【インタビュー】上木彩矢、バンマスのLedaと語る新曲「Nonfiction」とデビュー20周年と完全復活「やっぱり私は音楽でしか生きていけない」

上木彩矢の完全復活を告げる歴史的ライブ<AYAKAMIKI 20th ANNIVERSARY LIVE “Return to ZERO” 2026>の東京公演が、いよいよ3月29日に迫ってきた。すでに3月14日および15日に大阪で開催されたライブは大成功を収め、上木彩矢として14年ぶりに発表された新曲「Nonfiction」も絶好調。かつての「ピエロ」「W-B-X」など往年の大ヒット曲に続く新しい1ページが、今まさに書き込まれようとしているところだ。時は満ちた。
BARKSでは上木彩矢の20周年プロジェクトを後押しすべく、独占インタビューを敢行。「Nonfiction」の作曲・編曲を手掛け、上木彩矢バンドのバンドマスター&ギタリストとして活躍するLedaも同席して、新曲やライブなど様々なトピックについて答えてもらった。令和の世に再び咲き誇るロッククイーンの熱い思い、感じてほしい。

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■上木さんは生き様がすべて声になって出ている
■そういうアーティストはかけがえのない存在
──2025年3月に活動再開を宣言してから、熊切あさ美さんの楽曲プロデュース、9月のバースデーライブ<AYAKAMIKI Birthday Live2025 〜 物ノ哀レ、二十六夜月 〜>、そして2026年3月の大阪と東京でのライブ、さらに待望の新曲リリースに至るまで、ここまでひとつひとつ丁寧に活動を積み重ねてきた印象があります。この1年間を振り返るとどんな歩みでしたか。
上木:上木彩矢の復活は2026年の3月で、その準備のために去年1年間を“20周年プロジェクト”のチームの皆さんと共に力を合わせてきた、という流れになります。ただ20周年とは言えども、精力的に動いていたのは最初の数年間しかなくて、音楽活動を何もしていないと言っても過言ではない状況がしばらく続いていたんですが。今回のプロジェクトのスポンサーをしていただいている株式会社オーシャンの荒木さんから、楽天イーグルスの始球式のお話をいただいたのがきっかけで、“全然活動していない上木にオファーしてくれてありがたいな”という思いがありまして。そういうところから、「待っていてくれているファンのために重い腰を上げたらどうか」と提案をいただきまして、その一言がなければ、今こうして取材をさせていただいている世界線もなかったのかもしれないと思っています。
──背中を押す方がいたんですね。
上木:熊切あさ美さんのプロデュースをさせていただいたのも、「新しいことに挑戦してみたらどうか」というご提案をいただいたことがきっかけでした。プロデュースをしながら上木彩矢の作品にどういうふうに具現化していくか?を同時進行で進めていく、いろんな種を撒いた1年だったかなと思います。

──その種が大きな花を咲かせたのが、上木彩矢として14年ぶりの新曲「Nonfiction」です。ヘヴィメタル的な重さとスピード感、キャッチーなメロディを兼ね備えためちゃくちゃカッコいいロックナンバーです。ミュージックビデオも最高ですし。
上木:「Nonfiction」のミュージックビデオは、実を言うと2ndシングル「ピエロ」(2006年発表)のミュージックビデオを撮ってくれたチームで、大野(敏嗣)監督にこちらから熱烈なオファーをして実現しました。わかる方はわかるでしょうし、それを知らなかったとしても楽しめるというか。「ピエロ」をリリースした時は19〜20歳ぐらいで。当時のいわゆるジャパニーズガールズロックというスタイルから20年を経て、今年で41歳になるんですが、“その20年間の人生の歩みと共に、新たな深みが出るロックを具現化したい、映像化したい”という思いがまさにフィットして、両者の対比が生まれたんじゃないかなと思います。
──それを知ってから見ると、さらに感慨深いものがありますね。「Nonfiction」は作詞が上木彩矢、作曲と編曲がLedaのコンビです。どういうふうに二人で作っていきましたか。
上木:以前から、Ledaが持っている音楽の世界観がとても素晴らしいものだと思っていて、彼の作る世界観の中で“こういうボーカルとして歌おう”というビジョンが見えていたので、まずそれを伝えました。それと、上木彩矢の20周年は平坦な道ではなくて、本当に様々なことがあった20年で。ファンの方から「もっと売れても良かったんじゃないか」「もっと活躍する方法はあったんじゃないか」というご意見を頂戴することもたくさんあるんですけども。今の私が思う音楽シーンや、上木彩矢のやるべき音楽というものをLedaに伝えて、「女性ソロシンガーとして、今の日本の中でもう一度ロックを響かせるにはどうしたらいいか?」という相談をさせていただきました。
──それを受けて、Ledaさんは作曲に取り掛かったと。
Leda:実はこの1曲だけ作ったわけじゃなくて、いろいろと楽曲を提案させていただいていた状況があったんです。“いつも新しいことに挑戦したい”と思うのがアーティストとしての常だと思うんですが、上木さんもそうで、「過去の焼き直しではなく新しいものを」というマインドがあったので、そういう楽曲もいくつか作らせていただいたんです。デビュー20周年で14年ぶりの音源を出す時に、新しいチャレンジも大切ですけど、「ここはストレートに上木彩矢を表現する楽曲を出したらどうか」という提案を僕からさせていただきました。上木彩矢を待っている方々が求めているところにボールを投げて、かつそれが新しくて、現代のサウンドメイクとしてのアレンジになっていればいいという。そういうアプローチですね。上木さんのようなタイプのシンガーは令和の時代にほとんどいない天然記念物というか、エアポケットになっているところだと思うんですよね。こんなにパワフルでこんなに気高く、気が強く歌っていくタイプはなかなかいないので、そこを押すべきだなと思って、最終的にこの楽曲をチョイスさせていただきました。

──Ledaさんの超絶ギターソロに上木さんのフェイクが重なり、後半で両者がユニゾンしていくところとか、シビれます。
Leda:上木さんは「ピエロ」の頃から、フェイクを楽曲の中に入れていくところが特徴で、それをひとつの武器にしている楽曲が他にもあるんですね。ポルタメント(音を滑らかに繋ぐ)でフェイクが上がっていくところが上木らしさというか、そこにギターソロを絡めていくアレンジがいいだろうなと思いました。
──そのソロラストの高音域のユニゾンが圧巻で。上木さんのボーカルは、以前より音域も声量も超えているんじゃないか?と思うほどにパワフルです。
上木:全盛期はキーが高いという曲の特徴があったんですけど、ああいう曲ばかり歌っていたので喉も何度か壊したりして。声帯結節ができて、手術をするかしないかという選択を迫られた時もあったんです。結局は手術しないで克服する歌い方を、活動していない間に模索して。チープな言い方ですけど、自分の中では“今が一番、歌が上手じゃないかな”と思っています。上手というよりは、ものすごく開放度が高いというか。それは声だけではなく、心の中にあるプレッシャーや不安が一切なく、全開放できている状態が今の上木彩矢だと思うので、ものすごく楽しいです。そこにLedaのような独創的なギタリストが乗ってくると、ものすごくワクワクしますね。
Leda:上木さんは生き様がすべて声になって出ているところがあって。この令和の時代に、ここまで絶唱して心に刺していくことができるボーカリストはなかなかいないと思うんです。AIが音楽を浸食している時代に、生身の人間が命を削って、喉を削って、言いたいことを歌で刺していくことができる。そういうアーティストはかけがえのない存在だと思うので、ぜひ聴いてもらいたいと思います。
上木:令和の時代にこういうジャンルをやるのは、時代遅れにとらえられることもあるかもしれないと思うんです。今はとても素晴らしい音楽がたくさん溢れていますし、才能ある方が前に出やすくなった時代だと思うんですね。私のデビュー当時は、デビューするまでのハードルがものすごく高くて。SNSとかはもちろんないから、まずライブハウスやオーディションで見つけてもらわなきゃいけないし、もしレコード会社や事務所に所属しても全員がデビューできるわけではないし、デビューしたとしても売れるとは限らない。そういう時代に生きてきた人間からすると、今の時代は才能がある子は自分次第で必ず前に出られるという素晴らしい時代なので、今の音楽も本当に素晴らしいと思うんです。だけど、だからこそこういうロックというジャンルの音楽には消えてほしくないですし、ロックを聴く人が一人でも増えたらいいなと私は思っています。

──「Nonfiction」ミュージックビデオを見て、まるでジャンヌダルクのような気高さとカッコよさを感じました。フラッグを掲げて人々の先頭に立つような女性シンガーは、なかなか現代にはいないと思います。
上木:まさに今回のイメージモチーフとして、ジャンヌダルクをテーマにしていたんですよね。この20年間、“どこかで一度はこのテーマで作品化したい”という思いはあったんですけど、歴史的人物としてあまりにも有名ですし、これまでの上木彩矢のスタイルではトゥーマッチになりすぎるかな?という部分もあったので。でも今こうして40歳になって、いろいろ経験してきたところでやっとフィットしたのかな?と思うので、このテーマを出せたことがすごく嬉しいんですよね。







