【速レポ】<中津川 WILD WOOD 2025>大トリはThe BONEZ、「愛してるってことを伝えたくてやって来ました!」

<中津川 WILD WOOD>初年度の大トリを任されたのは、The BONEZ。リハで楽しそうに演奏していたのは先日、来日していたスマッシング・パンプキンズの楽曲。続いて、JESSE(Vo, G)が「中津川―! リハだけど楽しんでいこうぜー!」と呼びかけ、「All day I just…」をプレイ。「愛してるってことを伝えたくてやって来ました!」と、ステージからはけることなく、そのまま本編へと突入した。
「ここにThe BONEZの魂を置いていくから、キャッチしてくれよ、中津川!」と1曲目「We are The BONEZ」をプレイすると、一斉に老若男女が飛び跳ねる。客席エリア前方には小さな子どもたちがいる。しかし、危険な感じはまったくない。誰も置いていかない、連帯を大切にするThe BONEZの魂が中津川にもしっかり浸透している様子が見てとれた。この雰囲気がすごくいい。このフェスは昨日から家族連れが多かったが、The BONEZというバンドの性格とすごく相性がいいのかもしれない。だからこその大トリなのか。フェス側の意図にハッとさせられた。筆者の感覚がそれほど間違っていなかったことは、このあとすぐに証明された。




JESSEはまず、「こんな時間まで残ってくれて……」と言ったあと、オフマイクで「本当にありがとうございます!」と感謝を伝えた。そして彼は続けた。「こんな時間になんでこんなにガキンチョがいるんだ? 間違ってねえぞ!」──ここまでは笑って聞いていられた。しかし、そのあと彼は信じられないことを口にした「……こっち側、来る?」──ここからいまだかつて目にしたことのない景色が生まれたのである。
なんと、JESSEは本当に子どもたちを柵の向こうへ呼び寄せた。その数、数十人(数名の親付き)。柵の向こうとは、ステージと柵の間の、セキュリティやカメラマンがいるあのエリア。注意事項として、JESSEはこう言った、「モッシュ/ダイブするヤツは子どもたちに当たらないように気をつけろ! 子どもたちはちょっと当たっても泣くなよ」──こんなことはThe BONEZのライブでしかありえない。もっというなら、長い時間をかけて信頼関係を築いてきた中津川でしかありえない。


ライブ再開。JESSEは柵の向こう、つまり超最前列にいる子どもたちの目の前まで身を乗り出し、歌を届ける。ああ、これぞThe BONEZ。こういった連帯がうれしくてたまらない。大げさではなく、ちょっと泣きそうになる。
今日のJESSEの口からは金言しか出てこなかった。「自分の正しいが、学校に行ったら違うって言われることもあると思うんだ。だから、もし学校で話を聞いてくれるヤツがいなかったら、インスタグラムでJESSEを探せ。いくらでも話を聞いてやる」──そんな話をしてからプレイするのが「New Original」。バッチリだ。
筆者は、スクリーンに映し出される映像だけでは我慢できなくなり、実際に柵の向こう側まで足を運んで見た。すると、子どもたちの人数は思っていた以上に多く、心底驚いたし、生まれて初めて見る画にかなり興奮した。

今日の主役は、完全にこの子どもたちになった。柵のこっち側では大人たちによるウォールオブデスが繰り広げられ、それを眺めている子どもたちに向けて、「中1になったらこっちに入れてやるよ」とJESSE。そして、自身の息子が生まれたときに書いたという「LIFE」を披露。4つ打ちのミドルチューンは幸福感に満ちていた。JESSEはステージの際まで来てしゃがみ、子どもたちに向かって歌い届ける。この喜びたるや、どれほどのものだっただろう。
さらに、同曲ラストの無音の中で鳴り響くシンガロングパートの感動といったらなかった。正直、これが最後の曲でもよかったが、凡人の発想を超えてくるのがThe BONEZである。このあともクライマックスのような瞬間が何度も続くのだった。そう、何度も、だ。


「Thread & Needle」では子どもたちが思いっきり飛び跳ね、シンガロングの声を上げる。JESSEが子どもたちに向けたマイクが、彼らの無垢でプリミティブな大声を拾った。そうしろと言われたわけではないのに、彼らは小さな拳を突き上げて、何度も何度も飛び跳ねる。おいおい、こんなに感動的なライブ、なかなかないぞ。このうちの何人かは将来、絶対にバンドを始めるだろう。それくらいのパワーが、ポジティブなパワーが、このライブには宿っていた。
ヘイトなんてこれっぽっちもない。どんなに暴力的で無秩序に見えても、それは憎しみに由来するものでは決してない。まともにロックの洗礼を受けている人間が見れば、それはユニティでしかないのだ。全国各地で巻き起こるダイブ/モッシュ論争も、The BONEZがいれば全部解決するんじゃないかとすら思う。どんな人たちもひとつにする音楽として、The BONEZが鳴らすロックがここでは100%機能していた。こんな現場、なかなか立ち会えるものではない。




興奮はまだ続く。「こんなことが経験できて、めっちゃ幸せです。この幸せ、もうちょっと上げれるって信じてます……じゃあ、俺がやべえって思うKjに出てきてもらおうか」──すると、真っ赤なキャップをかぶったその人がステージに登場。観客が熱狂する中、演るのはもちろん、「Straight Up feat. Kj」。2024年産のミクスチャーロックに中津川のテンションはぶち上がった。
さらに、Kjが先導し、一斉にステージ上の照明が消え、その代わりにオーディエンスによってスマホライトが掲げられた。いや、なにこれ。絶対何かの最終回。今日、日本で一番熱かったのは絶対にこの場所だと思う。このレポートだけでは伝わらないかもしれないが、伝わってほしい。




そして、本当に本当のクライマックスはラストの「SUNTOWN」だった。T$UYO$HI(B)もステージぎりぎりまで来て、自身のプレイを子どもたちに見せつける。それに対して、大興奮で飛び跳ねる子どもたち。そんな様子を見て、JESSEは言った。「お父さんとお母さんがなってほしいものではなく、お前がなりたいものになれ。警察官でも消防士でも、お前が間違ってないと思ったら突き進め。忘れるなよ!」今は理解できないかもしれないその言葉がいつか、子どもたちの中で光を放つ瞬間がくるはずだ。こんなにも音楽の力を感じたことは久しくない。
最後は、メンバー4人がステージ中央で肩を組み、オフマイクで大声を上げて感謝の挨拶。その後、メンバー全員子どもたちとハイタッチをしまくり、JESSEはステージから降り、いつまでもいつまでも子どもたちと握手を交わし続けた。こうして、<中津川 WILD WOOD 2025>は大団円を迎えたのだった。

取材・文◎阿刀大志
撮影◎ハタサトシ/Viola Kam (V’z Twinkle)
■セットリスト
1. We are The BONEZ
2. Numb
3. Love song
4. Rusted Car
5. New Original
6. LIFE
7. That Song
8. Thread & Needle
9. Straight Up feat. Kj
10. SUNTOWN
■<中津川 WILD WOOD 2025>
9月20日(土) 岐阜県中津川公園内特設ステージ
9月21日(日) 岐阜県中津川公園内特設ステージ
open10:00 / start11:00 / 21:00終演予定
岐阜県中津川市茄子川1683-797
【Day1:9/20(土)出演者】※A-Z順
ザ・クロマニヨンズ、Def Tech、04 Limited Sazabys、Hedigan’s、HEY-SMITH、一青窈、jo0ji、JUN SKY WALKER(S)、神はサイコロを振らない、KREVA、日食なつこ、Nothing’s Carved In Stone、奥田民生、レキシ、サバシスター、SiM、土岐麻子、東京スカパラダイスオーケストラ、ヤングスキニー、レトロマイガール!!(Opening Act)
【Star Guitar】DJ 西寺郷太(NONA REEVES)、須永辰緒(sunaga t experience)
【Day2:9/21(日)出演者】※A-Z順
ACIDMAN、The BONEZ、Chilli Beans.、Dragon Ash、GLIM SPANKY、go!go!vanillas、iri、木村カエラ、Omoinotake、Original Love、Penthouse、Rei、レトロリロン、スガ シカオ with FUYU、水曜日のカンパネラ、打首獄門同好会、w.o.d.、吉澤嘉代子、Khaki (Opening Act)
関連リンク
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