【インタビュー】NIGHTMARE、25周年に放つEP『√25』にルーツと軌跡「どの曲にも“人間”が出てる」

2025.09.26 18:00

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──ちなみに、今回の5曲は目下続行中の<NIGHTMARE TOUR 2025 回生 天下大暴走>でも既にプレイされているのですよね?

Ni~ya:もちろん。全曲やってます。

──では、せっかくですので。ご自身の作った曲に対するライブでの手応えは、いまのところどのような感触でしょうか。

Ni~ya:自分の曲は、やってて「おっせーな」って感じ(笑)。俺は根本的に突っ込み気味なタイプなんで、気をつけて弾く必要があります。

──RUKAさんの「Mist」はライブでやっていていかがです?

RUKA:曲もそうだけど、ドラムもわりとシンプルなんですよ。そういう意味で、この曲は抑揚をつけていくのが難しいなと感じてますね。

──だとすると、そこをクリアしていくための秘訣は?

RUKA:えー、なんだろう?気持ち、サビでちょっと速いかなくらいの感覚で叩いてはいますけど。疾走感が出るようにっていう意識はしてます。

──柩さんの「SMILE」は踊れそうなノリもある曲ですが、ライブで実演してみて感じているのはどのようなことでしょうか。

柩:まだちょっと、フロアと手探りしあってる感じはあります。あとはここからさらに成長してくれるといいな、って思ってますね。

──YOMIさんの「Baku」はオーディエンスと盛り上がれそうなくだりを含んだ曲ですけれども、実際にやってみての手応えはいかがでしょう。

YOMI:自分で作った曲のはずなんだけど、最初はあんまりしっくり来ないというか…なんか不思議な感覚でしたね。やっていくうちにだんだんと馴染んできた、っていう感じです。多分ちょっと恥ずかしさがあるんですよ。たとえるなら、衣装の乳首だけが透けてる状態で歌ってるみたいな(笑)。わかります??

──ごめんなさい。まるでわかりません(苦笑)。

Ni~ya:誰もわかんないでしょ!どういう状況なんだよ(笑)

YOMI:だからほら、衣装の乳首だけが透けてるみたいな違和感があったんだけど、最近はかなり慣れてきたよっていうこと(笑)。

柩:乳首だけが透けてる違和感って慣れるんだ(笑)。

咲人:っていうか、その状態だったら観てる側の違和感の方がより凄そうだけど(笑)。

YOMI:それはそうね(笑)。まぁでも、確実に良くなってってるよ!っていうことです。

──承知いたしました。咲人さんの「Jubilee」はじっくり聴ける曲ですけれど、ライブではオーディエンスにどのような受け止められ方をしていただいている印象ですか?

咲人:そんなにノリ良く行こうぜ!っていう曲ではないので、みんなわりと聴き入ってくれてる雰囲気は感じますね。

──さて。ここからは各曲の歌詞についての解説もしていただければと思います。まず、YOMIさんは「自分の作った曲に自ら詞をつける」ということ自体も初体験だったのではないかと思いますが、これまでの作詞と何か違うところはありましたか。

YOMI:やっぱり曲を作ってる時から詞のイメージもけっこう頭にあったので、それを言葉にしていくのはわりとやりやすかったです。

──実際の出来事を下敷きにしたのであろうドキュメントな内容になっているうえ、そこに〈『悪夢』を喰う〉というフレーズが入っている点が実に興味深いですね。

YOMI:この作品自体のテーマを考えながら書いていったら、こういう内容になっていきました。思い返すと、この25年間って良い思い出よりも悪い思い出の方が多いんですよね。辛い時期もいろいろあって、それを乗り越えてきたからこそ今こうして25周年を迎えられてるんだと思うし、そのうえでここからまた次のステージにいければいいなっていう願いをここには込めました。

──「SMILE」の歌詞については、タイトルをそのまま読んだ時に感じるハッピーさとは異なるシニカルさを持った内容になっているようですが、柩くんとしては曲調もふまえつつこの詞を書いていくことになられたということでしょうか。

柩:この詞は皮肉が軸になってます。それで「SMILE」っていうところも込みで。イメージ的には、スプレーで落書きしたみたいなスマイルマークっていう感じ。語呂合わせで書いてるようなところもあるから、そこも楽しんでもらえればいいかな。

──一方で、先ほど「Jubilee」というタイトルをつけた経緯については咲人さんから説明をいただきましたけれど、こちらの詞にも〈終わらない悪夢〉というバンド名を意味する一節が出て来ます。この詞に想いを託されたところは多々ありそうですね。

咲人:悪夢っていうのは、つい使っちゃいがちな言葉ではあるんですよ。そもそも夢っていう言葉も出来るだけ使いたくないと思ってるのに、どうしても使っちゃうというか。それに、この曲に限っては「テーマ的に入れておかないとな」っていう気持ちもありました。だから、ステージの上にいる時に見える景色とか、今まで歩いてきた道とか、そういう部分に関して自分としてはかなり素直に書いたつもりです。

──ここでいう〈思い出すよ あの日々を〉がどの日々なのかも気になります。

咲人:どの日々なんでしょうね。きっとそれはさっきゾジーさんが話してたこととも通じるものがあって、俺は辛い思い出だけではなかったと思ってるけど、インパクトとしては良いことよりも辛かったことの方が後々まで尾を引くし、何時までも覚えてるんですよ。思い返してみると、初期のアルバム『Ultimate Circus』(2003年)とか『リヴィド』(2004年)を作ってた頃なんかもほんと精神的にしんどくて、当時ツアーを車で廻ってた時も「これの行き着く先って何処なんだろうな」ってよく考えてましたからね。

──ある種の暗中模索時代だったということなのですかね。

咲人:うーん、あれはなんだったんだろう?「俺が夢見てたのってこんなことなのかな」って思う時があったりとか。でも、そういう時期を経ての今があるのも事実だし、この詞にはそういう事実をどこか自分自身で讃えているような部分もあるんです。

──混迷の時期を経て、のちにその危機を脱することが出来た理由は何かありました?

咲人:はっきり言っちゃえば、乗り越えられたのかどうかは分かんないです。乗り越えても乗り越えてなくても時間は過ぎていくから、なんとなくやり過ごした可能性もあるしね。ただ、今でも続けられているということは、なんとかその時期を通過することが出来たっていうことなんで良かったと思います。…さて、ここで質問です。

──いきなりの逆質問ですか? 怖いですね(苦笑)。

咲人:「Jubilee」の歌詞に仕込んであるギミックには気付きましたか?

──何度か読んではいるのですけれど難しいですね。よろしければヒントをください。

咲人:場所はDメロ的な部分です。音読すると…。

──あ。メンバー全員の名前が音として入っているのですね!

咲人:当たり(笑)。一見そう見えない歌詞に紛れ込ませてあるから、なかなか気付かれにくくはなってます。

──Ni~yaさんの「BIRTH」は、何を想いながら書かれた詞だったのでしょう。

Ni~ya:俺もNIGHTMAREで自分ひとりで詞を書くのは初めてだったんだけど、自分にとって身近なものとか好きなことからヒントを得てこの詞を書きましたね。まぁ、要するに魚釣りがテーマです(笑)。

──といっても魚の文字はひとつもなく、大地や自然に対する讃歌として仕上げられている印象です。

Ni~ya:魚を釣りながら自然と戯れてると、感じることがいろいろありますからね。

──自然と対話する的なことですか。

Ni~ya:そうです! 自然との対話もするし、それは自分との対話でもありますから。俺が特に好きなのは初夏の時期で、夜明けと同時に一気に暑くなって、魚の活性もあがって、いっぱい釣れて楽しかったなっていうことを思い出しながら、海ってやっぱり生命の源だよなっていう風にも思うわけですよ。

──〈薫風に揺れる 霞む空〉とは、実体験から生まれたものだったのですね。

咲人:なかなか“薫風”って出て来ないフレーズだよね。俺からは出ないと思う。

──礼節正しく手紙を書く場合に“拝啓 薫風の候~”と始めるケースはあるそうなのですが、普段そうした手紙を書く機会も滅多にありませんしね。文学作品でもたまに見かけた記憶がありますし、とても綺麗な日本語だと思います。

Ni~ya:だよね。たまたま詞を書いてる時に見つけて、いいなと思ったから使いました。

──なおかつ、〈始まりの朝に歩き出そう〉ですとか〈煌びやかな天を目指して〉といったフレーズからは未来に向けての意思も感じることが出来ますね。

Ni~ya:そこは今の気持ちを書いた部分だけど、結局は人間って海にいた微生物から何億年かけて進化してきた存在でしょ。それは植物でもほかの動物もおんなじで、それぞれがそれぞれの道を歩いていくんだよ、っていうことを言いたかったんだよね。「BIRTH」
っていうタイトルもそのまんまの意味です。

──RUKAさんの書かれた「Mist」についても、詞の解説をいただけますと幸いです。

RUKA:ここ数年、どうも物忘れが激しくて。それがテーマなんですよ。忘れるっていうことについて書いてみようかなと思ったんです。

──忘れることは人間にとって浄化作用を意味することもありますが…この詞には〈巻き戻しが怖くて〉との一節が見受けられます。

RUKA:この詞は忘れたくないことを忘れていく、っていう話ですね。忘れて戻っちゃうのが怖いみたいな。

──しかし、完全にイレースされるのではなく面影は残っているような雰囲気もこの詞からは感じられますね。

RUKA:得体の知れない何かがあったような気がする、いたような気がする、っていう感じかな。

──たちこめている霧がいつか晴れるといいですね。

RUKA:わかんないよ? ずっと霧がかかりがちな土地もあるし(笑)。でもまぁ、晴れて欲しいなっていう願望もあることはある。