【インタビュー】NIGHTMARE、25周年に放つEP『√25』にルーツと軌跡「どの曲にも“人間”が出てる」

NIGHTMAREが、25周年を記念したEP『√25』のフィジカル盤をリリースした。
本作ではメンバー全員が1曲ずつ作詞作曲を手がけるという初の試みが行われている。それぞれのルーツであったり個性が発揮された5曲には、25年の歩みと経験が発揮されており、非常に興味深い。まさに25周年にふさわしい特別な作品と言える。
ファイナルに日本武道館公演を据えた47都道府県ツアーもいよいよ終盤戦に突入し、本作を掲げたNIGHTMAREはいまどんなモードなのか。作品についてのインタビューを通して、彼らの想いに触れてみてほしい。
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──7月から先行配信されていた5-track EP『√25』が、いよいよフィジカルでのリリースになります。メンバーそれぞれが作詞作曲を手掛けた5曲を収録する、というこの企画がそもそもどのように持ち上がったものだったのか、あらためて教えてください。
咲人(G):5曲入ったEPを出すことになったのは、結果論としてそうなったからなんですよね。当初は1曲ずつリリースしていくつもりだったんですけど、いろんな事情が重なっていく中で5-track EP『√25』というかたちにまとまったわけです。
──1曲ずつ聴いていっても面白かったとは思いますが、5人の作った曲たちが一堂に会するかたちになった5-track EP『√25』は、よりメンバーそれぞれの持つ個性や音楽的なカラーの差を明確に感じられる仕上がりになったのではないでしょうか。
咲人:まぁ、結果オーライ感はちょっとあるかもしれないです。
──きっと、それぞれにとっての“この1曲”を提示していくうえではさまざまな経緯があったことでしょう。狙い撃ちで一発入魂的に絞り込んで曲を作った方もいれば、あれこれ作った中から絞り込んだ方もいるのではないかと思いますが、Ni~yaさんの場合は?
Ni~ya(B):俺はほんとだったら、もっとド頭からバッチバチにベースのスラップが入ってるような曲を作りたかったの。いかにもベーシストが作りました!みたいな曲を。だけど、そこには今回どうしてもゴール出来なかったんですよ。それで、だんだん締切が迫ってきて「やべぇ、どうしよう…」と思ってた時に出来たのが、この「BIRTH」。
──テンポ自体はミッドテンポですが、スケール感のある素敵な曲ですね。
Ni~ya:ありがとうございます。でも、バッチバチなのもリベンジしたいなぁ(笑)。
──「Mist」はRUKAさんのメロディメイカーとしての才覚が存分に発揮されている印象ですが、こちらの生い立ちはどのようなものだったのでしょう。
RUKA(Dr):これはもう、前作(『Labyrinth』2024年8月発表の配信限定シングル)の時に出来てました。
──柩さんの「SMILE」は、どのようなタイミングで生まれた曲になりますか。
柩(G):これは今回この企画のために作った曲ですね。楽しくてノリやすいような曲にしたいなぁ、という気持ちで作り始めました。あとは、メロディーに対して歌詞が早口で言葉数を多くのせてるところがひとつの特徴になってます。
──NIGHTMAREでの作曲は初挑戦となったYOMIさんが書かれているのは、『√5』の冒頭を飾る「Baku」です。プロセスとしては何から始めていかれたのですか。
YOMI(Vo):咲人から「ちょっとアップテンポの曲が欲しい」って聞いてたんで、まずは「テンポはこのくらいかな」っていうところから決めていきました。
──咲人さんがそのようなオーダーを出された理由は何だったのですか。
咲人:ゾジーさん(YOMI)の曲の締め切りが一番最後で、ほかの4曲はある程度もうデモとして出揃ってたんですよね。その段階でわかってた4曲の方向性と、1枚の作品としてのバランスを考えると、めちゃくちゃ激しいとまではいかなくてもいいけど、やっぱりアッパーなヤツがもう1曲あってもいいなと思ったんですよ。
──なるほど。そんな咲人さん自身が作られている「Jubilee」が、今回どのような流れの中で生まれた曲だったのかもぜひ教えてください。
咲人:今回は「Jubilee」ともう1曲、わりと激しい曲を作ってたんですけど、この作品のコンセプトを考えると「激しい曲はいつでも出せるしな」と思ったんですよね。逆に、こういうテーマで曲を書くっていうのは今しか出来ないなと。そして、「Jubilee」っていうタイトルは最初から自分の言葉アーカイブの中にありました。
──25周年というと、いわゆるSilver Jubileeにあたりますものね。
咲人:そうですね。まさに今このタイミングにしか作れないものをかたちにしたんです。
──なお、プレス向け資料によるとこの『√25』という作品タイトルも25周年を意識したものとなるそうで、意味合いとしては“Root = NIGHTMAREの根源、 Route = 25年の活動の道筋を √25=5”という、ふたつのニュアンスを含んでいるのだとか。
咲人:このタイトルは言葉遊びから生まれたところもあって、特に自分としては25年の活動の道筋を数学的に√25=5って表した部分が大きいです。ちょうどメンバーの数と周年の数が当てはまるな、と思ったんで。
──実際、今作はクレジットを見ずとも誰がどの曲を書いたのかわかりそうなくらい、メンバー5人の持っている特色がありありと映し出された内容となっているわけですが、出来上がってきた各曲に対して各人がどのような印象を持ったのか、ということもうかがってみたいところです。
RUKA:YOMIの曲は意外でしたね。もっと暗い曲が出てくるのかなと思ってたから。柩の曲は拍というか譜割りが難しい。でも、そういうところも含めて柩っぽいなって感じる。で、咲人の曲はとにかくユニゾンがシンドい(笑)。Ni~ya曲は構成が難しいけど、俺からすると想像どおりの曲調だったかな。
柩:みんながみんな、それぞれ“らしい”曲を作ってきたなって思います。RUKAさんと咲人の曲はやっぱり「さすがメインコンポーザーだな」っていう曲になってるし、Ni~yaの曲にはNi~yaらしさとNIGHTMAREらしさが両方あるなっていう感じがしましたね。初めて作曲をしたゾジーの曲に関しては、聴いた時に「そういえば、昔よくこういう系のジャンルの音楽聴いてたよな」って思い出しました。
Ni~ya:ほんと綺麗に5色が出てるよね。ただ、ゾジーはバラード調の歌モノで来るのかな?と個人的には思ってたんで、そこはちょっと予想外だったかもしれない。でも、完成してからあらためて聴いてみると、ボーカリストとして自分が歌いやすいように計算してメロ作ったんだろうな、ということが良くわかる曲になってましたね。俺も割とそういう傾向があるんですけど、多分ゾジー以外が作ってたらもっと詰め込んでたろうし、そこからいろいろ削ってく作業が発生してた可能性があった気がする。
咲人:「Baku」ってプリプロの時、原曲の譜割りをそのまま活かしたんだっけ?
YOMI:いや、ちょっと変えてもらってると思う。咲人に少しアレンジを手伝ってもらいつつ、自分がブレスしやすいように意識して作ったところはあります。
Ni~ya:俺にはそういう感覚が足りないんですよねぇ。前に咲人からも「ここにブレスあった方がいいんじゃない?」って、メロ作ってる時にアドバイスもらったことあったし。
咲人:ボーカリストの立場じゃないと、どうしてもね。俺も昔、ギターソロみたいなメロディー作って歌ってもらったりしてたから、あれは大変だったろうなと思う(苦笑)。
──YOMIさんは、各メンバーの作った曲に対して今回どのような印象を持たれました?
YOMI:俺もそれぞれのメンバーの色が出てるな、って思いましたね。唯一、咲人の曲だけはもうちょっとアッパーな感じというか、それこそ「極上脳震煉獄」シリーズみたいな方向で来るのかなと勝手に予想してたんだけど。でも、この5曲が並んだときのバランス感は絶妙な感じになったと思うし、この作品には「Jubilee」で良かったなと思います。
咲人:どの曲にも“人間”が出てる、っていうのが『√25』最大の特徴なんだと思います。俺も勝手にNi~yaはもっとロック感のある曲を持ってくるのかなと予測してたところがあったけど、出て来たのはけっこうしっとり系だったっていう意外性はあって、でもこれはこれで彼らしいなと思ったし。ゾジーさんの曲も、俺から最初に「ちょっとアップテンポの曲が欲しい」とは言ったものの、まさかこんなダウンチューニングで来るとは思わなかったですね。俺が7弦を使ってる曲はあるにしても、こういうバンド全体でチューニングを落とした曲って、ウチにはこの「Baku」と「ジェネラル」(2008年発表のアルバム『killer show』に収録)2曲しかないんですよ。
YOMI:そのチューニングっていう面に関しては、これまでいろんな曲をやって来た中で、ボーカル的に美味しい部分と楽器隊としての美味しい部分が曲の中でけっこうぶつかっちゃってるな、って感じるケースがわりと多かったんですよね。だから、この曲を作っていくうえでは両者の棲み分けをしてみたいと思ったんです。まぁ、ライブでやる場合は楽器の持ち替えとかでみんな大変になっちゃうから、そこはちょっと気になってるところではありますけど。
咲人:そこはどうにでもなるでしょ。







