【インタビュー】成長と遊び心が交差する、暴動クラブの最新作「曲負けしない演奏ができるようになった」

2025.10.08 17:00

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暴動クラブがこの1年2か月で見せたのは、焦りでも停滞でもなく「生きているバンド」としてのリアルな進化だった。

ライブを重ね、刺激を求めて異なるジャンルのアーティストとも交わりながら、彼らは確実に音楽的な地平を広げてきた。前作で鳴らしたのは“衝動”のロックンロール。そこから今作で手にしたのは“実感”としてのロックンロールだ。

スリーコードの縛りを離れ、メンバーそれぞれの個性と成長を音に落とし込んだ最新作では、暴動クラブというバンドの本質がより鮮明に浮かび上がる。ギターの鳴りも、歌の温度も、そして言葉の選び方さえも、かつてより自由で、しなやかで、どこか深くなった。釘屋 玄が語る言葉からは、仲間と音を鳴らす喜びと、自分たちの音を掴みはじめた確信が滲む。

彼らの音は今、“葛藤と成長”の真っ只中にある。

――前作のリリースから1年2か月が経ちました。この時間は暴動クラブにとってどんなものでしたか?

釘屋 玄:ありがたいことに、次から次へとライブとか制作の予定がポンポン入っていたので、今、1年2か月って言われて「もうそんなに経ってたのか」っていう感じです。

――大きなトピックでいうと、釘屋さんがフジロックに出演しましたね。個人的には、the 原爆オナニーズとの対バンも気になりました。その一方で、最近勢いのある板歯目とも対バンしてましたね。若いバンドとの対バンはどうでした?

釘屋 玄:サポートのベーシストとすごく仲よくなりましたけど、同年代で一緒に対バンする人たちはあんまりいないっすね。

――寂しいですか。

釘屋 玄:いや、寂しくはないですけど、いたらいいなとは思ってます。バンドが少ない分、どうしても固まっちゃいがちにはなるんで。最近思うのが、若いロックンロールバンドが固まってそればっかやってても、面白くなくはないかもしんないですけど…。

――でも、刺激は失われていきますよね。

釘屋 玄:はい。だから、最近は特に誰ということでもないですけど、自分たちと全然違うところにいる人らとやるのも面白いかなと思ってます。別にロックンロールじゃなくてもよくて、なんか変なことをやっている人だったら自分たちにとっても刺激になるし、お客さんも楽しいのかなって。

――そういう思いは今回の楽曲にも反映されてますか?

釘屋 玄:前のアルバムは、録ってくれるのが1960年代のモノラルな音に詳しいマナベ(THE NEATBEATSのMr.PAN)さんだったので、「じゃあ、スリーコードを基調にやりましょう」っていう、ある種のコンセプトというか縛りが前提にあってできたアルバムだったんですけど、今回は逆にそういう縛りが全くない状態で録り出して、できあがった曲をどんどん詰めていこうっていう感じだったんですね。だから、スリーコードのロックンロールにこだわらずに、自分らが思ういい音楽をやっていこうと。ジャンルで言えば間違いなくロックンロールだと思うんですけど、前作がThe Pretty Thingsとかストーンズみたいな1960年代のブルースを基調にしたロックンロールだとしたら、今回は曲ごとにテーマがあるような感じで、結果として音の幅が広がったと思います。

――ということは、初期衝動の塊のように聴こえた前作よりも、バラエティに富んだ今作のほうがより暴動クラブらしい作品になっていると。

釘屋 玄:そうっすね。前のアルバムは「ある一点に集中して掘り下げてみました」みたいな感じだったけど、今回はいろんな面をまんべんなく表現できたかな。

――今作は、ポップでメロディアスな曲が増えたことにけっこう驚きました。今話していたように曲の幅も広がって「FIRE」みたいなレゲエ寄りの曲もあったりしますし。あえて広げたというよりは、自分たちに制限をかけずにつくった結果こうなった、ということですか。

釘屋 玄:本当にそういう感じです。あとはメンバー個人の成長もあったし、バンド全体としても3年目にしてやっと慣れてきたっていうか、わかるようになってきたところがあって。まだ言語化はできないんですけど、自分らはこういうふうにやりたいんだみたいな方向が見えたのかなって。今までは、作ってはみたもののテクニック的にできない曲があったけど、今回はそれが割とできるようになったんですよね。

――今作の収録曲で、前作ではできなかったんじゃないかと感じる曲はどれですか?

釘屋 玄:ほぼ全部かもしれない。

――でも「ラヴ・ジェネレーター」と「LIFE FUCK」は、前作に入っていてもおかしくないようなサウンドですよね。

釘屋 玄:そうっすね、この辺は何も考えなくてもできるような、みんなが得意とするところだと思うんですけど、それ以外の曲はこれまでならやろうとしてもできなかったんじゃないかと思います。今回、(城戸 “ROSIE”)ヒナコさんがけっこう曲を書いていたりもするし。

――それも大きな変化だと思いました。城戸さんは今回4曲の作詞作曲を手掛けています。なぜ今回、城戸さんがこんなにも多くの曲を書くことになったんでしょう。

釘屋 玄:曲は前からずっと書いていたらしいんですけど、バンドでやるのはなんか違うかなって本人は思ってたみたいで。前に一度バンドで合わせてみたときも「これ、難しいな」ってなったし(笑)。でも、今回のアルバムのセッションのときにヒナコさんの新しい曲を試してみたら、それがバチっと上手くハマったんですよね。それはさっき言ったように、バンド全体の力量が上がって、それぞれがアレンジャーとして自分の楽器をどう叩くか、どう弾くか、どう歌うかみたいなことがわかってきたからこそできたんじゃないかなと。

――歌メロが豊かなものが多いですよね。彼女の曲に対してどう感じますか?

釘屋 玄:要所要所で印象に残る曲が多いと思います。ヒナコさんの曲は、メロディーとかコード進行が馴染みのある感じっていうか、普遍的な感じがあって、懐かしさと同時に、ある意味では新しさがあるんじゃないかなって。今回彼女が持ってきた曲はけっこう緻密というか、メロディーがしっかり決まっていて、前はそういう緻密さをメンバーが表現しきれなかったんですけど、今回はみんなできるようになってたから、やっと曲負けしない演奏ができるようになったんだと思います。

――では、マツシマライズさんと釘屋さんの曲の特徴についても説明してみてください。

釘屋 玄:前にヒナコさんが言っていたのが、ヒナコさんの曲は「こんな感じで仕上げていこう」みたいなイメージは特になくて、「ポンって出てくる」みたいなんですよ。逆に俺とマツシマは、人の曲を聴いて「このリフ、カッコいいな」とか「このドラムのビートいいじゃん」とかそういうのを、ものによってはそのまま引用したり、組み合わせたり変えたりするんです。要は、やりたい曲の理想像が先にあって、そこにうまいこと肉付けしていくっていう。だから、俺とマツシマの曲にはリフがそのまんま出てきたりするから、そういうところでロックおじさんがニヤッとするかもしれない。

――ざっくり分けると、メロディー重視の城戸さんと、リフやサウンドの質感重視の釘屋さんとマツシマさん。

釘屋 玄:特にマツシマはギタリストだから「リフしかできてないけど、とりあえずやりましょう」みたいなこともいっぱいあって、そのリフに俺が無理やり歌を乗せることがよくあります。

――鈴木(壱歩)さんは曲を書かないんですか?

釘屋 玄:書かないですね。前に一度、彼が酔っぱらったときかなんかに「なんかすごいリフできた!」って送ってきたのを聴いたら1音しかなくて、「これ、何?」ってマツシマと俺が言っちゃって、それでへそ曲げちゃって…。

――あー(笑)。

釘屋 玄:でも、今でもドラムありきの曲はあるし、ドラムのビートからインスピレーションをもらうこともあるから、ある意味彼も曲を作っていると言えるかもしれないですね。

――今作のプロデューサーを務めたのは告井孝通さんです。これはどういう狙いで決まったんですか。

釘屋 玄:今回、アルバムを録ることは決まってたんですけど、前作みたいに音の方向性までは見えてなくて。それで、メジャー1stアルバムとして勝負できる人がいいんじゃないかというスタッフからのオススメで決まりました。結果、すごくよかったです。

――告井さんはロックンロール畑の方ではないですよね。

釘屋 玄:1990年代のオルタナがすごく好きな人です。でも、あの時代の音楽も、スタイルは全然違えど割とロックンロールが下敷きにあったりするんですよね。よく曲を聴いてみると、「あれ、これザ・ビートルズじゃん」とかそういうことがあったりするし、1960~1970年代のいいとこ取りみたいなところが1990年代の音楽には一番あると思うんですよね。告井さんはそういうことにすごく詳しい人なので、前作が1960年代だとしたら今回は「どの時代かはわかんないけどロックンロールとは言えるよね」みたいな作品になったんじゃないかと思います。

――そう、今作からは架空の時代の音を鳴らしているような印象を受けました。明らかに影響を受けている年代はあるけども、そこに縛られていないし、どの時代とも言い切れない、面白い鳴りをしているなと。

釘屋 玄:スネアが一瞬、1980年代っぽく聴こえる曲もあったりするけどボーカルをすごく歪ませてたりするし、今回はアティチュード的な部分にはこだわらず、ミックスとかもその曲に合ったやり方をしました。

――それは曲に自信があったから?

釘屋 玄:そうですね。曲をつくってる段階から「今回のはいいよね」って話をしてて。前回みたいにモノラルで録るっていうのはそのこと自体に意味があると思うんですけど、今回はそういうお化粧はなしで、その分エフェクトをかけたりはしてますけど、アティチュード的なものは意識せずに曲優先でやれた。それは、曲がよかったからなんじゃないかと思います。

――さっき、チラッと話に出てきた「ラヴ・ジェネレーター」はMC5っぽさがあって好きです。

釘屋 玄:本当ですか? この曲だけ、2年前ぐらいにつくって一度だけバンドでやって、ボツって。それをヒナコさんがボイスメモかインスタからサルベージしてきて、「これ、やろうか」みたいな話になって採用されたんですよね。

――あと、「ギミー・ショック」からはUKを感じます。

釘屋 玄:最初はグランジっぽい曲をやったら面白いんじゃないかってことですごいグランジっぽいアレンジにしたらあんまり合わなくて。そしたら、告井さんから「ツェッペリンみたいにしたらいいんじゃない?」っていう提案あって、それでUKフォークみたいに変なコードをいっぱい入れてみたんですよね。イギリスの人って謎にアコギを入れたがるじゃないですか。だから、確かにそういう雰囲気はあるかもしれない。

――あと、一応はここでは曲名を伏せますけど、とある楽曲から暴動クラブの進化をすごく感じました。なんと、城戸さんがボーカルをとっているという。

釘屋 玄:この曲はプリプロで合わせてたんですけど、その時点ですでに収録曲は全部決まってたから悩んでたら、ヒナコさんが告井さんの家に行って、リズムマシンとギターと歌だけで曲を録ってきて、それが面白かったから採用されたって感じです。これがきっかけで今後もリズムトラックを入れる曲があるかもしれないし、ヒナコさんが歌うっていうのもいいし、今後の伏線として面白いんじゃないかと思います。

――しかも、暴動にしてはかなりスローな曲なのに、不思議と違和感がないっていう。こういうのもありなんだなと思いました。

釘屋 玄:さっき言ったように、個人の技量とかバンドとしての練度は上がっているんですけど、もともとみんなそんなに器用じゃない。俺は歌い方を曲によって大きく変えることはできないし、みんなそれぞれ「自分はこれ」って思っているところがあるから、自分たちがつくった曲に100%パーセント合わせることはまだできないんですよね。だから、それぞれが自分のやりやすい方向に頑張ってもっていかないといけない。結果として、それが良さにつながってるんじゃないかなって。もし俺らが音楽面においてピチッと揃えられる人間だったとしたら、逆にバンドとしてここまでまとまらなかったのかもしれない。

――肩の力を抜いたからこそ、こういう曲をポンとアルバムに入れられたところもあるかもしれないですね。

釘屋 玄:そうかもしれない。ジャンルがどうとか、統一感がどうとか何も考えずに作ったんで。最初に曲を持っていったときも、「いいんじゃない?」みたいな軽い感じでサクっと決まったし、いい意味でフットワーク軽くできました。

――先ほど、僕は今作について「架空の年代の音」と表現しましたけど、それは歌詞による部分も大きい気がしていて。暴動の歌詞って特定の何かを想像させるような固有名詞が極力排除されてますよね。そこのこだわりについて教えてください。

釘屋 玄:俺は、歌詞も、映画も、漫画も、考える余地があるものが好きで。最近は作品の考察とか答え合わせをするのが流行ってるけど、俺からすると「放っといてくれよ」みたいな。俺は、自分なりの解釈をそのまま許してくれるような創作物が好きだから、自分が書く歌詞も聴き手に委ねたいところがすごくあるんですよね。

――その感覚を城戸さんも持っているということですか?

釘屋 玄:どうなんだろう。でも、歌詞を書くときに俺が歌うことを想定して書いた、みたいなことを言ってたから、もしかしたらそういう感覚で書いてるのかも。

――だからこそ、今作に「生活」とか「ひまつぶし」という日常を感じさせるタイトルの曲が収められているのがちょっと意外だったんです。「生活」はどんなところから生まれた歌詞なんですか?

釘屋 玄:フォークっぽい歌詞にでもしてみるか、みたいな。これまではたまたまやってなかっただけで、元々フォークはけっこう好きなんですよね。フォークもブルースも身の回りのことを歌ったものが多いじゃないですか。それを形にするのがすごく難しくて、一度はそういう歌詞を書くことから離れていたんですけど、今回改めて挑戦してみましょうかっていうことになって、歌録り直前に書きました。あまりにも日常感のある歌詞ってどうなんだろうって思うところはあったんですけど、こういうのもありなのかなと今は思ってます。

――「地下鉄」ってワードだけでびっくりしちゃいました。

釘屋 玄:これを「東西線」とかにしちゃうと、それはもう、俺の好きなところじゃないんですよね。でも、フォークの人たちはそういう言葉を使うし、それがよさでもあるとは思うんです。「神田川」も、神田川を知らない田舎の人でも、「神田川ってこういうところなんだ」って思えるよさがあるけど、俺にはまだそのバランス感覚が掴めてないところがあって。

――釘屋さんの中で歌いたいことが変わってきてますか?

釘屋 玄:そうですね。元から書きたいことがコロコロ変わるタイプではあるんですけど、前までは身の回りのことというか、自分のことで頭がいっぱいで。

――たとえば?

釘屋 玄:「やべ、ガス代払えない」とか(笑)、そういうことが多かったんですけど、最近は公共料金系は払えるようになったし、ライブも大きいところでやれるようになってきて、生活も安定してきた…いや、安定はしてないけど(笑)、普段の生活へのフラストレーションはなくなってきたんですよね。そうなると今度は、ニュースで見たこととか、人のことに目がいくようになって、今までは自分のことに必死で見えてなかったけど、そういうことが見えだすと、今度はそっちにイライラするようになっちゃって。だから、ものの見方はこの1年ぐらいで変わったんじゃないかと思います。

――視野が広がったんですね。

釘屋 玄:そうですね。これまでは本当に、音楽、本、映画、公共料金みたいな、自分ちだけに留まってたんですけど(笑)、今はそうじゃないところが見えるようになってきたので、今回はそういうところが歌詞に出てたらいいなと。

――それはすごく感じられましたよ。そういった内面の変化は、メジャーデビューしたことによる影響も大きいと思います。メジャーはどうですか。

釘屋 玄:具体的に何が変わるのか俺もよくわかってないけど、今までは好きな人のところ、ライブハウスとかイベントへ売りに行く感じだったのが、メジャーになると、ロックンロールという言葉も知らないような人たちにどうやって自分らのことを好きになってもらうのか考えないといけない。だからといって、曲づくりで「メジャーになったから、ここはこっちのコードにしてみよう」とか、ライブで「行けるか、下北沢―!」みたいなことを言うようにしよう、みたいなことは考えてないですね。

――あっはっは!

釘屋 玄:それでも勝負はしないといけないから、もしかしたらどこかでもっと変わるのかもしれないですけど、今のところ気持ち的には変わってないですね。ちょっと自分に喝を入れとこうかな、ぐらい。

――自分たちでもプロモーションについて考えたりするんですか。こういうことをやったほうがいいんじゃないか、みたいな。

釘屋 玄:そういう話し合いをすることはあって、みんなそれぞれ思うところがあったら「こういうことやりましょう」とかけっこう言いますね。

――「俺らは音楽のことだけやるので、あとはお任せします」みたいなイメージだけど、実際はそうではないんですね。

釘屋 玄:全然。俺、短期目標がひとつあって、お昼のワイドショーに出たいんですよね。

――意外です(笑)。それはまたなぜ?

釘屋 玄:いや、単純になんか面白いから。けっこうみんなミーハーですよ。面白いことがあったらやりたい。

――じゃあ、「ラヴィット!」に出られることになったら…。

釘屋 玄:めっちゃ出たいっす。前に、「ヒルナンデス」かなんかにエレカシのミヤジ(宮本浩次)さんが出てて、面白いなと思ったんですよね。ミヤジさんのことを知らない主婦とかおばちゃんが見たら、「何、この人?」ってなるじゃないですか。そういう、ロックバンドの人がお茶の間に出るときの“変さ”が好きなんですよ。

――たしかに、そういうテレビでの違和感はワクワクしますよね。何が起こるかわからないっていう。では今後、暴動クラブはどう進化していきたいですか?

釘屋 玄:今回のアルバムでひとつ方向性が見えたというか、曲は違っても俺らがやればまとまりのあるものを作れると思えるようになって。もちろん、次のアルバムで急に打ち込みをやるってことはないですけど、俺らって意外といろいろやれるじゃんっていう手応えがあって。それはジャンルなのか見せ方なのかはまだわからないですけど、もっといろんなものに手を出しても面白いんじゃないかと思ってます。

――これまではちょっと不安に思うところがあったんですか?

釘屋 玄:古いロックをやることにこだわりがあったのと同時に、「そういう音楽をやって様になるんだろうか」っていう自分たちに対する疑問もあったんですけど、今はそういう感覚はなくなって。あと、この時代のこのスタイルでこういう曲をやってますっていうコンセプチュアルなバンドっていっぱいいるじゃないですか。俺が思ったのは、ずっとそれだけをやってきた人たちには勝てないし、だったらそういう音楽はそういう人たちに任せておけばいいやって。

――いろいろと吹っ切れたんですね。

釘屋 玄:俺らはいろんな音楽が好きだし、あれもこれもやりたいっていうメンバーが多いから、ひとつのものにこだわるのはもったいないかなって。せっかくみんないろんな音楽が好きなんだからいろんなのをやればいいんじゃないかなって思ったら、肩の荷が下りました。もともと、俺は形から入るタイプで、前のアルバムでは様式美にこだわりがあったんですけど、今はちょっと思考が変わって、俺らにできることをやりましょう、みたいな感覚になってるし、そのほうが楽しいんじゃないかと思ってます。

――これまでは自ら型にはまっていってたところがあったけど、今は特定の型がなくても自分たちらしさが出せると自信が持てるようになった。

釘屋 玄:そうですね。ライブを重ねたり、カバーEP(『VOODOO SEE, VOODOO DO』2025年4月発売)を作ったことでよりそう思えるようになりました。「なんかイケんじゃん」みたいな。

――カバーEPはみなさんにどんな影響を与えたんですか。

釘屋 玄:スリーコードの曲は自分たちのやれる余地があることが多いから、どうやっても自分らの音にはなるとはずっと思っているんですけど、このEPでカバーした「タイムマシンにお願い」は原曲がすごく有名だし、曲自体の完成度もすごく高いから、最初は「自分たちがカバーして大丈夫かな?」と思ってたんです。だけど、結果として自分らのやりたいようにやれたから、俺たちが「曲に負けることはないのかも」と思えるようになって、それが自信につながってるのかもしれない。

――ということは、今後、4人の技術がもっと上がっていくことで、暴動クラブの世界はより広大になっていくんですね。

釘屋 玄:でも、単純に上手くなっても面白くないから、「ギターソロ、ミスったけどカッコいいから入れちゃえ」とか「ちゃんと声出てないけど、なんかカッコいいからいいや」とか、常に正解を選ぶというよりも、間違えたけど面白いからいい、みたいなスタンスは変えずにやれたらいいなと思ってます。

――一般的な完成度の高さを追い求めるんじゃなくて、不意に出たカッコよさを大事にしていきたいと。その気持ちが変わらなければ、何をやっても暴動クラブになるんでしょうね。

釘屋 玄:そうですね。個々が上手くなってやりたいことが増えていけばいくほど、いろんな曲ができるようになっていくんで、今回はひとつの通過点というか、自分たちにできることがよくわかる作品になったと思います。

取材・文◎阿刀 “DA” 大志

暴動クラブ メジャーリリースオリジナルアルバム『暴動遊戯』

2025年10月8日発売
FLCF-4543 3,300円(税込)
1.ドライヴ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
2.FEEL SO GOOD?
3.抱きしめたい
4.くだらない時代に唾を吐け
5.ダリア
6.ラヴ・ジェネレーター
7.生活
8.ひまつぶし
9.ギミー・ショック
10.LIFE FUCK
11.FIRE
12.ハニー
シークレットトラック

<暴動クラブ LIVE TOUR2025 暴動遊戯>

2025年11月9日 (日)
大阪/ LIVE HOUSE BRONZE 
OPEN 16:30 / START 17:00

2025年11月15日(土)
名古屋/ CLUB UPSET
OPEN 16:30 / START 17:00

2025年11月29日(土)
福岡/ ESPエンタテインメント福岡LIVE HALL EMY
OPEN 16:30 / START 17:00

2025年12月21日(日)
東京/ 代官山UNIT
OPEN 17:00 / START 18:00

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