【ライブレポート】ACIDMAN、ツアー<This is ACIDMAN>セミファイナルに祝祭感「ようこそ、我が街 川越へ」

3月20日の愛知・名古屋公演よりスタートした<ACIDMAN LIVE TOUR “This is ACIDMAN 2025”>が7月18日、埼玉・ウェスタ川越公演でセミファイナルを迎えた。
2021年10月に結成25周年/メジャーデビュー20周年を記念して初開催し、回を重ねながら5年目を迎えた<This is ACIDMAN>は2025年、全10公演の全国ツアーへと拡大。そのファイナルとして開催される公演が10月26日、7年ぶり7度目となる日本武道館だ。
日本武道館を前にしたこのセミファイナル公演の地・川越は大木伸夫(Vo/G)の出身地でもある。それもあってか、3階席まで埋まったホール内の雰囲気は和やかでフレンドリーなムード。曲の合間でメンバーへと呼びかける観客の声もにぎやかで、<This is ACIDMAN>をここで体感できる喜びや祝祭感が会場を明るくしている。


各公演のセットリストを事前発表し、そのうち1曲は楽曲投票でその公演だけの曲が演奏されるのが<This is ACIDMAN>でもある。ギターを奏で、語りかけるような歌が会場に響く「EVERLIGHT」でスタートしたこの日は、前半から眩さを増していくようなアンサンブルと、照明および映像の演出とで、観客のボルテージを上げていった。観客の声を大きくさせた「夜のために」から、イントロのギターフレーズと共に歓声が上がった「FREE STAR」では早くもミラーボールがきらめく。パワフルな浦山一悟(Dr, Cho)のドラムとエネルギッシュにプレイする佐藤雅俊(B, Cho)のベースに、一斉に観客の手とコールが上がって多幸感が広がった。
「ようこそ、我が街・川越へ」と大木はここで改めて挨拶し、1階席から3階席までの観客の顔が見えるように会場内を照らしてもらいながら、「自分が生まれ育った大好きな街で、こんなに多くの人に来てもらえるのは嬉しい」と顔をほころばせる。そして「ひとりひとりの人生に寄り添うライブにしたい。最高のライブにしましょう」と、続く「白と黒」からはさらにディープな世界を3人の音で編み上げていった。



ジャジーでいて感情がバーストするようなボリューム感のあるアンサンブルが幻影的なライティングに映える「白と黒」、アドリブ的なイントロダクションから詩情豊かに歌心を紡いでいく「赤橙」。続く「アルケミスト」では、MVをよりドラマティックに仕立てた映像とともに、壮大な物語を3人による饒舌な音楽で表現していった。ライブという迸るエネルギーで会場を一体化する迫力があるのはもちろんだが、音楽と映像と照明とで一人ひとりを深く没入させるようなマジカルな空間があるのもまた、この<This is ACIDMAN>の魅力だ。重厚なイントロと共に、目の前の光景が切り開かれて銀河へと吸い込まれていくような映像が会場を飲み込んでいった「innocence」は圧巻だった。
中盤のMCでは、先ほど演奏した「innocence」のMV撮影をしたのがここ川越で、大木が子どもの頃にも通っていたプラネタリウムのある川越市児童センターこどもの城で撮ったという思い出話も語った。所縁ある地で演奏する「innocence」には、この日ならではのノスタルジアも入り混じるのだろう。エモーショナルな余韻が会場を包むなかで、ここからは普段はなかなかライブで披露しない曲が並んだ。


まずは2006年発表の12thシングルおよび5thアルバム『green chord』収録の「プリズムの夜」、2005年発表の9thシングルおよび4thアルバム『and world』収録の「季節の灯」が続く。ここではじっくりと曲と3人の演奏にスポットが当たるようなステージを展開。淡々と時を刻むようなビートとベースライン、柔らかに憂いを帯びたボーカルが冴えるメロディによる「プリズムの夜」は、ストリングスが入って色づくように熱を帯びていく間奏パートからの後半で、のめり込むように聴き入っていた観客の体温が上がるのがわかる。
アコースティックギターによるジェントルなイントロで会場内に静謐なひと時をもたらした「季節の灯」では、観客はその歌はもちろん、各楽器の繊細なフレーズも味わい尽くして、美しく尾を引く音が消え入ると同時に大きな拍手を送った。

後半へと折り返す曲は「風追い人(前編)」。2013年リリースの9thアルバム『新世界』収録曲で、大木が敬愛する坂本龍一がピアノで参加したインストナンバーだ。2023年に坂本龍一は亡くなってしまったが、作品はこうして生き続けること、音楽を通してより近く感じることができることを語って、披露された。同楽曲のMV(映像作品)を背景に放たれたサウンドは、ひとつの命が生まれゆくドラマを細やかにもダイナミックにも音楽で描いていく。
さらに、大木が祖母の死を受けて曲を書いたというMCを経て演奏したのが「愛を両手に」だ。サウンドトーンは異なるが、「風追い人(前編)」も「愛を両手に」も、受け継いできた命をしっかりと生きること、その重みと温かな体温が描かれた。スクリーンには縦書きの歌詞が映し出され、大事な人たちへしたためた手紙のように歌って演奏された同楽曲に拍手が沸いた。そこから「ALMA」へ。人生が折り重なっていくような愛の尊さが響きわたると、大きく長い喝采が会場に満ち溢れた。



各公演で楽曲投票を行ない、それぞれ違った曲を演奏しているリクエスト曲だが、このセミファイナルの川越で選ばれたのは「migration 10 ⁶⁴」(アルバム『equal』収録曲/2004年発表)だ。浦山の「ワン、ツー、スリー!」の掛け声でスタートした同曲がグルーヴを上げていく。この“10の64乗”とは不可思議を表すもの。無数の奇跡が重なり、ここでこうして出会えていること、ACIDMANの音楽を見つけてくれたことへの感謝を述べた大木は、「いくぞ!」と声を上げて「輝けるもの」からグッと馬力を上げてラストへと駆け抜けていく。
特に歌心に溢れた今回のセットリスト中盤は、じっくりと音の細部までも味わう流れとなったが、この「輝けるもの」を起爆剤として本編ラストへ向かう熱量は凄まじく、観客は再びハンドクラップして拳を振る。「ある証明」では、佐藤も拳を振り上げながら、ステージの先端へと躍り出てプレイし、観客のコールを大きくしていった。曲の終盤での爆発的な大木の叫びに、観客もまた声を張り上げる。上の階の席からも声が降ってくるような叫びが上がって、会場の興奮もマックスだ。

そして、本編ラストに演奏されたのは、2024年リリースのロックバラード「sonet」。曲に入る前に大木は改めて、こう語った。
「僕の生まれた街に、こんなに集まってくれてありがとうございます。皆さんのおかげでライブがやれています。皆さんのおかげで生きることができています。また、ライブで会いましょう」──大木伸夫



美しいきらめきを持った前奏から、会場には再びライブの始まりのときのようなブライトさや、高揚感が満ちていく。ライブとしてはここで締めくくられるが、この「sonet」という曲が持つ生命の息吹とそのエネルギーは、その先への希望が眩しく光っているようだった。
そして鳴り止まないアンコールに応え、おなじみの「Your Song」を披露して幕を閉じた<ACIDMAN LIVE TOUR “This is ACIDMAN 2025”>セミファイナル。ACIDMANはここから、各地の夏フェス出演を重ね、10月26日、いよいよ7年ぶり7度目の日本武道館ファイナルを迎える。今回、初めて全10公演のツアーとなった<This is ACIDMAN>=“これぞACIDMAN”を表すライブが、日本武道館でどのように展開されるのか期待が高まるばかりだ。


取材・文◎吉羽さおり
■<ACIDMAN LIVE TOUR “This is ACIDMAN 2025″>7月18日(金)@埼玉・ウェスタ川越 SETLIST
01 EVERLIGHT
02 夜のために
03 FREE STAR
04 白と黒
05 赤橙
06 アルケミスト
07 innocence
08 プリズムの夜
09 季節の灯
10 風追い人(前編)
11 愛を両手に
12 ALMA
13 migration 10 ⁶⁴
14 輝けるもの
15 ある証明
16 sonet
encore
17 Your Song

■<ACIDMAN LIVE TOUR “This is ACIDMAN 2025”>ファイナル
10月26日(日) 東京・日本武道館
open16:30 / start17:30
▼チケット
A席:8,500円
学割(スタンド席):5,000円 ※高校生以下対象
詳細:http://acidman.jp/special/thisisacidmantour2025/
(問)SOGO TOKYO 03-3405-9999

■13thアルバム『光学』
2025年10月29日(水)発売
予約リンク:https://acidman.lnk.to/kougakuWE
【初回限定盤(CD+Blu-ray)】
TYCT-69356 / ¥7,040(税込)
※デジパック仕様
※初回プレス分のみ:封入特典(①「第2回壇上交流会」参加券 / ②後日発表)
【通常盤(CD only)】
TYCT-60252 / 税込¥3,520
※紙ジャケット仕様
※初回プレス分のみ:封入特典(①「第2回壇上交流会」参加券 / ②後日発表)
▼CD収録内容 ※初回限定盤 通常盤 同内容
01 光学 (introduction)
02 アストロサイト
03 go away
04 輝けるもの
05 sonet
06 白と黒
07 feel every love ※9/12先行配信
08 1/f (interlude)
09 青い風
10 龍
11 蛍光
12 光の夜
13 あらゆるもの
▼Blu-ray収録内容
『scene of 光学』
・「輝けるもの」Music Video
・「白と黒」Music Video
・「sonet」Music Video
・Documentary2023-2025

■トリビュートアルバム『ACIDMAN Tribute Works』
2025年10月29日(水)発売
予約リンク:https://acidman.lnk.to/tribute_worksWE
【CD only】TYCT-60253 / 税込¥3,520
※初回プレス分のみ:封入特典(①「第2回壇上交流会」参加券 ②後日発表)
▼CD収録内容 ※全13曲収録
01 ELLEGARDEN 「アイソトープ」
02 ストレイテナー 「world symphony」
03 東京スカパラダイスオーケストラ 「to live feat LEO (ALI)」
04 the band apart 「夜のために」
05 じん 「Rebirth」
06 jon-YAKITORY 「輝けるもの (Remix)」
07 downy 「風、冴ゆる」
08 10-FEET 「赤橙」
09 SOIL&“PIMP”SESSIONS 「at」
10 yama 「季節の灯」
11 THE ORAL CIGARETTES 「migration10⁶⁴」
12 BRAHMAN 「SILENCE」
13 Dragon Ash 「ある証明」


■『feel every love』歌唱動画投稿キャンペーン
▼応募方法
(1). ニューアルバム「光学」より、「feel every love」のラスサビ(02:45頃〜 60秒以内)を歌唱した動画を撮影。
※撮影いただく動画は60秒以内に収まるようご用意ください。
※歌唱の際にインスト音源をご使用いただく場合は、各音楽配信サービスにて配信中のインスト音源をご確認ください
https://acidman.lnk.to/feeleverylove_cpWE
(2). ハッシュタグ「#ACIDMANとステージ共演」をつけて、対象となるSNSへ自身のアカウントで動画を投稿。
・対象SNS:X, Instagramリール, TikTok, YouTube Shorts
※Instagram, TikTok, YouTube Shortsにご投稿いただく際は、「feel every love (サビver.)」または「feel every love」(02:45頃〜60秒以内)の公式音源の紐付けをお願いいたします。
(3). 応募規約を必ずご確認ご了承いただいた上で、必要事項をフォームに入力し送信。
▼募集期間
2025年11月9日(日)23:59 まで
▼審査の流れ及びスケジュール
SNSでの動画投稿による1次審査と、対面またはオンライン対面による最終審査の2段階で選考を実施いたします。
〜11月9日(日):1次審査応募期間(動画投稿)
11月中旬:1次審査結果のご連絡
11月22日(土):最終審査(対面@都内某所 or zoom 審査)
12月上旬:最終審査結果のご連絡
12月07日(日):「ACIDMAN 13th ALBUM「光学」全曲初披露ライブ」 リハーサル&本番(大阪・Zepp Osaka Bayside公演)
12月20日(土):「ACIDMAN 13th ALBUM「光学」全曲初披露ライブ」 リハーサル&本番(東京・Zepp Haneda公演)
※審査過程、ライブリハーサル、ライブ当日の各会場までの交通費や宿泊費等は全て自己負担となります。あらかじめご了承ください。
詳細:https://www.universal-music.co.jp/acidman/news/2025-10-22/
■<ACIDMAN 13th ALBUM『光学』&『ACIDMAN Tribute Works』同時発売記念イベント・宴>
開催日程:2025年10月31日(金)
open18:30 / start19:00
会場:都内某所(会場はご当選者の方のみご案内いたします)
内容:トークイベント
出演:大木伸夫(ACIDMAN)、ホリエアツシ(ストレイテナー)、荒井岳史(the band apart)
※料理・フリードリンクのご提供あり
詳細:https://www.universal-music.co.jp/acidman/news/2025-08-22/
■13thアルバム『光学』リリース記念トークイベント
日時:2025年11月7日(金)
open19:00 / start19:30
場所:タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO
※集合場所:1F階段前
出演:ACIDMAN
内容:トークイベント
対象商品:『光学』
詳細:https://www.universal-music.co.jp/acidman/news/2025-10-06/
■<ACIDMAN 13th ALBUM『光学』全曲初披露ライブ&第2回壇上交流会>
12月07日(日) 大阪・Zepp Osaka Bayside
12月20日(土) 東京・Zepp Haneda
open16:00 / start17:00 / ライブ終了 18:30
壇上交流会スタート 19:00 ※予定
▼チケット
1Fスタンディング / 2F指定席 ¥6,500(税込)
学割(1Fスタンディング / 2F指定席) ¥4,500(税込)
関連リンク
◆<This is ACIDMAN 2025> 特設サイト
◆ACIDMAN アルバム特設ページ
◆ACIDMAN アルバム特設ページ(レーベル)
◆ACIDMAN オフィシャルサイト
◆ACIDMAN MOBILE
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◆<SAI2022 PHOTO EXHIBITON -online-> 特設サイト







