【インタビュー】10-FEET、NAOKIが語る独断ベースサウンド「この姿勢、一貫しています」

■最終的にはフットスイッチとチューナーだけ
■それくらいシンプルなものにしたい
──次にアンプですが、ニューラルDSPのQuad Cortexをプリアンプ、EBSのHD350をパワーアンプとしてセットしつつ、キャビはGR BASS AT410でした。EBS HD350とGR BASS AT410は長く使っているイメージがありますが?
NAOKI:機材写真を撮ってもらった5月のZepp HanedaのときはヘッドがEBSでしたけど、その後で変えたんですよ。今はGR BASSのONE800を使ってます。アンプヘッドはあくまでもパワーアンプとして使っていて、実際に音を作っているのはQuad Cortexですね。
──パワーアンプを換えた理由は?
NAOKI:スタジオで、それまで使っていたEBS HD350とレンタルしたGR BASS ONE800を並べて、交互に鳴らしてみたんですけど、パワーアンプが違うだけで音圧感が全然違ったんですね。ONE800のほうが、音の太さや飛び方がすごくパワフルで良かった。6月12日の韓国・釜山公演からヘッドをONE800にしています。

──プリアンプとしてQuad Cortexを導入したのは最近のことですか?
NAOKI:そうですね。導入して1〜2年だと思います。Quad Cortexを使い出してから改めて思ったんですが、今の時代、すごいことになってますよ(笑)。
──フロア型のアンプモデラー&マルチエフェクターで、キャプチャーもできるんですよね。
NAOKI:アルバム『コリンズ』制作中、レコーディングエンジニアさんと話していたときに、“今はこういう機材もある”って教えてもらって。その後、ベーステックの山本ケンペイさんと話したら、“デジタルながら音もすごく良くて、1台ですべてまかなえると思います”ってことで、まずは借りて試したんですね。で、今後Quad Cortexがあれば便利だし、機能的にも運搬も、めちゃめちゃラクだねってことで購入しました。
──いろいろな種類のサウンドを鳴らせるアンプモデラーですが、NAOKIさんはどういうタイプの音を作っていますか?
NAOKI:去年12月にベーステックさんと一緒にスタジオに入って、細かく解析しながら音作りをしていったんですけど、イメージ的にはEBS HD350を使っていたときの音色とほぼ一緒になるように作り込んでいきました。Quad Cortex内のCA 400というアンプモデルを使って、音作りを追い込んでいった感じです。



──Quad Cortexにはマルチエフェクターも内蔵されていますが?
NAOKI:スタジオで音作りをしたときにかなり詰めてやったんですけど、時間的にまだ最後まで追い込めてなくて。今のところライブではアンプモデラー機能をメインに使ってますね。
──なるほど。
NAOKI:実は、歪みやフランジャーとか、エフェクト系の音色や音質は、ザックリですけど既にQuad Cortexに設定済みではあるんです。だけど、ライブでベースを弾きながら歌って、なおかつ音色の切り替えをするには、これまでのエフェクターボードのほうが操作しやすくて。Quad Cortex用のフットスイッチで操作しやすいものが見つかったら、Quad Cortexのエフェクト部門も使うつもりですけど。
──フットスイッチが見つかり次第、システムは簡略化される可能性が大ですか?
NAOKI:そうかもしれないですね。今、この写真のようにいろいろなコンパクトエフェクターを間にかましているんですけど、Quad Cortex1台で全部まかなえれば、かましている部分の音痩せが解消されるかもしれないってことは、ベーステックさんとも話しているので。

──現在、足元のエフェクターボードには、BOSSのマルチエフェクツスイッチャーMS-3ほか、2つの銀箱ループスイッチに接続されているXoticのプリアンプBass BB Preamp、BOSSのプリアンプBB-1X Bass Driver、EarthQuaker DevicesのファズHizumitasという3台があります。
NAOKI:エフェクトシステムは主にこのボードですね。まず、BOSS MS-3には、8種類の音色をプログラムしています。貼ってあるラベルに書いているように、一番左のスイッチが“1-2 Boost”で、その裏チャンネルが“2-1 Tremolo”という具合に、ひとつのスイッチにつきふたつの音色をアサインしています。基本的には、それぞれ曲の一部で踏んでる感じですね。
──フランジャー、フェイザー、ディレイなどわかりやすくネーミングされています。
NAOKI:基本的にそれぞれのラベルの上部のほう…たとえば一番左のスイッチだったら“1-2 Boost”のほうが使用頻度が高いんです。
──気になるのは“1-3 Mocomoco”です。
NAOKI:“Mocomoco”はイコライザーで極端に音色を変えて、レゲエっぽいパートでモコモコサウンドにしています。


──BOSSのマルチエフェクトスイッチャーMS-3とは別に、ループが3つ組んでありますよね。XoticのプリアンプBass BB Preamp、BOSSのプリアンプBB-1X Bass Driver、EarthQuaker DevicesのファズHizumitasは、どのような使い分けを?
NAOKI:Hizumitasは「2%」のイントロの歪み用、ファズの強い歪みですね。以前はエレハモのビッグマフを使ってたんですけど、Hizumitasはビッグマフの強い歪みに太さが足されたような感覚があって、これに変更しました。Bass BBは、「super stomper」や「U」とか、ディストーションというよりもドライヴ系のエッジの効いた歪みが必要なときに使ってます。Bass DriverはBass BBよりもエッジが少なくてシャリッとしたドライヴ感がほしい曲でかけています。「ハローフィクサー」「第ゼロ感」ではワンポイントではなく1曲通して掛けっぱなしにしているんですね。これら3台のON/OFFをBOSS MS-3の右横に配置している2つのループスイッチで制御しています。
──となると、ベースのベーシックサウンドはQuad CortexとGR BASS ONE800のアンプ直の音ということでしょうか?
NAOKI:基本はそうですね。最近「ハローフィクサー」「第ゼロ感」で1曲通してBass Driverをかけるようになりましたけど、それ以外のエフェクターは要所要所で使うワンポイントです。
──その足元のエフェクター操作は、BOSS MS-3と2つのループスイッチで完結できるわけですね。
NAOKI:エフェクターボードの下側一列にスイッチがまとまってると、歌いながらスッと踏み換えができるんですよ。最終的には、このエフェクトボードに入っているものを全てなくして、足元にQuad Cortexにリンクさせたフットスイッチ1台とチューナーぐらいのシンプルなものにしたいと思っています。


──アンプシステムの前にBOSSのエフェクツスイッチングシステムES-8がセットされていましたが、これは?
NAOKI:前までは足元のエフェクターボードにDigitechのドロップチューンDropも入れてたんですど、今はQuad Cortexのドロップチューニング機能を使っていて。ES-8にQuad Cortexのドロップチューニングを設定してあります。
──なるほど。全弦半音下げはQuad Cortexのドロップチューニング機能を使いつつ、4弦のみのドロップチューニングはヒップショットを活用していると。
NAOKI:そうです。曲でいうと、「第ゼロ感」「SLAM」はドロップDで、「super stomper」「goes on」とかはQuad Cortexのドロップを使って全弦半音下げてます。このドロップ機能もフットスイッチ1台にまとめたいんですよね。ついこの前、ライブの現場リハーサルで試したんですが、今、出したい歪みやエフェクトサウンドは、Quad Cortexでほぼ再現できるんです。要は、“この曲のときにはこのボタンがこの辺りにないと、歌いながらでは踏みにくい”という操作性の話で。ベーステックさんとはそういうやり取りをしていて、それに合うフットスイッチが見つかったら、大きく変更するかもしれないですね。実はES-8にQuad Cortexのエフェクター系を全部アサインしようとしたんですけど、チャンネル数が足りなくて。

──ちなみに、TC Heliconのボーカル用コンパクトエフェクターVoice Tone C1は?
NAOKI:「Re方程式」の部分部分で声にオートチューンをかけています。あと最近はライブでやってないですけど、「月 ~sound jammer せやな~」でも使ってました。
──今、NAOKIさんに必要な機材は使いやすいフットスイッチぐらいですか?
NAOKI:そうですね。今現在、自分のイメージしているベストな音色に、ようやく落ち着いたなって感じがあるから。GR BASS ONE800をパワーアンプとして導入するまでは、ここ数年、いろいろやってきた気がします。いわゆるイメージの音に近づけていく作業を。Zepp Hanedaのときにも使っていたEBS HD350を導入するときも、京都にEBSのアンプを何台か送ってもらって、スタジオで順番に試して、ようやく決まったぐらいですから。







