【ライブレポート】R指定、単独公演<神風>開催「R指定の未来は明るいぞ!」

2026.02.14 18:00

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2025年4月に解凍という名の復活を遂げたヴィジュアル系バンド・R指定が、12月26日に神奈川・川崎CLUB CITT’Aにて単独公演<神風>を行った。

本公演は9月に福岡で開催された<凱旋>、10月に大阪で開催された<暴徒>に続くものだが、今回はツアーという位置付けではないので、年内ラストのライヴとはいえどもツアーファイナルというではない。あくまで、川崎でしか見ることのできないスペシャルな単独公演だ。

4月の解凍公演のときもそうだったが、今回もチケットは秒で完売したほど入手困難であり、バンドが復活したにもかかわらず、ステージを観ることのできないファンが圧倒的に多くいたことも記載しておきたい。そんな中、会場に足を運ぶことのできた人たちはとても幸運といえよう。

師走の忙しい時期、平日の金曜日に満員となったCLUB CITT’Aは壮観だった。R指定が活動するうえで大事にしている“ライヴ”、今回は「独裁」から幕を開けた。驚いたのは、パフォーマンスにおける演出だ。ステージ後方に組まれた演説台、およそ3mの高さはあっただろうか。そこからマモ(Vo)がフロアに向かって拡声器を使って歌うところは、もはや一国の王のようであり、曲が進むほどに観客をアジテートしていく。彼の発言は解凍時のライヴよりも説得力を増しており、ここで表現された凄まじい迫力は楽器隊にも良い影響を与えていたように思う。

だからこそ、「玉砕メランコリィ」や「帝都に死す」ではイントロからZ(G)と楓(G)のツインギターがいかんなく個性を発揮していた。R指定は昔からテンポやリズムに非常にこだわって楽曲を作っており、大前提としてマモの歌声を際立出せるのはもちろんのこと、跳ねるような疾走感の中で繰り出される攻撃性を特徴としている。それが点となって表現されるのではなく、すべての音がつながったときにR指定として成立する。だから、ライヴではマモだけでなく楽器隊の演奏技法にも目がいってしまう。

ライヴ前半で驚かされたのはこれだけではない。この後に「ガレキの心臓」が披露されたのだが、この曲が発売されたのは2010年。今から15年前だ。それなのに古さは感じさせず、ジャズを連想させるかのようなメリハリのあるテンポのキープ感が気持ち良い。平成に出した楽曲が、令和になってこうやって成長を遂げたのかと感心する出来栄えだった。

さて、演出面で特筆することが今回のライヴでは多々あったのだが、炎が曲を盛り上げるのに一役買っていたこともお伝えしたい。パチパチメラメラという熱さを表現する音が聞こえてきそうなほど燃え上がった炎をバックに、暗がりのステージの中でメンバーのシルエットだけが浮かび上がった「心中日和」は見事な出来栄えだった。演奏力あるR指定だからこそ、こうした演出でも魅せることができるのだろう。そこからすぐにつなげた「神風」では、宏崇(Dr)のスパークするドラミングに相まって地を這うような低音で曲を盛り上げた七星(B)のベースラインがとても良かった。

「MELT DOWN」にもいえることだが、R指定が描く世界観は強烈でいて残酷。ほとんどの歌詞において美辞麗句を並べない代わりに現実を突きつけてくる。それでもファンが彼らの音楽を支持するのは、そこにリアルがあるから。リアルを実感することで人間は“生”を意識するのだと思う。解凍前に比べてバンドとして説得力が増したのは、“死”よりも“生”が色濃く出てきたからなのかもしれない。それだけに、「病ンデル彼女」や「毒盛る」といった所謂「メンヘラ曲」もいつも以上に表現力の豊かさを感じてしまった。ただ楽しいだけではない、それは今のR指定だ。また、本編を「國立少年-ナショナルキッド-」で締めくくるまで主立ったMCもなく、煽りの文言だけで楽曲を一気に進めていったのも、ひとつの演出として最高だったように思う。

さて、アンコールでは本編とは打って変わって和やかな場面がいくつか見られた。まずはメンバー全員が白いパーカーを着用してラフなスタイルで再登場となったわけだが、マモにいたっては“川崎に舞い降りた天使”と名付けたくなるほどのオールホワイトコーデで観客を魅了した。

まずは「ever sleep」を演奏すると、上空からは雪が降ってくるという素敵な演出が用意されていた。「1日遅れたけど、メリークリスマス!」と言うマモにフロアからは思わず笑みがこぼれる。ポップな中に毒気を含んだ「飴玉」、サビでフロアから起こった合唱に対してマモが「愛してるよ」と優しく返した「喪失-soushitsu-」と続いたあとには、ようやくメンバー全員によるMCが展開された。

「川崎イェーイ! はい、本日は単独公演<神風>へようこそ。ご挨拶が遅れました、R指定です。アンコールですが、2025年のR指定のライヴはですね、今日で最後ということで、ちょっと今日は演説台があるので演説台で喋ります。あんまり変なこと言わないようにしなきゃ、こんなご時世すぐに燃えちゃうんで。ね、日の丸とかバックにあるし、気を付けとかないといけない(笑)。まぁ、あれっすね、日本人の血が僕らには流れてるんで。だから、日章旗を背負う権利はあると思っております」

「2025年R指定最後のライヴということで、我々にとっても皆さまにとっても2026年が良い年になるように、暴れて、暴れて、暴れて暴れて暴れて死んでまいろうと思うんですけど、今日1人で来た人もたくさんいると思います。多分、お前等友達少ないだろうから。まぁでも、今日で2025年R指定最後だから周りをドン引きさせるぐらいに暴れて帰った方がいいと思いますよ。友達だったり戦友だったりと来た人は、今日本性を見せてあげなさい。君たちが本性見せるのってトゥイッター(ツイッター、現X)の裏アカウントかライヴハウスくらいしかねぇんじゃねの?まぁ、あんまり俺がしゃべりすぎてもさ、前回メンバーに振るのも忘れて俺だけしか喋ってなかったから、今日はメンバーにも喋ってもらおうと思うんですけど、どうですかメンバーさん」(マモ)

「ちょっとさ、俺もやらせて(と言って演説台に向かう)。あ、皆さん、川崎CLUB CITT’Aの皆さん、オイッス!(隣にいるマモとギュウギュウになりながら演説台で話す)俺、見たんだよ、さっき。「ガレキの心臓」のときにマモがここに来てしゃがんで水飲んでたの」(宏崇)

「今日、MCなしで雰囲気作ったのにそういういうこと言ったら台無しでしょ」(マモ)

「あはは。俺に喋らせたらダメだね(笑)。今日、俺、後半、全然休みなかったのよ。ステージドリンクってこんなに残るっけ?ってぐらい残ってます。まぁ、年内最後ではございますが、皆さん悔いの残らぬようしっかり暴れて帰って下さい。よろしくお願いします、宏崇でした!」(宏崇)

「もうね、アンコールですが12月26日は実質クリスマスということで、今日はツアーファイナルじゃないし、特別な収録も入ってないのに雪とか降らせちゃいましたね。せめてもの気持ちですが。Zさんどうでしたか? 久々に雪が降りましたが」(マモ)

「メリークリスマス! ハッピーハッピークリスマス! 本当のクリスマスは今日。そのつもりで来たんじゃないの?」(Z)

「クリスマス過ぎて年末ですが、今年はR指定としてすごく動きがあった年だと思うんですよ。凍結からの解凍ということもあり、R指定としては、すごく動きのあった年でしたが、今後のR指定は完結に向かっていくと思うんですよ。何か、解散みたいな言い方になってごめんね。そんなんじゃなくて、今を生きるのも大事だと思うんですけど、どうやって終わるかも同じぐらい大事だと思っていて。何か、忘れられたときが本当の死だっていう言葉もあるし俺もそう思うんだけど、皆さんが俺たちのことを忘れないで生きてきてくれたからこそ、今年死なずにR指定が無事に復活できました。それは心から感謝しています。ありがとうございます。楓さん、今年は解凍しましたけど、どのようなお気持ちですか?」(マモ)

「単純にやっぱり、4月に解凍して今日まで来て、っていうても3本ですか。3本だけど帰ってきたな、だよねって思えるメンバーだし、やっぱりすごく大事な場所だなって改めて思ったし、今日来てくれた皆さま、来れなかった皆さまにも感謝しております。ありがとうございます。」(楓)

「えっと、今、R指定は発表されているライヴが来年4月のZEPP福岡公演のみなんですが、もちろん関東でも大きな公演をやります。2026年5月2日です。俺の誕生日の3日前ですね、これ大事です。2026年5月2日にR指定解凍後、初のホール公演となる渋谷公会堂が決定しました! ありがとうございます、ぜひお越しください。そして、どんな形であれ、来年中には音源なんて出せたらいいなと思ってますし、アノ話の続きも作りたいと思ってますし、ツアーとかもやりたい。たくさんやりたいことがあるんですよ。だから、完結とは言いましたが、美しい終わり方をするためにまだまだ活動していくので今後ともR指定をよろしくお願いします! じゃあ七星さんに来年の抱負など聞いておきましょうか…」(マモ)

「発表後に喋らされるとは思ってなかったですけど、多分、ZEPP福岡しか発表されてなかったけん、関東の人は不安だっただろうけど、楽しみだね。今日もみんな楽しみにしてきたんでしょ? 俺も楽しみで眠れませんでした。来年4月で解凍してから1年か。もう1年かぁ。何か、長い時間一緒に過ごしてきたね」(七星)

「ライヴめっちゃ少ないけどね(笑)」(マモ)

「まあまあ(笑)。いっぱいやればいいってもんでもないし。良い人生にしていこう」(七星)

「R指定の未来は明るいですよね。R指定の未来は明るいんですよ。でも、いつ何が起こるかわからない世界なので、明日世界が終わっても悔いがないように生きていきましょう。2026年も皆さまにとって良い年になりますように。ゴミの……」(マモ)

「ゴミの!?」(宏崇)

「神のご加護がありますようにって言おうとして、ゴミのご加護って噛んだ(笑)。まぁ、2026年も、お前ららしく俺らしく生きていきましょう、いいかい?2025年もありがとなー!」(マモ)

思い起こせば、2020年にR指定は凍結した。ラストとなった両国国技館での単独公演のMCでマモはこう話していた。「R定の今後の方向性をどうしていこうかなって考えたときに、10年間ずっと休まずに走ってきましたが、今、R指定ができることはやり尽くしたかなと。今がすごく最高潮な状態で、これ以上どうやってR指定を表現していこうかって考えたときに、やっぱりそれが思いつかなかったというか。そんな気持ちでR指定を続けても、結局みんなに失礼になるし、自分自身、自分たちもそんな気持ちでR指定をやりたくないというか。だから、ちょっと時間がほしいというか。今まで考える時間がなかったんで、10年間ずっと走り続けてきて休みもなかったし。だから、ちょっと止まって考える時間がほしい。簡単に言えば、ちょっと疲れちゃったというか。少し休みたいなというか」

「変わらないことというか、変えられないことに自分はモヤモヤすることが多くて。シーンのせいにするつもりもないけど、ずっと何か、なぁなぁでズルズルと今のヴィジュアル系シーンの時代が続いていくことにモヤモヤを感じていて。このままやっていても意味あんのかって正直思うときもあったし。だったら、そんなシーン自分で変えちゃえよっていう意見もあると思いますが、変えたいからこそ俺は今この道を選んだし、もしかしたら革命を起こすかもしれないし。でも、期待させるようなことも言えないし、「絶対に会おう」とか「また復活するから」とか、そういう約束はハッキリ言ってできない。でも、この10年間はすごく輝かしい10年間だったと思うので、皆さんには感謝しております。ありがとうございます」

この言葉が浄化される日が来るとは、誰が予想しただろう。それも、華美な映像を使った演出を持ってしてでもなく、フライヤーでの告知でもなく、R指定の主軸であるフロントマンのマモの口から直接、「たくさんやりたいことがあるんですよ、R指定は」ということが聞けただけでもR指定が解凍された意味があると思う。

殺伐とした世界で生きていくためには何らかの形で支えが必要だ。それが自分にとってはR指定だった。そう思うファンはたくさんいるだろう。音源を聴き、次第にライヴに通い、指定女子・指定男子という名前を付けてもらい、R指定のファンでいることに誇りを持ったことで死にたくなるような日常から、ほんの少しだけ自分みたいな人間でも生きていても良いかもしれないという希望を見つけたかもしれない。

だから、救いであるR指定が一度なくなってしまったとき、絶望してしまう子もいるのではないかと不安に感じた。けれども、みんなはこちらの想像以上に5年の間にしっかりと地に足をつけて生きていた。かつて、死にたいと口癖のように呟き、生きることに絶望した少女少年はたくましく成長し、生きる意味を自分で見つけ出していた。彼女/彼の生きる意味、それは、ヴィジュアル系バンド・R指定だ。今日のアンコールでマモが曲中に「R指定の未来は明るいぞ!」と力強く言い放っていたが、指定女子と指定男子が守られる立場から卒業して自立したからこそ、R指定にも良い作用が働いたのかもしれない。ここから先、シーンに革命を起こすためにもR指定とファンのみんなにはとにかく生きて、生き続けて頑張ってもらいたい。

客電が点き、フロアから人が出ていったところで、メンバーはまたしてもステージに現れた。ダブルアンコールで演奏されたのは「八十八ヶ所巡礼」。以前、88ツアーを廻るときに決意の表れとして用意された曲を2025年の締めくくりで披露したことは非常に大きな意味がある。明るい未来に向けて誰ひとり欠けることなく、2026年5月2日渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)の単独公演<明日、世界が滅んでも。>まで突っ走っていってもらいたい。お互いに成長するためにも、R指定の音楽はまだこれからも世界に必要なのだから。

文◎水谷エリ
写真◎ゆうと。

ライブ情報
<R指定単独公演「スーサイド百道-SUICIDE MOMOCHI-」>
2026年4月18日 (土)
Zepp Fukuoka

<R指定単独公演「明日、世界が滅んでも。」>
2026年5月2日 (土)
LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

チケット:https://eplus.jp/r-shitei/

◆R指定 オフィシャルサイト

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