【ライブレポート】双極スペクトラム、24時間ライブ&100kmを“素顔”で完走。メンバー&ファンとの絆を深めた1日

双極スペクトラムが<24時間ライブ~あなたのこと教えて~>を新宿WALLYにて開催した。
20日の16時前からスタートしたライブは、日を跨ぎ24時間の中で6幕のステージと合間の特典会で構成され、その裏ではメンバーの誰か一人が会場の外でマラソンを走るというスペシャルなもの。会場のスクリーンではマラソンの中継が行われ、メンバー全員の様子を常に見ることができる。24時間ライブの開催は今年で4回目、ライブの裏でマラソンを行うのは3回目となるが、ランナーの順番を毎回ルーレットで決めるルールの導入やアカペラ披露など、新たな試みを取り入れパワーアップされていた。

第1部では、法被衣装のメンバーが登場すると「すっごい楽しい」からスタート。ここからの24時間へのワクワク感が募る会場で、元気いっぱいにオープニングを飾る。開始早々から始まるマラソンについて「一昨年は10km、昨年は20kmマラソンを行ったので、走るイメージは出来てます!(常震るな)」「しっかり睡眠をとってイメージトレーニングをしてきたから大丈夫です!(麻田ちひろ)」と、意気込みが語られた。「今年はマラソンのランナーを決める方法にも工夫を凝らし、画期的な機械を作りました」と、スタッフ手作りのルーレットが登場すると、じゃんけんで勝った赤色時雨がメンバーカラーで区切られた円盤を勢い良く回す。
白色に止まるも、さくま(さくま)からは「右回りにまわってたのに、円盤が止まりそうになったら反対方向にちょっとだけ動いて白に止まったんだけど……これ、おかしくない(笑)?」と、すかさず抗議の声が上がり検証。すると、2回目も3回目も白色に止まり、会場からはどっと笑いが生まれた。ルーレットのやり方を変更しようと作戦会議が始まり、話し合いの結果まわっている円盤に目を閉じたメンバーがダーツを刺すという方法に決定。
こうして5km×20回で襷を繋げる100kmマラソンのトップバッターは麻田ちひろに決まった。ランナーはすぐに「100kmリレーマラソン挑戦中!」と書かれた黄色のチャリティーTシャツに着替えなければならない。祭の掛け声が楽しい「バクアゲ仏」の曲中で着替えを終えた麻田ちひろが再びステージに登場すると、襷を掛け「行ってきます!」と笑顔で手を振った。

ステージでは「オオカミ男と月兎」から4曲続けて披露。メンバー同士で肩を組んだりアイコンタクトを取ったりしながら息の合ったステージを見せた「きゅーとぴあ」、前後左右にモッシュが巻き起こった「tetora,」と、会場を盛り上げていく。「景気づけとして、次の曲では一緒に走りましょう!」と田嶋はるが告げ、赤色時雨のタイトルコールから始まった「盲目信教BANBAN罪」ではメンバーがフロアに降り、ファンと一緒にサークルモッシュを繰り広げた。10曲目の「Chu-in trip realize」で麻田ちひろがマラソンから帰って来ると、ルーレットをまわし、襷は常震るなへ。外は雨が降っており、びしょ濡れで帰って来た麻田ちひろだが、そのまま「デジタルタトゥー・ミーイズム」に参加。最後は「今日のライブはオタクの声がすごく出ていて良いと思います!24時間、みなさんの声が力になるので、よろしくお願いします!さぁ、みんなで頑張っていこう!」と、禊が活を入れた。

第2部では、現コンセプトの宇宙衣装で登場。まずは「きゅーとぴあ」をいつものライブ通り披露。その後は音楽なしでメンバーの歌に合わせ「きゅーとぴあ」の振り付けをレクチャー。そして、TikTok撮影が行われた。マラソンは1人30分程で、1部と2部の間の転換時間もずっと続いていたが、今のところランナーは被ることなく順番にまわってきている。TikTok撮影後は、マネージャーの佐藤がセレクトしたセットリストで3曲披露。マラソンから帰って来たばかりの田嶋はるが曲間で煽りを挟み、ソロパートで力強く歌い上げると、会場からは拍手が起こった。盛り上がる曲としっかり魅せる曲が散りばめられた絶妙な曲順でライブ全体の空気が締まり、1部、2部ともに90分のステージがあっという間だった。
第3部では、全身タイツ&エプロン姿で登場したメンバー。人気TV番組を模したバラエティ企画が行われた。マネージャーの佐藤がポケットマネーで事前に購入した商品をメンバーが選び自腹でお支払い。全19点の商品の中には高額商品が隠れており、メンバーは1人3点の購入が必須というルールだ。運営とメンバーとの真剣勝負。だが、スタートしてまもなく、状況は大きく動く。1巡目2番手の禊が早くも最高額となる11万円の指輪を選んでしまい、その場でお支払い。会場は大いに盛り上がったが「え!?この指輪が11万もするの?いやいや、あり得ないでしょ!」と困惑し、大きなダメージを負った。

その後は全員がさらに慎重に買い物をすすめ、300円以内の商品を順調に選んでいくが、最終的に高額商品がたくさん残ってしまい、田嶋はるが2万8000円のイラストボード、さくま(さくま)が1万円の財布、そして禊が高額商品2つ目となる1万7000円のボールペンを購入することとなった。マラソンから帰ってきて途中参加となった赤色時雨は、禊の指輪を見て「18金じゃん、これ。そりゃ高いよ!」と目利きの能力を活かし、最後の2択も華麗にパス。売れ残った5万円の眼鏡はマネージャーの佐藤のもとへ返された。なかなか高リスクの企画ではあるが、その分メンバーのキャラクターや意外な特技を知ることができ、会場の盛り上がりは絶好調だった。
第4部では、メイド姿のメンバーが登場し「神と下克上」からスタート。勢いがありフロアから大きなメンバーコールが上がる。「モトムポエム、エゴイズム」のファンとの掛け合いも楽しい。MCでは前日のライブの振り返りや楽屋での様子、ツアーでの思い出などが語られた。マラソンの距離はちょうど折り返し地点。まだランナーに選ばれていないさくま(さくま)がコール&レスポンスの役割を担うも「双極、最高!お寿司、美味しい!」という自由過ぎるコールにメンバーから次々とツッコミが入る。


そんなアットホームな空気とは対象的に、「醜形矯正シンドローム」から曲を再開すれば、たちまちキレのあるダンスを披露。満員の会場でペンライトがリズムを刻んでいく。多彩な曲が連なるなか、その後のMCでは双極スペクトラムの曲の作詞を手掛ける楚歌をステージに招き、再び軽快なトークが繰り広げられた。
第5部は、毎年恒例の自主制作ドラマの放映から幕を開けた。ストーリー構成は主にさくま(さくま)が考え、撮影や編集にも時間をかけ準備したドラマ。スクリーンの中のメンバーの動作一つひとつに会場からは大きなリアクションが沸き起こる。だがそれは、アイドルのライブで飛び交う黄色い声ではなく、大爆笑や悲鳴であったことは双極スペクトラムにしか成せない技だろう。映像はドッグフードや昆虫を食べたりケツバット対決をしたりと、身体を張ったアイドルらしからぬ過激な内容も多かったのだが、そこから面白い展開に繋がっていく。
放映が終わるとすぐにメンバーがステージへ登場し、ドラマと同じ設定で台詞の掛け合いが行われ、マネージャーの佐藤の指揮のもと「新宝島(カバー曲)」のアカペラを披露。メンバーが歌い出すと、意外な展開とメンバーの真剣な様子にファンからは「お~すごい!」といった声が上がった。今回が初披露となるアカペラは完璧ではなかったものの、すごく練習して挑んだことは、会場にいる全員に伝わったはずだ。しかしその後の台詞の順番をメンバーが間違え、会場は再び笑いに包まれる。

真剣なパートとボケをかますパートが交互に訪れるライブに中毒性を感じ始めた頃、再びステージに呼んだ楚歌がメインボーカルを務めるなか「醜形矯正シンドローム」が届けられた。その後は楚歌を交えて「絶望メンブレガール」、禊と田嶋はるで「サクライロメモリー」、赤色時雨による「救済バタフライ」、さくま(さくま)、麻田ちひろ、常震るなの3人による「バクアゲ仏」など、チームごとの曲も楽しむことができた。
マラソンとライブパフォーマンスでメンバーの脚にも疲労が溜まっているなか、ラストの第6部では、大縄跳び100回連続チャレンジと、曲被りNGの全曲くじ引きチャレンジという過酷なミッションが残されていた。全員が苦しい状況にも関わらず、連続でランナーを務めることになった田嶋はるに向けて、「たいま(田嶋はる)が、大繩めちゃくちゃ苦手なんですよ。で、あいつ今ほんとうに頑張ってるから、マラソンから帰って来る前にみんなで大繩100回クリアして、楽させてあげましょう」と、禊。その言葉にメンバーは大きく頷き、ファンからも拍手が送られた。

大縄跳びが始まると、回数をカウントするファンの掛け声と縄の音が会場に響く。途中、70回を超えたところで縄に引っ掛かってしまったときは、そのままステージに倒れ込むメンバーたちだったが、その後何度もチャレンジし、最後はなんとか100回をクリア。メンバー同士で抱き合いながら喜ぶシーンに、会場は盛大な拍手と感動に包まれた。しかし、ここから持ち曲全30曲を披露するステージが待ち受けており、曲の間にメンバーの苦労話や悩み相談を挟みながらライブをさらに盛り上げていく。
ファンが選ぶ双極スペクトラムの好きな曲12選も披露され、最後までペンライトの光も掛け声も絶やすことなく間髪入れずラストスパートをかけ、一体感も最高潮に。残り時間僅かのところでラストのランナーが麻田ちひろに決定すると、みんなの心配を撥ね退けるように「ラストの美味しいとこ、もーらい!」と軽快に出発し、会場からエールが贈られた。最後の力を振り絞ってコールで煽りながら、「バクアゲ仏」を歌い上げ、「今年も24時間ライブ、そして双極スペクトラムを応援してくださり、本当にありがとうございました。来年も、もっと楽しくなるように工夫するので是非来てください」と、挨拶をした。マラソンのトップバッターとアンカーを務めた麻田ちひろは、ステージのフィナーレこそ間に合わなかったものの無事に完走を果たし、100kmマラソンは達成された。こうして、4時間半に渡る第6部、24時間ライブは幕を閉じた。

「あなたのこと教えて」というタイトル通り、このライブで、普段は分からないメンバーとファンの姿にたくさん出会うことができた。会場のネット回線トラブルにより開演前から忙しなくスタッフ陣が動いている最中、本番前にも関わらず冷静に対応したり、疲労困憊で走れなくなったメンバーの代わりにランナーを務めたり、前向きな発言や温かい言葉、笑顔を絶やさなかったり、そしてファンのみんなも声援を贈り続けたり。綺麗に整えられた完璧なライブではなく、「素顔」を曝け出し全力で走り抜けた24時間。双極スペクトラムの成長、メンバー同士やファンとの絆が深く染み込んだ襷は、2026年3月26日、Zepp Shinjukuにて開催予定の5周年記念ワンマンへと繋がれる。
写真◎上野宏幸 LINKSOLU Inc.
文◎藤代冬馬 LINKSOLU Inc.
[SET LIST]
LIVE1
01.すっごいたのしい
02.バクアゲ仏
03.オオカミ男と月兎
04.星に願いを
05.きゅーとぴあ
06.tetora,
07.盲目信教BANBAN罪
08.本格中華君攻略法
09.絶望メンブレガール
10.Chu-in trip realize
11.デジタルタトゥー・ミーイズム
LIVE2
12.きゅーとぴあ
LIVE3
(曲なし)
LIVE4
13.神と下克上
14.あのね
15.去りし日に咲く
16.モトムポエム、エゴイズム
17.醜形矯正シンドローム
18.バクアゲ仏
19.ラブホテルを抜け出して
20.オオカミ男と月兎
21.ガポワポ
22.救済バタフライ
23.Call of Destiny
24.愛情欲求シンドローム
LIVE5
25.新宝島(Cover/アカペラver)
26.醜形矯正シンドローム
27.絶望メンブレガール
28.サクライロメモリー
29.救済バタフライ
30.バクアゲ仏
LIVE6
31.きゅーとぴあ
32.すっごいたのしい
33.去りし日に咲く
34.絶望メンブレガール
35.オオカミ男と月兎
36.盲目信教BANBAN罪
37.ラブホテルを抜け出して
38.スノゥリリィ
39.いつもここから
40.トキメキUNITED
41.ガポワポ
42.デジタルタトゥー・ミーイズム
43.本格中華君攻略法
44.MAKE UP HENGE
45.盤狂わせ
46.Dystopia
47.あのね
48.plastic heroine
49.救済バタフライ
50.Chu-in trip realize
51.tetora,
52.ガポワポ
53.ラブホテルを抜け出して
54.モトムポエム、エゴイズム
55.醜形矯正シンドローム
56.Call of Destiny
57.本格中華君攻略法
58.MAKE UP HENGE
59.デジタルタトゥー・ミーイズム
60.バクアゲ仏
ニューシングル「きゅーとぴあ」
配信リンク:https://linkco.re/QrGhg2au
双極スペクトラム5周年ONEMANLIVE
2026年3月26日@Zepp Shinjuku
詳細後日発表







