKASAさんは、先日のライブでどのようなことを感じられましたか。

TSUKASA(Dr):久しぶりにこの4人でやれたことがまずはとても嬉しかったですし、やっぱり約16年ぶりのステージは凄く感極まりました。でも、去年の秋に幕張でやった時(<CROSS ROAD Fest>)よりも緊張の度合いは強かったですね。これはKaryuとも話してたんですけど、当日は朝から気持ち的に張りつめてたところが凄くあって。それに、始まってからもなんか身体が“硬い”感じがしてたんですよ。正直、そういう面では頭の中で体力調整みたいなことを考えてしまうところがありました。僕もHIZUMIくんと同じような感じで、ライブの途中からだんだんと身体もほぐれていって、同時に気持ちも凄くいい状態になれたんです。

──それは何よりでしたね。

TSUKASA:だけど、実はアンコールでMCをした後に手と腿が攣ってしまってたんですよ。それがちょっと個人的には大変でした。とはいえ、振り返ると昔もD’ESPAIRSRAYのライブでは攣ることがよくあったんですよ。それも大体アンコールで。だから、ある意味ディスパのライブとしては定例だったとも言えますね(笑)。

──それだけD’ESPAIRSRAYのライブは、ドラマーにとって激しい負荷を伴うものなのかもしれません。そのような緊急事態をTSUKASAさんはどう切り抜けられたのです?

TSUKASA:力を入れすぎると筋肉が凄く痛み出すので、あえて力を抜いて叩くことで凌げたような感じでした。今後に向けては、なるべく攣ったりしないようにちょっと対策を考えていかないといけないなとは思ってますね。でも、それより何よりあのライブはとても感動的でした。

──Karyuさんにとっての<D’ESPAIRSRAY LIVE 2026「RAPTURE」>は、いかなる1日になりましたか。

Karyu(G):率直に楽しかったです。事前準備がいろいろと大変だったんでで、もうギリギリまで切羽詰まった感じではあったんですけど、その分ライブで全ての想いが弾けたっていうか。楽しみながらやれたな、っていう実感が自分の中で一番大きかったですね。みんなとの距離感も近かったし、幕張の時よりも現実味を帯びた復活が出来たなって思います。

──<CROSS ROAD Fest>は時間が限られていたので、あまりに一瞬のことでしたしね。さすがにワンマンともなると、我々としても“覇者の帰還”ぶりをしっかりと堪能することが出来ました。

ZERO(B):みんなが待っててくれたんだな、っていうことをあらためて感じましたね。SEで登場してから1曲目が始まるタイミングで、イヤモニをしてるにも関わらずあれだけの凄い大歓声が聴こえたのがまず初めてのことだったんですよ。チケットも早めにソールドアウトしてましたし、みんなの期待感をあの一瞬で感じたんで。そこからはもう、異世界に飛び立ちました。

──なおかつ、良い着陸が出来たということなのではありませんか。

ZERO:そうですね。今回はセットリストにも意外な曲とかが多分あったと思うんですけど、そういうのもこの復活=「RAPTURE」 っていう場面に合わせて入れたものだったんで。いろんな意味で、このあいだのライブでは今の一番ベストなD’ESPAIRSRAYをみんなに届けられたんじゃないかなと思ってます。

──思い返しますと、D’ESPAIRSRAYは2010年12月30日に今はなき横浜BLITZで行われた<Human-clad monsters FINAL>をもって活動休止期間に入り、その後2011年6月15日付で解散発表へと至りました。以降はKaryuさんはAngeloとH.U.G、ZEROさんとTSUKASAさんはTHE MICRO HEAD 4N’S、さらにTSUKASAさんは演歌歌手・最上川司としても活躍されてきた経緯があります。また、HIZUMIさんは喉の治療と並行しながら2019年よりNUL.でボーカリストとして復帰されましたよね。そうした中、去年5月にD’ESPAIRSRAYは復活を表明して11月の<CROSS ROAD Fest>で実際にステージへと戻られたわけで、さまざまな紆余曲折を経ての復活はマニアと呼ばれているファンの方々からすると奇蹟に近いものとして受け止められているようにも感じます。やはり、切っ掛けとしてはHIZUMIさんが満を持して「今ならやれる」という心境になられたことが大きかったのでしょうか。

HIZUMI:NUL.で歌い出すようになるまでの8年もそうだったし、NUL.を始めてからも試行錯誤しながら不安材料をひとつずつ削ぎ落としていったんで、そういう積み重ねがD’ESPAIRSRAYの復活につながっていったのは確かなんですけど。自分としては、NUL.の初期の頃のライブが特に大変でしたね。

──NUL.ではMASATOさん(G / defspiral)や岸利至(Programming)さんが、当初はHIZUMIさんのコンディションをかなり考慮しながら作曲やアレンジをしてくださっていたようですけれど、それでもライブで何曲も歌うとなると一筋縄ではいかない時期もあったわけですね。

HIZUMI:ほんとにちょっとずつ、何年もかけながら前に進んでいった感じでしたね。MASATOも岸さんも、喉がどうやったらより良い方向に向かうかなっていうことをいろいろ考えてくれたんで、そこは歌う側からすると凄く助かったし、精神的にも前向きになれる状況を作ってくれたというか。だから、ふたりにはとても感謝してます。

──そういえば。先日のライブではアンコールの最後で「abyss」を歌い出す前、HIZUMIさんは「ここにいるみんなも、今後いろいろ何かを諦めたりしないといけない日が来るかもしれないけど。どうしても生きることだけは諦めないでください」と、オーディエンスに向けて語りかけていらっしゃいました。あれはHIZUMIさん自身がそこまで追い込まれていた時期があったからこそ出てきたものなのでは……と感じてしまったところがあるのです。もっとも、あくまでそれは憶測でしかないのでライブレポートではあえてふれずにおりましたけれど、実際のところについてうかがってもよろしいですか。

HIZUMI:まさにその通りで。そういう時期が自分には何回かありました。あれはその時期を乗り越えたから言えた言葉でもあったし。実際そうしなくて良かったな、って思う自分も今ここにいるんです。この先もそういう状況が訪れるかもしれませんし。あのMCはそんなことを踏まえて言葉にしたものでした。

──意図せずに“何かを諦めたりしないといけない日”に遭遇してしまうケース自体は、誰にでも起こりうる可能性があるわけで。あのHIZUMIさんの言葉からは、強い説得力とあたたかな優しさを感じました。

HIZUMI:今って、昔よりも他者に対しての攻撃がしやすい世の中ですからね。それだけに、ああいう言葉を伝えていくのも自分としては大事にしたい部分だったりします。

▲Karyu

──なお、楽器隊の御三方は2022年以降ボーカリスト・TAKA(defspairal)さんとコラボしたLuv PARADEにて、D’ESPAIRSRAYの楽曲をライブで披露されてきていました。あのような動きも復活への布石であったと解釈することが出来ますが、KaryuさんとしてもいずれはまたD’ESPAIRSRAYで動きたいとお考えでしたか。

Karyu:最初に活動休止を決めた時点から、解散するしないに関係なくずっとやりたいなと思ってましたよ。ただ、現実問題として出来ない状態だったからあの時は解散っていうかたちになりましたが、ようやく復活してこのあいだのワンマンを終えてみて、結局はこれまでの全部があったうえで今ここにつながったんだろうなっていうことも感じてるんですよ。いろんな流れを経て、凄くベストな状態で今を迎えられたんじゃないかなって。

──何事もなく16年前からそのまま継続している未来もあったかもしれませんが、4人がそれぞれ武者修行を経ての今にたどり着いたと考えるならそれは一理ありそうです。

Karyu:あのまま続いてたとしたら、場合によっては違う問題が出てきてたんじゃないですかね。俺は外の世界に出てみて得られたものがたくさんあったし、考え方もけっこう変わったんで、そのうえでの今があるっていうことに凄く大きな意味があるなと感じてます。

ZERO:このタイミングだったんだろうな、っていうことは俺も思います。ディスパが解散してからも結成記念日の9月9日には毎年みんなで集まってたし、常々ずっといつかはやりたいと思ってて、何周年みたいな節目の時には「どうする?」って持ちかけたこともありましたけど、いろんな兼ね合いもありつつでなかなか実現しなくて。でも、あのイベントの話が来たところでHIZUMIが起ち上がって、そこから復活が実現していきましたからね。別に最初はワンマンをやろうっていう話が出てたわけでもなかったけど、ワンマンもやることが出来て、新曲も出せて、この先の予定も決まってて、っていうところまで来るには結局これまでの時間が必要だったっていうことなんじゃないですかね。

── TSUKASAさんは今、このD’ESPAIRSRAY復活という喜ばしい事実をどのように受け止めていらっしゃいますか。

TSUKASA:僕が東京に何しに来たかって考えると、 D’ESPAIRSRAYでドラムを叩くためでしたから。去年<CROSS ROAD Fest>のリハで久しぶりに4人で音を合わせた時、真っ先に思い出したのはそのことだったんですよ。色んな活動でのドラムも思い入れがあってすごく楽しいですが、この4人で音を出すことの意味をこのあいだのワンマンでも凄く噛みしめましたし、ここに戻ってこられて良かったなっていう気持ちと色んな活動で応援してくれている方々と仲間にとても感謝しています。

──かくして、D’ESPAIRSRAYはこのたび2010年の「LOVE IS DEAD」以来となる、16年ぶりのニューシングル「RAPTURE」も発表されました。これは先日のライブタイトルともシンクロしていますし、いちやくライブでも演奏されていた曲となりますが、復活を果たしたD’ESPAIRSRAYが最初に世に出す曲=「RAPTURE」が生まれた経緯とは、どのようなものだったのでしょうか。

Karyu:これはAngeloでもそうだったんですけど、復活のタイミングで発表する曲には新しいアイディアとかメッセージを必ず入れて届けたいなと思うんですよ。だから、そこに関してはD’ESPAIRSRAYも同じでした。あと、曲の作り方っていう意味では前までのD’ESPAIRSRAYとは違った作り方をしていく必要があって、まずはHIZUMIの今の喉のコンディションを把握するためにNUL.のライブを観に行ったり、音源も研究したりっていう事前準備にけっこう時間をかけましたね。方向性の面では「より多くの人が腑に落ちる楽曲って何だろうな?」って当初はちょっと考えたりもしたんですよ。でも、最終的には自分が表現したいことを軸にしつつ、今この4人でやれることを考慮しながら、半年くらいかけて悩みながら作ったのがこの曲です。

──それだけ丁寧に時間をかけて作られているだけあり、この曲にはたくさんの要素が凝縮されているようですね。

Karyu:全員が欲しいと思ってるであろうところが自分の欲しいとこであり、その欲しいものは出来る限り詰め込みましたね。シャウトも欲しいし、リズムもヘヴィにしたい、だけど感動のメロディーもあっていいしっていう。キーを下げるかどうかっていう部分で、一瞬ラップをメインにしてもいいのかなって思ったこともありましたけど、最後は出て来たアイディアたちの良いとこどりをして仕上げていくことになりました。昔からのファンはもちろん、これからのファンも喜んでくれるようなものが作れたかなと思います。

──このあいだのライブでは、HIZUMIさんが「昔のD’ESPAIRSRAYと、新しいD’ESPAIRSRAYの良いところを詰め込んだ作品……って、Karyuが言ってました(笑)」と「RAPTURE」について発言されていましたよね。HIZUMIさんご自身は、この曲にふれた際にどのような感触を得られたのでしょうか。

HIZUMI:すげージャーマンメタルだな!って感じました(笑)。その第一印象から自分的にどう調理していくかっていうのを考えた時に、これを初めて披露するのがワンマンになるということはわかってたんで、詞に関してはその光景を想像しながら書いたつもりではいます。昔からのファン、現在を追ってくれてる人、これから出会う人たちにも伝わる楽曲にしたかったから、わざと昔シングルで出した「REDEEMER」のタイトルを歌詞の中で《I’ll be your Re:deemer》っていう風に使ったりもしてます。

──TSUKASAさんはこの「RAPTURE」に対して、まずどのような第一印象を持たれたのでしょうか。

TSUKASA:イントロのメタル要素が強いんで、自分好みな曲になっててとても嬉しかったんですよね。それと同時にサビのメロディーは凄く訴えかけてるように聴こえたので、これはもうHIZUMIくんの歌詞がいいものになったら、間違いなくマニアの心に届くんじゃないかなっていうことも思いました。聴いててワクワクしたし、ドラムも早く叩きたいなっていう気持ちでした。

──実際にプレイされてみての感触はいかがでした?

TSUKASA:これはレコーディングじゃなくてライブでの話なんですけど、Aメロとかツービートなわりにはちょっとテンポが遅く感じたんですけど、サビでひらけた時になんかとてもしっくり来ました。これからのD’ESPAIRSRAYを感じさせるかのような、広がりのある雰囲気で叩けたと思います。

──ZEROさんは復活第1弾シングル「RAPTURE」について、どのような見解を持っていらっしゃいますか。

ZERO:やろうと思えば、いきなりもっと飛び抜けた進化をみせることも可能だったとは思うんですよ。でも、このタイミングで出す曲はこの先の未来に対してある種のワンクッションになるものだろうなという意識もあったので、Karyuの言う「昔のD’ESPAIRSRAYと、新しいD’ESPAIRSRAYの良いところを詰め込んだ」ものに仕上がったんだと思います。それでも、レコーディングでは自分のサウンドメイクに関しては最新のアプローチをしていったんで、そこはわりと良い挑戦が出来たと思いますね。D’ESPAIRSRAYとしては新しい自分の音をかたちに出来ました。

──前作「LOVE IS DEAD」から16年が経っているとなると、使われた機材も当時とは異なるでしょうし、メンバー個々のスキルも変化していて当然です。今回のレコーディングで最も変化を感じたのはどのような点だったのでしょうか。

Karyu:録り方がまず変わりましたね。最近のバンドっぽい録り方をしてて、基本的にみんなで会ってレコーディングみたいなことはしませんでした。

HIZUMI:昔はスタジオに行って、みんな集まって録ってっていうのが当たり前でしたけど。そこが現代風にアップデートされたレコーディングでしたね。

TSUKASA:ライブでは以前からトリガーを使ってましたが、レコーディングでも使うようになったっていう意味では、今回ドラムの音が昔よりもちょっと機械的なサウンドになって来ている感じはある気がします。「RAPTURE」ではその良さを活かせました。

ZERO:ここまでの16年、人生を歩んできたうえでの変化はやっぱり音にも自然と出ましたね。フレージングとかは自分らしいものだったりしても、サウンドの作り込み方は現代的で新しかったりするんで。「RAPTURE」は今だからこそこういう音になったんだろうな、って思います。しかも、環境的に昔みたいないろんな人がたくさんいる中でレコーディングするのと違って、今のレコーディングは自分だけで完結しないといけないですから。個々が自分の音に対しての責任を持つ能力も、昔より上がってると思いますよ。

Karyu:今の話で思い出したんですけど、昔はレコーディングをよく徹夜でやってたんですよ。帰る時間がもったいないから現場に泊まって、みたいなことも多くて時間だけはかけてたなって(苦笑)。今は自宅レコーディングだから、時間との闘いというよりもひたすら自分との闘いになりましたね。データのやりとりもすぐ出来るし、ミーティングが必要ならオンラインで出来るし、ほんと便利になりました。

HIZUMI:時間効率は上がったよね(笑)。

Karyu:さっき、ZEROが「個々が自分の音に対しての責任を持つ能力」っていう話をしてたじゃないですか。昔は全テイク僕が選んでたんですよ。それが今は各パートに任せる感じになってて、途中である程度のやりとりはするんですけど、個々に任せられる部分が増えたっていうのもだいぶ大きい変化だと思います。

▲ZERO

──D’ESPAIRSRAYは各パートの音が強い存在感を持っている一方、シンセ要素などの取り入れ方にも特徴がありますね。「RAPTURE」における全体的なサウンドメイクで重視されたのは、特にどのようなことでしたか。

Karyu:新しいD’ESPAIRSRAYの音を作りたいっていう気持ちと同時に、昔の要素も出したいなと思ってたので、今回は成田(忍)さんにシンセで入ってもらいました。

──成田忍さんといえば、過去には「Forbidden」や「アベルとカイン」などでアレンジをしてくださっていましたよね。

Karyu:そうなんですよ。今回は僕もシンセを打ち込んだりはしてたんですけど、やっぱ成田さんの要素が入ると当時の感じが凄く出るんです。だから、「RAPTURE」ではそういうところもかなり大事にしましたね。

──承知しました。くわえて、ここからは「RAPTURE」の歌詞についてもう少し詳しくお話をうかがいたいです。先ほどはワンマンライブで初披露する時の光景を想像しながら書かれたということや、昔からのファン、現在を追ってくれてる人、これから出会う人たちにも伝わる楽曲にしたかった、とのお話がありましたけれども。何より、この歌詞はここまでの経緯を知っていると相当にリアルな内容として感じられます。この詞はほぼドキュメンタリーとも言えるのでは?

HIZUMI:言ってることはストレートですね。もちろんディスパの雰囲気とかもあるんで言葉選びとかはそれっぽいものにしてはいますけど。

──「RAPTURE」は今この時に生まれるべくして生まれた歌なのだろうな、ということを聴いていてひしひしと感じます。

HIZUMI:今までのディスパって、一方的に伝えて楽曲を終わりますっていうことが多かったんですよ。だけど、今回の「RAPTURE」で表現すべきなのはそこじゃなかったというか。僕ら自身もいろんなロックバンドからの影響を受けてきて、そこからたくさんものを得てきた中で伝える側になってるわけなので、今度は自分たちが次の世代にそれを伝えていきたいと思うようになったんですよ。だから、「RAPTURE」の詞はバトンを渡した状態で終わらせるっていう結末を選びました。

──ここに込められているのは受け継いで欲しい、という願いでもあったのですね。

HIZUMI:次の世代にちゃんと伝えていかなきゃな、っていう気持ちが自分の中で生まれたっていうのは前との大きな違いだと思います。リアルな気持ちを歌うと感情ものせやすいし、今こういう歌を歌うことが出来て良かったです。

──それから、「RAPTURE」というタイトルについてですが。言葉の意味としては歓喜のほかに、聖書においては再臨の刻を待ちながら永く眠っていた聖徒の霊が復活の身体を与えられること、を指すのだとか。これはいくつかの候補から選んだ言葉というよりも、最初からこの言葉にしようと決めていたものだったことになりそうですね。

HIZUMI:自分としてはもうそれしかない、っていう感じでした。

──バンド内でも全会一致だったのでしょうか。

Karyu:ワード的にも強いし、意味的にも重なるし。一発OKでしたよ。

──D’ESPAIRSRAYというバンド名が、1999年9月9日の結成時に絶望(DESPAIR)と光(RAY)のふたつを組み合わせて提示されたものだったことを考えますと、つくづく「RAPTURE」は深い意味を持った楽曲になっているなと感じます。無念の解散という絶望を経験しながらも、こうして見事に復活を遂げたわけですから、その事実はもう光あふれる希望でしかありません。D’ESPAIRSRAYというバンド名には、当時から言霊なり運命のようなものが宿っていたのでは?とつい思ってしまいます。

HIZUMI:今やっとバンド名に事実が追いついた、みたいな(笑)。

Karyu:僕もいろいろバンドは経験してますけど、役割が多い分やってて一番大変なのはD’ESPAIRSRAYなんですよ(苦笑)。でも、自分にとってはそれが光にもなっているというか、強い希望を感じられるのもD’ESPAIRSRAYで。マジでしんどいけど、そこを乗り超えるとやってて良かったな、って必ず思えるバンドですね。

ZERO:この16年間にやってきたことが全て上手くいったかって言われると、THE MICRO HEAD 4N’Sはボーカルが何回も変わったりしたんで苦労もして来てはいるんですよ。でも、そういう16年間を生き抜いてこられたのは D’ESPAIRSRAYでの経験があったからだと思うし、そう考えると自分にとってこのバンドは原点そのものなんですよね。自分はあんまり感情を表に出すことはないんですけど、ディスパの解散を発表した時だけは本当に泣いたんで。あれが絶望だったとすると、今はまさに光を感じられてるっていうことなんじゃないかと思います。でも、どうなんだろう?バンド名にもしDESPAIRってつけてなかったら、いろんなことを避けられてたんですかね?

Karyu:それはどうだろう(苦笑)。

ZERO:いやー、言葉って怖いなぁ(笑)。

TSUKASA:でも、そういういろんなことがあっても絆があったから今につながったんだと思います。東京に出てきてからの11年間をD’ESPAIRSRAYとしてみんなで過ごしてた中で、いつだったか「メンバー同士で敬語を使うのはやめよう」みたいな話になったことがあったんですよ。それまではそれぞれが年の差を気にして敬語になってたところもあったと思うんですけど、僕はその時に「みんな家族なんだから、敬語は使わなくていいんじゃない?」って言ったんですね。活動休止して離れ離れになっても、1年に1回はみんなで必ず会ってましたし。僕は11年間の想い出を写した写真もずっと家で大事にとってあったんですよ。目に見えない家族の絆はきっとあって、ここに来てまた家族が一緒になれたみたいな感覚を僕は感じてます。しかも、それはマニアのみなさんにも言えるのかなと。

──マニアの方々とも強い絆で結ばれていたということですね。

TSUKASA:自分で言うのもナンですけど、マニアのみんなもずっと待っててくれたような気がしてるんですよ。それも、昔から好きだったっていう人たちだけじゃなくて、まだ観たことない人たちからの「観たい!」っていう声も凄く多かったんですね。僕もこの16年の間にはTHE MICRO HEAD 4N’Sとか、演歌の活動もしてきましたが、それぞれの現場でも「D’ESPAIRSRAYを観てみたい」っていう人たちがたくさんいたので、待っててくれたマニアのみんなの想いに今ようやく応えることが出来てとても嬉しいです。

▲TSUKASA

──今のHIZUMI さんにとって、D’ESPAIRSRAYとはどのような存在ですか。

HIZUMI:自分にとっては、もともとバンドを本格的に始めようって思った切っ掛けのバンドですからね。NUL. とは全く違う感情で始めたものだし、4人で音を出せばすぐに始めた頃と変わらない気持ちに戻れるっていう感覚は貴重だなって思います。人間は年月が経てば経つほど忘れてくものって多いけど、そこの感覚だけは全然変わらないですね。

──さて。来たる12月30日には、KT Zepp YOKOHAMAでの次なるワンマンライブ<D’ESPAIRSRAY LIVE 2026「CLIMAX」>も決まりました。復活から2本目で早くも“CLIMAX”とはこれいかに。

Karyu:当時は12月30日に横浜でライブをやるのが恒例行事でしたからね。今年はそこにクライマックスを持ってくるような活動をしていこう、っていうことでこのタイトルにしたんですよ。わかりやすいかなって。

──ライブの内容についても、既にビジョンは定まっているのですか?

Karyu:バンドとしては、先々のことまで考えた一連の流れの中でやる1本ではありますから。今年になって知ってくれた方や、もともと好きだった人たちが、このあいだの<D’ESPAIRSRAY LIVE 2026「RAPTURE」>を経て、「やっぱ凄いな、また観たい」って思ってもらうところを目指したいと思ってます。季節的にはディスパって冬の曲もけっこうありますしね。このあいだのワンマン以上に奥深い部分を感じてもらえるようなライブにしつつ、来年に繋げていけるようにしたいです。

TSUKASA:このあいだのワンマンには来られなかったっていう方とか、今回のシングル「RAPTURE」を聴いてライブを観たいと思ってもらった方とか、いろんな方たちに来てもらえると嬉しいですね。個人的にはZepp DiverCityでは課題がいろいろ残ったので、それも出来るだけクリアしていけるようにしたいです。

──まずは手足が攣らないことを心より願っております。

TSUKASA:1年の締めくくりですし、更に良いライブにしたいんですよ。ドラミングの繊細な部分に関しても、更に磨きをかけて横浜ではその成果を発揮できたらなと思ってます。

ZERO:解散前、最後の横浜公演も12月30日だったんですよね。横浜と言ってもあの時はBLITZだったんですけど、結果的にあのライブの半年後くらいに急にバンドが終わってしまう、っていう経験をみんなにはさせてしまったので。あの時あの場に来てくれてた人がどのくらいいるかはわかりませんが、まずはその記憶を塗り替えるようなライブをしたいと思ってます。あと、5月のワンマンに関してはチケットを取りたかったけどソールドアウトで取れなかったっていう人たちもいたんで、今年の最後にはそういうみんなにも楽しんでもらえるようなライブをしたいなと思ってます。

HIZUMI:16年前の12月30日は、事実上の解散ライブでしたからね。今度の横浜でのライブは“その続き”なのかなって俺は思ってます。

──ちなみに、5月には<MASKED 2026>や<lynch. presents 「THE VERSUS」>への出演も決まっているそうですが、バンド側としてはより新しい層にもアピールしていきたいという意思から、そのような場にも臨まれることになったのでしょうか。

Karyu:今年に関しては、来たイベントの話はどれも断らない姿勢で行こうと思ってるんですよ。まずはD’ESPAIRSRAYがちゃんと復活したんだ、というのことをいろんな人に知ってもらいたいですからね。

──今やベテランのlynch.でさえ後輩ですし、<MASKED 2026>に至っては1997年に始動したMUCCをのぞけばほぼ全バンドが後輩にあたります。というか、「ディスパが好きでした!」というバンドマンも多そうですが、きっとD’ESPAIRSRAYは容赦なしの姿勢で闘っていくのでしょうね。

HIZUMI:容赦するというのは出演している全バンドに失礼だと思うし、手を抜いた瞬間大事な何かが壊れるでしょうから。全力で挑みます。

Karyu:個人的には<MASKED 2026>に来るような若めの観客層とかが、ディスパに対してどういう反応を見せるんだろう?っていう興味もあるんですよね。パフォーマンスの面ではもっとやりたいなと思っていることもあるし、今後は当時よりもさらに激しい感じでやっていけるだろうから、今この時代にこういうバンドがどういう存在感を放っていけるかっていう部分が自分でも楽しみです。

──D’ESPAIRSRAYは当時も「新しいことやってるバンドだな」と見えていたのですが、先だっての<D’ESPAIRSRAY LIVE 2026「RAPTURE」>では過去の楽曲が全く錆びついていなかったことに驚きました。今の時代にも通用する音楽性なのですよね。

Karyu:そこに関しては他の関係者の方たちからも、そのような意見をけっこうもらっていて、自分たちのやってきたことは間違ってなかったんだなっていう自信になりました。だから、正直どんな若手とも闘えるなって思ってますよ(笑)。

──また、D’ESPAIRSRAYといえば往時から海外展開に対して積極的でしたが、7月にはパリでのイベント<B7 KLAN J-ROCK FEST>に出演されるのだとか。

Karyu:結成初期の頃から海外での活動っていうのは大きな目標としてあるんで、そこも今後はまたやっていこうと思ってます。来年2月には<D’ESPAIRSRAY WORLD TOUR 2027 “REVENANT”>でまず南米に行きます。

──欧米ではよくライブをされていましたが、南米はもしや初ですか?

Karyu:初なんですけど、ずっとオファーはいろんなとこからもらってたんです。ディスパ復活前は海外でライブをしたいって話を、こっちから持っていかないとって感じだったんですけど、今は有難いことに方々から話を頂けてます。

──それだけの前向きなスタンスを踏まえると、リリースも今回の「RAPTURE」の後になにしからは続くと考えて良さそうですね。

Karyu:もちろん。まだ細かい日程だのなんだのは全然決まってませんけど、新しい音源も前向きに作っていこうと思ってます、なので期待しててください。

取材・文◎杉江由紀

◾︎リリース情報
「RAPTURE」
発売日:2026年5月13日(水)
販売価格:¥2,000(税込)
購入:https://store.bitfan.id/despairsray/items/29197

収録曲
M1. RAPTURE
M2. RAPTURE(vocalless)
M3. RAPTURE(guitarless)
M4. RAPTURE(bassless)
M5. RAPTURE(drumless)

・インストアイベント
5月15日(金)HMV大宮アルシェ イベントスペース
5月17日(日)タワーレコード新宿店9階イベントスペース
5月30日(土)タワーレコード梅田NU茶屋町店イベントスペース
5月30日(土)littleHEARTS.大阪店
5月31日(日)タワーレコード名古屋パルコ店 店内イベントスペース
5月31日(日)名古屋fiveStars
7月4日(土)オンラインイベント
詳細:https://despairsray.com/contents/385572

◾︎ライブ情報
<D’ESPAIRSRAY [un]Beautiful 限定LIVE>
2026年9月9日(水)LIQUIDROOM
OPEN 18:00 / START 18:30
※詳細は後日発表

<D’ESPAIRSRAY LIVE 2026 RAPTURE in Hong Kong>
日付:2026年11月21日(土)
時間:18:15 開場/19:15 開演
会場:Portal (1/F, The Burrow, No. 212 Choi Hung Road, San Po Kong, Kowloon)
https://despairsray.com/contents/386023

<D’ESPAIRSRAY LIVE 2026「CLIMAX」>
2026年12月30日(水)KT Zepp YOKOHAMA
OPEN 17:00 / START 18:00
https://despairsray.com/contents/382308

<D’ESPAIRSRAY WORLD TOUR 2027 “REVENANT”>
February 4, 2027 Santiago, Chile @ Coliseo
February 7, 2027 Mexico City, Mexico @ La Maraka
https://despairsray.com/contents/385597

◆D’ESPAIRSRAY オフィシャルサイト