【舞台裏インタビュー】<山人音楽祭2025>竹原ピストル「俺の中ではすごい大勝負」

2025.09.21 18:09

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バンド勢が圧倒的に多い<山人音楽祭>にギター1本持って乗り込んできた竹原ピストルは、声を振り絞って吠えるように歌いながら、赤城ステージに集まった観客をその気迫に満ちたパフォーマンスに釘付けにした。

演奏したのは、サウンドチェック代わりの「もしもピアノが弾けたなら」のカバー他3曲と本番の12曲を足した計15曲。リズムがおもしろい「みんな~、やってるか!」では《みんな~》と歌った竹原に観客が《やってるか!》のシンガロングを返した。また、「よー、そこの若いの」では、竹原の「イチニサンシ!」を合図に観客がサビをシンガロング。

「めちゃくちゃうれしいです!」とうれしそうに語った竹原は「厚かましいけど、長年の経験から今日のお客さんは絶対歌ってくれると思ってました」と続け、観客を沸かせる。わかりやすく盛り上がる「みんな~、やってるか!」「よー、そこの若いの」以外では、金縛りにあったように観客が身じろぎもせず、じっと彼の歌に聴きいっている光景も壮観。

「Forever Young」は「10周年おめでとうとG-FREAK FACTORYに友情の気持ちを込めて」と語ってから歌った。「俺のアディダス~人としての志~」の凄みのあるラップも聴きどころだった。

「また<山人音楽祭>に出させてもらえるよう精進します。実現したらライブを見に来てください。次の出演が決まったときは、BRAHMANさんの隣の楽屋はイヤだとはっきり主催者に伝えます(笑)。生きた心地がしない。だから、俺、廊下で声出ししてました」

この発言の真相は以下のインタビューで、ぜひ。「いろいろなフェスに出させてもらってますけど、<山人音楽祭>は特に大好きです」とMCで語った竹原にG-FREAK FACTORYとの友情や<山人音楽祭>の愛着を語ってもらった。

   ◆   ◆   ◆

──気迫に満ちた歌とギターに圧倒されました。ライブの手応えからまず聞かせてください。

竹原:そうですね。持ち時間40分の中では一番気に入っているセットリストで臨んだんですよ。これでダメだったらへこむだろうなってちょっと思っていたので、お客さんがあたたかい反応を返してくださったことにすごくほっとしましたね。

──えっ、竹原さんでも「これでダメだったら」なんて思うことがあるんですか?

竹原:ありますあります。これで通用しなかったら、また考えなきゃなみたいなタイミングではありますね。日々のライブの中で、どれが一番強いんだろうななんて思いながらセットリストを考えるのが好きなんですよ。特に<山人音楽祭>は俺の中ではすごい大勝負なんで、ここでちょっとでもうまく行かなかったらイヤだなというのはちょっと意識してました。

──<山人音楽祭>は大勝負。ライブ中のMCでも「<山人音楽祭>は特に大好きです」とおっしゃっていましたが、<山人音楽祭>のどんなところが好きなんですか?

竹原:誰もが知っているような、名実ともにリスペクトされているアーティストがたくさん出ているし、失礼ながらバンド名、アーティスト名しか存じ上げなかったけど、ライブを見てみたらとんでもねえみたいな人も混じっていて。やっていても楽しいし、見ていても楽しいし。バックヤードを歩いてるだけでもちょっと興奮するんですよ。あとはやっぱり、なんだかんだ出会ってからカウントしたら長いつきあいのG-FREAK FACTORYがこの<山人音楽祭>をずっと大事にしているっていうのはひしひしと伝わってきていたので、そういう彼らの<山人音楽祭>への愛着と、彼らへの僕の愛着みたいな。そういう部分が強いので、何て言ったらいいんだろう──僕も大事に思うと言ったらいいのかな。僕のライブを初めて見てくださる人が多いっていうのは、どのフェスでも同じだと思うんですよ。だから、ちょっとでも気に入ってもらって、1人でもいいから名前だけでも覚えてくれたらいいなっていうのが、まずステージに上がるにあたっての目標の1つなんですけど、G-FREAK FACTORYがやってる<山人音楽祭>だけは、厚かましくもおこがましくも、成功の一要素にちゃんとなりたいっていうある種の責任感がちょっと混じるんですよね。

──じゃあ、ワクワクすると同時に緊張感もあるのではないでしょうか?

竹原:ありますね。だから、しくじるわけにはいかない。図々しい言い方かもしれないけど、ここに竹原ピストルだろうってG-FREAK FACTORYが思ったときは、いつでも駆けつけるからって思ってますね。

──ところで、MCで「BRAHMANさんの隣の楽屋はイヤだ、生きた心地がしない。だから、廊下で声出ししてました」とおっしゃっていたじゃないですか。

竹原:はいはい(笑)。

──あれ、ジョークだと思ったお客さんもいるかもしれないですけど、本当に廊下で声出しされていましたね。なんで、こんなところでやっているんだろうって不思議だったんですけど、そういうことだったんですね。でも、なぜBRAHMANの隣の楽屋では生きた心地がしないんですか?

竹原:だって、なんか来そうじゃないですか。BRAHMANと言うか、TOSHI-LOWさんですよね(笑)。TOSHI-LOWさんとはいろいろなフェスでご一緒させてもらってるんですけど、あるとき会場入りしたら、勝手に俺の楽屋で俺のギターを弾いてたんですよ、TOSHI-LOWさんが(笑)。

──えー!!

竹原:そうなんですよ。だから、何かやられるんじゃねえかっていう。街を歩いてると、会いたくない先輩っていたじゃないですか。それの典型ですよ。よりによって隣かよって(笑)。だから、冗談と言うよりは、TOSHI-LOWさんに聞こえてもかまわない本音です。かわいがってもらってますけど。

──G-FREAK FACTORYとは長いつきあいとおっしゃっていましたけど、なれそめは?

竹原:記憶が正しければですけど、もう10年ぐらい前に高崎でライブをやったとき、「G-FREAK FACTORYってバンドをやってます」みたいな感じで、音源を持ってご挨拶に来てくださったんですよ。それから高崎でライブをやる時にちょっと顔を見せてくれたりとか、<山人音楽祭>に呼んでいただいた時に「ありがとう」って言ったりとか。それだけと言えば、それだけなんですよ。一緒に酒を飲んだとか、お喋りしたとか、そういうことはほとんどなくて。向こうだってすごい人見知りじゃないですか、きっと。自分もそういうところがあるから、必要最低限の礼を尽くして、それだけみたいなつきあいが続いてきたにもかかわらず、さっきの話ですけど、群馬を盛り上げることや<山人音楽祭>を大事にしてるんだなっていうのがすごく伝わってくるし。お誘いいただいたことももちろんですけど、忙しい中、ちょっとライブを見てくださったりという時間もそうだし、すごく信頼してますね。そう言えば、あれはどこだったかな。7年ぐらい前に<MONSTER baSH>か、<NUMBER SHOT>か、どっちかだったと思うんですけど、G-FREAK FACTORYと初めて群馬以外で共演したんですよ。その時、彼らがステージに上がっていく後ろ姿を見送りながら、自分でもこんな気持ちになるのかってびっくりするぐらい、「群馬の大将が行くから、おまえら、覚悟しとけ」ってぶちかましてやるみたいなすっげえ熱い気持ちになったんですよ。

──うんうんうん。

竹原:いわゆる友達づきあいなんて、たいしてしてないのに。真剣勝負の現場でしか会ってないからこそなのかもしれないけど、「あっと言わせてやれ!」って気持ちになって、ああ、G-FREAK FACTORYのことがだいぶ好きなんだなってそこで気づいたみたいなね。

──今後もし酒を酌み交わす機会があったら、それは大歓迎なんですよね?

竹原:その時は2軒目から集合ですよね。1軒目はそれぞれに飲んで、べろべろになって、2軒目で何を喋ったかわからねえぐらいのことをしないと、俺は照れくさくてダメです。酒の席でわあわあ喋ったって、俺は意味ないと思ってるから、だったら時々しか会わないけど、現場でこうやってバチバチと全力でぶつかり合ってっていう時間のほうがコミュニケーションとして好きですね。

──普段なかなか聞けない貴重なお話ありがとうございます。最後に今後、<山人音楽祭>にどんなことを期待していますか?

竹原:僕は毎回、本当に楽しいから、現状維持でいいと思います。もっとこうしたらっていうのはまったくないですね。呼ばれれば、いつでも駆けつけますよ。

取材・文◎山口智男
写真◎淵上裕太
ライブ写真◎HayachiN

■G-FREAK FACTORY主宰<山人音楽祭 2025 ~10th Anniversary~>
9月20日(土) 群馬・日本トーターグリーンドーム前橋
9月21日(日) 群馬・日本トーターグリーンドーム前橋
〒371-0035 群馬県前橋市岩神町1-2-1
open9:30 / start11:00 / 終演20:00※予定

▼9/20(土)出演者
Age Factory / ENTH / かりゆし58 / 氣志團 / KOTORI / G-FREAK FACTORY / SHANK / 上州弾語組合 / SKA FREAKS / 高木ブー / DJダイノジ(大谷) / 10-FEET / TOTALFAT / 花冷え。 / HAWAIIAN6 / The BONEZ / locofrank / ROTTENGRAFFTY(※五十音順)
“能登半島応援企画 MAKE A PROMISE TO NOTO (Tokyo Tanaka×バカビリー×高橋ちえ)”
▼9/21(日)出演者
片平里菜 / G-FREAK FACTORY / J-REXXX BAND / JUN SKY WALKER(S) / 上州弾語組合 / 四星球 / 竹原ピストル / NakamuraEmi / バックドロップシンデレラ / ハルカミライ / Hump Back / BANYAROZ / 04 Limited Sazabys / FOMARE / BRAHMAN / HEY-SMITH / 山嵐 / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS PLUS(※五十音順)

『山人MCバトル×戦極MCバトル』※開催は9/21(日)
Armadillo / bendy / DOTAMA / FCザイロス / GOMESS / KOOPA / 溝上たんぼ / NAIKA MC / 歩歩 / risano / Sitissy luvit
DJ:R da Masta
司会:K.I.G

『上州弾語組合』
9/20(土) 清水 明夫 / KIE Anderson / garb / 16号。 / 横山 ナオ / 上原梅弦
9/21(日) 高平 悠 / 山口 貴大 / 茂木 拳 / 鹿山 音楽 / ジュンペイ / 藤井 トモカズ

▼チケット
・各1日券 9,500円(税込)
・2日券 18,000円(税込)
・駐車場付 1日券(9/20)※SOLD OUT
・駐車場付 1日券(9/21)※SOLD OUT
・駐車場付 2日券 ※SOLD OUT
(問)DISK GARAGE https://info.diskgarage.com
主催:DISK GARAGE/BADASS/上毛新聞社
企画・制作:DISK GARAGE/BADASS