【インタビュー】CHAQLA.、前衛的サウンドへの覚醒を示すEP『覚命盤』の桁外れな切れ味「感じてほしいのは、生きているという実感」

CHAQLA.が本日10月1日、3rd EP『覚命盤』をリリースした。2023年に結成されたCHAQLA.は、わずか約2年というスピードでシーンの最前線に駆け上がってきた。鮮烈なヴィジュアルはもちろん、攻撃的なラップを繰り出すANNIE A (Vo)を筆頭に、ヒップホップのみならずさまざまなジャンルを咀嚼した独自の音楽性で異彩を放つ。kai (G, Cho)、鷹乃助(B)、Bikky (Dr)の生み出すサウンド&ヴィジョンはシーンを超えて圧倒的に刺激的だ。
2025年2月のギタリスト脱退を経て、3月より現レーベルMAVERICKに所属、4人体制として再出発した彼らが、早くも最新EP『覚命盤』を完成させた。4人体制だからこその研ぎ澄まされたサウンドを軸に幅広い楽曲が揃い、メンバーそれぞれの個性とプレイアビリティが発揮された1枚だ。多彩な楽曲はどのように生まれるのか? “ヴィジュアルCHAQLA系バンド”と掲げるとおり、ヴィジュアル系を愛しつつ、ヴィジュアル系の概念に革命を起こそうとしている4人に話を訊いた。
◆ ◆ ◆
■メンバー全員が音楽に貪欲
■各々の特技を延ばしていこうって
──まず、2月に4人体制となってから約半年経ちますが、今のCHAQLA.のモードとしてはいかがですか。
ANNIE A:5人から4人になって、もちろん内情の変化はあったんですけど。芯の部分は変わらずにあり続けたいという気持ちで、一生懸命やっています。事務所に所属したという環境の変化も含めて、刺激的に感じながら楽しくやれていますね。
Bikky:自分たちのやりたいことはブレることなく、そのままクオリティをブラッシュアップさせてもらっているのでありがたいです。いろいろ吸収することが多いですね。
kai:ツインギターからひとりになったぶんをどう補うか考えて、機材を一新しました。ライブでの立ち位置も変わったので、大きな変化でしたけど、改めてバンドに向き合うきっかけになったんじゃないかなと思いますね。事務所に入ったこともそうですし、自分自身とCHAQLA.に向き合ういい機会をもらえたと捉えています。
鷹乃助:5人の時は音がちょっと多すぎてガチャガチャしてたんですよ。4人になったことで、他の楽器の音をより聴けるようになったので、バンド全体としてのまとまりが出しやすくなりました。飽和してた部分をソリッドにするという方向性で追求できているかなと。
ANNIE A:ガチャガチャしてたのも、ある意味CHAQLA.らしさになってたんですよね。これまではレコ-ディングもミックスもマスタリングも自分たちでやっていたので。でも、今回の『覚命盤』からエンジニアさんが入ってくださって、お互いの音が当たらないようにしてくれて、そういう部分でソリッドになったと思います。

──ガチャガチャと表現されたとおり、CHAQLA.といえばヒップホップやファンクの要素も柔軟に取り入れた音楽性ですよね。’90年代のミクスチャーやニューメタルを思い出したりもするんですが、結成当初からそういう音楽性を目指していたんですか。
ANNIE A:いや。とにかくやりたいことを惜しみなく突っ込もうとした結果ですね。僕ら、各々違う得意分野があるんですよ。たとえば、Bikkyに関しては縦ノリなビートがこのシーンでは珍しいから、基本的にBikkyのドラムをカッコよく活かす楽曲を作ろう、となる。僕はパンクから始まってラップやヒップホップが好きだから、そういう曲をやりたい。kaiちゃんは、歌謡ロックとか’80~’90年代ロックとかのオシャレな感じのサウンドがルーツにあって。で、鷹乃助は変態。
鷹乃助:「変態なベースを弾いてくれ」って言われてます(笑)。
──(笑)。その個性を全部活かそうというところから始まっているわけですね。
ANNIE A:そうです。だから曲の幅が広くて、歌謡ポップもあれば、ラップで終わる曲もある。
──曲としてまとめるのは大変じゃないですか?
ANNIE A:まとめてる感じもないんですよね。

kai:みんながそれぞれのルーツに寄り添っている気がします。曲調もそうだし、“こいつがこうくるなら、こうすれば自分のやりたいことを突っ込めるな”とアレンジを考えたり。譲り合いじゃなく、寄り添い合い。
ANNIE A:Bikkyがドラム機材にサンプラーを取り入れていたり、鷹乃助もシンセベースと生ベースの二刀流でやっていたり。俺も「フリースタイルラップやりたい!」と言って、ライブ中にやったり。そうやって、各々の特技を延ばしていこうっていうバンドなんです。
──サウンド面で特に個性になっているのはリズム隊ですよね。さきほどANNIE Aさんが縦ノリとおっしゃっていましたが、ブラックミュージック的と言ってもいいくらい後ろノリで。メタルやハードコアルーツのバンドとは違うグルーヴ感だと思いました。
Bikky:こればっかりはもう……才能ですね(一同笑)。何も考えてないんですよ。CHAQLA.を組んでから、「個性的なビートだね」って言われるようになって。何も意識はしてないから……やはり才能?
──ちなみに、ドラムのルーツは?
Bikky:親父の影響でハードロックから入って、激しいジャンルも聴いてました。(取材現場にAC/DCのステッカーを見つけて)AC/DC、めっちゃ好きです。 小学生の時に、親父に連れられて横浜アリーナ公演に行ったんですよ。そうしたら、小学生が会場にいるのは珍しいから、ツアーマネージャーみたいな人がすげえ喜んで、アンガス・ヤングのピックをくれました。

──すごい体験。
Bikky:まわりの人も優しくて、まだ小さかったから椅子の上に乗って見せてくれたんですよ。最高でした。めっちゃ記憶に残ってます。
──では、フィル・ラッドからの影響も?
Bikky:AC/DCはあんまりドラムに集中して聴いていたわけじゃなくて。ドラマーで言うと、レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムが好きだったんだなと最近気づきました。ツェッペリンだけはドラムで聴いてたんですよね。
──納得です。特にヴィジュアル系は前のめりにシンコペーションする曲のほうが多いので、ちょっと違うタイプですよね。
Bikky:逆にシンコペーションは苦手なんですよね……。どこでシンバル入るんだろう?みたいになる。本当に感覚派なので。
──鷹乃助さんの得意分野は?
鷹乃助:自分は逆に、後ろノリが苦手だったんですよ。僕はL’Arc-en-Cielから音楽に入ったので、音数の多いメロディアスなベースをずっと練習していて。でも、CHAQLA.を組んでからBikkyのドラムをよく聴いたらかなり後ろノリだから、これは俺も合わせないとな、と。できるだけ彼の良さを殺さないように、寄り添ってビートを作ることは常に意識しています。

Bikky:いいやつ! “バンドの縁の下の力持ち”って言葉でよくドラマーが形容されますけど、CHAQLA.では鷹乃助です。個人的にも一番付き合いが長いのが鷹乃助なので、好みとか性格とかも理解してるから噛み合ってるんだと思います。
──ギタリストのkaiさんは、CHAQLA.の幅広い曲に対して、後ろノリなファンク系からメタル系のリフ、プログレっぽいソロまでさまざまなギターをこなしていて。
kai:いろんなジャンルのバンドを経験してきたので、そこで培われたものをCHAQLA.になってから全部出している感じですね。狙ったわけではないんですけど、メタルが好きな時期はメタルをやったり、洒落っ気があるピアノロックバンドをやった時期もあったし、王道ヴィジュアル系っぽいバンドをやったこともあったり、いろいろ通ってきた結果、できるようになりました。
──多彩な楽曲ができていく理由がわかった気がします。
ANNIE A:みんな音楽に貪欲だから。







