【インタビュー】上木彩矢、バンマスのLedaと語る新曲「Nonfiction」とデビュー20周年と完全復活「やっぱり私は音楽でしか生きていけない」

■屈してはいけないということ
■その思い入れが強い曲になったかな
──“人々よ目覚めろ、時は満ちた”という歌詞に象徴されるように、「Nonfiction」には時代へのメッセージでもありますし、上木さん自身の復活へのメッセージも入っている気がしました。リリックにはどんな思いを込めていますか。
上木:これは言葉を繊細に選ばなければならない事案だと思うんですが、近年はSNSを使って簡単に誰でも発信できる時代になったことによって、良くなった部分もあると思うんです。だけど、そのぶん、埋もれてしまった真実がめくれやすい時代になったのかなと思うんです。
──情報技術の発展とインターネットの普及により、誰もが情報を発信・拡散できる社会構造が、その背景にありますね。
上木:そう。全部が正義の世界というものは存在しないですし、特にエンタテインメント業界のような、個人の能力や努力を仕事にする人たちの世界には、一般常識から逸脱した想像できないようなこともあるんですね。私自身の経験値の中でもそういうことがたくさんありましたし、正義の裏側に隠れている負の面や悪の面に触れることで、ダメになっていくアーティストはたくさんいたと思うんです。もちろんそれはエンタメだけじゃなくて、どんな場所にもあると思うんですが、そういう負の面や悪の面に触れることで一人の人生がダメになってしまうのは、私的にはあってはならないことで。大きな力に屈してしまって、大事な能力を捨てなくてはならなかった人をたくさん見てきて……たぶん自分もその一人だったと思います。でもこうやって生きていれば、ミュージシャン同士もそうですし、スポンサーの方ともそうですし、いろんな出会いがあって道が開けていくことを知ったので。その中で自分が強く思うことは、“屈してはいけない”ということなので、その思い入れがすごく強い曲になったかなと思います。

──まさにこの曲は、“屈するな” “強くあれ”というメッセージを、たくさんの人に届ける曲だと思います。ライブで聴くのが楽しみです。
上木:ありがとうございます。もうすでに大阪公演では演奏したんですけど、衝撃的でした。ライブまで1週間もないタイミングでミュージックビデオをオフィシャルYouTubeチャンネルに公開したんですね。だいたい新曲をライブ初披露する時は、お客様がポカーンとするというか(笑)。どう乗っていいかわからない、みたいな雰囲気が今までは多かったんですけど、今回は最高潮の盛り上がりで、非常に驚きました。そして嬉しかったです。
Leda:本当にその通りで、まさか新曲がライブのハイライトになるとは思っていませんでした。20周年ということで、過去の楽曲もたくさんやる中で、懐古だけではなく新しいフェーズの上木彩矢を待っているお客さんがたくさんいるということが、僕もサポートギタリストながらすごく嬉しく思いました。
──大阪公演のセットリストを見ると、2日間で3分の1ぐらい曲を入れ替えていましたね。今回は、大阪と東京の全3公演で完結するライブということですか。
上木:どちらかというと、東京が本当に20周年を振り返るセットリストになると思います。大阪公演はhillsパン工場という場所でやったんですが、ここは上木彩矢がデビューしたビーイングのGIZAレーベルが経営するライブハウスなんですね。つまり、私が初めて上木彩矢として立ったステージが大阪のhillsパン工場で、レーベルを離れて17年ぐらい経ちますけど、その場所でやる意味を今回非常に強く持っていて。ダメ元で「やらせてもらえませんか」とオファーを出したら快諾していただけたので。インディーズの時に作った曲や、当時あの会場でしかやらなかった曲を、できるだけ多く詰め込みました。

──あらためて、3月14日と15日の大阪公演はどんな2日間でしたか。
上木:1日目と2日目は、太陽と月ぐらい全然違う感じでした。1日目は本当に20周年ライブ初日の教科書通りのような、素晴らしいライブでした。
Leda:いい意味で、ですね。
上木:そう。パフォーマンスする側も、すごく神聖な気持ちでステージに立ち向かいましたし、それを受けてくれるファンのみんなも、20年ぶんの思いを持ってその場にいてくれたので、胸にジンとくるものが多くあったのが1日目かなと思います。2日目の3月15日は、上木がメジャーデビューしたちょうど当日になるんですけど、その日は我々パフォーマーもリミッターが外れたというか、機材トラブルがあったせいもあると思うんですけど、“やるっきゃねえ”みたいな感じになったのがお客様にも伝わってしまったみたいで(笑)。みんなが暴れ回っていましたね。
──まさにライブは生き物、ですね。
上木:最も印象に残った出来事は、ファンクラブ限定のミート&グリートにお見えになった女性の方が、「当時は8歳で、今30歳になりました」と言っていたんですね。本当に20年間の長さと重みを感じましたし、お久しぶりの方には「お互い年取ったね」みたいな感じもあって(笑)。なんと言うか、同窓会な気分でしたね。


Leda:大阪の2日間は、まさに上木さんが言ったような対比のあるライブだったんですけれど、2日とも来てくれた人もたくさんいらっしゃったんですよ。僕たちが2日目に軌道修正するようなところを、お客さん自身もそうしてきてくれたというか。ただ単に懐かしい曲を聴いてエモーショナルな気分になるライブじゃなくて、会場を盛り上げようとするお客さんの姿がすごく嬉しかったんですよね。僕たちのボルテージをさらに上げてくれるような、お客さんに恵まれた20周年記念ライブになっているなと思いました。メンバーもそうですけど、何より上木さんが自信に溢れて、ステージをすごく楽しんで歌唱しているところを横目で見て、“この20周年プロジェクトは成功だな”と思いながらライブをしていました。
上木:上木彩矢のソロライブでヘドバンとモッシュが起きるなんて、20年間で初めてでしたけどね。さすがLedaくんだと思いました。
Leda:いやいや(笑)。
上木:150人ぐらいしか入らないキャパの会場で、“もうどうにでもなれ”みたいに暴れて楽しんでいる姿を、私はステージから見ていてすごく胸がジンとしました。あの時、みんなが本当に懐かしい青春を取り戻している感じがしましたから。







