【ライヴレポート】DEZERT、ボーカル・千秋バースデー公演に決意「俺はバンドをずっと続けようと覚悟を持った。続けるためならなんだってします」

2026.03.06 18:00

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DEZERTが、3月2日に東京・渋谷Spotify O-EASTで<一ノ瀬千秋生誕祭’26「無修正。」>を開催した。

毎年恒例の千秋(Vo)のバースデーライヴだが、2026年は<あなたに会いに行くツアー』>全国47都道府県を巡り終えた節目のタイミング。さらに、18日後の3月20日には、バンド史上最大キャパシティとなる幕張メッセ イベントホールでのグランドファイナル<僕らの音楽について>を控えている。バンドにとって重要な局面での開催となった夜に、彼らは何を伝えたのか。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

開演予定時刻を少し過ぎて暗転。SEと歓声をバックにメンバーが登場。黒で統一された衣装の腕には47都道府県ツアー中からつけていたお揃いの腕章がはめられている。本日の主役である千秋が登場すると歓声はひときわ大きくなり、満員のフロアにはいくつもの右手が掲げられた。

ライヴの幕開けを飾ったのは「君の脊髄が踊る頃に」。内臓を思わせる真っ赤なライトがステージを照らし、ドクンドクンという脈打つ鼓動が鳴り響く中、「やべぇ日にすんぞ! いいか!」と煽る千秋。その言葉に応えるよう、オーディエンスも最初からアクセル全開。4人の放つ轟音と疾走感に呼応するよう、頭を振り乱し、身体を激しく折り畳む。その光景を見た千秋は、いかにも満足そうな笑顔で、うんうんと頷く。「もう最高なんですけど、今日もうちょっと深く行こうね!」と呼び掛け、「「変身」」でさらにスピードを上げていく。間髪入れずに始まった「「不透明人間」」では、仰け反りながらデスボイスを超ロングトーンで披露し、熱狂に拍車をかけた。

完全にボルテージが跳ね上がったフロアだったが、その空気を「Dark In Black Hole」がダークに染める。制御不能な苦しみをそのまま音にしたようなMiyako(G)の鋭いギターリフに、SORA(Dr)のズッシリと重たい打音と、Sacchan(B)の生々しくうねるベースが加わり、肌を震わせるほどの迫力を放つ。この曲の<生まれてしまったことがもう間違いだ>という歌いだしも、続く「My Unhappy Life」も、一般的にはバースデーライヴという場に似つかわしくないのかもしれないが、DEZERTというバンドの在り方を示しているようにも感じられた。

少し長い暗転と沈黙ののち、Miyakoと千秋のギターが静かに絡み合い、「明日暗い月が出たなら」へ。<僕が君を愛そうとも 死ねばそこで終わるんだ>と、残酷な世界を傍観するかのように、静かな熱を帯びた声を響かせる。曲のラストでは、千秋がゆらりゆらりと身体を揺らし、寂寥感の漂うフレーズをひとり奏でる。淡いライトがその孤独を浮かび上がらせた。

「僕たち人間なんでね、生きるときも死ぬときも結局独りですが、その過程で誰と出会って、誰に助けてもらい、誰かを助けて、意味もなく死んでいくものです。でも、その意味のないことが、なーんでこんなに楽しいんだっていうのを、僕たちのライヴが伝えているわけでしょ? だったら楽しんだほうがいいじゃない」とライヴや音楽の意義を言葉にした千秋は、「助けてもらいましょう、HAZUKIー! …さん!」と本日のゲストを呼び込む。登場したのは、DEZERTが敬愛するlynch.のボーカリスト・HAZUKI。割れんばかりの歓声の中、HAZUKIが一番好きだというDEZERTの楽曲「「あー。」」をツインボーカルで披露した。まるで二匹の猛獣がステージ上に君臨したかのようなデスボイスの応酬が繰り広げられる。ステージ上で向かい合って<この場所には救いはない>とキラーフレーズを咆哮するシーンは、本公演のハイライトとなった。音だけ聴けばかなりアグレッシブなのだが、当の本人たちは非常に楽しそうな笑顔を浮かべていたのが印象的だった。

ここで千秋が、今回のゲストとしてHAZUKIを招いた経緯を事細かに説明。HAZUKIを誘うことについてメンバーからも背中を押されたこと、SORAから「ぜひ千秋を祝いに来ていただけないか」と誘ったところHAZUKIは「いいよ」と二つ返事で快諾し、千秋に「「あー。」」をリクエストしてくれたことなど、HAZUKIの声真似も交えながら、嬉しそうに話し続ける。そのマシンガントークぶりは、「千秋くん、あの、俺も喋っていい?」とHAZUKIが遠慮気味に割り込むほど。そしてHAZUKIは、今日の開演が千秋待ちで遅れたことや、本番前に歌詞カードを見ながら練習する真面目な一面、コラボ曲の歌割をリハーサルでは完全無視していたことなど、千秋の行動を次々と暴露。フロアが爆笑する中、当の本人は、「しー!」と恥ずかしそうな表情でHAZUKIをたしなめていた。

そんな仲の良さが垣間見える微笑ましい一幕もありつつ、「O-EASTいけますか!」というHAZUKIの煽りから、lynch.の「ADORE」へ。この曲では、千秋がギター&ヴォーカルとして参加。HAZUKIの低く艶のある歌声に、千秋のエモーショナルなボーカルが重なり、特別な一夜ならではの興奮を生み出す。HAZUKIが「今日イチの声出して!」と煽ると、気合いの入った叫び声がフロアのあちこちから聞こえてくるが、千秋は「今日イチは困る!」と思わず困り顔。ヘヴィなサウンドとは裏腹に終始あたたかいムードを保ったまま、会場のテンションを最高潮まで盛り上げると、HAZUKIは「おめでとう! 幕張、頑張ってください!」とデスボイスでDEZERTを激励。爽やかな笑顔を残してステージを去っていった。

再び4人編成に戻ったステージから投下されたのは、本公演のタイトル曲「「無修正。」」。すでにフロアのテンションは十分に高まっていたが、<はい!>のコール&レスポンスでさらに一体感が増し、強烈な熱が渦巻いていく。ポップでキャッチーなメロディに乗せて、観客は高く飛び跳ねる。「変わりたいやつはいるか、俺らはいつだって変わりてぇよ、かっこよく生きるためにな!」という千秋の言葉から「カメレオン」が始まる。力強く駆け抜けるようなプレイで放った音に共鳴するよう、会場には「オイ! オイ!」と激しいコールが響き渡った。ここで千秋は、47都道府県ツアーを回って感じたこと、そして今の心境を語り始める。

「ツアーを通じて、バンドっていいなって思った。ちょっとへこたれても優しいやん。なんでかって多分目線が一緒やから。世の中にはかっこいい音楽やっている人や芸人さんやタレントさんもいっぱいいるけど、どうしても目線はちょっと違うと思う。でもバンドはストーリーがある。結成されて色々なことがあって、ぶれた時期があってもそれがストーリーになる。素晴らしいことにね。同じ目線でやってるからこそ、俺らが落ちてかっこよくない時期がきたとしても助けてくれる。それはバンド冥利につきるので、俺はバンドをずっと続けようと覚悟を持った。続けるためならなんだってします。なので、僕は売れたい。ずっと同じ場所でデートするの嫌やろ? ツアーに行ったり、もっと大きくなったら一緒に海外に行ったりもしたい。ああでもない、こうでもないって一緒に悩んで、同じ目線で同じ景色を見たい。幕張メッセで同じ景色見ましょう。楽しみやね。また一緒に人生歩みましょう」。

まだ見ぬ大きな景色を思い描きながら届けたのは、「あの風の向こうへ」。苦しくても前へ進むのだという決意表明を、今度は音楽でまっすぐに伝える。その凛とした姿は、ロックバンドの根源的な美しさを感じさせるものだった。「俺にあるのは、幸せか、幸せじゃないか、幸せの途中かの3つだけです。その3つで言うと今日は幸せです! これからもっといいことが起きそうな気がします。その分悪いことも起きそうな気がします。そのときは精一杯助けてください。苦しい景色、良い景色、いっぱい見ていきましょう。強くなくてもいいから、良いもの好きなもの見逃さないように、じっと目を凝らすことは続けていこうね。まずはこのステージから」と、優しい表情で千秋が伝え、本編ラストの「「火花」」へ。

「「火花」」はPrime Videoドラマ『人間標本』の挿入歌に起用され、DEZERTが前進したことを象徴する曲でもある。命を燃やしながら音を届ける4人を見つめ、力強く拳を掲げるオーディエンス。その光景には、いまこの瞬間だけの一体感ではなく、これからの人生を共に生きるのだと決意する、強い思いが溢れているように感じた。

アンコールは、バースデーソングの大合唱が始まったり、豪華なイチゴのホールケーキが出てきたりと、バースデーライヴらしい祝福ムードでスタート。しかし、この先に用意されていたのは、“ただただ千秋が暴れたい曲”を集めたという地獄のセットリストだった。「ついてこれるか! あんたと俺たちの一番勝負、よろしくお願いします!」という千秋の言葉から、「脳みそくん。」「メリーさんの自殺未遂」「「死刑宣告」」「doze.」「「秘密」」とノンストップで暴れ曲を繰り出すDEZERT。全身全霊で高速ドラミングを披露するSORAはもちろん、クールな表情のSacchanも前へ出て観客を煽り、Miyakoも激しく掻き鳴らすギターで轟音を放つ。

千秋は「誕生日なんだからもっと楽なセトリがあっただろ!」と自らツッコミを入れつつも、高速でヘッドバンキング。もちろんフロアは熱気に満ちたカオス状態。完全にステージの上と下での体力勝負だ。互いにフラフラになりながらも、最後はDEZERT流の感謝の気持ちを込めた「「切断」」。最後まで轟音と熱のぶつかり合いで極限状態となりながらも、圧倒的な高揚感と幸福感に満ちたフィナーレを迎えたのだった。

誕生日という節目に、かっこつけない本心を伝え、共に生きる決意を露わにした無修正の一夜。それは、3月20日に待つ幕張メッセ公演へのこれ以上ない助走となったことだろう。DEZERTは今、彼らを愛する全ての人の心に寄り添い、人生を背負いながら、一世一代の大舞台へと踏み出している。

文◎南 明歩
写真◎Megumi Iritani

 

◾️<一ノ瀬千秋生誕祭’26「無修正。」>SETLIST
01.君の脊髄が踊る頃に
02.「変身」
03.「不透明人間」
04.Dark In Black Hole
05.My Unhappy Life
06.明日暗い月が出たなら
07.浴室と矛盾とハンマー
08.御法度
09.「あー。」 with HAZUKI
10.ADORE (lynch.) with HAZUKI
11.「無修正。」
12.肋骨少女
13.カメレオン
14.あの風の向こうへ
15.「火花」
EN1.脳みそくん。
EN2.メリーさんの自殺未遂
EN3.「死刑宣告」
EN4.doze.
EN5.「秘密」
EN6.「切断」

■<DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR GRAND FINAL 「僕らの音楽について」>
3月20日(金・祝)千葉・幕張メッセ イベントホール
OPEN 16:00 / START 17:00
(問) DISK GARAGE:https://info.diskgarage.com/
▼チケット料金
・全席指定 7,000円(税込)
・ファミリー席 ※スタンド席 ※3歳以上~15歳以下のお子様が割引対象:大人7,000円(税込)/子供5,000円(税込)
・海外用チケット:7,000円(税込)※クレジットカード決済での受付のみで、チケットは当日会場にて引換
販売URL:https://linktr.ee/DEZERT_Makuhari_1