【インタビュー】上白石萌音、歌手デビュー10周年YEAR第一弾作品『texte』に積日の記憶と終わりのない研鑽「心から納得して歌いたい」

■あなたは10年何してきたんですか?
■素っ裸になる気持ちで歌いました
──そういう意味で、“自分はやっぱりこういうものに心地よさを感じるんだ” “こういうのも意外と楽しめるんだな”といった気づきは制作中ありましたか?
上白石:自分の声が他の何かと重なった時にすごく幸せを感じるんだなと改めて思いました。「アルデバラン」ではコーラスの方々に参加していただいて。「時をかける少女」や「AUDITION (THE FOOLS WHO DREAM)」のように一緒に録ることはできなかったんですけど、そのコーラスを聴きながら歌ったんです。ここまで分厚いコーラスの中で歌うのは初めてでしたが、歌った時にすごくしっくりくる感覚があって。“一部になりたかったんだ、私は”と気づきましたし、そこに安らぎを感じましたね。でも、逆に、音数が少ないものの中でどう彩っていくかを考えるのも面白くて。みんなでせーので録った時は、「ここではこういう景色が見たい」「じゃあ、ここでこの楽器が入ってくるようにしよう」というふうにアイデアを出し合ったんですよ、そこで私からも意外とアイデアが出てきたので、“私、こういうことも言えるんだ”ってびっくりして。そういう気づきもありましたね。何かの一部になる喜びと、楽曲を彩る色を私もひとつ作ってみるという喜び。両方を感じながらの制作でした。
──アイデアを自発的に出せるようになったのは、いつ頃から?
上白石:ここ2年くらいの話です。
──何か心境の変化があったのでしょうか?
上白石:前回のツアー(<“yattokosa” Tour 2024-25《kibi》>)でピアノの弾き語りをしたんですよ。弾き語りは10年前に少しだけやったことがあるんですけど、みんなで同じクリックを聴いて一緒に音を出すということを初めてやって。それ以降、ミュージシャンの皆さんとコミュニケーションがとりやすくなったんです。皆さんは、小鹿みたいに震えている私にアドバイスをたくさんくださって。私も“楽曲の中のひとつの音なんだ”とより実感して。“できないかもしれない”という壁を自分に課して、人の手を借りながら、イチから学んでなんとか立つ……という経験をしたからこそ、“私もいろいろ言っていいし、言わなきゃダメなんだ”と思うようになったんです。
──なるほど、上白石さんが自ら挑戦しようと決めたんですね。
上白石:「弾きます」と言い出したのは私だったので、“何でそんなこと言ったかな?”とずっと思ってたんですけど(笑)、今となっては言ってよかったなと思ってます。
──楽曲の一部を担っているんだという責任感も増したし、周りのミュージシャンとの絆も深まったと。それがアンサンブルの素敵なところですよね。相手がメトロノームだと、自分が失敗したらズレていく一方だけど、人と人だったらカバーし合うことができる。完璧じゃなくても許容してもらえる感じがあるし、助け合いの精神が自然と芽生えるし、豊かな時間ですよね。
上白石:はい。何かが起きてしまったとしても、みんなで同じ方向を向いて演奏していればちゃんと芸術として昇華される。ネットが一枚張られたような感覚がありますよね。
──ここまで、他者と関わる中で発見した自分についてお聞きしましたが、今度は過去の自分との対話について伺いたいです。「なんでもないや (movie ver.) texte ver.」「変わらないもの texte ver.」のレコーディングはいかがでしたか? どちらも10年ぶりの再録ですよね。
上白石:とっても時間がかかりました。特に「なんでもないや」はすごく時間がかかって。この中で一番歌っている曲のはずなんですけど、だからこそというか……。当時の私はいい意味で余裕がありませんでした。だけど10年経って、いろいろなことが見えるようになったので、歌いながら余計なことが頭をよぎったり、欲が出ちゃったり……。“違う、違う”とそれを削ぎ落とす時間がすごく必要でした。そういう楽曲ですし、削ぎ落として、今のありのままが見えた時にやっと再録した意味があると思っていたので。恐ろしい時間でしたね。
──恐ろしい時間、ですか。
上白石:恐ろしかったです……。普段、自分の曲を聴くことはあまりないんですけど、今回「なんでもないや」を久しぶりに聴いて、“すごくいいな”と思ったんです。曲が素晴らしいのは大前提として、自分の歌い方に対しても“いいな”と思えた。一生懸命で、飾る余裕もなく、でもそれが飾りになっていて。“もう、この時のように歌うことはできないかもしれない”という切なさとともに、当時の自分を認めてあげられたんですけど、その上で“じゃあ、あなたは10年何してきたんですか?”と突きつけられているような、とにかく素っ裸になる気持ちで歌いました。
──本当に素晴らしいテイクです。もしかしたらまた10年後に今回録った「なんでもないや」を聴いて、上白石さん自身何か思うことがあるのかもしれないですね。
上白石:そうですね。それが音が残っていくことの良さだし、時間が経つことの良さでもありますよね。
──アルバムタイトル『texte』に因んだ質問をさせてください。上白石さんにとって、歌は、自分の内側と向き合うための言葉ですか? それとも、誰かと繋がるための言葉ですか?
上白石:内側ですね。以前、ミュージカルの演出家さんがおっしゃっていた言葉が心にすごく残っていて。「ミュージカル作品において、人が歌う時は、自分の秘密をお客さんとシェアしたい時なんだ」「面と向かって言えることは台詞で言う」「“この作品の中にいる人には入れないけど、お客さんには伝えるね”ということを、ミュージカルでは歌にするんだよ」とおっしゃっていたんですよね。それって、音楽全般に言えることなんじゃないかなと。内に秘めていたものを、メロディの力を借りて外に伝える。そんなイメージがあります。なので、心から納得して歌いたいなといつも思ってます。
──先ほど“恥ずかしい” “心許ない”という気持ちがずっとあるという話もありました。
上白石:そういう気持ちがなくなったら楽だろうなと思うんですけど、きっと消えないですよね。それは、人間としても失っちゃいけない羞恥心のような気がしていて。正しいことなんだと思うようにしてます。
──終わりのない営みかと思いますが、だからこそ面白いという感覚もあるんでしょうか?
上白石:はい。上っても上っても階段があって、上ったと思ったら落ちちゃう時もあって。“終わりがない”とどこかで分かっているんですけど、そこに階段があるから上るし、それを楽しんでいるような感覚があります。やっぱり満足することはないと思っていて。「足りない、足りない」と言いながら続けている先輩方を見ると、自分が足りるわけないなと思います。
──10周年のアニバーサリーイヤー、どんな1年にしたいですか?
上白石:とにかく“本当にありがとうございます”という気持ちしかなくて。それを“伝えに行くので、待っていてください”とみなさんに伝えたいです。あと、私は、今でこそ歌うことに関してぐるぐると考えてしまっているんですが、もともと1歳とかの頃から歌うことがとにかく好きでたまらなかったので。その時の無垢さを取り戻しながら、“歌が好きだなあ、楽しいなあ”と思える瞬間が1秒でも長くなるように、必要な準備と鍛錬を積まなきゃなと思っているところです。やっぱりウキウキしていたいなと。そのためにやることはやる、という感じです。
取材・文◎蜂須賀ちなみ


■アルバム『texte』(読み:テキスト)
2026年2月25日(水)発売
購入/配信リンク:https://lnk.to/mone_texte
【初回限定盤 (CD+DVD) 】
UPCH-7793 ¥5,500(税込)
・DVD収録内容:<Mone Kamishiraishi Special Live 105>ライヴ映像+メイキング映像
【通常盤 (CDのみ) 】
UPCH-2291 ¥2,970(税込)
※初回限定盤と通常盤の初回プレスには応募抽選用シリアルナンバー封入
▼CD収録曲
1 BOTH SIDES NOW
映画『コーダ あいのうた』より
2 アルデバラン
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』より
3 時をかける少女
映画『時をかける少女』より
4 AUDITION (THE FOOLS WHO DREAM)
映画『ラ・ラ・ランド』より
5 Swallowtail Butterfly〜あいのうた〜
映画『スワロウテイル』より
6 奇跡のようなこと
映画『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』主題歌
7 変わらないもの texte ver.
劇場版アニメーション『時をかける少女』より
8 なんでもないや (movie ver.) texte ver.
映画『君の名は。』 より

●先着購入特典
・Amazon.co.jp:クリアファイル(A4サイズ予定)
・楽天ブックス:スマホサイズステッカー
・応援店特典:『texte』メッセージカード
※応援店名:https://www.universal-music.co.jp/kamishiraishi-mone/news/2026-02-10/
・UNIVERSAL MUSIC STORE限定ファンクラブ購入特典:特典映像 視聴URL
※ファンクラブ「le mone do」会員かつUNIVERSAL MUSIC STOREで購入頂いた方のみが対象

■<Mone Kamishiraishi “yattokosa” 26《texte》>
3月21日(土) 兵庫・神戸国際会館こくさいホール
open17:00 / start18:00
3月22日(日) 兵庫・神戸国際会館こくさいホール
open16:00 / start17:00
(問)キョードーインフォメーション https://kyodo-osaka.co.jp/
3月29日(日) 神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール
open17:00 / start18:00
4月11日(土) 東京・東京ガーデンシアター
open17:00 / start18:00
(問)ディスクガレージ http://diskgarage.com/
▼チケット
・ファンクラブ会員限定記念グッズ付一般チケット:10,500円
・ファンクラブ会員限定記念グッズ付学割(中高生)チケット:8,500円
・ファンクラブ会員限定記念グッズ付学割(小学生)チケット:6,000円
・ファンクラブ会員限定一般チケット:8,000円
・ファンクラブ会員限定学割(中高生)チケット:6,000円
・ファンクラブ会員限定学割(小学生)チケット:3,500円
・一般チケット:9,000円
・学割(中高生)チケット:7,000円
・学割(小学生)チケット:4,500円
※全席座席指定・消費税込
※未就学児は、一般チケットをお持ちの保護者1名の同伴に限り1名まで入場可、膝上鑑賞
※学割チケットは2025年度の年齢・学年が対象
※ご入場時に身分証明書の確認を行う場合もございます。 学割チケットをご購入の方は学生証や保険証等を必ずお持ちください。
※ファンクラブ会員限定記念グッズは、「オリジナルブランケット」になります。
※ファンクラブ会員限定記念グッズ付チケットをご購入のお客様は、通常のシステム利用料の他に、1件に付き別途送料(950円税込)が必要となります
※ファンクラブ会員限定記念グッズの発送開始は2月中旬以降となります
◯主催企画制作:UNIVERSAL MUSIC / UNIVERSAL MUSIC CREATIVE / WOWOW
◯協力:東宝芸能株式会社
公演詳細:https://yattokosa.com







