【ライヴレポート】Zilqy、1stライヴ<Start The Fire>開催。2026年秋に1stフルアルバム発表も「私たちは自由を一番追い求めたい」

2025.12.15 20:00

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Zilqyが、1stライヴ<Start The Fire>を2025年12月10日、東京・代官山SPACE ODDで開催した。

Toki(G / Aldious)、Miho(B / LOVEBITES)を擁する日本発の“Global All Female Metal Band”の登場は、始動を告げるインフォメーションの時点から、SNSを中心にメタルファン、ラウドロックファンを騒然とさせた。チケットは即ソールドアウト。予想以上のチケット争奪戦を勝ち取ったフロアいっぱいのオーディエンスは、シーンを揺るがすであろう新しいバンドの1stライヴを目に焼き付けるべく、開演前よりステージに強い眼差しを向けながら待ち侘びていた。

定刻を少し過ぎた頃、高鳴るエレクトロビートに合わせて、Kano(Dr)、Miho、Tokiがステージに登場する。歓声に迎えられながら最後にAnna(Vo)が現れ、それぞれが持ち場につくとシーケンストラックが響き、Kanoの威勢のよいフィルインで、Zilqyのアンサンブルが世に放たれた。1曲目は1st EP『Vacant Throne』のリードチューン「Carry On」だ。

伸びやかなAnnaの声がどこまでも突き抜けていく。どっしり構えるMihoのグルーヴも、艶やかなシルエットから繰り出す鮮やかなプレイのTokiも、キャリアに裏打ちされたスキルと貫禄を感じるステージングを魅せていくが、多くの目と耳を奪ったのはKanoのドラムだ。低めにチューニングされたスネアを軸に刻まれるリズムは一切の迷いがなく、精確で図太い。何よりもその音の大きさに圧倒される。

「We are Zilqy〜!! 今日は最後までぶちかましていくんで楽しんでいってね!」

けたたましく鳴るシーケンスを背にAnnaが声をあげると、「Disguise」に突入。お立ち台に身を乗り出しながら挑発的に歌を乗せていくAnna。斜に構えたような低音の声から、一気に開放されていく高音の伸び、表情豊かな声色の使い方から、指先でオーディエンスの熱を掌握するパフォーマンス…ボーカリストとして、フロントマンとして放つオーラが凄まじい。彼女はこれでライヴステージに立つのが2017年以来というのだから驚きだ。

「今日、私たち4人めちゃくちゃ楽しみにしていましたが、みなさんどうですか?」

大歓声で応えるオーディエンスを前に満足げな笑顔を見せるAnna。「早速、新曲を」と言って届けられたのは、凶暴なヘヴィリフと撃ち乱れるバスドラ、そしてマイナーメロディが退廃的な雰囲気を醸すニューメタルチューン。早くも『Vacant Throne』からの進化を感じさせる楽曲である。

「Zilqyに加入するのを躊躇していた」というAnna。その中で、背中を押して勇気づけてくれた中学の後輩がいたことを明かす。本来であればこのライヴに来てくれるはずだったのに、急に自分の声が届かなくなってしまったという彼女へ捧げるように、「今日四十九日を迎えるミアのために次の曲を歌いたいと思います」そう言って、丁寧に歌い始めたのは「Bleeding Love」。激情的な楽曲展開と感情的な4人の音が猛り狂う。

「“Zilqyの初ライヴ行ったよ!”って、みんなが自慢できるように突っ走っていくんで、応援よろしくお願いします!」とToki。「EPの曲だけじゃ足りない」ということで、Annaのルーツであり、Zilqyとして初めて制作したというParamore「Hallelujah」のZilqy Ver.を披露。原曲イメージを損なうことなく、Zilqyらしさで昇華した見事なカバーを聴かせた。そのまま幽玄な世界をいざなうような新曲を続けた。

「ようやく自分のバンドでベーシストとしてステージに立てることが嬉しいです」とMihoが口を開き、「“99割”は知ってくれているであろうメタル曲」と、フロアの笑いを誘う言い間違いから、Tokiの奏でる妖しいリフへ。ロックファンなら“9割”は知っているそのギターリフにフロアから大きな声があがった。Annaによる選曲、Metallica「Enter Sandman」である。これもまた原曲をほぼ活かしたものであるにもかかわらず、妖艶なZilqy節になっている。最後の転調するアレンジ含めて、その力量に感服。

「私が拳をあげたら“Hey!!”って返してくれる?」とAnnaの扇動で始まったのは、「Cannonball」だ。Annaが考えたという、このフロアとの掛け合いと躍動感に溢れたZilqyのビートが会場全体を揺らした。禍々しいシーケンスに始まり、アグレッシヴなKanoのドラムが暴れ出す。ラストに贈られたのは「Realize」である。加速するエッジィな狂騒がフロアを制した。

フロアから沸き上がる「Zilqyコール」に迎えられたアンコール。本日2度目の「Carry On」は、「シーッ」と歓声を静止したAnnaのアカペラで唐突に始まった。彼女の音感とオーディエンスをねじ伏せるボーカリストパワーを前に我々はひれ伏すしかない。全10曲1時間足らずのステージであったが、Zilqyの存在感と演奏力を魅せつけるには充分の1stライヴだった。

ライヴのあと、音楽雑誌『BURRN!』の広瀬和生編集長の進行による公開記者会見が行われた。ステージ後ろのビジョンにはリモート参加の海外メディアの記者陣が映し出される。“Global All Female Metal Band”に相応しい、ワールドワイドな雰囲気だ。

1stライヴを迎えた喜びを口々に語る4人を中心に進行していく。通訳を介さずに流暢な英語で気持ちを伝えるAnna。ライヴでのエネルギッシュなプレイとは裏腹につたない言葉で気持ちを伝えるKanoの表情も印象的だ。この日のライヴチケットが即完につき、急遽前倒しで発表された2026年3月からのツアー<Rise to Liberation>をあらためて告知。さらに、秋には1stフルアルバムのリリース予定があることも明かされると、大きな拍手と歓声に包まれた。

「アメリカのブッキングエージェントと契約することになりました!」

さらに「世界水準であるバンドとして動いていますか?」という広瀬編集長の問いに、Annaが意気揚々と答えた。そして、Dynamic Talent InternationalのCEO、Trevor Swensonがリモートのビジョンに映し出される。Zilqyについて「音楽もメンバーもマネジメントも、すべてがいい」と語るTrevor。「まだスタートしたばかり。これからが楽しみ」と期待を寄せた。

各国記者からの質問。「現代のメタルに何を付け加えたいか?」という問いに、「メタルの枠にありながら日本人らしいセンスを入れてZilqyらしいものを作りたい」と答えたMiho。「初めてZilqyの音楽を聴く人に何を感じてほしい?」という質問に対して、「今度のツアータイトル<Rise to Liberation>は“自由に向かって立ち上がる”という意味なんだけど、昨今の情勢的に言論の自由が脅かされるような状況にいるんじゃないか。そこに対して私たちは自由を一番追い求めたい。私たちの音楽を聴いて“自由であっていいんだ”、“自分たちらしくあっていいんだ”と思ってくれたらいいな」と英語と日本語で熱く語るAnnaの言葉に、大きな拍手が巻き起こった。

お互いの良いところを語り合うなど、終始和やかな雰囲気で行われた記者会見。最後の最後でTokiが、「Annaちゃんのこと、好きすぎてキスできるわ。そしたら“私もできる”って返された(笑)」と思わぬほっこりエピソードが飛び出し、大団円。音楽だけでなく、4人の人間性、キャラクターの魅力が存分に伝わる内容であった。

初ライヴとは思えぬ貫禄を魅せつけてくれたZilqy。世界が羨むほどの“Global All Female Metal Band”になってほしい。いや、この4人の女王ならなれるはずだ。

文◎冬将軍
写真◎Victor Nomoto – Metacraft

◾️<Zilqy Tour 2026 「Rise to Liberation」>

2026年3月22日(日) 神奈川 新横浜 New SIDE BEACH!! OPEN 17:15 / START 18:00
2026年4月4日(土) 愛知 名古屋 ell.FITS ALL    OPEN 17:15 / START 18:00
2026年4月5日(日) 大阪 OSAKA MUSE   OPEN 17:15 / START 18:00
2026年5月3日(日) 東京 渋谷 WWW   OPEN 17:00 / START 18:00

▼チケット
料金:スタンディング 6,500円(税込) 
※税込・整理番号付・ドリンク代別

チケット先行受付:〜2025年12月16日(火)23:59
https://eplus.jp/zilqy/

■1st EP『Vacant Throne』
2025年11月5日(水)リリース
配信:https://zilqy.bfan.link/vacant-throne

【完全限定盤】DCCA-165 4,950円(税込)
・特殊スリーブ仕様
・24P ブックレット付き
※完全限定盤はMAVERICK STORE のみにて購入可能
MAVERICK STORE https://www.maverick-stores.com/zilqy/
一般流通盤:DCCA-166 2,750円(税込)

▼CD収録曲 ※完全限定盤/一般流通盤 共通
01.Carry On
02.Disguise
03.Bleeding Love
04.Cannonball
05.Realize

◆店舗別特典
・タワーレコード:ランダムポストカード(ソロ全4種よりランダム1枚)※アナザーアー写
 https://tower.jp/item/7035020
・HMV:ポストカード(集合1種)
 https://www.hmv.co.jp/en/artist_Zilqy_000000001006108/item_Vacant-Throne_16256522
・disk union:ランダムブロマイド(ソロ+集合の全5種よりランダム1枚)
 https://diskunion.net/metal/ct/detail/1009112866
・Amazon:ミニステッカー(集合1種)
 https://www.amazon.co.jp/dp/B0FSCDVTG8
※画像はイメージです。実際の商品とはデザイン・仕様が一部異なる場合がございます。
※特典は数に限りがございますので、なくなり次第終了となります。各CDショップ・オンラインショップ商品ページにて特典の有無をご確認ください

◾️<Zilqy Debut EP『Vacant Throne』 リリース記念イベント>

・東京(新宿)
日付:2025年12月27日(土)
時間:12:00〜 ※集合時間 11:45
会場:タワーレコード新宿店9F 店内イベントスペース
内容:CDジャケットサイン会
※メンバーは私服での参加となります。
イベント詳細 https://tower.jp/store/event/2025/12/055006z

・東京(渋谷)
日付:2025年12月28日(日)
時間:12:00〜 ※集合時間 11:45
会場:タワーレコード渋谷店5F 店内イベントスペース
内容:私物サイン会
※メンバーはアー写衣装での参加となります。
イベント詳細 https://towershibuya.jp/posts/220175

・大阪
日付:2026年1月12日(月・祝)
時間:13:00〜 ※集合時間 12:45
会場:タワーレコード梅田NU茶屋町店 店内イベントスペース
内容:CDジャケットサイン会
※メンバーは私服での参加となります。
イベント詳細 https://tower.jp/store/event/2026/01/096003

・名古屋
日付:2026年1月12日(月・祝)
時間:18:00〜 ※集合時間 17:45
内容:CDジャケットサイン会
※メンバーは私服での参加となります。
イベント詳細 https://tower.jp/store/event/2026/01/015003Zilqy