【ライブレポート】ストレイテナー、着席&ミドルテンポ中心のホール公演<Sad And Beautiful Symphony>でバンドの本領発揮「またいつかやりたい」

2025.12.16 12:00

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ストレイテナーがワンマンライブ<Sad And Beautiful Symphony>を開催した。東西2ヵ所3公演のスケールで行われた同公演は、11月22日に9年ぶりのNHK大阪ホール、12月9日および10日に5年ぶりの東京・LINE CUBE SHIBUYAで実施されたもの。また、本公演ではホールならではの音響と空間を最大限に活かし、着席でミドルテンポの名曲たちを中心に、じっくり味わうことのできる上質なステージが事前予告されていた。同公演よりファイナルとなったLINE CUBE SHIBUYAの模様をお届けしたい。

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「ようこそ! <Sad And Beautiful Symphony>と題したホールワンマンライブに。今日はオールシッティングでやってます。みんなが見やすいように座ってもらってますけど、それ以外は自由に楽しんでください!」──ホリエアツシ(Vo, G, Key)

ホールならではの音響と空間を最大限に活かし、ミドルテンポの名曲たちを中心に、座ってじっくり味わってほしい、というコンセプトのもと、ストレイテナーがNHK大阪ホールとLINE CUBE SHIBUYA 2dayの計3公演を開催した<Sad And Beautiful Symphony>。その3公演目となる12月10日のライブは、観客の大きな拍手がメンバーたちを迎える中、日向秀和(B)のベースに導かれるようにホリエが艶やかな歌声を響かせ、「Our Land」からスタートした。

そこからガツンと鳴らしたギターリフに客席から声が上がった「クラッシュ」に繋げると、バンドの演奏は一気に白熱。さらにたたみかけるようにドラムからなだれこんだファンキーなロックナンバー「MEMORIES」では左右両脇にあるシンバルを豪快に鳴らすナカヤマシンペイ(Dr)の手数の多いプレイに煽られるようにホリエが声を張り上げる。

なるほど。ミドルテンポを中心に座ってじっくりとは言っているものの、動と静の静の魅力だけを味わってもらおうと考えているわけではないことは序盤の3曲から明らかだった。“じっくり”というのは、ストレイテナーが信念を持って作ってきた曲の良さに改めて耳を傾けてほしい。そして、スタンディングのライブでは前の人の頭に隠れて、見えないことが多いメンバーそれぞれのプレイにも目を凝らしてほしい、ということだったんじゃないか。裏を返せば、その自信はあるということだろう。

確かに、序盤の3曲でも見どころはいくつもあったと思うが、日向の変態的…いや、アクロバチックな指使い、これぞオルタナの真骨頂と言えるOJこと大山純(G)によるギタープレイ、振りかぶるようにドラムを叩きながら、曲によってはミドルテンポの演奏にブラストビートも交えるナカヤマのダイナミックなドラミング、そしてアコースティックギターを含め計5本のギターを曲ごとに持ち替えたホリエの音色に対するこだわりを視覚的にも楽しめたのは、オールシッティングのホールライブならではだった。

序盤の3曲に続いて、胸を焦がすメロディーを持つギターポップナンバー「Graffiti」から「CLONE」「AGAINST THE WALL」と繋げ、横ノリのグルーヴも自家薬籠中の物としていることを改めて印象づけると、ホリエがピアノを奏でながら、「放物線」から「雨の明日」「SIX DAY WONDER」とバラードを立て続けに3曲、それこそじっくりと聴かせていく。そして、そこから観客をさらに深い世界観に誘い込むように幻想的な歌を、ぐっとテンポを落として、轟音の演奏に落とし込む「メタセコイアの月」を披露。同曲を配信リリースしたときのシングルのジャケットに使った画を、バックドロップにアニメ映像化して映しながら、4人が繰り広げた渾身の演奏が観客を圧倒する。その光景はオルタナロックバンド、およびライブバンドとしてのストレイテナーの面目躍如という意味で、この日のハイライトだったと言ってもいい。

その演奏が終わった瞬間、緊張から解き放たれ、はっと我に返ったように声を上げて拍手する観客に、さらに大きな声を上げさせたのが、ホリエとOJのギターがジャキジャキと鳴る「走る岩」。ストレイテナーの他の曲にはない無骨なメロディー感を持つ、この轟音ロックナンバーを前回のツアーで久しぶりに演奏してみたところ、観客の反応が予想していた以上に良かったため、10月リリースの最新音源『Next Chapter EP』に再録バージョンが収録されたことはBARKSインタビューでも語られたとおり。観客の反応を目の当たりしたナカヤマが快哉を叫ぶ。「「走る岩」、人気あるね!」──そこから軽快なギターポップナンバー「COME and GO」に繋げ、観客に手を振らせる。

「1階席! 2階席! 3階席! ぎっしり、ありがとうございます!」とホリエが客席に声を掛け、「たいしたもんですよ。平日に2daysなんて、偉くなったもんです。いや、僕らは偉くない。偉いのはみんな。平日にこうやって予定を合わせて来てくれるんだから」と続けた中盤のMCコーナー。この日はオールシッティングということで、ストレイテナーにとって初のホールワンマンだった2006年のNHKホール公演や2007年にカサビアンのオープニングアクトを東京国際フォーラムで務めた時の思い出話も交えながら、いつもよりも長めにメンバー4人のざっくばらんなトークを楽しませた。

OJがパワーコードのリフを閃かせ、ロマンチックな「My Rainy Valentine」から始まった後半戦は前半戦同様に、洗練されたメロディーを持つ、いい曲を作り続けてきたバンドの矜持を改めて印象付けながら、それに加え、曲の振り幅も楽しませていく。

胸に染み入る曲の良さとピースフルなメッセージに観客が聴き入ったギターポップナンバー「Next Chapter」からバンドが持つ加速の良さをアピールするように繋げたアップテンポの「羊の群れは丘を登る」。そこからホール映えを含め、この日のセットリストの核だったのかもしれないドラマチックでエモーショナルなロックナンバー「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」を繋げたところでライブはクライマックスを迎える……と思いきや、ステージの4人はさらにEDMをバンドサウンドに落とし込んだ「Skeletonize!」を投下。煽情的に鳴るシンセのフレーズとともにエネルギッシュなダンスロックサウンドを炸裂させ、クライマックスにふさわしい熱気を作り上げる。日向のスラップ奏法はもちろん、OJの付点8分ディレイを使ったメズマライジングなギタープレイも聴きどころだった。

そして今一度、この日のライブのテーマに立ち返るように2017年に秦基博と共作したピアノバラード「灯り」から、「Uncertain」「スパイラル」と、ともにキャッチーな魅力も持つギターポップナンバーに繋げ、ライブは本編のエンディングを迎えたが、バンドは最後の最後に観客と一体感を作ることも忘れてはいなかった。

「アンコールぐらい立ちましょうか」──ホリエに促され、立ち上がった観客にバンドはアンコールとしてさらに「The Novemberist」「冬の太陽」という、ともにファンの間で人気の高い2曲を披露。観客のシンガロングとともに演奏を終えると、2026年5月から、全国8ヵ所のライブハウスを回るワンマンツアー<STRAIGHT SONGS TOUR>を開催することをスクリーン上で発表して、観客に歓喜の声を上げさせたのだった。

「<Sad And Beautiful Symphony>もまたいつかやりたい」とこの日、ホリエは語っていたが、今回、セットリストに入れられなかったミドルテンポの名曲はまだまだあるし、ファンからしても、聴きたい曲はまだまだあるはずだ。「これ(見やすさも含めたオールシッティングの心地よさ)を知っちゃったら、次のホールから大変」「みんなも僕らも歳をとっていくから、今後、こういうライブも増えていきそう」とメンバーたちは冗談めかして語っていたが、シリーズ化しそうな予感も!? ミドルテンポの名曲たちに改めてスポットを当てたことには大きな意味があったと思うし、バンドも観客も大きな手応えを感じていたと想像する。<Sad And Beautiful Symphony>、ぜひともシリーズ化してほしいと最後に付け加えておこう。

取材・文◎山口智男
撮影◎AZUSA TAKADA

 

■<Sad And Beautiful Symphony>2025年12月10日(水)@東京・LINE CUBE SHIBUYA セットリスト
01 Our Land
02 クラッシュ
03 MEMORIES
04 Graffiti
05 CLONE
06 AGAINST THE WALL
07 放物線
08 雨の明日
09 SIX DAY WONDER
10 メタセコイアと月
11 走る岩
12 COME and GO
13 My Rainy Valentine
14 Next Chapter
15 羊の群れは丘を登る
16 SAD AND BEAUTIFUL WORLD
17 Skeletonize!
18 灯り
19 Uncertain
20 スパイラル
encore
en1 The Novemberist
en2 冬の太陽

 

■<STRAIGHT SONGS TOUR>
▼2026年
5月19日(火) 神奈川・KT Zepp Yokohama
open18:00 / start19:00
1Fスタンディング / 2F指定席
(問)ホットスタッフ・プロモーション 050-5211-6077
5月30日(土) 北海道・札幌PENNY LANE24
open16:00 / start17:00
1Fスタンディング
(問)WESS info@wess.co.jp
6月06日(土) 大阪・Zepp Namba
open16:00 / start17:00
1Fスタンディング / 2F指定席
(問)GREENS TEL 06-6882-1224
6月07日(日) 愛知・Zepp Nagoya
open16:00 / start17:00
1Fスタンディング / 2F指定席
(問)ジェイルハウス 052-936-6041
6月13日(土) 広島 CLUB QUATTRO
open16:00 / start17:00
1Fスタンディング
(問)YUMEBANCHI(広島) 082-249-3571
6月14日(日) 福岡 DRUM LOGOS
open16:00 / start17:00
1Fスタンディング
(問)キョードー西日本 0570-09-2424
6月20日(土) 宮城・SENDAI GIGS
open16:00 / start17:00
1Fスタンディング / 2F指定席
(問)ジー・アイ・ピー https://www.gip-web.co.jp/t/info
7月12日(日) 東京・Zepp DiverCity
open16:00 / start17:00
1Fスタンディング / 2F指定席
(問)ホットスタッフ プロモーション 050-5211-6077
▼チケット
1Fスタンディング:6,000円 (税込 / D代別)
2F指定席:6,500円 (税込 / D代別)
※未就学児入場不可
【テナモバ最速先行受付】
受付期間:12月10日(水)20:45~12月21日(日)23:59
受付URL:https://tenamoba.jp/page/sst_fJ8MKiHn/

 

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