【ライブレポート】eill、アジアツアー閉幕「みんなが前を向いて歩き出せるように」

eillのライブに行くと、自然と前向きな気持ちになれる。6月17日、東京・恵比寿LIQUIDROOMで行われた<ACTION ASIA TOUR – FINAL ADDITIONAL>を見て、改めてそう感じた。同公演は、国内6箇所に加えて、台北、香港、バンコク、ソウルを回った<ACTION ASIA TOUR 2025-2026>の追加公演となる本当のファイナル。LIQUIDROOMが大いに揺れた同公演の様子をレポートする。
開演時刻ぴったり、SEに合わせてバンドメンバーがステージ登場し、聞き覚えのあるフレーズを演奏し始めると、eillが姿を表す。「ACTION」でライブがスタート。一気に世界観を作り上げるかのように、楽曲に入り込んで歌う姿が印象的だ。続けて「東京ファイナル、楽しんでいけますか! Let’s go〜」とシャウトして、「FAKE LOVE/」へ。eillはステージの隅から隅まで歩き、客席を覗き込むように歌い、オーディエンスはクラップをしたり、一緒に歌ったり、手を上げたり。その場にいる全員が実に楽しそうな表情をしていた。ここでGANMIが4人で登場。eillが「everybody say!」と声を出すと、会場から〈ハッピーカムカム〉と声が返り、「NEEMIA」が飛び出す。会場はeillの声に合わせて体を揺らし、声を出し、まさにダンスフロアのよう。松浦千昇のドラムソロでさらに盛り上がると、ノンストップで「25」へと続いていく。「まだまだ行くよ、東京!」とeillが声を出せば、クラップが自然発生的に巻き起こる。ここまでの熱狂的な盛り上がりとはまた異なり、グッと洗練された雰囲気が漂う。熱量の質までも自在に操り、オープニングパートを駆け抜けていった。

改めて挨拶をし、アジアツアーから無事帰国したことを報告。「日本、アジアのみんなからたくさん“ACTION”のパワーをもらって、今日はそのパワーを全部このステージに捧げて、みんなに届ける力にしていきたいと思います。ここに来てくれた一人ひとり、誰も置いていかず、みんなのために心を込めて、一生懸命歌を歌っていきます」と宣言した次の瞬間、青の照明がステージに広がる。「フィナーレ。」だ。思わず聴き入っていると、「歌える?」とeill。それに応えるように、〈Wow, wow〉と会場中に歌声が響き渡っていった。温かい空気が静かに流れていたが、それを打ち破ったのは「プレロマンス」。eillはジャンプをしながらクラップを煽り、会場の後ろの方を覗き込むような仕草をすると、手を振りながら歌っていく。それに呼応するように盛り上がるオーディエンスを見ると、eillはどこか満足げな表情で微笑んでいた。再び会場が静まり返ると、美しいピアノの旋律が流れる。eillは手に本を持ち、それを朗読するように「ラストシーン.」を歌い始める。じっくりと噛みしめるように歌を紡ぐと、最後は大きな拍手が贈られていた。
MCでは、前日の<Level Up Club – 1st Meet Up powered by スナックエイル>の話に。カラオケを借りてきて「スナックエイル」を開店したそうで、eill曰く「(国内ツアーでは)一番大きなキャパでライブをしたり、アジア公演では叫んでくれたりしたんですけど、昨日のスナックエイル、私がライブをしてきた中で一番お客さんの声が出てました」。続けて「みんなそんなポテンシャルあったんかーい! LIQUIDROOM、割れるかと思いました(笑)」、「今日実は私お誕生日でございまして。追加公演のファイナルなんで、昨日のうちらには負けてらんねぇぞ!」と話し、会場のボルテージを上げていく。その勢いのまま、「Glitch*」がスタート。同曲は4月1日にリリースされた新曲で、TVアニメ『リィンカーネーションの花弁』(TOKYO MXほか)のオープニング主題歌。アップテンポなダンスチューンで、会場を一瞬でクラブに変えていった。

ここでお待ちかねのゲストパートへ。最初にGANMIが全員で登場し、コラボ楽曲「with U」で会場を沸かせていく。バンドメンバー含め、計17人が乗ったステージはギチギチ。それでも空間をうまく使い、パフォーマンスを完成させていたGANMIには脱帽だ。さらにもう1人のゲストAile The Shotaも加わり、「AGE」へ。さらにギチギチになったステージだが、楽しそうな18人の表情を見ていると、「細かいことを気にしたら負けだ」という気持ちになってくる。eillとAile The Shotaが左右のお立ち台に立って歌い、その間でGANMIのメンバーがソロやユニットでダンスする様子は、音楽のポジティブなパワーを見せつけられているかのような時間であった。そんなお祭り騒ぎが終わったところで、まさかのシークレットスペシャルゲストが登場。まず、☆Taku Takahashiが颯爽と登場すると、会場からは「えー!?」という驚きの声と歓声、クラップが。「miss you」の〈DJ play that music louder…〉の部分が流れ、一層歓声は大きくなる。そこに向井太一も登場し、一段と大きな歓声が巻き起こっていた。eillも「愛してる!」と叫び、“このメンバーといえば”の「tell me tell me」を放つ。2人は肩を組んで歌ったり、飛び跳ねたり……。もちろんオーディエンスたちも大盛り上がり。ボルテージMAXのまま、ゲストパートを終えていった。


その後のMCでは、Ryo’LEFTY’Miyata(Key)が「昨日(スナックエイル)より盛り上がったかも」とぽつり。eillも同意しつつ、来週向井が韓国でワンマンライブをすることを受けて、本来なら「サランヘ!」というところを、「愛してる!」とストレートに愛の告白をしてしまったと語って笑いを誘っていた。さらに「アジアツアーは私の夢の一つだったんだけど、その夢が叶えられました。始めた頃は自分がなりたいものとか、成し遂げたい目標とかも何もなくて。でも、みんなと出会って分かち合う喜びも、悲しみも教えてもらいました」と語り始める。「今日までいろんなことを乗り越えて、いろんなことを自分で選んで、頑張ってきました。でも、周りを見て、自分は何も成し遂げられてないんじゃないかって思う日もある。でも、みんなの人生の主人公はあなたしかいません。あとちょっと踏み出したいとき、勇気をもらいたいとき、いつでも私を呼んでほしい。みんなが前を向いて歩き出せるように、イヤホン越しにエールをいつも送っています。だから、またeillのライブに会いに来てください」と思いを伝えていく。
そして、「ネガティブはポジティブに変えられる。今日まで感じてきた弱さも、いつかあなたを守る心の鎧になって、強さに変わってくれると思います。みんなの明日が光り輝くように。この曲を送ります」と、「SPOTLIGHT」へ。オーディエンス一人ひとりを応援するように、力強く歌を響かせていった。

いよいよ後半戦。「革命前夜」で一気にテンションを上げると、オーディエンスたちも一緒に歌い、ジャンプをして一体感が増していく。そんな光景を目にしたeillは弾けんばかりの笑顔を見せ、実に楽しそうだ。イントロで歓声が上がったのは、「WE ARE」。曲中、eillは「今日まで、みんなが抱えてきた孤独、誰かと分かち合えるものではないかもしれない。人生は時に辛く、世界中に自分の味方なんて誰もいないんじゃないかって思うこともある。でも、隣を見て、前を見れば、みんな孤独と戦っています。みんな一人ぼっちなんです。最後、今日まで抱えてきた弱さも、強さも、痛みも、全部声に変えて、LIQUIDROOM声出せますかー!」とシャウトし、最後は〈WE ARE, WE ARE〉と大合唱。「今、この空間にいる人たちは全員同志なんだ」と思わされた瞬間であった。その熱い思いをさらに盛り上げたのは「ここで息をして」。オーディエンスの手も一段と高く上がったところで、「最高の時間、ありがとうございました!」とラストナンバーの「ACTION」へ。GANMIも再登場し、eillも会場も踊り、熱狂のうちにライブを終えていった。

アンコールは、eillのピアノ弾き語りからはじまる「片っぽ」でスタート。7月3日に新曲「エブリー・サマー」をリリースすることや、グッズの紹介をし、ラストナンバーについて語っていく。いつも支えてくれる友人が生きることに悩んでしまった時に書いた曲で、「そばにいるよって伝えたくて。今のままで大丈夫だよって言いたくて、書いた歌を届けます」という言葉で始まったのは、「曖昧な指切り」。コーラスには、音楽を始めて以来の同志であるシンガーソングライター・てつとが参加。温かなハーモーニーを届けて、笑顔でステージを後にした。
ここでエンドロールが流れる。BGMは「フィナーレ。」。すると、オーディエンスたちは誰からともなく歌い出し、大合唱が会場を包み込む。eill本人の歌とはまた違った、一人ひとりの思いが重なるような温かさが広がっていた。その直後、バースデーケーキ型のメガネと「今日の主役」たすきを掛けたeillが三度ステージに登場。「HAPPY BIRTHDAY 2 ME」を歌い、eillの誕生日を祝っていった。最後の最後まで、eillらしい温かな空気に満ち溢れていたライブであった。
取材・文◎高橋 梓
写真◎tatsuki nakata
eill 20th Digital Single「エブリー・サマー」
TVアニメ『神の雫』第2クールエンディングテーマ
配信日:7月3日(金)リリース
配信URL:https://eill.lnk.to/EverySummer





