【ライブレポート】shallm、ワンマン<No Sweetness Within>で決意表明「一緒に泣いたり、怒ってたりしてあげられるアーティストになりたい」

2026.02.15 18:00

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自ら作詞作曲を手掛けるlia(Vo)のバンドプロジェクトshallmが2月14日、東京・Spotify O-EASTにてワンマンライブ<shallm ONEMAN LIVE ~ No Sweetness Within ~>を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

2025年7月から8月にかけて行われたキャリア初の全国ツアー<shallm 1st LIVE TOUR 2025 一揆>以来、約半年ぶりとなるワンマンライブだ。現在放映中のドラマ『⼈は⾒た⽬じゃないと思ってた。』のエンディングテーマとしてデジタルリリースされたばかりの新曲「chocolate」の初披露を予告していたshallmは、“No Sweetness Within”=“内側に甘さはない”と名付けたバレンタインデー当日の公演で、自身の内側にある本当の感情をダイレクトにバンドサウンドにぶつける熱いステージを繰り広げた。

自身の楽曲を“Sweet”と“Bitter”に分けた2部構成によるライブは、TVアニメ『阿波連さんははかれない season2』のエンディングテーマとして書き下ろしたミドルテンポのラブソング「トワイライト」で幕を開けた。“この先の未来も君と隣を歩いていたい”という甘酸っぱくも切ない願いを込めたフレーズを柔らかく温かい歌声で届けると、TVアニメ『渡くんの××が崩壊寸前』第2クールオープニングテーマ「ふたりぶん」では疾走感あふれるバンドサウンドに自然とクラップが沸き起こり、指占いをモチーフにした「アイ・ラブ・ジェー・ケー・キス・デート」では軽快なビートとメロディが広がり、観客のテンションを上げていった。そして“Sweet”なラブソングを3曲続けた後のMCでliaはこう語った。

「今日は食べるほうのチョコは用意してないんですが、新曲「chocolate」をはじめ、いろんな楽曲たちや想いを持ってきました。世間のアチアチバレンタインムードを超えるくらい熱く熱く盛り上がっていきましょう!」──lia

こう呼びかけると、2023年9月にリリースしたメジャーデビュー曲「センチメンタル☆ラッキーガール」やTVアニメ『姫様“拷問”の時間です」』のオープニングテーマ「まっさかさマジック!」では、高揚感あふれるバンドサウンドに対して、満員の観客からは“オイ!オイ!”という声が上がり、クラップやジャンプ、完璧なコールで応戦し、会場の熱気は一気に上昇した。

「音楽で言うSweetはプラスな気持ちから生まれた曲で、Bitterはマイナスな気持ちから生まれた曲。次の曲は、SweetとBitter、どちらも含んでいる、SweetからBitterへの橋渡しの曲です」──lia

という言葉から、「コンビニアイス」へ。観客ひとりひとりと目を合わせるかのようにフロアを見渡し、「みんな頑張ってるよ!」と声を張り上げた彼女は、「朝、起きれないし、夜は眠れないし、部屋は散らかり気味だし、やらなきゃいけないことを先延ばしにしがちだし。自分の嫌なところや情けない部分を考えて落ち込む日もあるけど、そんなダメダメな自分の小さな頑張りや成長」に対する他愛のない日常の“小さなご褒美”としてのコンビニアイスを題材にした楽曲で観客にしっかりとエールを送ると、liaはステージをあとにした。

バンドメンバーによるインストを経て、ピンクと白を基調にしたワンピースから全身ブラックの衣装で珍しいパンツルックに着替えたliaが再登壇。

視覚的にもSweetからBitterへというコンセプトの変化を提示したliaは、ソリッドなギターとセンチメンタルなピアノが交錯する新曲「chocolate」からドラマ『恋愛禁止』のオープニング曲として書き下ろしたスリリングな難曲「虚飾のキス」という、甘い恋愛を嘘やごまかしで包んだ2曲を続け、終わりの予感が漂う「ハイドレンジアブルー」ではメロディアスでクールなギターとliaの力強いファルセットボイスが絡み合い、張り詰めた空気を醸し出していた。そしてMCでは、ツアータイトルに触れ、会場から温かく大きな拍手が送られた。

「“内側に甘さはない”という意味なんですが、元気だったり、元気じゃない日を繰り返しながら生きてきた半年の中で見つけた、私の中での大切な気づきがあります。それは、Bitterな気持ちを大切に生きてきたんだなということです。普段は表に出さない、ひとりで抱え込みがちなマイナスな気持ち。落ち込んでたり、怒ってたり、悲しんでたり。そんな隠されてしまいそうな感情を言葉や音で伝えたい。一緒に怒ったり、一緒に泣いたりしてあげられるような音楽を作りたいなって、この半年で改めて思いました」──lia

そして、「私をみくびるなって思って書いた曲です」という言葉に導かれた「G2G」からは攻撃的なロックナンバーが立て続けにプレイされた。“旅路は退屈じゃないよな”というフレーズを観客と共有すると、エレキギターのカッティングとボーカルのみではじめた「白魔」で切実な歌声を響かせたかと思えば、「さぁ、まだまだ盛り上がっていきましょう」と呼びかけた「stardust」では声を張り上げて絶唱し、観客の視線を釘付けにした。

インディーズ時代にライブハウスで必ず歌っていた「stardust」について、「その時代から、自分のマイナスの感情から生まれたものを原動力に変えて叫び散らすのが大好きだったのかなと思いました」と明るい笑顔で振り返ったliaは、自身が書いた短編小説とリンクした「閃光バード」を前に、「憧れを持って、新たな一歩を踏み出して飛び立つ曲です」と解説。ステージ後方から眩い光が照らされたロックバラードで、彼女の情感を込めた歌声がまっすぐに胸に飛び込んでくる。半年前とは明らかに歌の力が増している。それは、彼女が音楽をやる目的がはっきりとしたからだろう。“少しでもみんなの背中を押せる曲を作りたい”と書くと平易に聞こえてしまうかもしれないが、liaは本気なのだ。“音楽をやるなら誰かの力になりたい”という思いから発せられる歌声は間違いなく以前に比べ強く潔く、聴き手に響いてくる。

ピアノ伴奏でしっとりと歌い始め、2番から情熱を急かすようにバスドラが入る「if 1/2」、ヘヴィでラウドなロックナンバー「境界戦」を経て、彼女が“特に大切にしている感情”だという怒りをテーマにした「脳内ディストーション」でフロアのボルテージは最高潮に達し、ライブはいよいよクライマックスへ。本編ラストは先のツアーでも最後を飾った「暴動」。liaとバンドメンバー、そして、オーディエンスが自身の内側から湧き上がる衝動に赴くままにジャンプし、拳を突き上げ、声を張り上げながら楽曲を共有し、圧倒的な高揚感ともにライブ本編は締めくくられた。

アンコールでは未発表曲で新曲「何なんですか?」をサプライズで初披露。タイトルにある“何なんですか?”を繰り返す、怒りをポップに昇華した踊れるロックを、笑顔で軽くステップを踏みながらパフォーマンスすると、本公演を振り返ってこう語った。

「これからもっと自分のBitterな気持ちを大切にしていくよ。私は一緒に泣いたり、怒ってたりしてあげられるアーティストになりたいという決意表明のライブでした! 私は心の底からみんなが前に進む活力になればいいなと思って、曲を書いてます。この先も一緒に笑ったり、泣いたり、怒ったり、楽しんだりしながら、人生の中で忘れられない1日というやつをみんなでたくさん作っていきましょう! 私、まだまだやりたいことたくさんあります。みんなに見せたい景色もいっぱいあります。その未来でも、みなさんどうぞよろしくお願いします!」──lia

そう声を張り上げたliaは、前ツアーで披露して話題になった「ゾンビ」で観客のシャウトとクラップを引き出した。優しい甘さと苦い強さ、世間のノイズにも消されることのない衝動を伝播したライブは熱狂の渦の中でフィナーレを迎えた。

シンガーソングライターとしての覚悟と、魂のこもった歌と、バンドサウンドで観客を牽引するライブアーティストとしての著しい成長を感じさせたshallm。この先の更なるステップアップにつながる、意義深いライブだったと思う。なお、サプライズ初披露した新曲「何なんですか?」の詳細は後日発表されるとのことだ。

取材・文◎永堀アツオ
撮影◎蛸島有闘

 

■<shallm ONEMAN LIVE ~ No Sweetness Within ~>2026年2月14日(土)@東京・Spotify O-EAST セットリスト
01 トワイライト
02 ふたりぶん
03 アイ・ラブ・ジェー・ケー・キス・デート
04 センチメンタル☆ラッキーガール
05 まっさかさマジック!
06 コンビニアイス
07 chocolate
08 虚飾のキス
09 ハイドレンジアブルー
10 G2G
11 白魔
12 stardust
13 閃光バード
14 if 1/2
15 境界戦
16 脳内ディストーション
17 暴動
encore
en1 何なんですか?
en2 ゾンビ
プレイリスト:https://shallm.lnk.to/nsw_260214PR